あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

サーヴァント・オブ・ゼロ-03


……ん、ここは何処だ?
確か俺は普通にベッドで寝たはず。いきなり何でこんな何も無いところにいるんだ?

「毎日日付が変わるごとに存在の力が回復しそうな感じの青年……御主人様が言ってたのはキミだね?」

そんな宝具持ってないって……いやいや、俺も何乗ってんだ。
声を掛けられ振り返った先には、全身真っピンクの少女――いや、アレは確実に人間じゃないだろ。何かねばねばした物が垂れてるし――がいた。
何だ、新手のエロゲ?露出度高いってレベルじゃないぞ、むしろ全裸でいたほうがマシじゃね?

「時間が無いから手短に話すね。今からしばらくの間、キミにはある女の子、ボクの同僚なんだけどね。彼女をサポートしてほしいんだ」

いきなり何なんだ。見ず知らずの女の子に変な頼み事をされる。
そんな漫画みたいなことをまさか俺が体験してしまうとは、まだまだ世界は広いな……
いや、それよりも!

「……ちょっと待ってくれよ。俺には家族がいるし、生活だってあるんだ、有無を言わさずいきなり拉致るのは」

「ああ、その辺は大丈夫。これはあくまでキミの夢の中だけの話。
キミは今までどおり生活していけるし、命の危険だって無い。あくまで夢だと割り切って欲しいな」

どうにもうさんくさい。そんな上手い話、聞いたことが無い。
これは罠だ。きっと後ろからも敵が迫ってくるに違いない。

「そうだ、良い事を教えてあげる。今受けてくれたら、美人メイドさんのパンツ見放題!今なら乳○も付いてくるよ」



「なんだ、それを早く言ってくれよ。念のためもう一度聞くが、本当に大丈夫なんだな?」

「うん。それに、キミはアイリ――あ、キミがサポートする人物の名前だよ――に知ってることをあること無いこと言ってくれるだけでいいから。
それこそ、君の好きなようにやっていいんだよ。誰も文句は言わないし、それどころかこっちが助かる」

何と言うネ申展開!こうなりゃたとえ罠だろうと、男なら突貫あるのみだぜ!

「よし、その依頼受けた。こうなったらとことんやってやろうじゃねぇか」

「うん、交渉成立!じゃ、これを渡すね」

そう言ってそのピンクの女の子……でいいのか?は一封の封筒を差し出した。

「アイリに会ったら、この封筒を渡して。大体の説明が書いてあるから、君を悪いようにはしないはずだよ。
あ、白黒のメイド服に赤いツインテール、あたりに人魂を浮かべてるのがアイリだからね」

……今何か変なことを言ったような気がするが、まあ気のせいだろう。

「OK、確かに。それじゃ、これからどうすればいいんだ?」

「キミはそこに立っててくれれば良いよ。今から御主人様がキミをアイリがいる世界に送ってくれるから。
 ……ん、はーい。……どうやら準備が出来たみたいだよ。それじゃあ、3、2、1、ゴー!」

パカッ。

ん、今何か音がしたような。
あれれー?なんだかさっきまであった床の感触が無いぞー?
これって、もしかして、らっ……

「のわぁぁぁぁっ!」

「がんばってねー、ボクも応援してるよ!」



サーヴァント・オブ・ゼロ 第3話「冥土のメイド、助っ人に会う」



「……で、さっきの話は本当?」
「ええ、おそらくはあの子達が言っていた通り、アイリが元いた世界からこちらの世界へやってきた……そう考えないと、この状況は説明できませんわ」
「こことは別の世界、ねえ……それにしても」

ここは学園内のルイズの部屋。
歩き疲れ、ベッドに腰を下ろしたルイズと対照的にアイリは微塵も疲れた様子を見せず、ルイズと向かい合う形で立っている。

(うおぉぉぉ、すげー!月が二つもあるぜ!)
(しかもかなりでかいぞ……もしここでサテライトキャノンなんて使ったら、どんな事になるやら)
(……それ以前に、あの月にマイクロウェーブ送信施設があるのか?)
(ああ、その発想はなかった。お前天才)

