「アルビオンが見えたぞー!」
ルイズ達の乗る船内に船員たちの声が聞こえる。
「見えてきたみたいね」
キュルケはそういうとルイズを見る。
「向こうでダーリン達と合流できるわ、だからそんな顔しないの」
膝を抱え小さくなっているルイズをなだめるように優しく声をかける。
「わかってるわよ…」
ルイズはそうつぶやくとグスッと鼻をすすり膝を抱きかかえる。
それをみてやれやれ…といった表情を浮かべながらキュルケは続ける。
「ふぅ…それにしても、子爵のおかげでなんとかアルビオンへ飛んで行けているみたいね」
キュルケの言うとおり、現在ワルドは不足している燃料の風石の代わりに魔力を使い船を飛ばしているのである。
スクウェアクラスの魔力があってこその芸当であろう。
「ちょっと甲板に行ってくるわ、私、アルビオンみたことないのよね、一緒に見に行かない?」
キュルケが明るく振る舞い、ルイズを外へと誘う。
「…うん」
そんなキュルケの気遣いに気がついたのか、ルイズはノロノロと立ち上がり、甲板へと向かう
キュルケの後について行きながら聞こえないような本当に小さな声でポツリとつぶやく。
「……ありがとう」
「え?なんか言った?」
「なっ、なんでもないわよ…」
そう言いながら顔を赤らめるルイズをみながら
「(素直じゃないわねぇ…)」
とキュルケは優しくほほ笑んだ。
ルイズ達の乗る船内に船員たちの声が聞こえる。
「見えてきたみたいね」
キュルケはそういうとルイズを見る。
「向こうでダーリン達と合流できるわ、だからそんな顔しないの」
膝を抱え小さくなっているルイズをなだめるように優しく声をかける。
「わかってるわよ…」
ルイズはそうつぶやくとグスッと鼻をすすり膝を抱きかかえる。
それをみてやれやれ…といった表情を浮かべながらキュルケは続ける。
「ふぅ…それにしても、子爵のおかげでなんとかアルビオンへ飛んで行けているみたいね」
キュルケの言うとおり、現在ワルドは不足している燃料の風石の代わりに魔力を使い船を飛ばしているのである。
スクウェアクラスの魔力があってこその芸当であろう。
「ちょっと甲板に行ってくるわ、私、アルビオンみたことないのよね、一緒に見に行かない?」
キュルケが明るく振る舞い、ルイズを外へと誘う。
「…うん」
そんなキュルケの気遣いに気がついたのか、ルイズはノロノロと立ち上がり、甲板へと向かう
キュルケの後について行きながら聞こえないような本当に小さな声でポツリとつぶやく。
「……ありがとう」
「え?なんか言った?」
「なっ、なんでもないわよ…」
そう言いながら顔を赤らめるルイズをみながら
「(素直じゃないわねぇ…)」
とキュルケは優しくほほ笑んだ。
甲板にでたキュルケとルイズを出迎えたのは、アルビオンの雄大な光景だった。
雲の切れ間から、黒々と大陸がのぞいていた。大陸ははるか視界の続く限り延びている。
地表には山がそびえ、川が流れていた。川は空に落ち込み、そこで白い霧になって大陸の下半分を包んでいた。
「話には聞いていたけど、実際見るとすごいわね…、あの霧が白の国の由来なのかしら…ね?」
キュルケが感嘆の声を上げる。
「そうね、あの霧が雲になってハルケギニアに雨を降らすの、やっぱり何度見てもすごいわ」
ルイズも同じくアルビオンの威容に見入っていたが、突然緊迫した見張りの声が甲板に響き渡った。
「右舷上方、雲中より船が接近中! 旗、なし! 空賊です!」
一斉にそちらに視線が向く。そこには黒塗りの船体が、二十数門にも及ぶ砲門をこちらの船に向けていた。途端に船中は騒然となる。
「逃げろ!取り舵いっぱい!」
「ダメです!既に射程内です!逃げようとすれば、撃沈されます!」
その言葉を裏付けるように砲門の一つが火を吹き、ルイズ達が乗った船の進路上の雲が吹き散らされる。
「クソッ!なんでこんな時に…」
悔しそうに船長が呟く、頼みの綱は乗船しているスクウェアのメイジだが…
「魔法はこの船を浮かべるために打ち止めだよ。残念だがあの船に従うんだな」
ワルドは落ち着き払ったその言葉に船長は破産を確信し、停船命令を発した。
「チッ!これで破算だ畜生!停船だ、後は奴らに従え…」
船に乗り込んできた男たちはおよそ数十人。いずれも手に斧や曲刀などで武装しており、
