あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

スナイピング ゼロ-10



翌日の朝、ワルドは早くから目を覚ました。ベットから降りて、帽子を被りマントを付ける。そしてルイズを起こさない
よう、そっと部屋を出た。
 廊下を歩いて、隣の部屋の前に立った。中には、ルイズの使い魔×2。襟元を正し、軽くノックした。
ベットから誰かが降りる音が聞こえる。ゆっくりとドアが開けられて、ワルドは驚いた。

「あら、ワルド子爵ではないですか。こんな朝早くにどうしました、出発は明日の朝だと聞いていますが」
 ドアを開けたのはリップだった。なぜか服を着ておらず、薄い毛布を体に巻いている。良く見ると、部屋の床に服が散乱
している。その中には、作業着らしき服も混ざっていた。

「いや、そのだね・・・ミス・セラスに用が有って来たんだが。彼女は、今どこに?」
 ワルドの問いに、リップは黙ってベットを指差す。そこには毛布に包まれて眠る、セラスの姿が有った。表情がゲッソリ
している事に、ワルドは気付く。リップに視線を移すと、逆にツヤツヤしている。昨晩、二人に何が有ったか・・・ワルド
は理解した。

「どうやら、体調が優れないようだね。今日は止めて、また日を改める事にするよ」
「そうですか? 後でセラスに伝えておきますけど」
「いや、良いんだ、急ぎの用って訳では無いからね。では、失礼するよ」
 早口で断ると、すぐにドアを閉めた。壁に背を預け、ハ~ッと息を吐く。

「ルイズの使い魔がガンダールヴだと知って手合わせ願おうと思ったんだが、予定が狂ってしまったな。まさか二人が
灼眼のシャナのソラト&ティリエルや、ブラックラグーンのヘンゼル&グレーテルの様な関係だったとは・・・」
 ブツブツ言いながら、部屋に戻る。ルイズが起きており、窓の外を眺めていた。ドアが開いた音に気付き、振り返る。

「ワルド様、どこへ行かれてたんですか?」
 事実を言う訳にはいかないため、とっさに誤魔化す。
「いや、ちょっと朝の散歩にね。それより朝食にしよう、他の皆を起こして一階に下りようか」
「じゃあワルド様は先に一階へ降りていて下さい、私は皆を起こして後から行きますから」
 そう言うと、ルイズは部屋を出て行った。残されたワルドは、机に置かれていたワインに目を向ける。グラスに注ぎ、
一気に飲み干す。ワルドは上を向いて、眉間を指で摘んだ。



朝食を終えると、その場で解散となった。
 ギーシュとキュルケは残って酒を酌み交わし、タバサは読書の続きのため部屋に戻った。ワルドは体を動かすため、ルイズ
を連れて中庭の練兵場に向かった。
 セラスはリップと共に朝食を赤ワインで済ますと、そのままベットに戻った。と言っても百合の花を咲かせるためでは
無く、純粋に休むため。絡みを期待したVIPの住人は涙目だ。

 そして夜になり、街は喧騒に包まれる。その情景を、セラスはベランダから一人で眺めていた。漆黒の空には、二つの月が
輝いている。
 ギーシュやキュルケは相変わらず一階で酒を飲んでいる、今はタバサも一緒らしい。明日にはアルビオンに向かうため、
今の内に飲みまくろうと言う魂胆のようだ。騒ぎ声を遠くに聞きながら、空を飛ぶペガサスに跨ったメドゥーサを見上げた。

「セラス」
 振り向くと、ルイズが両手を合わせてモジモジしながら立っていた。

「大丈夫なの? なんか元気・・・と言うより、精気が無い気がするけど」
「大丈夫ですよ、これくらい。ちょっと、激しかったですけど・・・」
 ルイズはセラスの腕や脚、それに首筋や顔に目を向ける。口付けの痕が、妙に生々しい。あの乙女は中々の兵だと、
ルイズは思った。その時のシーンを妄想して、顔を赤くする。

「お願いですから思い浮かべないで、こっちまで恥かしくなりますから」
「あ・・・ごめん」
 まともな恋愛すら未経験のルイズにとって、同性愛は非常にディープな物。考えないでと言われても、一度でも考え出すと
脳内は『その花びらにくちづけを』とか『乙女はお姉さまに恋してる』に勝るとも劣らない景色で埋め尽くされる。
 そこまで考えて、ルイズは思った。女同士では子は生まれないが、婚約は出来る事に。言うか言うまいか迷ったが、
使い魔の主人として言っておくことにした。可能性は0では無い、腹に力を込めて声を出す。




