両方の頬に紅葉を咲かせたギーシュは部屋のなかで不貞寝していた。
薔薇はすべての女性の為に咲くのだと粋がってみたものの、それで何人もの女性に手を出していたことが許される訳ではない。
ギーシュとて心の底では分かっていた、けれどギーシュにだって見栄がある。
その結果が二人とも愛想を尽かされるなんて、ほんと馬鹿だと自分でも思う。
だがその馬鹿な結果を前にしても頭を下げにいけないあたり自分は本当に救いようがない。
そんなことを考えながらごろりとベットの上で寝返りを打つ。
昼から降り続くしとしとと言う雨の音がやけに耳に残り、不貞寝しようにも寝付けないのだ。
ごろりごろりと転がりながら結局眠れず、ギーシュはその場に立ちあがり。
「え?」
部屋の壁をぶち抜いて来た何かによって、その意識を一瞬で刈り取られた。
薔薇はすべての女性の為に咲くのだと粋がってみたものの、それで何人もの女性に手を出していたことが許される訳ではない。
ギーシュとて心の底では分かっていた、けれどギーシュにだって見栄がある。
その結果が二人とも愛想を尽かされるなんて、ほんと馬鹿だと自分でも思う。
だがその馬鹿な結果を前にしても頭を下げにいけないあたり自分は本当に救いようがない。
そんなことを考えながらごろりとベットの上で寝返りを打つ。
昼から降り続くしとしとと言う雨の音がやけに耳に残り、不貞寝しようにも寝付けないのだ。
ごろりごろりと転がりながら結局眠れず、ギーシュはその場に立ちあがり。
「え?」
部屋の壁をぶち抜いて来た何かによって、その意識を一瞬で刈り取られた。
午前零時。
ルイズがそんな時間にテレビを見ていたのはただの偶然だった。
ちょうど面白い番組が放映していてついつい夜更かしをしてしまった、理由としてはただそれだけ。
至極単純だが、まるで示し合せたみたいな偶然の結果だった。
テレビを消し、眠りに就こうとしたルイズの前に映し出されたその光景は……
ルイズがそんな時間にテレビを見ていたのはただの偶然だった。
ちょうど面白い番組が放映していてついつい夜更かしをしてしまった、理由としてはただそれだけ。
至極単純だが、まるで示し合せたみたいな偶然の結果だった。
テレビを消し、眠りに就こうとしたルイズの前に映し出されたその光景は……
「こんばんは、あんっ、女性のみなさ、あっ、咲き誇る紅の薔薇、ギーシュ・ド・グラモンですっ」
ルイズは石のように固まっている。
「今宵は、この僕が、あっ、素晴らしき、薔薇の世界へとご招待、いた、します!」
ギーシュは赤い縄で拘束された――俗に言う亀甲縛りである……白いブーメランパンツ一丁の半裸の状態で頬を赤く染めながら悶えているのだから。
「題して、ギーシュ、麗しき薔薇の円舞曲!」
デカデカと画面に浮かび上がるテロップは昼に見たバラエティー番組のよう。
テレビの向こう側でギーシュは恍惚とした表情を浮かべながら、いくつもの靴に蹴られている。
「ああん、カ・イ・カ・ン」
「ちょっと何よ、なんなのよ、これは!?」
ルイズの疑問に答える存在はいない、ただ嬉しそうに悶えるギーシュの声だけがテレビのなかから響いてくる。
「でも薔薇たる僕にはこの程度じゃ、あっ、満足できませんんん!」
赤いハイヒールのおみ足がギーシュの顔を蹴り、唇を切ったギーシュの顔からはたりと血の滴が流れた。
「僕のことを嬲ってくれる視聴者さんの参加、お待ちしております!」
そう言ってぷっつりとテレビは切れた。
ルイズは呆然としたまま
ルイズは石のように固まっている。
「今宵は、この僕が、あっ、素晴らしき、薔薇の世界へとご招待、いた、します!」
ギーシュは赤い縄で拘束された――俗に言う亀甲縛りである……白いブーメランパンツ一丁の半裸の状態で頬を赤く染めながら悶えているのだから。
