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使い魔はじめました-12



使い魔はじめました―第12話―

袋にアイテムを詰めて戻ってきたサララを乗せて、
五人と一匹は馬車に揺られていた。
御者は、ミス・ロングビルが買って出ている。
「手綱なんて付き人にやらせればいいじゃないですか?」
キュルケの言葉に、ロングビルはにっこりと笑った。
「私は、貴族の名をなくしたメイジですから。
 そういえば、ミス・サララも平民になったメイジだと聞きましたが?」
眼鏡の下の目を怪しく光らせながら、ロングビルが問う。
まあ、そんなものです、とサララは答えた。
「でも羨ましいですわ。ミス・サララはマジックアイテムを
 たくさん持っていらっしゃるとか……」
別に魔法のかかった道具ばかりを持っているわけではないですよ、と笑う。
例えば、と言いながらサララは袋を漁る。
取り出したのは鉄で出来た扇だった。
護身用の武器ですが、上手く使うとたくさんの敵を相手に出来るので、
念のために持ってきたんです、といいながらそれを見せる。
「たくさんの敵、って? 敵はフーケ一人でしょ?」
ルイズがきょとん、として尋ねる。
土の魔法使いなんだから、ギーシュさんみたいに
たくさんゴーレムを作るかもしれないじゃないですか、と
サララは自分の考えを告げる。
「でも、フーケを倒しちゃえばおしまいじゃない」
それもそうだ、とサララは頭をかいた。
ダンジョンでは、敵を全員倒さなければ、戦いを終えられない。
なので、ついクセで持ってきてしまったのだ。
彼女の名誉のために行っておくが、彼女はけっして戦闘狂ではない。
ただ、目的のアイテムを手に入れるためであれば
巨大なタコだろうが人食い鰐だろうがドラゴンだろうと
倒すことに何ら躊躇しない、という商人としての性が
いささか強すぎるだけなのである。
「ねえねえ、他にも何か面白いもの入ってる?」
袋を勝手に探ろうとしたキュルケを、サララは慌てて止める。
強敵を相手にせねばならないことから、ある秘蔵のアイテムを
サララは持参していたのだ。
それをうっかり使われては、大変なことになる。
「えー、サララのケチ。減るもんじゃないし、いいでしょ?」
減るんですよ、ときっぱりと断る。
「まあまあ、皆さん、ケンカしないでくださいな。
 これから、あの土くれのフーケを相手になさるんでしょう?」
そうだった、と全員が改めて気をひきしめた。

鬱蒼とした森を徒歩で抜け、彼女達は開けた場所の近くに来た。
元は木こり小屋か何かだったらしい廃屋が空き地の真ん中にある。
「わたくしの情報では、フーケはあの中にいるという話です」
ロングビルが廃屋を指さして言った。
「なーんかあやしいなあ……。これって、なんだかあの時みたい」
チョコの呟きに、サララは首を傾げた。
「ほら、あの時だよ。黒い箱を持っていった仕事」
ああ、あの事件か、と思い出して納得する。
なるほど、確かにあの時のようにワナがあるかもしれない。
慎重に行動しなければならないだろう。
「誰か一人。すばしっこいのが偵察圏囮。ゴーレムを作れそうな
 土があったら逃げる。以上」
タバサが、淡々と作戦を説明した。
じゃあ私が行きます、とサララが手を挙げた。
その片手にはデルフリンガーを握っていた。
「頼む」
タバサがこくり、と頷いた。
一足跳びに、サララが小屋に近づいた。
「あら? サララったら、あんなに足が速かったかしら?」
キュルケが首を傾げた。
「あのブーツのおかげだよ。いだてんブーツって言って、
 履いてると身軽になるんだ」
「あのブーツがマジックアイテムなんですって、チョコが言ってるわ」
チョコの言葉を、ルイズが伝える。
「随分と便利な道具をお持ちですねえ、ミス・サララは……」
ロングビルが感心したように呟いた。
一方のサララは、背伸びをして中を覗いてみた。
あまりよくは見えないが、人の気配がないことだけは分かる。
中に誰もいませんよー、とサララは叫ぶ。
だからって叫ぶのは油断しすぎだ、とタバサは思ったが
面倒なのてあえてつっこむようなことはしなかった。
全員がサララの元に集い、小屋に入っていく。
そして手がかりがないか調べていたところ、
何とタバサがチェストの中から魔王の宝珠の入った箱を見つけ出した。
「あっけないわね」
ルイズがその箱を見つめた。
箱はそれほど大きくない。ルイズの顔より少し大きいくらいだろうか。
「ねえ、折角だから中身見てみましょうよ!
 学院に戻したらきっともう見られないんだから」
好奇心を刺激されたらしいキュルケがその箱をタバサから奪うと、
勝手に箱を開けてしまった。
その箱の中身を見たチョコが、目を丸くした。
「ねえ、サララ、これって、アレだよねえ……」
サララもそれを手に取って確認する。
薄紫色に輝く宝珠と台座。間違いない。
これは自分がよく知るあのアイテムだ。
何故、こんな所に? と首を傾げた。

