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双月の女神 第十二章







ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~

第一部 『ゼロの夜明け』

第十二章 『会議』





―――――トリステイン魔法学院会議室。
そこでは張り詰めた空気に包まれていた。
会議室の四方枠状に組まれたテーブルの上座の席に学院長のオスマンがかける。その左隣には秘書のロングビルが
控える。
その左右の席には昨夜の騒動を受けて教職員会議に召集された、真剣な表情の教師達。
最後に末席である学院長席と向かいの席にミカヤとルイズがつく。

「さて、ミセス・シュヴルーズ。昨夜の件について聞かせてもらえるかね?」
「はい、オールド・オスマン。昨夜の事件の事を報告させていただきますわ。」

オスマンの促しを受けてシュヴルーズは、正式な書類にのみ使用する高級紙で書き上げた報告書を広げる。

「まず、深夜ミス・ミカヤとミス・ヴァリエールが宝物庫前にて魔法の練習を行っていた所、学院に侵入した何者かが
ゴーレムを召喚。二人によりゴーレムは破壊、撃退されていました。」

報告を聞きつつ、早朝にシュヴルーズが現場で検分した内容を記載した書類に目を通す教師陣。

「その時に残骸となった周囲の土を『ディテクト・マジック』で詳しく調べたところ、かなりの濃度の魔力残滓を
確認。
襲撃者は私の見立てでは恐らく、『土』系統の『トライアングル』クラスのメイジと思われますわ。」
「では、巷を騒がせている『フーケ』の可能性があるのでは?」

シュヴルーズの報告に口を挟んだ男性教師から出た人名に、周囲はいろめき立つ。

―――怪盗『土塊』のフーケ。
二つ名が示すように、『土』系統の魔法を操る盗賊。その手口は大胆にして繊細。
強固な『固定化』をかけられた宝物庫の壁を『錬金』で崩し、土塊へと変えてまんまと値千金の宝物を盗み出す。
かと思えば30メイルに及ぶ巨大なゴーレムを操り、白昼堂々魔法衛士隊を蹴散らして王立銀行の金庫ごと莫大な預金を
せしめてみせる。
特に価値ある魔道具を標的としており、狙うのは裕福な貴族のみであることから平民達からは義賊として
名が知られている。

「ならば宝物庫の壁に罅を入れたのはフーケと仰るか、ミセス・シュヴルーズ?」

そう詰問するようにシュヴルーズに聞いたのは、長い黒髪で漆黒のマントを羽織った
男性教師―――――『疾風』の二つ名を持ち、学院でも希少な『スクウェア』メイジであるギトーだった。
彼の講義は自身の系統の『風』こそが四大系統の至上であり伝説の『虚無』すらも凌ぐという自論を持ち、
それを前面に押し出すことから快く思わない教師や生徒が多い。

「ゴーレムの腕と思しき残骸が罅のある壁に積もっていたことからも、間違いないかと思われますわ。
ただ侵入した賊がフーケと断定するには資料が少なく、難しいかと。」

陰鬱な雰囲気を出しながらのギトーからの問いに、やや顔をしかめて返答するシュヴルーズ。
昨夜の戦闘でミカヤの魔法で破壊されたゴーレムの拳と思しき残骸が、偶然にも罅が入った外壁付近に積もっていた。

「ふん、では当直だったミセスはどう責任を取るつもりかね?対応に遅れ、すでに襲撃者は撃退済み。
今回の一件はミセスではなくミス・ミカヤの手柄ではないか。」
「それは・・・。」

厳しい追及を続けるギトーにさすがのシュヴルーズも、思わず口を噤んでしまう。

「これ、ミスタ・ギトー。あまり女性を苛めるものではない。責任を取らねばならぬのは我々学院職員全員じゃ。
無論の事、わしもじゃ。」

そうオスマンはギトーを嗜め、席の一同を見渡す。

「さて諸君、今回の賊の侵入についてじゃが「我々は魔法を使えるから」という慢心から起こってしまった事じゃ。
この国にはかの『蒼炎の狼』が『スクウェア』すらも討ち取った前例があるにも関わらず、な。」