「題して、ギーシュ、麗しき薔薇の円舞曲!」
デカデカと画面に浮かび上がるテロップは昼に見たバラエティー番組のよう。
テレビの向こう側でギーシュは恍惚とした表情を浮かべながら、いくつもの靴に蹴られている。
「ああん、カ・イ・カ・ン」
「ちょっと何よ、なんなのよ、これは!?」
ルイズの疑問に答える存在はいない、ただ嬉しそうに悶えるギーシュの声だけがテレビのなかから響いてくる。
「でも薔薇たる僕にはこの程度じゃ、あっ、満足できませんんん!」
赤いハイヒールのおみ足がギーシュの顔を蹴り、唇を切ったギーシュの顔からはたりと血の滴が流れた。
「僕のことを嬲ってくれる視聴者さんの参加、お待ちしております!」
そう言ってぷっつりとテレビは切れた。
ルイズは呆然としたまま
. キュルケに話に行くことにした
.>見なかったことにして寝ることにした
.>見なかったことにして寝ることにした
「見なかった、私は何も見なかったわ」
ランプを消し眠りに入る、無意識に落ちる直前までギーシュの嬉しそうな顔がちらついてきて眠いのになかなか寝付くことができなかった。
ランプを消し眠りに入る、無意識に落ちる直前までギーシュの嬉しそうな顔がちらついてきて眠いのになかなか寝付くことができなかった。
翌朝。
ギーシュがいなくなった。
朝起きて仲直りしようとギーシュの部屋に行ったモンモランシーがそこに開けられた大穴を見つけたとのこと。
ギーシュは事件の第一発見者だ、だから……と言う訳ではないがアニエスと言う衛士が苦い顔で本当にいなくなったのかと入念に調べていた。
けどルイズには、私にだけは心当たりがある。
あんまり思い出したくないんだけれども……
微妙に憂鬱な気持ちを抱えたまま、ルイズはキュルケと共にテレビの中へと向かった。
「はぁいルイズちゃん元気ィ?クマ」
当たり前だけどそこではクマが待っていた。
「うん、元気よ。ちょっと憂鬱だけど」
「そっかぁ、クマも今日は憂鬱だから仲間クマね、一緒一緒~」
「憂鬱って、なにかあったの? クマちゃん」
キュルケが不思議そうに尋ねると、クマは歯ぎしりでもしそうな様子で地団太を踏む。
「そうクマよ、聞いて欲しいクマよ」
こんなに怒ってるなんてなんのことだろう? そう思いながらルイズもクマの言葉に耳を傾ける。
「最近この中に人を放り込む人がいるクマよ、ここ最近は収まったと思ったらまぁた始まって、クマもうほんとに困っちゃうクマ」
「放り込むって……」
「そのせいでこの中もどんどんおかしくなってるクマ」
しょんぼりとしたクマの姿はルイズからしても見ていて辛い。
「おかしくなるって此処って一体全体なんなのよ? もう一人のルイズやらペルソナやら、普通じゃない」
「分からんクマ」
「分からないって、あんた此処に住んでいるんでしょう?」
「じゃあ君たちは、君たちが住む世界について何でも知っているんクマ?」
「うっ、そ、それは……ともかく、その放り込まれた人について教えて欲しいの」
この世界に入った当初、ルイズはもう一人の自分に殺されそうになった。
ならばギーシュの身に同じことが起きないとは限らない。
女たらしのいけすかない奴だが、あれでいて悪い人間ではない。それにむざむざ見殺しにするには少し後味が悪すぎる。
「んーと、こっちの方から匂って来るクマ」
そうしてルイズたちはその場所に辿り着いた。
ギーシュがいなくなった。
朝起きて仲直りしようとギーシュの部屋に行ったモンモランシーがそこに開けられた大穴を見つけたとのこと。
ギーシュは事件の第一発見者だ、だから……と言う訳ではないがアニエスと言う衛士が苦い顔で本当にいなくなったのかと入念に調べていた。
けどルイズには、私にだけは心当たりがある。
あんまり思い出したくないんだけれども……