黒船側には弓やフリント・ロック銃を持った男たちがこちらに狙いを定めている。
前甲板に繋ぎ止められていたワルドのグリフォンが空賊たちを威嚇する吼え声を上げると、その頭が青白い雲で覆われ、倒れた。
遅れて甲板に出てきたワルドが呟く。
「眠りの雲か……。どうやらメイジもいるらしいな」
やがて、甲板に空賊の親玉と思われる男が降り立つ。無精ひげに左目に眼帯をした、ぼさぼさの長い髪の男が声を出す。
「船長はどこでえ?」
「私だ…」
震えつつ、精一杯の威厳を保とうと努力しながら、船長が手を上げる。
頭領は船の名前『マリー・ガラント』と積荷を確認すると、船と積荷を自分の支配下におくことを宣言した。
「積み荷は…硫黄か…全部買い取ってやる!代金はてめーらの命だ!ありがたく受け取りな!」
雲の切れ間から、黒々と大陸がのぞいていた。大陸ははるか視界の続く限り延びている。
地表には山がそびえ、川が流れていた。川は空に落ち込み、そこで白い霧になって大陸の下半分を包んでいた。
「話には聞いていたけど、実際見るとすごいわね…、あの霧が白の国の由来なのかしら…ね?」
キュルケが感嘆の声を上げる。
「そうね、あの霧が雲になってハルケギニアに雨を降らすの、やっぱり何度見てもすごいわ」
ルイズも同じくアルビオンの威容に見入っていたが、突然緊迫した見張りの声が甲板に響き渡った。
「右舷上方、雲中より船が接近中! 旗、なし! 空賊です!」
一斉にそちらに視線が向く。そこには黒塗りの船体が、二十数門にも及ぶ砲門をこちらの船に向けていた。途端に船中は騒然となる。
「逃げろ!取り舵いっぱい!」
「ダメです!既に射程内です!逃げようとすれば、撃沈されます!」
その言葉を裏付けるように砲門の一つが火を吹き、ルイズ達が乗った船の進路上の雲が吹き散らされる。
「クソッ!なんでこんな時に…」
悔しそうに船長が呟く、頼みの綱は乗船しているスクウェアのメイジだが…
「魔法はこの船を浮かべるために打ち止めだよ。残念だがあの船に従うんだな」
ワルドは落ち着き払ったその言葉に船長は破産を確信し、停船命令を発した。
「チッ!これで破算だ畜生!停船だ、後は奴らに従え…」
船に乗り込んできた男たちはおよそ数十人。いずれも手に斧や曲刀などで武装しており、
黒船側には弓やフリント・ロック銃を持った男たちがこちらに狙いを定めている。
前甲板に繋ぎ止められていたワルドのグリフォンが空賊たちを威嚇する吼え声を上げると、その頭が青白い雲で覆われ、倒れた。
遅れて甲板に出てきたワルドが呟く。
「眠りの雲か……。どうやらメイジもいるらしいな」
やがて、甲板に空賊の親玉と思われる男が降り立つ。無精ひげに左目に眼帯をした、ぼさぼさの長い髪の男が声を出す。
「船長はどこでえ?」
「私だ…」
震えつつ、精一杯の威厳を保とうと努力しながら、船長が手を上げる。
頭領は船の名前『マリー・ガラント』と積荷を確認すると、船と積荷を自分の支配下におくことを宣言した。
「積み荷は…硫黄か…全部買い取ってやる!代金はてめーらの命だ!ありがたく受け取りな!」
その後、甲板のワルドやルイズ達に気がつく。
「おやおや、貴族の客まで乗せていたのか、ご無礼をお許しください貴族様?」
そう言いながらルイズに近づき、顎を手で持ち上げる。
「こりゃあ、別嬪だ。お前、俺の船で皿洗いをやらねえか?」
男達が笑い声をあげる。ルイズはその手をぴしゃりとはねつけ叫んだ。
「下がりなさい!下郎!」
「聞いたか!?下郎だってさ!ハッハッハッハ!」
「~~~~っ!!!あんたたちなんて…バージルが来たら一瞬でお終いなんだからっ…」
「おお怖い怖い、そのバージルって奴はどこにいるんだい?そいつが来ないうちにさっさと閉じ込めちまうか」
頭領はひとしきり大声で笑ったあと、ルイズ達を指差した。
「てめえら。こいつらも運べ!身代金がたんまり貰えるだろうぜ!」
「(バージル…!)」
「おやおや、貴族の客まで乗せていたのか、ご無礼をお許しください貴族様?」
そう言いながらルイズに近づき、顎を手で持ち上げる。
「こりゃあ、別嬪だ。お前、俺の船で皿洗いをやらねえか?」
男達が笑い声をあげる。ルイズはその手をぴしゃりとはねつけ叫んだ。
「下がりなさい!下郎!」
「聞いたか!?下郎だってさ!ハッハッハッハ!」
