あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

蒼い使い魔-06


二人は朝食をとるために、『アルヴィーズの食堂』へと向かう
そこは、食堂とは言えとても華やかな作りであり
いかにも貴族趣味、といった建物である
中も豪華絢爛という言葉がぴったり当てはまるほどの内装が施されていた

中には百人はゆうに座る事ができるテーブルが三つ並んでいる。
どうやら学年別に分かれているらしく、ルイズはバージルを連れ二年生所定の真中のテーブルへと進んだ。
周囲からは「おい、ゼロのルイズだ」「平民なんか連れてるぜ…」などと様々な声が聞こえてきたが
それらを無視しルイズは自分の席へと進み着席する

「…悪趣味だな」とバージルは中をみて呟く
「…今のは聞かなかったことしてあげるわ、
メイジはほぼ全員が貴族だから。だからトリステイン魔法学院では貴族たるべき教育を存分に受けるの。
だから食堂も貴族の食卓にふさわしいものでなければならないのよ」
「…くだらん」
その一言にムッときた表情を浮かべるルイズ、それをナチュラルに無視しバージルは続ける
「それで?俺はどこにいればいい」
すると、ルイズは床を指差す、そこにはみすぼらしいスープに堅そうなパンが並んでいた
ルイズ達生徒の前に並んでいる食事と比べるとあまりにも貧相である
「…」
「あのね、普通なら平民はこの食堂に入れないの、それを私の特別な計らいで入れてあげてるんだから
あんたは床よ」
何度も殺されそうになっているにも関わらずサラっと言うルイズ
するとバージルは沈黙したまま踵を返し外へと向かう
「どこいくのよ?」
「…」
無言のバージル、入口の前に少しだけ立ち止まるとそのまま立ち去った
キンッ!という音が聞こえたような気もしたが周囲の話声でかき消されてしまった
「なによアイツ…」そうつぶやくと食事の前の祈りの唱和がはじまった、その瞬間
           ―グシャンッ!
ルイズが座っていた椅子が音を立てて崩れ落ちた
前衛的な格好で転がるルイズ
椅子の脚には見事な切り口、おそらく立ち去り際にバージルに斬られたのだろう
「なっなっなっ、なにがっ!」
「ゼロのルイズの椅子が!」
と騒然となる食堂、ルイズは「あんの馬鹿犬ーーーーッ!!!!」と怒りの咆哮をあげた

そんな騒ぎを引き起こした張本人、バージルは食堂を後にし適当な壁に寄りかかり考えに耽る
やはり何かがおかしい、ここに呼び出されてから何かが自分に起こっている
思えば今までの自分の言動、不自然な点が多すぎる
なぜ使い魔などなることを承諾したのか?考えれば最初は抵抗したもののごく自然に承諾していた気がする
普段なら初日の時点でルイズの首を刎ねていたはずだ
なのに、あの小娘に殺意を抱けない、先ほどの食堂の件もそうだ
普段なら斬り飛ばすのはルイズの首だった、なのになぜか椅子の脚を斬っていた
「やはり…こいつが原因か…」と忌々しそうに自らの左手の甲を見つめる
そこには使い魔のルーンが幽かな光を放っていた
チッ、と舌うちすると閻魔刀を抜き放ち、ルーンの刻まれた手の甲を軽く斬ろうとする
閻魔刀は人と魔を分かつ刀、これも"魔"法の力ならば閻魔刀で切り離すことが出来るはず
ところが、閻魔刀は左手の数サント手前で動かなくなった、否、動かせなくなった
「クソッ…!何故動かん!」と思わず声を荒げる
「自傷防止の効果もあるのか…?厄介だな…」
仕方無く閻魔刀を納刀する、さて、どうするかと思案を巡らす、どうにか解除をする方法はないか

「あら?バージルさん?」
思案に耽るバージルに通りかかるシエスタが声をかける
「どうなさったんですか?」
「シエスタ…と言ったな、フン、気に食わんことがあっただけだ」
「そうですか…、あのっ、もうお食事は済まされましたか?」
「いや、まだだ」
「私たち、これからなんですけどよければ一緒にいかがですか?」
その申し出に、バージルは「そうさせてもらおう」とあっさり受け入れた
左手のルーンは静かに光を放っている…

「どうですか?おいしいですか?」
シエスタに厨房へ案内され、用意されたシチューを静かに食べるバージル
その姿は一部の隙がなくどこかの貴族をイメージさせる
「あぁ」と短く答える
「あの、本当にバージルさんは平民なんですか?なんていうか貴族っぽいっていうか…」
その通りである、ルイズは意識していなかったが、バージルの姿はその辺の貴族と比べても
なんら遜色がないほど洗練されている
「さぁな…、世話になった、礼を言う」
そういい完食したバージルは厨房を後にしようとする、どうもこの娘は苦手だ
「よろしければまたいらしてください、いつでも歓迎しますよ」とにこやかな笑顔でいうシエスタ
そんなシエスタにバージルは問う
「…なぜ、そこまでしてくれる、俺と貴様は赤の他人だろう?」
「そんな…他人だなんて…、同じ平民どうし助け合うのは当然です!」
と、力強く話すシエスタを見て、フン、と軽く鼻を鳴らすと静かに厨房を後にした