微妙に憂鬱な気持ちを抱えたまま、ルイズはキュルケと共にテレビの中へと向かった。
「はぁいルイズちゃん元気ィ?クマ」
当たり前だけどそこではクマが待っていた。
「うん、元気よ。ちょっと憂鬱だけど」
「そっかぁ、クマも今日は憂鬱だから仲間クマね、一緒一緒~」
「憂鬱って、なにかあったの? クマちゃん」
キュルケが不思議そうに尋ねると、クマは歯ぎしりでもしそうな様子で地団太を踏む。
「そうクマよ、聞いて欲しいクマよ」
こんなに怒ってるなんてなんのことだろう? そう思いながらルイズもクマの言葉に耳を傾ける。
「最近この中に人を放り込む人がいるクマよ、ここ最近は収まったと思ったらまぁた始まって、クマもうほんとに困っちゃうクマ」
「放り込むって……」
「そのせいでこの中もどんどんおかしくなってるクマ」
しょんぼりとしたクマの姿はルイズからしても見ていて辛い。
「おかしくなるって此処って一体全体なんなのよ? もう一人のルイズやらペルソナやら、普通じゃない」
「分からんクマ」
「分からないって、あんた此処に住んでいるんでしょう?」
「じゃあ君たちは、君たちが住む世界について何でも知っているんクマ?」
「うっ、そ、それは……ともかく、その放り込まれた人について教えて欲しいの」
この世界に入った当初、ルイズはもう一人の自分に殺されそうになった。
ならばギーシュの身に同じことが起きないとは限らない。
女たらしのいけすかない奴だが、あれでいて悪い人間ではない。それにむざむざ見殺しにするには少し後味が悪すぎる。
「んーと、こっちの方から匂って来るクマ」
そうしてルイズたちはその場所に辿り着いた。
――麗しき薔薇園
「此処は……」
咲き乱れる真赤な薔薇のなかで幾人もの乙女が舞い踊っている。
いやそれは乙女ではなく精緻に作り上げられた青銅のゴーレム――ワルキューレだった。
その顔はモンモランシーやケティ、或るはルイズも知らない女性のものも多く混じっており、共通するのが彼女たちは皆きわどい服装を着てその手になんらかの責具を持っていると言うこと。
「なによ。これは……」
そしてよくよく眼をこらして見れば、元はこの場所がヴェストリの広場であったことは明確だった。
なぜこの世界に魔法学院と同じ建物や場所があるのか?
「此処はギーシュって人の影響を受けておかしくなってるクマよ」
「ギーシュの影響?」
「この世界は人の心の影響を受けやすいんだクマ、だから人がいっぱいこっちにくるとどんどんおかしくなっていってしまうクマよ」
そんな会話をしてる途中にふと金色の髪が視界を掠めた。
「ギーシュ!?」
「ちょっと待って、なんか様子がおかしいわ」
びくんびくんと痙攣しながら近づいてくるのは紛うことなきギーシュ。
「ああん、飛び入りゲストの人達が来てくれたようだ、ね」
金色に光る眼、それを見てルイズははたと気がつく。
「まさかもう一人の……」
「でもまだまだクライマックスには物足りないね」
そう言いながらギーシュは首輪を引っ張られ、奥へと向かって引きずられていく。
「さぁレディたち僕を追っておいで!」
その背中を見つめながらルイズはぽつりと呟いた。
「追わないと駄目かな、やっぱり」
「突撃クマー!」
咲き乱れる真赤な薔薇のなかで幾人もの乙女が舞い踊っている。
いやそれは乙女ではなく精緻に作り上げられた青銅のゴーレム――ワルキューレだった。
その顔はモンモランシーやケティ、或るはルイズも知らない女性のものも多く混じっており、共通するのが彼女たちは皆きわどい服装を着てその手になんらかの責具を持っていると言うこと。
「なによ。これは……」
そしてよくよく眼をこらして見れば、元はこの場所がヴェストリの広場であったことは明確だった。
なぜこの世界に魔法学院と同じ建物や場所があるのか?
