あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

UM☆アルティメットメイジ 第3話 前編


UM☆アルティメットメイジ 第3話 【無能王の国大爆発5秒前!】



~ イーヴァルディは竜の住む洞窟までやってきました。
  従者や仲間たちは、入り口で怯え始めました。
  猟師の一人が、イーヴァルディに言いました。
  「引き返そう。竜を起こしたら、おれたちみんな死んでしまうぞ。お前は竜の怖さを知らないのだ。」
  イーヴァルディは言いました。
  「ぼくだって怖いさ」
  「だったら正直になればいい」
  「でも、怖さに負けたら、ぼくはぼくじゃなくなる。そのほうが、竜に噛み殺される何倍も怖いのさ。」 ~



アーハンブラ城の一室に、少女の透き通るような声が響き渡る。
青髪の少女・タバサが読み上げている本のタイトルは【イーヴァルディの勇者】
幼い頃、母の膝の上で聞いた冒険譚。
そして今や、自分と、心の均衡を崩した母とを繋ぐ、唯一の架け橋であった。

タバサが回想する。幼い頃の自分。
物語の中の囚われの姫を演じ、自分を救い出してくれる勇者の存在を夢想した日々。
今、囚われの身となって、再びこの本を手にする時、
当時とはまた違った感慨が湧き上がるのを、意識せずにはいられなかった。

なぜなら彼女は、つい数週間前まで【イーヴァルディ】の名を持つ二人の少女と旅をしていたのだから・・・。


ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール ―。

名門の重責と自己のコンプレックスに悩みながらも、内にある凛とした精神を磨き続ける、本物の貴族。

キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー ―。

自由で奔放な気質の中に、誰よりも深い母性を秘めた、タバサの憧れ。

春の日のアクシデントより、様々な事件に巻き込まれる事となった3人。
怪盗フーケ退治。そして、アルビオンでの冒険―。
現実は、必ずしも物語のようにうまくは行かなかったが、
二人は持ち前の誇り高い魂で、自分自身の運命を切り開いていった。

抑圧された人生を歩み続けたタバサにとって、彼女たちは数少ない、そして、最高の友人であった。

しかし―。
タバサの思考が翳る。
果たして自分は、彼らにふさわしい友人足りえただろうか?

こんな問いを口にすれば、彼女達はあきれ返るでろう。あるいは真剣に怒り出すかも知れない。
だが、タバサは彼女達との間に存在する、一線を乗り越えるための『禊』を、結局果たすことは出来なかった。
しかも、自らを襲った人生最大の危機に際し、二人に相談することなく学院を後にしたのだ。
その結果待ち受けていたのが、今回の虜囚である。

仮に、同じ事をキュルケがしたならば、自分の心はひどく傷ついていただろう。
自らの命を賭けてでも友の力になりたいと思うのは、当然の感情である。
そういう意味で、やはりタバサには、彼女達の友人を名乗る資格がないように思えた。


「その本がいたく気に入ったようだな」

男の声が、タバサの思考を現実へと引き戻す。
室内に入ってきたのは、エルフの実力者、ビダーシャル。
人類全ての仇敵にして、タバサの宿敵、現ガリア王・ジョゼフ一世の協力者。

エルフの言に答えることも振り向くこともせず、タバサは淡々と朗読を続ける。

「薬が明日 完成する」
タバサは答えない。
薬・・・かつて母の心を壊した、エルフの秘薬。

「お前がお前でいられるのは 明日まで・・・ と言いたいところだが
 あるいは 延期になるかもしれんな」

「・・・?」
意味を汲み取ることの出来ないエルフの言葉に、初めてタバサが顔を上げる。

「客人だ」

それだけ言うと、ビダーシャルはただ、じっと窓の方を見つめる。
タバサが視線を向けたその先にいたのは、彼女の『友人』。

腕組み仁王立ちで立ちはだかる、桃色髪の巨人であった。

「聞きなさい! 卑劣なる無能王と その走狗ども!
 暴虐の牙に掛かったシャルロット母子を救い出すため!
 そして 彼女達の名誉のため!
 このアルティメットメイジが アンタ達外道を一人残らず成敗してくれるわ!!」


普段、何の娯楽もない廃城の事である。
巨大な訪問者を前に、城中の兵士達が、任務半分、怖いもの見たさ半分で集まりだす。

「・・・あなたは 行かなくていいの?」
「陽動だ」
タバサの質問に対し、淡々とビダーシャルが答える。

「あの巨人は 地上に居られる時間が限られていると聞いている
 ならば 人質の居場所も分からないうちに 姿を見せるハズがない
 他に協力者がいない限りは だがな」

タバサが内心で舌を巻く。
ジョゼフからの情報なのか、敵は自分たちの事を、かなりの所まで調べ上げていた。

やがて、ビダーシャルの推理を裏付けるかのように、奇妙な点滅音が周囲に響きだす。

『イカン! ルイズ! もう時間がない!!』
「んなッ!? バ バカじゃないの!! 戦いはまだ始まってもいないのよ!!」
『そう思うなら 2分45秒も前口上を述べるな!!』

突然始まったストリップショーに、兵士達のテンションが跳ね上がる。
より間近で観戦しようと、全軍が城門に集結し、暴徒の如くルイズに迫る。

『安心しろ! ルイズ 作戦は今の所 順調に進行しているぞ!』
「こんな作戦ッ!! い や あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! !」