バージルが外へ出ると、そこには腕組みをし鬼の形相で仁王立ちするルイズの姿があった
「おおおおお遅かったじゃない、ごごごごごご主人様にあんな事をしといて待たせるなんていいいいいいい度胸じゃない」
とラッパーのようにどもりながら話すルイズ
「貴様には関係ない、首が飛ばなかっただけありがたいと思え」
「~~~~~~っ!!!あんたへのおしおきは後よ!それより授業へ行くわ、ついてきなさい!」
と怒り鎮まらぬルイズはバージルを連れ教室に向かった

教室へ着くとルイズは席につき、バージルは教室の一番後ろの壁に腕を組み寄りかかる
周囲からのヤジに律儀に言いかえすルイズを一瞥しバージルは軽く周囲を眺めた
周りには様々な使い魔がいる、フクロウに今朝みたサラマンダー、あれはモグラか?
眺めて見ても自分の様な人間(―バージルは認めないが)はいなかった
次に生徒達をみてみると、今朝、話しかけて来た女に、あれは…
「(昨日俺を吹き飛ばした…)」ルイズよりも背の小さい青い髪を持った少女、タバサを見つけた、
バージルの視線に気が付いているのかいないのか静かに本を読んでいる
挨拶がわりに目の前の机に幻影剣でも突き立ててやるかと思案していると
教壇に中年の女が現れた、おそらく教師なのだろう、一旦教室が静かになる

「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。この赤土のシュヴルーズ、
こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ。」
と満足そうに生徒と使い魔を眺めるシュヴルーズ
「あらあら、中々変わった使い魔を召喚したようね、ミス・ヴァリエール」
とルイズと教室の後ろに佇むバージルを交互に見た

教室にクスクス…という笑い声がする
「召喚に失敗したからってどこかの戦場から死に損いなんて連れてくるなよ!ゼロのルイズ!」
とヤジを飛ばす少年、  ―チャキッ!
同時にルイズは席を跳ねるように立ち上がり…ヤジを飛ばした少年―マリコルヌ…ではなくバージルにとびかかる
バージルの手に納まった閻魔刀の鞘がバチバチッ!と嫌な音を立てている。
「何だ…?」静かに怒りに満ちた目でルイズを見る
「(何だって…、こうしないとあんた絶対マリコルヌ殺すでしょ!)」
左手に握られた閻魔刀を抑えつけ小声でバージルに言う
「だからなんだ」
「(だからって!ここは教室よ!絶対絶対殺しちゃだめ!わかった!?命令よ!)」
と必死に説得し、なんとかバージルに閻魔刀を納めさせる
荒い息を立てながら席に戻りルイズは頭を抱える
自分が馬鹿にした少女が止めなければ空間ごと真っ二つにされていた事も知らないマリコルヌは
まだ口汚く罵っていたが、「ミスタ・マリコルヌ。友達を馬鹿にするものではありません」
というシュヴルーズの言葉とともに目の前に現れた粘土に口をふさがれた。

それからの授業は問題なく進められた。
『火』『水』『土』『風』の魔法の四大系統。失われた系統である『虚無』。
それら魔法と生活との密接な繋がり等々。
バージルは一日目に大体の説明をコルベールから聞いていたが、
魔法の力をどうにか自分のものに応用できないか割と真剣に授業を聞いていた、
シュヴルーズの錬金の実演を行い、ただの石を魔法で真鍮に変える、
こうまで万能性多様性に富んでいると、科学技術が発展する余地などないだろう。

するとシュヴルーズは今行った錬金の実習をしてもらうと言うことで、ルイズを指名した
すると教室の空気が変わった、
「先生、止めといた方がいいと思いますけど……」
キュルケが困った声でそれの撤回を求める。
「どうしてですか?」
「危険です」
キュルケが即答すると、教室の殆ど全員が同意し頷く。
「危険?何故ですか?」
ミス・シュヴルーズは何の事か判らないと言った風で、ルイズに向ってやってごらんなさいと促す。
「やります!」
と立ち上がったルイズに向って、キュルケは顔面蒼白にして
「ルイズ、お願いやめて!」 と必死になって止めている

ルイズは杖を振り上げる。
それを見た生徒たちが慌てて机の影や椅子の下に隠れる。
ルイズが短くルーンを唱え杖を振り下ろすと、その瞬間机と、その上に置かれた石が爆発した
爆風をもろに受け、シュヴルーズは黒板に叩きつけられる。悲鳴が上がり驚いた使い魔達が暴れだした
「ちょっと失敗したみたいね」
そう言ってボロボロの姿のルイズがスス交じりの黒い煙を吐き出した時には、ミス・シュヴルーズは気を失い
あらかじめ机の下に避難していた生徒たちにも甚大な被害が及んでいた。
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」
そんな怒号が響き渡る教室の外―
爆発が起きた瞬間まるで瞬間移動して来たかのように教室の外へ出たバージルは、髪をバックにかき上げながら
「…成程、だからゼロ…か…」と、一人呟いた。






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