トリステインのメイジにとっての恐怖の代名詞を上げられ、うつむく教師一同。
それを聞き、ミカヤは『蒼炎の狼』―――アイクの足跡をおぼろげながらも知ることが出来て内心苦笑する。

「では、ミス・ミカヤとミス・ヴァリエール。現場で賊と対峙した状況を説明してくれるかの?」
「はい、オールド・オスマン。私からご説明します。」

オスマンから話を振られ、立席して証言を始めるミカヤ。

「私はミス・ヴァリエールに乞われて、宝物庫外壁前の庭で魔法の練習に立ち会っていました。
襲撃があったのは、その目途が立った矢先のことです。
おおよそ30メイルはあろう巨大なゴーレムが私達の背後から出現。宝物庫に真っ直ぐ向かってきました。
ミス・ヴァリエールが先制して魔法を行使。ゴーレムを中破させましたが、途中精神力を使い果たして戦闘不能に。
その後私が魔法での攻撃を加えて、ゴーレムの完全破壊に成功しました。」
「何、ミス・ヴァリエールが?」

ミカヤの証言に口を挟んだのはギトー。
魔法を一度も成功させたことが無いルイズが『トライアングル』クラスのゴーレムを中破させるほどの破壊力を持つ
ものを行使できたことに懐疑的だった。

「はい、ミスタ・ギトー。今までの魔法行使の失敗による爆発を魔法として制御することに成功しました。
私はそれでゴーレムに攻撃をしたんです。」
「まぁ、あれを御することに成功したのですか?」

それに答えたのはルイズ。初日の講義においてその効果を目の当たりにしていたシュヴルーズは驚きを隠せなかった。
他の教師陣も同様の反応を示していた。

「・・・・・。」
「・・・・・。」

対して、複雑な表情で黙して様子を見ているコルベール。
オスマン同様真実を知る身の彼はルイズ自身の『系統』について話さねばならないか、何時話すかで思考が
空転していた。
ロングビルもまた、ルイズを複雑な面持ちで見ていた。
目の前の少女が成し得たことは『土』系統のメイジである彼女には「文字通り」他人事では無い。

「っ!?」

その時、ルイズの隣にいるミカヤから視線を感じて注視してしまうロングビル。
金色の眼は全てを見通し、あたかも心までも見通すかに感じた。
視線を合わすまいとし、周囲から怪しまれないようにオスマンを伺う。
それを見て取ったミカヤは瞑目し、視線を戻す。

「まだまだ論議せねばならぬ事項が多々あるが、窃盗は未遂に終わって何よりじゃ。
ミス・ミカヤとミス・ヴァリエールには何らかの褒章をさせてもらおう。
諸君らには今後の警備箇所、巡回ルートは外壁周辺も含めて厳重にすることを命じる。努々慢心をせぬようにな。」

こうしてオスマンの総括で纏められ、教師陣の「杖に懸けて」と貴族の誓いを唱和することでこの議題は
締め括られた。
会議終了後にミカヤだけ残るよう言われ、一旦ミカヤ達は退室させられることになった。






―――――会議終了後、オスマンとコルベール。そしてミカヤが会議室で向かい合う。

「さて、ミス・ミカヤを残したのはちとわしの話に付き合うてもらいたくてな。
実は・・・、『テリウス』からの来訪者に一度わしは会っておる。」
「何故今になってその話を?」

ミカヤの質問に椅子に深くかけ、追憶にふけるように瞑目するオスマン。
そして、暫しの沈黙の後にオスマンは一人の人名を挙げた。

「サナキ・キルシュ・オルティナという方を知っておられるかな?」
「!?」

その名は祖母の血を分けた無二の妹だった。動揺を隠せないミカヤ。
同時に昨夜の夢を思い出し、オスマンの思考を読み取ると脳裏に浮上した推測は確信に変わる。
一呼吸置き、二人に告げるミカヤ。

「・・・・・サナキは、祖母からの血の繋がりを持つ妹です。」



―――目の前の老メイジとの世界を超えた深い縁。追憶と共に夢は現と重なる。

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