ボオオォォオオォォン!! ―と、

興奮のるつぼと化したアーハンブラ城の入口で、巨大な閃光が炸裂した。




「・・・これで巨人と引き換えに アーハンブラ城は無力化した
 今頃は 彼女の協力者が 無人の城内を駆け回っている頃か」
「・・・・・・」

窓の外で起こった惨劇(あるいは喜劇)に対しても、ビダーシャルは眉ひとつ動かさない。
その冷静な分析は、タバサの予測とも合致する所であった。
眼前のエルフの恐ろしさを知るタバサにとって、外れてほしい予測ではあったが・・・。

やがて、階段を駆け上る軽快な足音が室内に響きだし、直後、入口の扉が乱暴に蹴破られた。

「タバサ!!」
室内に飛び込んできたのは、彼女のもう一人の友人、キュルケ。

「予想通りとはいえ随分早い 見事な手管だな」
「・・・ッ! エルフ!!」

室内に強敵を認めたキュルケは、彼女らしい即断で詠唱を始める。

「ダメッ!? キュルケ!!」
「!?」

タバサの叫びを聞いたキュルケは、反射的に身をよじらせながら火球を放つ。
エルフを捉えたかに見えた炎は、目標の眼前で大きくターンし、直前まで彼女がいた空間を通過して燃え尽きた。

「炎を・・・ 跳ね返した・・・?」
「先住魔法・・・ 威力の大小に関わらず ソイツは魔法を・・・ 攻撃を跳ね返すことが出来る」

驚きの声を上げるキュルケに、押さえの利いた声でタバサが答える。
メイジの中でも屈指の力量を持つ彼女が返り討ちに遭ったのも、この力を知らなかったためだった。

「私にも約束があるのでな 彼女達を渡すことは出来ん
 争いは好まぬ 去れ 蛮人よ」

力を誇るでもなく、淡々と自分の要求をするビダーシャル
フン、とキュルケが鼻を鳴らす。

「こっちもガキの使いじゃあないのよ
 囚われの姫様を目前にして すごすごと引き返せやしないわよ!」

「・・・ならば どうすると言うのだ?」

キュルケの軽口に答えつつも、ビダーシャルの意識は入口の方へと向けられていた。
エルフの繊細な耳は、階段を駆け上がってくるもうひとつの足音を拾っていた。
彼女の協力者、おそらくはメイジが一人、あと数秒のうちに室内に飛び込んで来るであろう。
眼前の少女も、それに合わせて仕掛けてくるに違いない。
老練なエルフは、油断無く次の動きに備えていた。

― が、

「お姉さまあぁ~!」

飛び込んできた少女はメイジでは無く、そもそも人間ですら無かった。
囚われの少女・タバサの使い魔、韻竜のシルフィード。
エルフの慧眼は、少女の姿がかりそめの物である事を即座に見抜き・・・ゆえに意表を突かれる形となった。
一方のシルフィードは、エルフの姿など目に入らないかのように、一直線に主の下へと駆けていく。

敵の心が乱れた一瞬を突き、室内の二人の少女も動き出していた。
驚くべきことに、キュルケは唯一の武器である杖をビダーシャルの真上に放り、自らは部屋の隅へと跳んだ。

だが、ビダーシャルをさらに驚愕かせたのは、背後にいたタバサの行動である。
彼女は、大切な母親をキュルケ目掛けて思い切り突き飛ばすと、宙を舞う杖に向かって跳ねたのだ。
丁度ふたりの間で、得物と人質を交換した形である。

ビダーシャルが積極的に動いていれば、丸腰のキュルケを討つ事も、頭上を通過する杖を受け止める事も可能な状況だった。
だが、理性に従うエルフは、3人の少女の“暴挙”の意図を、ただ慎重に分析するしかなかった。

「・・・なるほど」

即座に状況を確認したビダーシャルが、ゆっくりと振り返る。
背後の赤毛の少女は、隙をみて逃走を計るであろうが、やむを得ない判断である。
どの道、丸腰のメイジが、足手まといとなる人質を連れて逃げおおせるものではない。
まずは、眼前の少女の魔法を封ずる事に、全神経を注がねばならなかった。

青髪の少女は、既に詠唱を始めていた。

「で これからどうするのだ? 私にお前の力が通じぬ事は・・・」
「お前は狙わない!」

エルフの言葉を遮りながら、タバサが杖を振るう。
超局所的な竜巻が少女の周囲に展開し、
生じた真空の刃が、前方の床を、背後の壁を、正確に分断していく。
タバサとシルフィードのいる空間だけが、部屋からばっくりと切り取られ、やがて、緩やかに落下を始める。

「な・・・」
ビダーシャルは今度こそ驚きの声を漏らした。
少女の恐るべき力量を高く評価し、十分に警戒していた彼だったが、その力を逃走に使う事は想定外であった。

崩れ落ちる室内から、使い魔を抱えたタバサが飛び出す。
キュルケが即座に自分の意図を理解してくれた事に、胸が熱くなる彼女であったが、いつまでも感激してはいられない。
母と友人を救うため、タバサは最後の切り札を切る必要があった。

『そこかぁーッ!』
降り注ぐ瓦礫を縫うようにして、彼方から、タバサの【切り札】が飛んでくる。

『掴まれ!! タバサ!』

【切り札】が如意棒を伸ばす。
いつかの日とは異なり、タバサは迷う事なく、ソレに右手を伸ばした。

やがて、真っ白なエナジーのほどばしりと共に、落下が緩やかになっていく。
何か、暖かい物に包まれながら、3人の細胞が、感情が、魂が溶け合い、混ざり合う。

『うおおおおおッ!! 燃え上がれ! 俺の小宇宙!!』

「きゅ!? きゅいぃぃ~ん!? お おねぇさまぁ~!」

「すごい・・・ スゴすぎる・・・ これが・・・ こ れ が  合 体 ・・・!」



新着情報

取得中です。