「此処はギーシュって人の影響を受けておかしくなってるクマよ」
「ギーシュの影響?」
「この世界は人の心の影響を受けやすいんだクマ、だから人がいっぱいこっちにくるとどんどんおかしくなっていってしまうクマよ」
そんな会話をしてる途中にふと金色の髪が視界を掠めた。
「ギーシュ!?」
「ちょっと待って、なんか様子がおかしいわ」
びくんびくんと痙攣しながら近づいてくるのは紛うことなきギーシュ。
「ああん、飛び入りゲストの人達が来てくれたようだ、ね」
金色に光る眼、それを見てルイズははたと気がつく。
「まさかもう一人の……」
「でもまだまだクライマックスには物足りないね」
そう言いながらギーシュは首輪を引っ張られ、奥へと向かって引きずられていく。
「さぁレディたち僕を追っておいで!」
その背中を見つめながらルイズはぽつりと呟いた。
「追わないと駄目かな、やっぱり」
「突撃クマー!」
――ルイズがダンジョンを攻略しております、少々お待ちください
「ギーシュ!?」
「見て、本物もいるわっ」
ギーシュは怯えたように目の前のもう一人の自分に向かって叫んだ。
「なんなんだ君は、それに此処は一体どこなんだっ!」
「ああっ、ふ、ふふ、わからないかい? 僕は君、さ」
「ふざけるな、僕はそんな変態じゃないぞ!」
本物のギーシュを見ながら偽物はニヤリと笑う。
「本当に、そうかな?」
「何を……」
「命を惜しむな名を惜しめ、グラモン家の家訓は君には重いよね。だから女の子に逃げたってしょうがない」
「違う、違う違う、僕は本気で女の子たちのことを……」
「薔薇はそれを愛でる全ての女性たちの為に咲く、そんなこと本気で信じてる訳じゃないんだろう?」
「一人は嫌だ、寂しい、怖い。だから女の子と一緒にいよう」
「だ、黙れっ!」」
「そう思いながら、けれど君は誰一人本気で愛せない」
くすくすとギーシュの影は笑う。
「愛想ばかり振りまいて何が薔薇だよ、そんなだから本気の言葉にも応えられない」
「ちっ、違う!」
「違わない、違わないよ!」
そうしてギーシュの影は一歩ずつギーシュに近づいて行く。
「なんて卑怯な自分、薄汚い自分、女の子の心を弄ぶなんて――罪深い自分、だから罰して欲しいんだろう? 女の子自身の手で、こうやってさ?」
その言葉と共に周囲の女の子の姿をしたワルキューレ達が影に向かってそれぞれの獲物を突き立てた。
「ああん、もっとだ、もっとぉぉぉ」
「やめろ、やめてくれ……いやだ。お前なんか……」
ギーシュがその言葉を言おうとするのを聞き、ルイズは止めようとしたが。
しかしどうしても制止の言葉をギーシュに向かって言うことは出来なかった。
「お前なんか僕じゃない!」
影から暗いオーラが立ち上る、深く深くその顔に笑みを刻む。
「認めろよ、僕は君さ、君なんだぁぁぁああ!」
その言葉を聞きながらギーシュは意識を失った。
「見て、本物もいるわっ」
ギーシュは怯えたように目の前のもう一人の自分に向かって叫んだ。
「なんなんだ君は、それに此処は一体どこなんだっ!」
「ああっ、ふ、ふふ、わからないかい? 僕は君、さ」
「ふざけるな、僕はそんな変態じゃないぞ!」
本物のギーシュを見ながら偽物はニヤリと笑う。
「本当に、そうかな?」
「何を……」
「命を惜しむな名を惜しめ、グラモン家の家訓は君には重いよね。だから女の子に逃げたってしょうがない」
「違う、違う違う、僕は本気で女の子たちのことを……」
「薔薇はそれを愛でる全ての女性たちの為に咲く、そんなこと本気で信じてる訳じゃないんだろう?」
「一人は嫌だ、寂しい、怖い。だから女の子と一緒にいよう」
「だ、黙れっ!」」
「そう思いながら、けれど君は誰一人本気で愛せない」
くすくすとギーシュの影は笑う。
「愛想ばかり振りまいて何が薔薇だよ、そんなだから本気の言葉にも応えられない」
「ちっ、違う!」