「ねぇ、セラス」
「なんですか?」
 セラスの不思議な物を見る目を、しっかりと見据えて言った。
「仲人には呼びなさいよ」
 そう言ってルイズが立ち去ろうとした時、轟音が響いた。後ろを見ると、月明かりをバックに何かが君臨している。
それは、岩で出来た巨大なゴーレム。肩に乗っていたのはフーケ、そして白い仮面を付けた男だった。

「フーケ!? なんで、牢屋に投獄されたんじゃなかったの?」 
「私みたいな美人はだね、もっと世の中のために役立たなくちゃいけないんだよ。だから脱獄したのさ!」
 ルイズの絶叫のような問い掛けに、フーケは悪びれることなく答える。それと同時にゴーレムの腕を振り上げ、ベランダ
の一部を一瞬で粉砕した。

「ほらほら、早く逃げないと潰されちまうよ!」
「マスター、急いで部屋の中に!」
 ルイズを抱き締めると、セラスは自室へ飛び込んだ。中ではリップがデルフに対して『ドキドキ☆レズビアン・レッスン』
の真っ最中だった。そのため、緊急事態に気付いてない。

「おうどうしたんでい相棒、今度は主人とヤっちゃうのか?」
「そんな事より逃げますよ、リップさんも急いで!」
 リップが口を開こうとした時、窓がブチ破られた。ゴーレムの拳が唸りをあげ、浅間山荘事件の鉄球のように叩きつけられ
壁が壊される。状況を理解したリップは『ハルケギニアにおけるフタナリの定義・著者=みさくらなんこつ』と書かれた本を
懐に仕舞い、マスケット銃を掴んで廊下に飛び出した。セラスはルイズを降ろすとデルフを背負い、ハルコンネンと弾薬箱を
持って後に続いた。
 階段を降りると、そこも危険な状態だった。傭兵の一団が玄関を塞ぎ、内部に向けて矢を打っている。隅に目を向けると、
キュルケ達がテーブルを盾にして隠れているのが見えた。リップは飛んできた矢をマトリックス風に避け、セラスは矢を腕に
喰らって悲鳴をあげる店主にE缶を投げ付け、走って飛び込んだ。



「大丈夫ですか皆さん、怪我は無いですか!?」
「今の所は平気よ、でも長くは耐えられないわ」
 セラスの言葉に、キュルケが何時もの調子で答える。外からゴーレムが歩く音を認めると、ギーシュは軽く舌打ちする。
「ゴーレムまでいるのか、これじゃ僕のワルキューレでも対処出来ないよ。どうするんだね、このままじゃ敗北だ」
「私に良い考えがある、みんな聞いてくれ」
 ギーシュの隣に座っていたワルドに、全員が耳を傾ける。

「これから僕とルイズは裏口から桟橋に向かう。その間に君達は、派手に暴れて奴らを引き付けてほしい」
「ちょっと待って下さいワルド様! 傭兵は腕利きのようですし、向こうにはフーケのゴーレムもいるんですよ」
「それは大丈夫、僕に良い案がある」
 そう言うと、ワルドはタバサに耳打ちする。タバサが黙って頷くと、ワルドはルイズの手を掴み低い姿勢で歩き出した。
その後ろを、セラスとリップが追う。通用口を出た時、大きな爆発音が店を揺るがした。

月明かりに照らされた道を、ルイズ達は全力で走って行く。建物の間の階段を駆け込み、上がり始める。とてつもなく長い
階段の最上段を踏み締め、丘の上に出た。そこに見えた光景が、セラスとリップの目に飛び込んだ。

「コレは・・・」
「凄いわね、流石は異世界」
 そこには『日立の樹』など比べるまでも無い程に巨大な樹が君臨しており、四方八方に枝を伸ばしていた。目を凝らして
見ると、枝の先に船がぶら下げられている。見上げていたセラスに、ワルドが声をかける。
「もう少し登ってもらうよ、着いて来てくれたまえ!」
 ワルドは樹の根元に向けて駆け出した。顔を拭い、後を追う。根元の穴に入ると、中は空洞になっていた。
幾つもある階段の一つを確認し、ワルドは駆け上がる。勢いをつけて踏み締めるからか、階段は何度となく軋む。
 背中に背負われたデルフが、口を開いた。

「相棒、後ろから誰か来るぜ」
「え、後ろ?」
 振り返ると、白い仮面を付けた男が駆け上がって来ていた。フーケと一緒にいた奴だと気付いたセラスは、ハルコンネンを
構え『元婦警』として警告を発した。


