あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

蒼い使い魔-16


朝、ルイズが目を覚まし、朝食をとりバージルと共に授業へ向かう
普段はすぐにふらりといなくなってしまうバージルだが、ルイズが授業を受ける時だけは別だった。
バージルはハルケギニアの魔法という力に興味を持ち、毎回授業は真面目に受けているのである。(むしろ生徒達よりも熱心に聞いている)
といっても壁によりかかるいつものポーズでだが…。
使い魔の教室への同伴は基本認められているため、教師陣も何も言ってこない。

そんなバージルは今日もルイズと共に授業を受けるために教室へ入る。
しばらく待っていると教室の扉が開き、ミスタ・ギトーが現れた。
長い黒髪に漆黒のマントといった黒ずくめ、不気味な雰囲気を漂わせ
授業が始まれば自身の系統最強説を語るため生徒たちに人気がない。
「では授業を始める。
知ってのとおり、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」
教室中が、シーン…と静まる。
その様子を満足げに見回し、ギトーはキュルケを指した。
「最強の系統は知っているかね?ミス・ツェルプストー」
「『虚無』じゃないんですか?」
「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いてるんだ」
「『火』に決まってますわ。ミスタ・ギトー」
キュルケが髪をかき上げながら答える
「ほう。どうしてそう思うね?」
「すべてを燃やしつくせるのは、炎と情熱。そうじゃございませんこと?」
「残念ながらそうではない」
ギトーは腰に差した杖を引き抜くと、言い放った。
「試しに、この私にきみの得意な『火』の魔法をぶつけてきたまえ」
キュルケはギョッとした。仮にも今は授業中だ。基本的に攻撃魔法である『火』の系統魔法を使えとはどういう訳だ?
尚も彼女を挑発するギトーの物言いに、キュルケの形のいい眉が吊り上がる。
「どうしたね? 君は確か『火』系統が得意なのではなかったのかな?」
「火傷じゃ…すみませんわよ」
「構わん。本気で来たまえ。その、有名なツェルプストー家の赤毛が飾りではないのならね」
ギトーの挑発に乗ってキュルケが呪文を唱え始める。直径1メイルほどの火球をつくりあげた。
キュルケが手首を回転させ、ギトー目掛けて炎の球を押し出した。
ギトーは唸りを上げて自分目掛けて飛んでくる炎の球を避けるどころか、杖を横振りに薙ぎ払う。
烈風が舞い上がり、炎の球はかき消える、と思われたが、キュルケも相当気合を入れて詠唱したためか
多少威力が弱まったものの炎は消えず、そのままギトーの風に流されるがまま教室の壁へと飛んでいった、
「あっ…!」
教室内の誰かが叫ぶ、その炎の塊が飛ばされた先にはバージルが佇んでいたのだ。

思わず誰もが目を瞑る、だが炎が消える音はしていない、
皆が目をあけると、そこには閻魔刀を目の前で高速回転させキュルケの炎をからめとるバージルの姿があった、
そう、彼が召喚されたその日に見せた絶技、コルベールの炎をからめとり、そのまま投げ付けた、今回もまた然り。
そのままギトーに向けキュルケの炎を飛ばす。
ギトーは慌てて風を巻き起こしそれを防ごうとした、
だが、バージルの放った炎は勢いが殺がれることなくギトーに直撃、
そのまま後ろの壁に激突、教室に悲鳴が巻き起こった。
「うっ…うわぁぁぁぁぁ!!」
「ばっ、ばかーーーーー!なんで殺すのよ!!!」
ルイズが絶叫する、あぁ、ついにこの馬鹿は教師を殺害しやがった…退学ですめばいい方…
そうマイナス方面へ考え半泣きになるルイズ、
「フン、降りかかる火の粉を払ったまでだ、それに、そいつはまだ死んでいない」
バージルがそう言うのと同時にギトーのうめき声が聞こえて来た。
「ぅっ…ぅぅ…」
「まだ生きてるぞ!チッ…はやく医務室へ運べ!!」
バージル本人も殺すほどではないと認識していたため軽い爆発で済んだが
間違いなく重傷だ、生徒の何人かがギトーを担ぎ退出していった。
「ああああんたねぇ!いくら火の粉が降りかかって来たからって、飛ばして来た奴まで消しに行く奴がどこにいるのよ!」
「ダーリン!今のすごかったわ!私とダーリンの愛が成せる技よね!」
そう言いながらキュルケが腕に組みついてくるが、それを華麗に回避しつつ当て身を入れ黙らせる。
きゅう…とキュルケがパタンと倒れるのと同時に勢いよく教室の扉がガラッと開き、少々緊張した顔のコルベールが現れた。
頭に馬鹿でかいロールした金髪のカツラを乗せ、ローブの胸にはレースの飾りやら刺繍やらが躍っている。
その余りに珍妙な風体に、ざわついていた生徒達は、彼に注目した。