「~~~~っ!!!あんたたちなんて…バージルが来たら一瞬でお終いなんだからっ…」
「おお怖い怖い、そのバージルって奴はどこにいるんだい?そいつが来ないうちにさっさと閉じ込めちまうか」
頭領はひとしきり大声で笑ったあと、ルイズ達を指差した。
「てめえら。こいつらも運べ!身代金がたんまり貰えるだろうぜ!」
「(バージル…!)」
船室で眠っていたギーシュを含めた四人とヴェルダンデの一匹は、船倉に閉じ込められてしまった。
『マリー・ガラント』号の船員は自分たちが乗っていた船の曳航を手伝わされているため、ここにはいない。
周囲には酒樽や穀物の詰まった袋や、火薬樽、それに砲弾などが雑然と置かれていた。
「僕が眠っている間に空賊に襲われるだなんて…なんでこんなことに…あぁヴェルダンデ!」
そういいながらギーシュはヴェルダンデに抱きついて…直後に幸せそうに眠りだした。
砲撃の音にも目を覚まさず、なおかつ捕らわれている状態でも平然と寝息を立てるギーシュ、
この男は実は大物かもしれない、そんな目で三人はギーシュを見つめた。
『マリー・ガラント』号の船員は自分たちが乗っていた船の曳航を手伝わされているため、ここにはいない。
周囲には酒樽や穀物の詰まった袋や、火薬樽、それに砲弾などが雑然と置かれていた。
「僕が眠っている間に空賊に襲われるだなんて…なんでこんなことに…あぁヴェルダンデ!」
そういいながらギーシュはヴェルダンデに抱きついて…直後に幸せそうに眠りだした。
砲撃の音にも目を覚まさず、なおかつ捕らわれている状態でも平然と寝息を立てるギーシュ、
この男は実は大物かもしれない、そんな目で三人はギーシュを見つめた。
時はほんの少しさかのぼり、バージルとタバサは…
ルイズ達に遅れること数十分、シルフィードに乗ったバージルとタバサは一路アルビオンへ向かっていた、
流石に風竜とあってシルフィードの速度は、ルイズ達の船よりも早く小回りが利く、
おかげで予定よりも早くアルビオンへ到着できる予定だった。
「先の魔界の件だが…」
不意にバージルが口を開く
「……」
「奴らには黙っていろ」
「…わかった」
タバサも混乱を招くわけにもいかないと察したのだろう、
そう納得し同意する。
ルイズ達に遅れること数十分、シルフィードに乗ったバージルとタバサは一路アルビオンへ向かっていた、
流石に風竜とあってシルフィードの速度は、ルイズ達の船よりも早く小回りが利く、
おかげで予定よりも早くアルビオンへ到着できる予定だった。
「先の魔界の件だが…」
不意にバージルが口を開く
「……」
「奴らには黙っていろ」
「…わかった」
タバサも混乱を招くわけにもいかないと察したのだろう、
そう納得し同意する。
「…………っ!?」
突如バージルの視界にノイズのようなものが走る、
―なんだこれは?いつもよりかなり低い視界
船の甲板の上?黒い船に武装した男たちがいる、
不意に目の前の男に顎を手で持ち上げられなにか話している、
何を言っているのかが聞き取れないが…。
周りにはキュルケやワルドがいる、ということはこの視界は…。
「どうしたの?」
タバサのその一言にバージルは現実に引き戻される。
突然目頭を押さえるバージルにタバサが声をかけた、
「…今から俺が言う方向へこいつを急いで飛ばせ」
険しい表情でバージルはそういうとタバサに急ぎシルフィードを急旋回させた。
突如バージルの視界にノイズのようなものが走る、
―なんだこれは?いつもよりかなり低い視界
船の甲板の上?黒い船に武装した男たちがいる、
不意に目の前の男に顎を手で持ち上げられなにか話している、
何を言っているのかが聞き取れないが…。
周りにはキュルケやワルドがいる、ということはこの視界は…。
「どうしたの?」
タバサのその一言にバージルは現実に引き戻される。
突然目頭を押さえるバージルにタバサが声をかけた、
「…今から俺が言う方向へこいつを急いで飛ばせ」
険しい表情でバージルはそういうとタバサに急ぎシルフィードを急旋回させた。
場面はまたも切り替わりルイズ達は…
見張りに来た男にルイズが「トリステイン大使としての扱いを要求するわ!」
と高らかに宣言してしまい、空賊の頭領の前へと引き合わされることとなってしまった。