「サララ、そのアイテムを知ってるの?」
ルイズの問いに、サララは首を縦に振った。
「まあ、では使い方もお分かりに?」
続けて尋ねたのはロングビルだ。いつの間にかその手に杖を握っている。
ええまあ、と言いながら再び箱にしまい、サララが持参した袋に入れる。
「フーケが戻る前に、ここから出ましょう」
ロングビルの言葉に頷いて、全員が小屋から出た。
「さて、それではその箱を渡していただけますか?」
でも私が持っていた方がいいんじゃ、という言葉にルイズが眉をしかめた。
「あのねえ、ミス・ロングビルは学院長の秘書なのよ?
 彼女が持っていた方がいいに決まってるじゃない。ほら、袋貸して」
ルイズはサララから袋を奪うと、中に入っていた箱を取り出す。
そして、それをロングビルに手渡した。
「はい、では確かに。ところで、これはどう使うのです?」
ロングビルに尋ねられて、サララは答える。
ただ手に持って祈るだけでいい、と。
「そうですか、分かりました。それでは……」
ロングビルがルーンを唱える。
地響きが起き、たちまち巨大なゴーレムが現れた。
「さようなら、みなさん」
その肩に飛び乗ると、ロングビルは眼鏡を外し、笑った。
優しそうな目が吊り上がり、猛禽類のような表情に変わる。
「え……! まさか!」
「ミス・ロングビルが……」
「土くれの、フーケ?」
少女達が驚いて声を上げる。特にルイズは顔が真っ青だ。
タバサが真っ先に戦闘態勢に入った。
手にした自分よりも大きな杖を振り、呪文を唱える。
巨大な竜巻が巻き上がり、ゴーレムがぶつかっていく。
しかし、ゴーレムはびくともしない。
キュルケが胸から杖を引き抜き、呪文を唱える。
杖の先から出た炎が、ゴーレムを包む。
火炎で包まれても、ゴーレムは平然としている。
「無理よあんなの!」
キュルケが叫んだ。
「退却」
タバサが呟いた。ぴゅう、と口笛を吹く。
後をつけていたのだろう。シルフィードが彼らの下へ飛んでくる。
「乗って」
キュルケが乗り込んだが、そこでゴーレムが豪腕を振るった。
仕方なく、シルフィードが一旦その場を離れる。
ゴーレムに相対するように、ルイズとサララとチョコが残った。
逃げましょう、とサララはルイズの手を引く。
だが、ルイズはその手を振り払った。

「何すんだよ! 早く逃げないと危ないじゃないか!」
チョコの言葉に、ルイズは首を横に振った。
そして、声を絞り出すようにして、叫ぶ。
「嫌よ! あいつを捕まえれば、誰ももう、私をゼロとは呼ばないでしょ!」
その目は、涙で潤んでいた。
「私が、騙されて、宝物渡しちゃったんだもの!
 私が、捕まえないと、ダメなのよ!」
呪文を唱えて、ゴーレムを爆発させようとする。
だが表面が爆発するばかりで、あまり効果はないようだ。
「それに、サララだって、逃げなかったじゃない。
 魔法が使えないことから逃げなかったじゃない!
 だから、サララのパートナーの私も、逃げちゃだめなの!」
それでも、ルイズは呪文を唱え続ける。
その姿を見ながら、サララは言葉を失っていた。
「魔法が使えるものを、貴族と呼ぶんじゃないわ!
 敵に後ろを見せないものを、貴族と呼ぶのよ!」
ああ、ルイズは弱い。けれど、強い。
だったら、傷つけさせるわけにはいかない。
サララはそう感じた。
ごめんなさい、ちょっと引っ込んでてくださいね、と
言いながらデルフリンガーを袋の中にしまいこむ。
「え? 出番なし? あんだけ苦労したのに?」
デルフリンガーの苦情を聞き流しながら、サララは目的の武器を取り出した。
それは巨大な斧だった。彼女はそれを両手でしっかと握り締める。
ルイズの前に立ち、ゴーレムを睨む。
「ちょっと、サララ何をして……」
私は、ルイズさんのパートナー、……『使い魔』ですから。
『使い魔』は、主を守るもの。そうでしょう?と告げた。
サララはにっこりと笑うと、ゴーレムに向かって駆け出した。



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