「授業中失礼しますぞ!おっほん。今日の授業は全て中止であります!」
教室中から歓声が上がる。コルベールは、それを抑える様に両手を振りながら言葉を続けた。
「えー、皆さんにお知らせですぞ」
もったいぶった調子で、コルベールはのけぞる。のけぞった拍子に、カツラが取れ、床に落ちた。
教室中がくすくすと笑いに包まれる。
タバサがカツラの下から現れたつるつる禿げ頭を指差し、ぽつりと呟く。
「滑りやすい」
教室が爆笑に包まれた。
いつも無表情なバージルまでフッっと鼻で笑う。
「黙りなさい!ええい!黙りなさいこわっぱどもが!」
コルベールが顔を真っ赤にして大声で怒鳴る。
普段見ないその剣幕に、教室中が静まり返った。
「えーおほん。皆さん、本日はトリステイン魔法学院にとって、よき日であります。始祖ブリミルの降臨祭に並ぶ、めでたい日であります 、
恐れ多くも、先の陛下の忘れ形見、我がトリステインがハルケギニアに誇る可憐な一輪の花、アンリエッタ姫殿下が、
本日ゲルマニアへのご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされます!
したがって、粗相があってはいけません!急な事ですが、今から全力を挙げて、歓迎式典の準備を行います。
その為に本日の授業は中止。生徒諸君は正装、門に整列すること、いいですな?」
生徒達は緊張した面持ちになり頷き、急ぎ自室へと戻っていった。

王女になどまるで興味がないバージルは一人本塔にある図書館へと向かう、
オスマンに図書館使用の許可を得ているため、受付の司書に止められることもなくすんなり中へと入る。
図書館は予想以上に広大であり、その蔵書量もそれに比例する、
三十メイルほどもある書架に、ぎっしりと書籍が詰まっていた。

適当な棚から一冊本を取り出し開く、ところが元々本を読むことが嫌いではないバージルの顔が険しくなった。
ハルケギニアの文字が読めないのである、
「相棒、字が読めないのか?」
その雰囲気を察したデルフが声をかける
「…会話に不自由はないが…どういうことだ…」
とたんに不機嫌になったバージルが答えながら棚に本を戻す。
「うーん、なんでだろうな?会話は問題ないのにな?
読めないんじゃしようがないな、娘っ子におしえてもらえばいいんじゃないか?」
「ちっ…気に入らんな…」
デルフの言う通り読めない以上ここにいる意味はない
仕方無く図書館を後にしようとすると向こう側から歩いてくる見知った顔を見かけた。
青い髪の小さな少女、タバサだった。
式典から抜け出し、図書館に来たのだろう。
「本…探しているの?」
「そのつもりだったんだがな、生憎字が読めん」
話しかけて来たタバサにバージルは忌々しそうに答える
そんなバージルにタバサは思わぬ言葉を口にする
「私が字を教える」
「…いいのか?」
「この間のお詫び」
バージルの脳裏にはしばみ草の味がよみがえる、あれは最悪だった。
「フン、では教えてもらおう」
本を読みたいバージルにとってこの申し出は渡りに船だった、
そのためはしばみ草の件は水に流し申し出を受けることにした。
二人で近くの机につき、タバサの講義が始まった。

