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鋼の使い魔 幕間-02



1205年8月17日:オート候領キドランドから
私は先日までニーナとポールを連れてオート候領北部にある『石の森』と呼ばれる場所へグヴェルを掘りに行っていた。
そこは事前に仕入れた情報どおり、ハンの廃墟などとは明らかに異なる遺跡だった。
ハンのそれが地下に入っていくような複雑な構造をしていたのに、ここは真逆だ。
遺跡としての部分が殆どむき出しで、地下にもぐる様な施設が殆ど無い。
私達は森の中を丹念に探索し、一人当たり五つほどのツールを手に入れることに成功したが、我々は更なる収穫を目指して森の奥へ向かった。
森の中には遺跡として石敷きの小道が無数に張り巡らされていて、森に覆われた遺跡にしては歩きやすいと思ったことをここに記す。
やがて遺跡の中心らしき開けた場所を発見した。そこには石敷きと同じような材質で出来た2,3階程度しかない塔のようなものが建てられていた。
我々は塔の中に入り探索をはじめ、2つほどのグヴェルを見つけることに成功した。
その後、塔の深部に入り他の収穫が無いかを探す中で、最上階に設けられた祭壇のような部分を見つけた。
私は祭壇に手を置いて、なにか持ち帰れるものは無いか丹念に調べていた。
覗き込みながらそろそろ遺跡を出ようと急かしていたポールと、それを笑っていたニーナの声を思い出す。

結局私は祭壇で何も収穫する事は無く、そのまま塔を降りて森を出ることを決めた。
塔を降りて出口の方角へ歩き出す。ニーナが「また砂漠にいきたい」と言っていたから、次回の探索は南に行ってみようかと考えていた時。
我々は石の塔を中心としたタイルが拭かれたような広場に立っていたが、広場の地面全体が光り輝いている。
我々は危険を感じて急いで森を出ようと走り出したが、足元が揺れるように動いて前へ進むことが出来ない。
手を突いて倒れた時、遺跡が、いや、森全体が塔を中心にぐるぐると回転しているかの様に動いていると感じた。
そして塔が篝火のように明るく光り輝き、その光で私の視界が真っ白になる。
ニーナとポールが私を呼ぶ声がして、私も二人を呼んだが、次に何かに弾き飛ばされるような衝撃を受けて、気を失った。

次に目を覚ました時、私は巨大な樹木の根が作るくぼみの中に挟まっていた。
石敷きの地面もなくなり、樹木の茂り方が気絶する前と変わっていた。
ニーナとポールの姿も見えない。私は立ち上がり二人を探すことにした。
周囲の状況を確認する。怪我はない。手に持った杖も壊れていないのが幸いだった。

森の中を暫く歩いた。森は気絶する前とはまるで別の場所のような様相で私を迎えている。
木々の茂り方は元より、深く立ち込める霧が私の行く手を阻んだ。動物らしいものもあまりでてこなかった。
どこまで歩いても人影どころか遺跡の断片すら見窺うことができなかった私は、近くの木に上って高いところから森を覗こうと思い、太い樹木の幹を上った。
樹木の張り出した枝に足をかけて下を見たとき、突如突風が吹いて霧が切り裂かれていくのが見えて、払われた霧の中に老人が一人立っているのを見つけた。
その人は手に指揮棒のようなものを持っている。
私は近くの村の人かと思って声をかけようかとした時、上空から奇声を上げて飛ぶ翼竜が爪を立てて降りてくるのが分かった。その爪は下にいた老人に向かっている。
私はとっさに木から飛び降りて翼竜を杖で打ち据えた。視界の外からの奇襲を受けて翼竜がひるむ。
老人は翼竜に驚いて倒れていたので声をかけて手を伸ばし、立ち上がらせていると、再び翼竜が低空を飛びながら爪を立てた足を向けて飛び込んでくる。
私は杖を構えて術を使った。手に持った杖と周囲の樹木からアニマを引き出し、私の体内で混ぜ合わせる。
デルタペトラと唱えると私の思い通り、私の前に光の石壁が立って、光球が翼竜に向かって発射される。
翼竜はかわせずそれを受けて昏倒し、立ち上がろうとしたが、術の効果で体を徐々に石に変えていき、やがて全身が石に変わった時、自重に耐えられず砕け散った。
振り返った老人は何かを言おうとしていたかに見えた。あのような凶暴な魔物がいるのに老人は身を守るものを何も持っていないようだった。
私は手に持っていた杖を渡し、懐から石剣を取ろうとした時、再び立ち込め始めた霧の向こうから私を呼ぶポールの声を聞いた。
そこで私は、老人に一礼してその場を立ち去って声のほうへ歩いていった。
霧は先ほどのように切れてくれず、私は声がかれるまで叫んで二人と呼び合った。
そうして私は、気絶する前に居た場所と良く似た場所に立つ二人を発見し、再開を喜び合った。
二人に聞くと、どうやら私だけが離れた場所に行ってしまって、今まで呼びながら探していたらしい。

そこは気絶する前とは良く似ていた。足元は少し似ている石敷き、タイル敷きで、空がすこし見えるほどに開けている。
しかし石の塔らしきものは見当たらず、その代わり開けた場所の中心に、人が一人か二人は入れる程度の小さな祠が立っている。
我々はここは塔のあった場所と近いが、このままでは帰ることが出来ないと判断し、この祠を調べた。
祠の中には何もなく、ただ石版のようなものだけが置かれていて、石版には拳大の宝石が半球状に埋め込まれていた。
ポールとニーナがどうするか議論していたのを横目に、私はその宝石にそっと触れてみた。

次の瞬間、我々全員に強烈な頭痛と吐き気が襲い、まずニーナが倒れた。そしてポールもうめき声を上げてその場に倒れた。
私は頭痛と吐き気に耐えながら、一心に帰るにはどうすればいいのかを考え、石版に書かれた文字らしきものを読み取ろうとしたが、やがて気を失って倒れた。

気が付いたとき、私は今居るキドランドの宿屋のベッドに居た。
主人に聞くと、我々三人は近くの街道から離れた所、つまり森の出口付近に折り重なるように倒れていたのだという。
主人の娘でキャサリンという女性が、私がいつまでも起きない事を心配して付きっ切りで看病していたと、ポールが話してくれた。

我々が入った石の森とは、一体なんだったのだろう。
私はもう一度森の前まで行ってみて初めて分かったのは、我々が森だと思って、木だと思っていたものは、木では無いということだ。
木に限りなく似せて作られた別のものだったのだ。恐らく本物の木もあったのだろうが、巧妙に、あるいは偶然なのか、森全体に数多くの「偽の木」が生えている。
これはどういうことなのだろうか。私はポールと話し合って考えた。

結論としては、あれは森全体が一つのメガリスだったのではないか、ということだ。
森の中の木々と、石敷きの地面と、石塔で一つの機能を持った、巨大なメガリス。
我々は偶然それを起動させてしまい、メガリスの力でどこかに移動し、また戻ってきた。
しかし我々がメガリスによって移動した場所は、一体どこだったのだろうか?あの老人は一体なんだったのだろうか?最早我々にはうかがい知ることは出来ない。
あの老人に手渡した杖の感触だけが生々しく手に残っている。



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