あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ウサギの使い魔-01


「……え?」

ルイズがサモン・サーヴァントの呪文を唱えた後に現れたのは、ターバンを巻いた金髪の少年だった。

「ルイズが平民を召喚したぞ!」
「いやいや、さすがはゼロのルイズ。まさか平民を召喚するとはな」
「ちょっと失敗しただけよ!」
「失敗っていつもの事じゃないか」

とまあ、召喚された当人はそっちのけで話が進む中、その当人は少し困惑していた。

「おいおい、いったいどこの田舎に上がっちまったんだ? 約束の時間に間に合わないぜ」

そう、この少年は友人達との待ち合わせの場所に行く途中だった。
本来なら、いや“いつも”なら街中に現れるはずだったのだが、それがよくわからない城の様な建物の前に現れてしまった為に、その“移動”に失敗したのだと思ってしまった。
と言っても、彼はこういう事態には割りと慣れている。
すぐさま周囲を確認し、現在位置の確認をしようとした。

「はぁ~、俺もまだまだ未熟……え…………ええええぇぇぇぇぇ!?」

その少年が空を見た瞬間、突然叫び声を上げた。
その声に周囲の人々もまたその声に驚き、ビクっと体を震わせて彼の方を見た。

「ビ、ビックリするじゃないの! いきなり変な大声出さないでよ!」
「おい……嘘だろ?」

ルイズの声も今の彼には届いていない。
彼が驚いている理由は二つ。
一つは、そこにあるはずの物がなく、ないはずの物があった事。
もう一つは、そこにあるものがありえない状態になっている事。

「どうして月があそこにあんだよ……しかも……二つも!」

まず一つ、彼がいた場所から見えるのは月ではなく地球のはずだった。
彼のいた場所こそが月であるはずなのだ。
そしてもう一つ、月は二つも存在しない。
ここが地球だとするのなら、見える月の数は一つしかないはずだ。
だがしかし、確かに空には二つの月が浮かんでいる。

「じゃあ、ここはどこなんだよ……」

と、本人が悩んでいる間に、ルイズの方もまた悩んでいた。

「ミスタ・コルベール、召喚のやり直しをさせてください! こんな変な奴が使い魔だなんて絶対に嫌です!」
「ミス・ヴァリエール、我侭を言ってはいけません。サモン・サーヴァントのやり直しが出来ない事はあなたも知っているでしょう」

そう言われてルイズは口をへの字に曲げて「むぅ~」っと唸った。
一度召喚した使い魔は死なない限り新しい使い魔を召喚することは出来ない。
それは授業で散々言われた事だ。
不愉快な顔をしながらも納得したルイズは彼の前に立った。

「ねえ、あんた名前は」
「あぁ?」

彼がルイズの方に振り向いた。



(!か……かわいい……)
「いやあ、ごめんごめん。驚かせちゃったかな。つい取り乱しちゃってね」

と、急にさっきまでとは打って変わってキザったらしい口調に変わった。
この少年、可愛い女の子には目がないのである。

「ああ、もういいわ。とりあえず契約だけすませるからちょっとしゃがみなさい」
「契約?」

頭に?をつけたまま、その少年は顔を彼女と同じ位置まで下げた。

「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」

呪文を唱えたのち、その少年はいきなり唇を奪われた。

(……え?)

少年の顔が一気に赤くなる。
そのキスに耐えれなかったのか、少年はルイズを突き放した。

「いいいいいいいやいやちょっと! こういうのはまず友達からはじめ……うっ!?」

突然、少年が左手を抑えて蹲った。

「な……なんだこれ……ぐっ!!」
「大げさよ。すぐ終わるわ」

ルイズの言った通り彼の左手に走った痛みはすぐに引いた。
が、その後には焼印で押し付けられたような文字が手の甲に残っていた。

「なっなんだこれ!? クソっ! こすっても取れねえぞ!」
「当たり前じゃない、使い魔のルーンがそんなんで取れるわけないでしょ」
「つ……つかいま?」
「そうよ、あなたは私の使い魔になるために呼ばれたの。つまり私に一生仕えるのよ」
「はぁぁぁぁぁ~~~~~~!!??」

少年の顔が怒りに歪み、口調も乱暴なものに戻る。

「ふざけんな! とっとと元いた所に戻しやがれ!!」
「それが出来るならとっくにやってるわよ!」
「んな勝手な事があるか!」
「私だって出来る事ならあんたみたいなのを使い魔なんかにしたくなかったわよ!」
「んだとぉ~!」
「何よ!」

売り言葉に買い言葉を何度か繰り返していくうちに取っ組み合いに発展していき、もはやただの子供の喧嘩になってしまった。

「おいおい、自分の使い魔と喧嘩するなよ」
「はは、使い魔とのコミュニケーションもまともに取れないのかよ」
「所詮ゼロはゼロだな」

周囲の野次を気にする事なく、二人の喧嘩はさらにエスカレートしていき、お互い涙目になりながら頬を抓ったり引っ張ったりしている。

「ひいはへんにひうほほをひひなはいよ!(いい加減言う事を聞きなさいよ!)
「ひいははほえをほほのはひょにほほへ!!(いいから俺を元の場所に戻せ!!)

と、その喧嘩の最中にルイズが彼のターバンを掴んで、そのまま引っ張って外してしまった。
その刹那、周りの野次がピタリと止んだ。



「……あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」






「「「「「「「「「「「あああああああああああああああ!!!!」」」」」」」」」」」






周囲の生徒達、およびコルベールはそのターバンが外された頭を見て仰天した。

「うわ、しまった!」

ターバンを取られた少年が頭を押さえた。
最も、手で押さえただけで完全に隠せるほど“ソレ”は小さくはないのだが。

「あ……あんた亜人だったの!?」
「へ?」

亜人とは、ハルケギニアの世界において人に似た人間以外の種族の者達の事を言う。
彼の場合、この世界ではまさにその部類に入るであろう。
なにせ、そのターバンに隠されていた頭部には両の耳とは別の『ウサギの耳』があったのだから。

「亜人って何だ?」
「あんたみたいなのの事よ。う~ん、ウサギ耳の亜人だからウサギ人間かしら?」
「ウサギ人間って言うな!」

と、少年は叫んでその呼び名を否定した。

「何よ、ウサギの耳だからウサギ人間でいいじゃない」

その言葉を聞いたとき、その時少年は奇妙な違和感を覚えた。

(コイツ、ウサギ人間って呼び方自分で思いついたのか?)

彼の様な者をウサギ人間と呼ぶ人々は彼のいた世界にも存在した。
むしろ彼が行くはずだった場所ではそちらの呼び方でしか呼ばれないのだが。
が、少なくともウサギ人間を亜人などと呼ぶ人間は一人もいないはずだ。

(ってことはウサギ人間って呼び方の事も俺達の事も本当に知らないのか? どうにもコイツはややっこそうだぜ)

そう結論付けると、少年は「はぁ」と一呼吸置いて、そしてぶっきら棒に言い放った。

「いいか? 俺は耳長族のラビってんだ。よ~く覚えとけ」

ラビルーナでの長い生活は、彼に耳長族としての自覚をしっかりと植え付けた様だ。




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