日も落ち、その日のタバサの講義が終わる、
バージルの理解力はタバサの想像以上に早く、その日のうちに
簡単な字の読み書きができるようになっていた、
「(これもルーンの効果…か?)」
その速さはバージル自身も驚いていたがルーンの効果だろうと無理矢理納得した
なんであれ字を覚えるのが早くなるのであればそれに越したことはない。
「今日はこれまで、続きはまた」
「わかった、礼を言う。また頼む」
おたがい短く言葉を交わしそれぞれの自室へと戻って行った。

バージルが部屋へ戻ると、式典から戻って来たらしいルイズと鉢合わせになった。
普段なら「どこに行っていたの!?」とわめき散らす所だが、
今回は何も言わず少し顔を赤くし心ここにあらずといった感じにフラフラとベッドに倒れこんでしまった、
それから立ちあがったりフラフラしたり、枕を抱いてベッドに腰掛けたり落ち着きのない行動をとっていた。
「…」
バージルはそんないつもと様子が違うルイズに何も言わず、
机につき、黙々と字の読み書きの復習を行っていた。
そうしてしばらく時間を過ごしていると、不意にドアがノックされた。
ドアが規則正しく叩かれる。初めに長く二回、それから短く三回……。
その音にはっとルイズが反応し急い小走りで扉へ向かうと、ドアを開いた。
そこに立っていたのは、真っ黒な頭巾をすっぽりと被った少女であった。
キョロキョロと辺りを伺い、誰もいない事を確認した後、ささっと部屋に入り、扉を閉める。
ルイズが声を出す前に、少女がしっと口元に指を立てる。
それから、漆黒のマントの隙間から、魔法の杖を取り出し、軽く振りながら、ルーンを呟く。
光の粉が、部屋に漂う。
「……ディティクトマジック?」
「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」
二人が話している間、バージルはまるで気にかけることもなく黙々と机に向かっている
部屋のどこにも監視されている部分がないことを確認すると、少女は頭巾を取った。
「姫殿下!」
ルイズが驚きの声を上げ、急いで膝をつく。
「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」
アンリエッタ姫の突然の訪問にもかかわらず、バージルはまるで反応を示さなかった。

「バージル!姫殿下の御前よ!頭が高いわ!」
そんなバージルをルイズは怒鳴りつける、バージルは鬱陶しそうに席を立ち、ゆっくりとアンリエッタを見る、
そして、最初から興味などまるでない、そういいたげに窓へと向かい外を眺め始めた。
「申し訳ございません姫殿下!コイツのご無礼をお許しください!」
ルイズがあわてて謝罪する
「ルイズ、そんな堅苦しい行儀は止めてちょうだい!貴女と私はお友達お友達じゃないの。」
「勿体ないお言葉でございます、姫殿下」
「やめて! ここには枢機卿も、母上も、あの友達面をして寄ってくる欲の皮の突っ張った宮廷貴族たちもいないのですよ!
 ああ、もう、わたくしには心を許せるお友達はいないのかしら。
昔馴染みの懐かしいルイズ・フランソワーズ、貴女にまで、そんなよそよそしい態度を取られたら、わたくし死んでしまうわ!」
「姫殿下…」
ルイズは顔を上げた。そこからは二人の幼馴染の懐かしい昔話が続いた。
要約すると、ルイズとアンリエッタが幼馴染で、幼いころ、遊んだり取っ組み合いの喧嘩をした、というようなことだった。