「おい、お前ら、頭の前だ。挨拶しろ」
ルイズは頭領を睨むばかりだった。頭領はにやりと笑う。
「気の強い女は好きだぜ。さて、名乗りな」
「大使としての扱いを要求するわ。そうじゃなかったら、一言だってあんたたちになんか口を利く者ですか」
「王党派と言ったな?」
「ええ、言ったわ」
「一体なにしにあんなとこへ行くんだ? あいつらは、明日にでも消えちまうよ、全滅さ」
「あんたたちに言うことじゃないわ!」
頭領は、笑うような口調でルイズに言う。
「貴族派につく気はないかね? あいつらは、メイジを欲しがっている。たんまり礼金も弾んでくれるだろうさ」
「死んでもイヤよ!」
ルイズは震えながら頭領の男を見つめる、怖い、怖いけど誇りに掛けて引くわけにはいかない、
まっすぐに頭領の男を睨みつけた。
キュルケはルイズの心の強さを垣間見た気がした。
「もう一度言う。貴族派につく気はないか?」
頭領が一段声のトーンを落としてルイズたちに尋ねる。
「お断りよ!」
ルイズがきっぱりと否定の言葉を口にする。
すると突然頭領は笑いだした。部屋中を支配するぐらい大声で笑った。
「トリステインの貴族は、気ばかり強くてどうしようもないな。
まぁ、どこぞの国の恥知らずどもより何百倍もマシだがね」
男はそう言うと、再び笑い出して立ち上がる。ルイズ達はあまりの豹変ぶりに戸惑い、顔を見合わせた。
「失礼した。名乗らせて頂く。アルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官…もっとも本艦『イーグル』号しか存在しない無力な艦隊だが…」
言いながらカツラと眼帯を取り付け髭を剥ぎ堂々と名乗った。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・デューダーだ」
それを見たルイズとキュルケはポカーンと口をあけて呆然としている、ワルドは興味深そうに皇太子を見据えていた。
見張りに来た男にルイズが「トリステイン大使としての扱いを要求するわ!」
と高らかに宣言してしまい、空賊の頭領の前へと引き合わされることとなってしまった。
「おい、お前ら、頭の前だ。挨拶しろ」
ルイズは頭領を睨むばかりだった。頭領はにやりと笑う。
「気の強い女は好きだぜ。さて、名乗りな」
「大使としての扱いを要求するわ。そうじゃなかったら、一言だってあんたたちになんか口を利く者ですか」
「王党派と言ったな?」
「ええ、言ったわ」
「一体なにしにあんなとこへ行くんだ? あいつらは、明日にでも消えちまうよ、全滅さ」
「あんたたちに言うことじゃないわ!」
頭領は、笑うような口調でルイズに言う。
「貴族派につく気はないかね? あいつらは、メイジを欲しがっている。たんまり礼金も弾んでくれるだろうさ」
「死んでもイヤよ!」
ルイズは震えながら頭領の男を見つめる、怖い、怖いけど誇りに掛けて引くわけにはいかない、
まっすぐに頭領の男を睨みつけた。
キュルケはルイズの心の強さを垣間見た気がした。
「もう一度言う。貴族派につく気はないか?」
頭領が一段声のトーンを落としてルイズたちに尋ねる。
「お断りよ!」
ルイズがきっぱりと否定の言葉を口にする。
すると突然頭領は笑いだした。部屋中を支配するぐらい大声で笑った。
「トリステインの貴族は、気ばかり強くてどうしようもないな。
まぁ、どこぞの国の恥知らずどもより何百倍もマシだがね」
男はそう言うと、再び笑い出して立ち上がる。ルイズ達はあまりの豹変ぶりに戸惑い、顔を見合わせた。
「失礼した。名乗らせて頂く。アルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官…もっとも本艦『イーグル』号しか存在しない無力な艦隊だが…」
言いながらカツラと眼帯を取り付け髭を剥ぎ堂々と名乗った。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・デューダーだ」
それを見たルイズとキュルケはポカーンと口をあけて呆然としている、ワルドは興味深そうに皇太子を見据えていた。
「その顔だと何故空賊風情に身をやつしているのか?というところか。敵の補給線を断つのは戦いの基本だ。
