あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのロリカード-15



「あれがそうですよ」
「あ~あ、安置されてるんじゃお宝もくそもないわね~」
キュルケら一行はシエスタの家から寺院が目視で確認できるところまで歩いていた。

 タルブの村に到着し、シエスタを訪ね事情を話す。すると『竜の羽衣』は呆気なく見つかることとなった。
『竜の羽衣』はシエスタの曾祖父の物だそうで、村の近くに立てられた寺院に飾られているらしい。
そのまま帰るのも難だったので、とりあえず見るだけ見て帰るという話になった。


 寺院の中に入ると竜とは似ても似つかない金属の塊があった。大きさはかなりのもので固定化の魔法がかかっている。
「なにこれ?」
キュルケが浮かび上がった疑問の言葉をそのまま呟く。キュルケだけではなくただの一人を除いて全員が疑問に思った。
そのただの一人であるアーカードだけは驚きの表情の後に笑みを浮かべた。

「む、誰かいるのかね?」
寺院の奥の方の陰になってる方向から人影が近付いてくる、顔が見えた瞬間全員が驚いた。
「コ・・・コルベール先生ッ!?」
いち早くギーシュが見知った顔の人物の名を叫んだ。
「き・・・君達、何をやっているのかね?」
「それはこっちの台詞ですわ、ミスタ・コルベール」
素直に答えてはマズいと思い、咄嗟にキュルケは問い返す。


「私は研究だよ、ミス・ツェルプストー。この『竜の羽衣』の所在を知ったので是非とも調べたいと思ってね、勿論休暇も貰っている」
コルベールは答えたあと、眉間に皺を寄せながら再度問う。
「それで、君達はなんでここにいるのかね。授業は一体どうしたのだ」
そう言ったあと、コルベールは全員を見ながら誰がいるのかを確認する。
「いやぁ~・・・その~・・・」
ギーシュが口ごもる、キュルケはなんて言い訳をしたらいいか必死に考え、ルイズはバツが悪そうに目をそむけていた。
タバサはいつも通りで、アーカードはぺたぺたと『竜の羽衣』を触っていた。

「なるほどなるほど・・・・クク・・クックック、くはッはははははッ!」
突然アーカードが笑い出す、アーカードがこうまで感情を顕にして笑うのは珍しい。
コルベールも含め、思わず全員がアーカードを注視した。

「どうしたい、相棒」
デルフリンガーが鞘から顔を出しアーカードに聞いた。目尻に溜まった涙を指で拭いながらアーカードは口を開く。

「ははっ、いやなに。『これ』がここにあるとは思わなくてな」
アーカードがポンポンと『竜の羽衣』を叩く。それに呼応するかのように左手のルーンも光っていた。
「ミス・アーカード・・・これを知っているのかね?」
コルベールの言葉にアーカードはギラっと笑って答える。
「ああ、知っている。これは私がいた世界のモノだ。SR-71、ブラックバードと言われた超音速高高度偵察機。そうだな・・・クク、私にとってはこれもある意味『武器』に違いない」


 コルベールは頭だけでなく瞳も輝かせた。アーカードの世界の産物をと聞いて、驚きつつも興奮が抑え切れていない様子である。
ルイズとキュルケは改めて『竜の羽衣』を見る、破壊の杖よりも遥かに大きくそれ以上に用途がわからない。
アーカードのいた世界とは一体どんなところなのか、そもそもなんでこんなところにあるのか、ハルケギニアでは見られないその塊を見つめる。
タバサも知的好奇心が多少なりと疼いたのか、『竜の羽衣』を興味深そうに見つめていた。
一方、事情が全く飲み込めていないギーシュとシエスタは、アーカードがいた世界のモノと言われても意味がわからずただポカンとしていた。

「なんと!おお・・・これは君の世界のモノなのか!」
そう言うとコルベールは我を忘れて再度『竜の羽衣』を観察し始める。
そのコルベールの様子を見て、キュルケは言及を回避できたとほっとしつつ口を開く。
「それで、アーカードの世界ではこんなもん何に使うわけ?」

「言ったろう、偵察機だ。これで高高度を超音速で飛行して地表を撮影したりする」
「ほほお!これが飛ぶのかね!?」
コルベールが興奮しながら叫ぶ。飛ぶと言われてキュルケ達も凝視し始める。
ハルケギニアの住人である彼女達には、当然目の前の金属の塊が飛行するなんて到底信じられない。