「止まれ、それ以上近付くと発砲する!」
 だが白仮面は警告を無視して、どんどん近付いてくる。頭部に狙いを定め、引き金を引いた。
ドン!と言う音と共に、劣化ウラン弾が仮面を撃ち抜いた。そのまま足を踏み外し、地上へ落下していった。

「急いでセラス、早く上がってきなさい!」
 上からルイズの声が響く。急いでハルコンネンを背負って弾薬箱を持ち、全速で駆け上がった。

わずか数秒で、セラスはワルド達に合流した。そのまま階段の頂上に着くと、一艘の船が係留されているのが目に留まる。
小走りで船に乗り込むと、ワルドが振り返った。

「君達は休んでいてくれ、僕は船長に話をつけて来る」
 そう言って、船員がいる所へと走って行った。それを見届けると、ルイズは座り込んだ。セラスとリップも座り込む。
弾薬箱を置き、セラスはルイズに尋ねた。

「マスター、アルビオンにはどれくらいで到着しますか?」
「そうね、今は夜中だから・・・え~と?」
 そこへ、大きな声で『出港だ!』と声が聞こえた。帽子を被った男が船員に指示を出している、どうやら彼が船長らしい。
ワルドが戻って来て、近くに座った。

「港のスカボローに到着するのは明日の昼過ぎ頃だ、それまで眠っておきなさい」
 リップは黙って頷くと、舷側に寄り添って横になった。睡眠に入るのに僅か2秒、ノビのび太に挑める記録だ。
ワルドはルイズを引き寄せると、並んで横になった。何時の間に追い付いたのか、グリフォンが傍で眠っている。
セラスも遅れて、仰向けになって目を瞑った。そんな時、デルフがボソリと呟く。『ゆっくり休めよ、相棒』と・・・。


「セラス、起きて・・・起きなさい」
 眩しい光に目が眩んで、セラスは目を覚ました。青空をバックに、リップが顔を覗きこんでいる。傘をクルクルと
回しながら、空中を指差す。その方角に視線を向けて、セラスは自分の目を疑った。横にいたルイズが説明を始める。

「浮遊大陸アルビオン、あんな風に大洋の上を回ってるの。国土面積はトリステインと同じくらいで、月に何度か
ハルケギニアの上にやってくるのよ」
「凄いですね、あんなの初めて見ますよ」
『まるでラピュタみたいだなぁ・・・』などとセラスが想像した時、見張りをしている船員が大声を上げた。

「右方向より黒い船が接近、旗を掲けず。空賊の可能性アリ!」
 右に目を向けると、確かに黒い船が近付いて来ていた。自分達が乗る船より数倍は大きく、船体には大砲をズラリと
並べている。セラスとリップは同時に銃を構える。
「く、空賊だって!? 取り舵いっぱい、逃げるんだ!!」
 ワルドと共に船の操縦の指揮を取っていた船長が、撤退の命令を出す。だが進路を変えようとした瞬間、大砲を一発
進路方向に打ってきた。双方との距離は、どんどん狭まっている。

「駄目です船長、これでは逃げ切れません。我が方には移動式の大砲が三門のみ、追い払うのも無理です。もはや、停船する
しかありません」
 副長の言葉に、顔を青くした船長はワルドを見た。だがワルドは、顔を横に振った。
「この船を浮かべるのに精一杯、交戦は無理だ。ここは副長の言う通り、大人しく停船した方が良いよ」
 首をガクリと落とし、溜息をつく。
「くそ、これで破産だ・・・裏帆を打て、停船だ」
 船長の悲痛な命令を受け、船は止まった。黒船が横に止まり、弓やフリント・ロック銃などで武装した男達が乗り移って
来た。ルイズは小さな声で、背後に佇む二人の使い魔に命令する。



「セラスは直接火砲支援、リップは間接狙撃支援・・・用意」
「「ヤー」」
 返答の声と弾を込める音が、同時に重なる。男達は斧や曲刀などで船員達を脅しながら、何やら尋ねている。ワルドの隣に
いたグリフォンは、頭に青白い雲に覆われて眠ってしまった。どうやら空賊の中には、メイジもいるらしい。
 その時、空賊の一人がルイズに気付いた。汗やグリースで真っ黒になったシャツを着て、ぼさぼさの長い黒髪を赤い布で
乱暴に縛っている。ご丁寧に左目に眼帯を付けている、どうやら彼が空賊の頭らしい。