それに奪った物資がこちらの補給物資にもなる。空賊を装ったゲリラ活動というところかな。
まだ信じられないかな?…これが証拠だ、我が王家に伝わる風のルビーだ」
依然として呆けているルイズに説明するように笑いながらウェールズが風のルビーを見せた。当のルイズはまだ呆けたように突っ立っている。
「トリステイン王国魔法衛士隊、グフィフォン隊隊長ワルド子爵。アンリエッタ姫殿下より密書を言付かって参りました」
こんな所で目的の人物に会えると思っておらず呆然としていたルイズに変わりワルドがそう言った。
「そしてこちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかったラ・ヴァリエール嬢とその友人アンハルツ・ツェルプストー嬢にございます」
「はっ!こ、これが姫様より預かった手紙と水のルビーです!」
ようやく我に返ったルイズがウェールズに手紙と水のルビーを手渡す
ウェールズがそれを受け取ると自身が身につけていた風のルビーを近付け虹色の光が部屋の中に振りまかれた、その刹那。
―バギャン!という豪快な音とともに船室の天井をぶち破りながら蒼い影が部屋へと乱入する。
突然の乱入者に言葉を無くす一行、それはルイズの使い魔、バージルであった。
バージルはウェールズの目の前のテーブルに着地し、ウェールズと視線を合ったと同時にデルフを左手で引き抜き首筋へと突きつける、
右手は閻魔刀の柄を握り締め、ウェールズを睨みつける。
「なっ…!」
「…動くな、瞬き一つでもしてみろ…首を落とす…」
「バッ!バージル!!!」
ルイズが突然の乱入者の正体がバージルだとようやく理解し驚きの声を上げる。
それを一瞬だけ横目で見ると再びウェールズに視線を戻す、
ウェールズの体が一瞬だけピクと動く、その瞬間、バージルは閻魔刀を引き抜きウェールズの首を斬り飛ばそうとした。
「ダメ!殺しちゃダメ!!!」
間一髪ルイズの声が届き、閻魔刀がウェールズの首の皮一枚で止まる。
ウェールズの首筋に細く血の筋がスーッと流れ落ちる。それと同時にウェールズが泡を吹きながら意識を手放した。
それに奪った物資がこちらの補給物資にもなる。空賊を装ったゲリラ活動というところかな。
まだ信じられないかな?…これが証拠だ、我が王家に伝わる風のルビーだ」
依然として呆けているルイズに説明するように笑いながらウェールズが風のルビーを見せた。当のルイズはまだ呆けたように突っ立っている。
「トリステイン王国魔法衛士隊、グフィフォン隊隊長ワルド子爵。アンリエッタ姫殿下より密書を言付かって参りました」
こんな所で目的の人物に会えると思っておらず呆然としていたルイズに変わりワルドがそう言った。
「そしてこちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかったラ・ヴァリエール嬢とその友人アンハルツ・ツェルプストー嬢にございます」
「はっ!こ、これが姫様より預かった手紙と水のルビーです!」
ようやく我に返ったルイズがウェールズに手紙と水のルビーを手渡す
ウェールズがそれを受け取ると自身が身につけていた風のルビーを近付け虹色の光が部屋の中に振りまかれた、その刹那。
―バギャン!という豪快な音とともに船室の天井をぶち破りながら蒼い影が部屋へと乱入する。
突然の乱入者に言葉を無くす一行、それはルイズの使い魔、バージルであった。
バージルはウェールズの目の前のテーブルに着地し、ウェールズと視線を合ったと同時にデルフを左手で引き抜き首筋へと突きつける、
右手は閻魔刀の柄を握り締め、ウェールズを睨みつける。
「なっ…!」
「…動くな、瞬き一つでもしてみろ…首を落とす…」
「バッ!バージル!!!」
ルイズが突然の乱入者の正体がバージルだとようやく理解し驚きの声を上げる。
それを一瞬だけ横目で見ると再びウェールズに視線を戻す、
ウェールズの体が一瞬だけピクと動く、その瞬間、バージルは閻魔刀を引き抜きウェールズの首を斬り飛ばそうとした。
「ダメ!殺しちゃダメ!!!」
間一髪ルイズの声が届き、閻魔刀がウェールズの首の皮一枚で止まる。
ウェールズの首筋に細く血の筋がスーッと流れ落ちる。それと同時にウェールズが泡を吹きながら意識を手放した。