窓際の方では、低級霊たちが騒いでいた。
夜空に彼らがいつも見ていた月より大きな星が2つも浮かんでいるのだ。それはいつまでも少年の心を忘れない彼らを興奮させるには十分だった。

「あいつらはあんたの部下みたいなもんなのでしょう?ちょっと黙らせなさい」
「あ、はい。失礼いたしました……えぇと……青葉、加古、衣笠。少し黙りなさい。御主人様が迷惑がってますわよ」

(ちょっと待ってくださいよ、古鷹は何処に行ったんですか)
(いや、もしかしたら奉仕青年団の方かもしれないにゃりよ?とりあえず未来ちゃんは俺がとったにゃり)
(あっー、抜け駆けはずるいぞお前!じゃあ青葉さんはオレの物!)
(……消去法で自分の嫁が残ると、なんか虚しいよね……)

「ふざけるのも大概になさい。これ以上騒ぐと、消しますわよ」

(すんませんでした)
(ごめんなさい)
(それだけは勘弁してください)



彼ら低級霊はアイリによって召喚され、使役される存在である。
故に彼らの命綱はアイリに握られており、彼女の意思で自在に消滅させることが出来る。
彼らにとって、それは死に等しい。
さすがに今ここで消滅することと黙ることを秤にかければ、後者の方が重くなるのだった。

「はぁ……申し訳ありません」
「……あんた、部下に目の前でふざけられても平気なわけ?私は嫌よ、そんなこと。ちゃんと教育を徹底させておきなさい、いいわね?」
「はい、肝に銘じます」

「……まあとりあえずあんたの態度からして、言ってることに嘘はないとは思うんだけど……いまいち実感がわかないのよね。何か証拠とかないの?」
「証拠ですか……あ、そういえば。御主人様、これでは駄目でしょうか?」

そう言うと、アイリは懐から小さな水晶玉を取り出した。
水晶玉の中では、二本の剣を胸元で交差させた女神像が揺らめいている。

「へえ、確かにこんなものは見たこともないわ……これは、あんたの物?」
「これはクイーンズブレイドの参加者に与えられる、参加証明のようなものですわ。そういった意味では、アイリのものと言えますわね」
「くいーんずぶれいど?何それ、あたしにもわかるように説明しなさいよ」
「ああ、申し訳ありません。何分別の世界に来るのは初めてなので、どうしてもこちらの常識で話してしまって……そもそも、クイーンズブレイドの興りは……」



クイーンズブレイド。
大陸の「最も強い女性がこの国を支配できる」という建国からの伝統に従い、国の女王を決めるため4年に一度開催される大闘技大会。
12歳以上の知的生物の女性であれば、国籍、身分はおろか種族さえも関係なく参加できる。
参加者は己の得意とする武具や殺人技を駆使して、一方が降参するか戦闘不能になるか、あるいは絶命するかまで決着の付かない命がけの勝負を勝ち進んでいく。
そして最後まで勝ち残った一人との勝負を現女王が望んだ場合、最後に女王との戦いとなり、これに勝利することが出来ればその者が大陸の新たな女王となる。
参加者達を待っているのは勝利の栄光か、命さえ失うほどの惨憺たる敗北か……
それは戦ってみなければ分からないのだ。



「……と、こういった感じのものです。そしてアイリも、この大会に参加している闘士の一人、というわけですわ」
「大体は分かったわ。……でも、一国の女王を殴り合いで決めるなんて、野蛮な風習もあったものね」

(てめぇ…なめとんのか?こっちが黙ってれば、好き勝手言いやがっtドグゴルァッ!)