「違わない、違わないよ!」
そうしてギーシュの影は一歩ずつギーシュに近づいて行く。
「なんて卑怯な自分、薄汚い自分、女の子の心を弄ぶなんて――罪深い自分、だから罰して欲しいんだろう? 女の子自身の手で、こうやってさ?」
その言葉と共に周囲の女の子の姿をしたワルキューレ達が影に向かってそれぞれの獲物を突き立てた。
「ああん、もっとだ、もっとぉぉぉ」
「やめろ、やめてくれ……いやだ。お前なんか……」
ギーシュがその言葉を言おうとするのを聞き、ルイズは止めようとしたが。
しかしどうしても制止の言葉をギーシュに向かって言うことは出来なかった。
「お前なんか僕じゃない!」
影から暗いオーラが立ち上る、深く深くその顔に笑みを刻む。
「認めろよ、僕は君さ、君なんだぁぁぁああ!」
その言葉を聞きながらギーシュは意識を失った。
「我は影、真なる我。邪魔しないでおくれレディたち、僕は今からそこのクズに制裁を加えねばならないのだからね」
そう謳うギーシュのシャドウは見た目的には普段彼が使役する青銅の乙女――ワルキューレに酷似した姿をしている。
もっともそのワルキューレの背中いは立派な青銅の巻き毛があり、被った割れた仮面の下からはぎょろついた目が覗く、ルイズ達の三倍もの大きさを誇るその手にはその巨大な体よりなお巨大な盾を構えている。
その盾のなかには赤い布で縛られたギーシュがまるでワルキューレを庇うように半裸で腕を広げた絵が描かれている。
「ギーシュ、この馬鹿とっとと目ぇ覚ましなさいよ!」
そしてその絵のなかからギーシュの影は言葉を放っていた。
「ふふ、言っても分からないようだね。不本意だがしょうがない暫く眠ってもらうよ!」
ワルキューレはその右手に構えた剣を試すように何度か振るうと、ルイズたちに向かって向きなおった。
「その言葉、そっくり変えさせて貰うわ!」
そう言ってキュルケは杖の先から炎の渦を送り出した、それをワルキューレはギーシュの盾で受け止めた。
「熱っ、熱い、熱いじゃないか――でも彼女たちに傷は付けさせないよ!」
そう謳うギーシュのシャドウは見た目的には普段彼が使役する青銅の乙女――ワルキューレに酷似した姿をしている。
もっともそのワルキューレの背中いは立派な青銅の巻き毛があり、被った割れた仮面の下からはぎょろついた目が覗く、ルイズ達の三倍もの大きさを誇るその手にはその巨大な体よりなお巨大な盾を構えている。
その盾のなかには赤い布で縛られたギーシュがまるでワルキューレを庇うように半裸で腕を広げた絵が描かれている。
「ギーシュ、この馬鹿とっとと目ぇ覚ましなさいよ!」
そしてその絵のなかからギーシュの影は言葉を放っていた。
「ふふ、言っても分からないようだね。不本意だがしょうがない暫く眠ってもらうよ!」
ワルキューレはその右手に構えた剣を試すように何度か振るうと、ルイズたちに向かって向きなおった。
「その言葉、そっくり変えさせて貰うわ!」
そう言ってキュルケは杖の先から炎の渦を送り出した、それをワルキューレはギーシュの盾で受け止めた。
「熱っ、熱い、熱いじゃないか――でも彼女たちに傷は付けさせないよ!」
――赤の壁!
――ラクカジャ!
――かばう!
――ラクカジャ!
――かばう!
「まだまだぁ、僕の愛はこんなもんじゃないぞぉぉぉ! 錬金!」
その言葉と共に槍と槌を持った二体のワルキューレが薔薇の吹雪と共に立ち上がる。
「守る、守るんだ、僕が……」
虚ろな目で、怯えた目線で、盾のなかでギーシュは繰り返す。
「そんなに罰して欲しいなら、罰してあげるわよ!」
その言葉と共に槍と槌を持った二体のワルキューレが薔薇の吹雪と共に立ち上がる。
「守る、守るんだ、僕が……」
虚ろな目で、怯えた目線で、盾のなかでギーシュは繰り返す。
「そんなに罰して欲しいなら、罰してあげるわよ!」
――メギド!