「おやおや、こんな所にも貴族様がいらっしゃったか。それに美人の付き人を二人も従えるとは驚きだ、武装までさせて」
数人の男達を従えて、頭がルイズの前に立つ。顎を手で持ち上げ、品定めするかの様な目で見つめた。
「お前も付き人も揃って別嬪だな、俺の船で皿洗いでもしないか?」
 男達は下品な笑い声をあげた。ルイズは頭の手を叩くと、怒りを込めた目で睨みつける。
「下がりなさい下郎、汚い手で触るな」
「下郎だと、こいつは驚いたな!」
 男達は大声で笑った。セラスがハルコンネンを構えようとしたが、デルフに呼び止められる。

「止めとけ相棒。ここで空賊に危害を与えたら、報復に大砲を打ち込まれちまうぜ」
「でも、マスター『おい女、それは何だ?』・・・え?」
 セラスの言葉に、頭の言葉が重なった。キョトンとしているルイズの右手を掴み、顔を近づける。そして、目を見張った。
「これは・・・水のルビー!? 君は、アンリエッタ王女に派遣された大使なのか?」
 頭が急に言葉遣いを丁寧にしたため、ルイズとセラスは不審な目で頭を見る。リップは興味深そうに、頭を見ていた。
ルイズは顔を引き締め、腰に手を当てて答える。

「そ、そうよ。私はトリステインから派遣された、王党派への使いよ。この指輪は貴方が言った通り、アンリエッタ姫殿下
から預かった水のルビーよ。それがどうかしたって言うの?」

すると頭は自分の右手から指輪を外し、水のルビーに近づけた。二つの指輪が共鳴し、虹色に輝き合う。
「私が持つ指輪は、アルビオン王家に伝わる風のルビーだ。この指輪の持ち主はアルビオン皇太子、ただ一人」
 指輪を右手に戻すと、頭はルイズから一歩離れた。


「いやいや、大使殿には大変に失礼な事を言ってしまって申し訳ない。まさか滅亡を間近にひかえた我が国に味方する者が
現れるとは、予想外だったものでね。ちょっと待ってもらって良いかな、今から正体を明かすよ」
 そう言うと、頭は頭に巻いた赤い布を取り、黒髪を掴み取る。どうやら、カツラだったらしい。眼帯を外し、顎の髭を
取り去る。そこに現れたのは凛々しい金髪の若者、なんと言う劇的ビフォーアフター!

「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官。アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ!」

 足を開いて左手を腰に当て、右手の人差し指をビシッと空に向ける。ちょっと時代遅れの決めポーズにルイズ達が引いて
いると、ウェールズは居住まいを正してポーズを止める。
「アルビオン王国へWELCOMEだ、大使殿。さて、御用は何かな?」
 ニコリと魅力的な笑みを浮かべ、ルイズ達に尋ねる。だがルイズとセラスは脳内フリーズしており、理由を述べる事が
出来ない。リップは薄笑いを浮かべ、主人と同僚を見ている。三人の表情を見て、ウェールズは理解した。

「その顔は『どうして空賊に身分を偽装していたのか?』と言った顔だね、そうだろ。実は我が本国艦隊には、我々が使用
してる『イーグル号』しか無くてね。この一艘だけで、貴族派の船と戦わなくてはならない。と言っても、正面から責める
事は出来ない。あっと言う間に大砲で蜂の巣さ。だから空賊に偽装して、敵の補給路を断とうと日夜奮闘してるって訳さ」

 ウェールズの説明を何とか理解すると、ルイズは御用の理由を説明する。
「実はですね、アンリエッタ姫殿下より密書を預かっておりまして・・・」
 胸のポケットから手紙を取り出し、一礼してウェールズに手渡す。ウェールズは愛しそうに手紙を見つめると、右手を
上げて『アハトォウン!!』と叫んだ。周りに控えた空賊達が、一斉に直立する。花押に接吻して、封を開く。
便箋を取り出し、読み始めた。途中で顔を上げた、寂しそうな顔だ。



「姫は結婚するのか? アンリエッタが・・・私の可愛い従妹は・・・・・・」
 ルイズが無言で恭しく頭を下げると、ウェールズは再び手紙を読み出す。最後まで読むと、手紙を懐に入れた。
「姫が私に授けた手紙を、受け取りに来た事を了承した。姫の望みは、私の望みだからね。しかし残念ながら、今すぐには
返せない。手紙は、ニューカッスルの城にあるんだ。大事な宝物を、四六時中持ち歩く訳にはいかないんでね」
 笑って言うと、ウェールズは部下にニューカッスル城に向かうよう命令した。ルイズ達は、やっと緊張を解く事が出来た。









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