「さっきから余計な口を出すなと言っているでしょう……申し訳ありません、きっちり後で躾けておきますので」
「あんたも大変ねぇ……っていうか、幽霊をグーで殴るなんて変わってるわね……」
「こちらも仕事ですので。ところで、使い魔とは具体的に何をすればよろしいのでしょうか?」

「いいわ、教えてあげる。まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられる。
つまり、あんたの見ていることが、私にも見えるはずなんだけど……どうやらこれは無理みたいね。私、何も見えないもの」
「お力になれず、申し訳ありません……」

「次に、使い魔は主人の望むものを見つけてくるの。例えば……そうね、秘薬の材料になる、硫黄とかコケとか……」
「……申し訳ありません。まだこちらに来たばかりなので、その様な物がある場所はちょっと……」

「……まあ、期待するだけ無駄というものよね。そして、これが一番なんだけど、使い魔は主人を守る存在でもあるのよ。
その力で主人を敵から守る。あんたは見たところ全く強そうには見えないけど、そのクイーンズブレイドとかいうのに参加してるんだから、ある程度は強いんでしょ?」
「はい、ですがこちらの世界の方の強さは分からないので、何処までやれるかはアイリもわかりませんが」
「いまいち使えないわね……まあいいわ。とりあえずあんたには出来そうなことをやってもらうから。洗濯、掃除、その他雑用」
「承知いたしました。家事には自信がありますわ」
「まあ見た目からしてそうだとは思ってたけどね……さてと、あたしはそろそろ寝るわ。……ところで、精霊も眠るの?」

「精霊……?」
「あんたの事に決まってるじゃないの!寝るんだったら床で寝て、寝ないんだったら寝ずの番をやって頂戴」
「あの、どうやら御主人様はアイリのことを精霊だとお思いになられているようですが、アイリはレイス……世間一般的に言う「死霊」ですわ」


「なっ……」
「御主人様?」
「何を馬鹿なことを言ってんのよ、この……バカ犬―っ!」
「な、何かアイリが御気に触るようなことを言ったでしょうか?」
「うるさいうるさいうるさい!精霊だとばっかり思ってたのに、何よ死霊って!これじゃ、あいつらの言ってた通りじゃない!」

コルベールに「ミス・ヴァリエールは、精霊を召喚したかもしれない」と言われた時、ルイズは嬉しかった。
これで今まで自分の事を馬鹿にしていた連中を見返してやることが出来る。
だがその期待は――身勝手な期待ではあったが――裏切られた。
死霊と契約してしまったのでは、ネクロマンサーとそしられても仕方は無い。
嗚呼、何故始祖ブリミルは自分にこうも試練を与えるのだろう。

――と、始祖をひとしきり恨んだところで、ルイズの脳内にある考えが浮かんだ。

「そうだ!あんたは今から精霊になりなさい!」
「……しかしそう仰られましても、生まれ持った種族の壁はとても越えられるものでは……」
「鈍いわね、何も本当になる必要は無いのよ。皆の前で、精霊として振舞ってくれればいいの」

(しかしよー、この世界のことはよく分からねーが、人魂を浮かべた精霊ってのはいるもんなのか?)
「だから……確かはるか東の方にあるという、そう、『ロバ・アル・カリイエ』とか言う所。其処の出身とかいうことにしとけば、誰も怪しまないわ。
 いいわね、あんたは今から『ロバ・アル・カリイエ』に住んでいた、私たちの知らない精霊よ」

「承知いたしました。それではただ今より、アイリは精霊として生活させていただきます」
「うん、それでいいわ。くれぐれも正体をばらしちゃ駄目よ?もし破ったら承知しないんだか……」


『ビーッ!ビーッ!WARNING!WARNING!各員第一戦闘態勢に入れ!』

突如、アイリの胸元――に仕舞い込んだ先ほどの水晶球――から音声が発せられる。
音といい声の調子といい、それは明らかに警告音であった。

「ええっ、なになに、いきなり何が起こったの!?」
「……ああ、お騒がせして申し訳ありません。実は先ほど御主人様にお見せした水晶球、あれを持っている者同士で会話することも可能なのですわ。
こちらの音は、この通信が御主人様からのものであることを表す物です。しかし、確かここはアイリのいた世界とは別の世界のはず……」
「どうでもいいからとっととこの音を止めなさい、皆が騒ぎ出すじゃないの!」
「あ、失礼いたしました……はい、こちらアイリですわ」