「ああん!」
ワルキューレをまとめてなぎ払おうとしたルイズのメギドは全てギーシュに吸い込まれた、あまりの苦痛に平面になったギーシュはもがくが、しかしどこか嬉しそうにも見える。
「いいぞ、ルイズもっとだ、もっと……」
「っ、そんな……ゴーレムを庇って自分が怪我してたら世話ないじゃない!」
「それでも僕は――錬金!」
ワルキューレをまとめてなぎ払おうとしたルイズのメギドは全てギーシュに吸い込まれた、あまりの苦痛に平面になったギーシュはもがくが、しかしどこか嬉しそうにも見える。
「いいぞ、ルイズもっとだ、もっと……」
「っ、そんな……ゴーレムを庇って自分が怪我してたら世話ないじゃない!」
「それでも僕は――錬金!」
さらに二体、弓と斧を持ったワルキューレが花壇から立ち上がった。
――マハタルカジャ!
ギーシュの魔法がかかると同時に防御体制に入っていたワルキューレ達が一斉に攻撃態勢に入る、ギーシュの盾を持ったワルキューレが攻撃目標を指し示す。
――ラインの黄金!
「きゃぁぁぁぁああ!?」
「キュルケ!?」
「キュルケ!?」
――ディア!
四体のワルキューレによる連続攻撃を受けキュルケが身悶える、かろうじて立っていられるのはルイズの回復魔法が連撃の途中で間に合ったからだ。
「だ、大丈夫!? 今ディアを……」
「駄目よルイズ、今の攻撃をもう一度受けたら私たちに勝ち目はないわ」
「でっ、でも……」
「見たところギーシュも大分無理してる、だったら今はただ攻撃あるのみでしょう?」
そうしてキュルケは杖を構えた、己の激情をその先に込めようとするかのように。
「あんた、どうしてそんな無茶ができるのよ!」
呆然とその顔を見つめるルイズを前にキュルケは笑った。
「だってヴァリエールの前で無様な姿を見せる訳にはいかないじゃないの、さぁ行くわよぉ!」
キュルケの放った火の弾は雨となってワルキューレ達の上に降り注ぐ。
そしてそれをギーシュは庇い……
「ぎゃああああああ!」
ギーシュの叫びなど関係なしにワルキューレ達は各々の獲物を構え、二人に向かって突進する。
それをまっすぐに見据えながら、ルイズは魔法を呟いた。
「だ、大丈夫!? 今ディアを……」
「駄目よルイズ、今の攻撃をもう一度受けたら私たちに勝ち目はないわ」
「でっ、でも……」
「見たところギーシュも大分無理してる、だったら今はただ攻撃あるのみでしょう?」
そうしてキュルケは杖を構えた、己の激情をその先に込めようとするかのように。
「あんた、どうしてそんな無茶ができるのよ!」
呆然とその顔を見つめるルイズを前にキュルケは笑った。
「だってヴァリエールの前で無様な姿を見せる訳にはいかないじゃないの、さぁ行くわよぉ!」
キュルケの放った火の弾は雨となってワルキューレ達の上に降り注ぐ。
そしてそれをギーシュは庇い……
「ぎゃああああああ!」
ギーシュの叫びなど関係なしにワルキューレ達は各々の獲物を構え、二人に向かって突進する。
それをまっすぐに見据えながら、ルイズは魔法を呟いた。
――メギドラ!
高ぶった感情が魔法の力を上乗せしたのか放たれた爆発はより高みの威力を備えていた。
もはやギーシュにそれを庇うだけの体力は残っておらず、その威力は余すことなく青銅の乙女たちに降り注ぐ。
もはやギーシュにそれを庇うだけの体力は残っておらず、その威力は余すことなく青銅の乙女たちに降り注ぐ。
「あ、あああ……」
気絶したキュルケを床に寝かせると、ルイズは頭を抱えて呻くギーシュをまっすぐに見据えながら最後の戦乙女に向かって歩いて行く。
「掛かってらっしゃいギーシュ――決闘よ!」