「結婚するのよ。わたくし」
アンリエッタが低いトーンでそう告げると二人の会話のテンションが急に下がった。
「………おめでとうございます」
沈んだ声で告げられた結婚報告が望んだものでないことは確実だ。それに答えるルイズの声も自然と暗くなる。
せっかく会えた旧友との会話が重い方向に進みかけたことにあせったアンリエッタがバージルを見る
「あ…そういえばごめんなさいね…お邪魔だったかしら…?」
ルイズは首を傾げた。
「お邪魔?どうして?」
「恋人でしょ?」
アンリエッタの悪意がない素の発言に、ルイズは慌てて腕をぶんぶんに振って否定の言葉を述べる。
「ち、違います!ただの使い魔です!」
バージルからアンリエッタに向かって放たれる殺意を感じる
このままじゃ間違いなく殺す、その前に否定しなくては。
「そ、そうなの…。ごめんなさい。ルイズ・フランソワーズ、貴女って昔からどこか変わっていたけれど、相変わらずね」
「好きでアレを使い魔にしたわけじゃありません」
ルイズは憮然として答える。
「俺も今すぐにでも契約解除をしたいところだ」
今までアンリエッタの存在を無視し続けて来たバージルが初めて口を開いた。
「ちょ!どっどういうことよ!」
バージルが本気で言っていると感じたルイズがつっ掛る、
それをみて、アンリエッタが再びため息をついた。
「姫様、どうなさったのですか?」
「いえ、なんでもないわ。ごめんなさいね……。いやだわ、自分が恥ずかしいわ。
あなたに頼めるようなことじゃないのに……わたくしってば……」
「…チッ」
この女、面倒事を持って来た。
そう直感で感じたバージルは、二人に聞えない程度に舌うちをした。
「おっしゃってください。あんなに明るかった姫様が、そんな風にため息をつくということは、何か大きなお悩みがおありなのでしょう?」
「……いえ、話せません。悩みがあると言ったことは忘れてちょうだい、ルイズ」
アンリエッタの態度にバージルの顔が険しくなる、
「(一々芝居がかかった話し方をする…)」
内心毒づくバージルを尻目にアンリエッタは続ける。
「いけません! 昔はなんでも話し合ったじゃございませんか! 私をお友達と呼んでくださったのは姫様です。
そのお友達に、悩みごとの解決を託せないのですか…?」
ルイズの真剣な口調に、ついにアンリエッタも決心したらしく、嬉しそうに微笑んだ。
「わたくしをお友達と呼んでくれるのね…ルイズ・フランソワーズ。とても嬉しいわ」
頷いて、何かを決心したかのように語り始めた。
「今から話すことは、誰にも話してはいけません」
アンリエッタは再び沈んだ調子で語り始めた。
現在、アルビオンでは貴族による反乱が起きており、王室は今にも倒れそうなのだという。
反乱軍が勝利を収めたら、次にトリステインに攻めてくることが予測されるため、トリステインはゲルマニアとの同盟を画策している。
そのための条件としてアンリエッタとゲルマニア皇帝の結婚があるのだという。
いわゆる政略結婚であり、アンリエッタ自身が望むものではないが、アンリエッタは王族としての責務としてそれを実行することにしたのだという。
「なんてこと…あの野蛮な成り上がりどもの国に、姫様が嫁がなければならないなんて……!」
「仕方がないの。トリステインの未来のために、同盟を結ぶためなのですから…」
そういいつつも、アンリエッタの表情と口調は暗い。