『やっほー、アイリ聞こえてる?メローナだよ!どう、そっちは?』
「今の所、特には。……ところで、何であなたが御主人様の水晶球から連絡しているんですの?御主人様はどうなさいました?」
『御主人様は、世界をまたいで通信をかけるのに力を使っていて手が離せないから、ボクが代わりに喋れだってさ』
「そうでしたか。その様なことが出来るなんて、やはり御主人様はとても凄いお方ですわね……ところで、わざわざその様なことをしてまで通信してきたと言う事は、何かあるのですか?」
『うん、2つほど追加しておくことが出来たからね。それじゃあ、あんまり長くは繋いでられないってことだから、手短に御主人様からの伝言を使えるよ。
 『一、活動ノ縛リトシテ、ムヤミヤタラナル精気吸収ヲ禁ズ』 』
「ま、待ってください、精気を補給できなくては、アイリは生きられません!」

アイリは定期的に生者の精気を吸って己の体を維持している。
そうしなければ、姿が保てずこの世界から消滅してしまうのだ。

『待って待って、まだ続きがあるから。『案ズルナ、既ニ手ハ打ッテアル。ナオ、主ガ許可シタ場合ヤ、主ヲ危険カラ守ル場合は、ソノ限リニアラズ』』
「……了解いたしました。御主人様がそう仰るのでしたら……」
『 『二、今回の件ヲ盛リ上ゲ……失礼、円滑ニ行ウタメ、君ヲさぽーとスルタメノ助ッ人ヲ送ッタ。
 ココトモ、はるけぎにあトモ違ウ別ノ世界ノ住人ダガ、良キ助言役ニナッテクレルハズダ。コノ通信ガ終ワッタラ、廊下ニ出ヨ。彼ガ待ッテイル。一目見レバスグ分カルダロウ』』
「ありがとうございます。其処までしていただけるとは、このアイリ、感謝の極みですわ」
『 『コチラカラ伝エル事ハ以上ナリ。君ノ健闘ヲ祈ル』。以上だよ』
「承知いたしましたわ。どうぞ御主人様によろしくお伝えください」
『うん、それじゃあそろそろ御主人様も限界だそうだから、切るね。じゃあ!』

……ぶつっ!
それを最後に、水晶球は沈黙した。


「……もはやどこから突っ込んで良いのか分からないわ……」
「というわけですので、これからその『彼』を迎えに行って参ります」
「ちょっと待ってよ、あんたは私の使い魔なんだからあんまり勝手な行動をとられるのは困るわよ!」
「ご安心ください、ほんの5分ほどで戻ります。それと、アイリは休眠を取る必要はありませんので、帰ったら寝ずの番をさせて頂きますので、それでご容赦願います」

「……まあいいわ。やること済ませたらとっとと帰ってきなさいよ」
「かしこまりました。では行って参りますので、御主人様はお先にお休みください」
「わかったわ。それじゃ、お休み……」
ルイズに一礼をし、アイリは『彼』と合流するため部屋を出て行った……



「うおおおお!飛んでる、飛んでるよ俺!」

廊下を出たところで『彼』はすぐに見つかった。
……飛んでいた。それこそ、ものすごく楽しそうな顔をして、廊下を縦横無尽に。

「……あの、あなたが御主人様の仰っていた助っ人の方でしょうか?」
「アーイ・キャーン・フラーイ!……うっ」

「………」
「………」
「………」

「……確かに、こちらでアイリ……さんをサポートする様言われたものですが……あなたがアイリさんですか?」
「はい、私がアイリですわ。お見知りおきを」
「ああ、これは丁寧にどうも……俺は才人。平賀、才人っていいます」

今のは無かったことにしよう、突っ込むのも無粋だし、何かが終わってしまうような気がするし。2人は同時にそう思った。

はたして、2人はこの先(いろんな意味で)やっていけるのだろうか?
それは、始祖ですら分からない。


to be continued……


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