トリステインとゲルマニアの同盟は当然、反乱軍には好ましくない、
そのため反乱軍はこの同盟を破談させるための材料を探しているのだそうだ。
「では、もしかして、姫さまの婚姻を妨げるような材料が…?」
「おお、始祖ブリミルよ……、この不幸な姫をお許しください……」
アンリエッタが顔を両手で覆い床に崩れ落ちた。
「チッ…」
バージルはもはやアンリエッタへの嫌悪感を隠そうともしない
何でも、アンリエッタがアルビオンの皇太子ウェールズへ送った手紙があるらしく、
それがゲルマニアに対して明るみになった場合、即座に結婚は破談になり、
トリステインは一国でアルビオン反乱軍と戦わねばならなくなるのだという。
「では、姫様、私に頼みたいことというのは…?」
「無理よ! 無理よ、ルイズ! わたくしったら、なんてことでしょう! 混乱しているんだわ!
考えてみれば、貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険なこと、頼めるわけがありませんわ!」

「フン、くだらん芝居はそこまでにしろ、見ていて不愉快だ」
ついにバージルが口を挟む
「要は貴様の尻ぬぐいをそいつにさせたいんだろう?命を賭けさせてな」
「そんなっ…!わたくしは!」
「バージル!口が過ぎるわ!」
「お前は黙っていろ、俺はそこの馬鹿と話しているんだ」
「ばっ…姫様に向かってばっばっ…馬鹿って…」
バージルからでたとんでもない一言にルイズは慌てる、このままだと不敬で打ち首だ
「聞こえなかったか?三度は言わん、黙ってろ…」
「うっ…」
だがバージルの静かな迫力に二人は気圧されてしまった。
閻魔刀こそ抜かなかったが次は斬られる、そう直感したルイズは黙るしかなかった。
「さっきから聞いていれば…くだらん戯言を抜かす…、自らの保身のために
貴様の言う『友達』の芝居を打ちこいつに命を賭けさせる、『友達』だからな、こいつに断れる筈もない。
だからここに来た、違うか?」
「そっ…それはっ…それはわたくしの周りに信用できる者がいな「違うな」い…から…」
「それは貴様にとってこいつがもっとも使い易い駒だからだ。確かに他の者では途中で裏切る可能性もある、
それに正規の軍を動かすわけにも行くまい。その点普通の学生であるこいつならそのアルビオンとやらに行っても問題あるまい。
道中で仮に死んでしまったとしてもな、その時は他の策を使えばいい。」
「そんなッ…わたくしは…」
バージルのいたぶるような言葉が続く。
「違うのならば最初から『王』としてコイツに命を下せばいい。それが王としての責務であり権利だ。
それをしなかったのは貴様の言う『友情』とやらが壊れてしまうかもしれない、だからこんな芝居を打った、
心のどこかでコイツを信用していなかったからな…」
「違う…そんな…わたくしはただ…」
「貴様にとってコイツが使い易い駒だとよく分かっているはずだ、『友達』の前に『王』に仕える『貴族』…
『王』の命は絶対、さらにこいつにはその『王』の第一の『友人』であるという自負がある。
そんな奴が『王』であり『友人』自らの『お願い』を断れるか?いや無理だな…周りが止めてでも行くに決まっている。
それを分かってて貴様はここに来た、ゲルマニアとやらの訪問の帰り、タイミングが良すぎる…。
人の良心につけこみ利用しようとするとはな…まるで『悪魔』だ、貴様も」

「黙りなさいっ!」
バージルの悪魔の囁きに目に涙を溜めながらアンリエッタが叫び杖を突き付ける
「これ以上の侮辱は赦しませんっ!それでも続けるなら…っ!」
「続けたらなんだ?どうするんだ?俺を殺すか?処刑するのか?」
バージルはさらに挑発する
「貴様にそれが出来るのか?やってみろ…無力な『お姫様』…」
その言葉を聞くとアンリエッタは崩れ落ちるように泣き出してしまった
「ちょっとバージル!あんたなんてことを!!!!」
「フン、事実を言ったまでだ」
その様をみたルイズがとうとうバージルにつっかかった
「いいのです…いいのです…ルイズ!その方の言う通りなのかも知れません…」
泣いていたアンリエッタがルイズを止める。
「姫様…」
「私は政略結婚が決まった時…心のどこかで…あなたを利用しようとしていたのかも知れません…
あなたの気持ちと誠意を踏みにじる行為をどうか…どうか許して下さい…」
「いいんです!姫様!私はそんなこと思ってませんから!だから顔をあげて下さい!『友達』なんですから!」
「あなたはまだわたくしを友と呼んでくれるのですか…?ありがとうルイズ…」
「さ、姫様、私に命令を下して下さい、かならずやり遂げて見せます!」
そうルイズが力強く宣言する、それをみて力強くアンリエッタが頷き凛々しく立ち上がる
「ではルイズ、あなたに命じま「ちょっとまったぁ~~~!!」」

そう言うのと同時にドアからギーシュが転がり込んで来た。
意外な乱入者に二人は驚く。バージルは言うことは言ったとのような様子で興味なさそうに外を見ている
「姫殿下! その困難な任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンにも仰せ付けますよう!!」
「あんた今の全部聞いてたの!?」
「もちろんだよ!姫様が君の部屋に入るのが見えたんでね!
君の使い魔の失礼な発言の時に入ろうと思ったけど首から上がない僕が脳裏に浮かんだからね…
だからタイミング的に今だと思ったんだ!」
「えと…あなたはグラモン…あのグラモン元帥の…?」
我にかえったアンリエッタがギーシュに話しかける
「息子でございます。姫殿下!任務の一員に加えて下さるなら幸せでございます!」
「貴方も、わたくしの力になってくれるというの?」
「任務の一員に加えてくださるなら、これはもう、望外の幸せにございます」
「ありがとう。お父様も立派で勇敢な貴族ですが、貴方もその血を受け継いでいるようね。」
そう言うとアンリエッタはギーシュに向かい二コリと笑い、すぐに表情を改める
「ではルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ギーシュ・ド・グラモン
二人に我が国トリステイン、ゲルマニア帝国両国との同盟の憂いとなる、密書の回収の任を命じます」
「「はい!その任確かに承りました!」」
二人は姿勢を正しアンリエッタに礼をする
「二人とも、必ず生きて帰って来てくださいね…」
そう言うとおずおずとバージルを見る、
当のバージルは興味なさそうに外を見ている
「あの…使い魔の方…」
「…」
「あなたの言う通りかもしれません、わたくしはルイズを心のどこかで信頼せず、あんな態度をとってしまった…
あなたの言葉がなければ…わたくしはルイズのみならず自分の心まで裏切ってしまうところでした…
貴方にこのような命を下すのはお門違いかもしれませんが、どうか彼女たちを守って下さい」
「フン…少し退屈していた所だ、暇潰しに付き合ってやる」
外を見たままバージルは短く返す。
事実学院生活は知識を得るにはいいがいささか退屈な場所であったのだ。
戦地のど真ん中に行くこの任務は暇つぶしになるとバージルは判断した。

「では明日の朝、アルビオンに向かって出発いたします」
ルイズがアンリエッタに提案する。
「ウェールズ皇太子は、アルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞き及びます」
「了解しました。以前、姉たちとアルビオンを旅したことがございますゆえ、地理には明るいかと存じます」
「旅は危険に満ちています。アルビオンの貴族たちは、あなたがたの目的を知ったらありとあらゆる手を使って妨害しようとするでしょう」
そういうとアンリエッタは手紙を書き始めた。一度、筆を止めたようだが、始祖への謝罪を口にし、朱に染まった顔で最後に一文を書き加える。
書き終わると、手紙を巻き、杖を振る。すると、手紙に蝋封がなされ、花押が押された。その手紙をルイズに渡す。
「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙をお渡しください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」
それからアンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜くと、ルイズに手渡した。
「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです。お金が心配なら、売り払って旅の資金に当ててください」
「そんな、そこまで…私に信頼を…」
ルイズは感極まった様子で、深々と頭を下げた。
「この任務にはトリステインの未来がかかっています。母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、貴方がたを守りますように」


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