「シエスタ、曾祖父の遺品とかはあるか?」
「あっ・・・はい、ありますよ」
「少し見せて欲しい」




 シエスタの曾祖父はアーカードが元いた世界の日本人であった。
アーカードとシエスタの最初の出会い、血を少し飲んだ時に感じた違和感の正体はそれであった。
自分が吸った命の中には日本人も含まれている、それ故に感じたほんのわずかな差異。

 シエスタの曾祖父が残した遺書には英語と日本語の二言語で書かれていた。
日本人だがアメリカで訓練し、SR-71に乗っていたということ。しかしテスト飛行中にいつの間にかこの世界に迷い込んでしまっていた。
複座型である為、当然パイロットと偵察機器操作担当がいて、シエスタの曾祖父は後者であった。
なんとか草原に不時着するものの、たった二人でSR-71を動かすことは到底不可能である。

 二人の異邦人は、言語や文化の違いに四苦八苦しながらも暮らし始める。しかしパイロットの方のアメリカ人は帰る為の情報を収集すると言って旅立った。
一方シエスタの曾祖父はタルブの村に住むことを決め、必死に働いてお金を稼いでSR-71に固定化をかけたのだ。
アメリカ人の方はタルブへと帰ってくることはなく、一人待ち続けながらもシエスタの曾祖父はその人生を終えることとなった。
そしてもし自分の残した遺書を読める者が現れたら、SR-71を譲り渡すという遺言を残したという。
遺書の他にも、丁寧に描かれた手書きの図面や操作方法などの様々な資料が残されていた。


「異世界の住人だったとはなぁ、なるほど僕が負けるわけだ」
「いやアンタが弱過ぎただけよ」
キュルケの容赦のないツッコミにギーシュは言い返せず呻く、キュルケの実力は今回の宝探しで嫌になるほど実感した。
キュルケと特にタバサは同期の中でも飛び抜けた実力を持っている、魔法だけでなく戦術にも長けていた。


「・・・私のひいおじいちゃん、アーカードさんの世界の人だったんですねぇ」
しみじみとシエスタが呟く、横でコルベールが口を開いた。
「それでこの『竜の羽衣』はどうするのかね?」
遺書を読んだものにこれを譲渡するとの遺言である、つまりその権利はアーカードにあった。


「とっても大きいし管理も大変ですし、何よりもひいおじいちゃんの意思です。アーカードさんが貰ってくれていいと思いますよ」
シエスタにそう言われるも、アーカードは考える。
「ん~む・・・、そうは言われても使う予定もなければ置く場所もない。こんなもの貰っても困りものだ」
「ならば!」
コルベールが嬉々とした表情で叫ぶ。すぐにはっとして咳払いをしてから、コルベールは再度口を開いた。

「これほどのものを譲渡してくれると言うんだ。素直に貰ったほうがいいと私は思うんだが・・・。
 ・・・いや、正直に言おう。是非とも私が研究したい。場所は学院長に言ってなんとかしてもらおう、運搬も管理も全て私が請け負う。
 だからその、ミス・アーカード。この通り!『竜の羽衣』を譲り受けてもらえないだろうか!」
頭を下げて懇願するコルベールを見て、アーカードは再度思考する。


「いいんじゃない?コルベール先生が全部責任持ってくれるって言うし」
ルイズがアーカードに言う。腕を組んで右手の人差し指をトントンと叩きながらアーカードは考える。

 『ガンダールヴ』が教えてくれる。おかげで残された資料を見ずとも整備方法は完璧にわかるし、現在の状態を見るにSR-71は動かせないことはない。
当然一度乗ってるから操縦法はわかっていた、それでなくとも『ガンダールヴ』の能力で操縦できる。
固定化がかけられた与圧服も二着残されていたが、吸血鬼の頑強な体には特に必要ない。

 シエスタの曾祖父らはSR-71から漏れ出す残りの燃料を予め別途保存し、そちらにも化学変化が起きないように固定化をかけていた。
しかしお金を稼いで固定化をかけるまでにある程度時間が経過していたようで、かなり劣化していたのである。
仮に使用できても長時間飛行するには心許ない残量であった。偵察機器を使っても現像する手段もない。


 つまるところ使い道のないデカブツなのだ。
シエスタの曾祖父は、自分たちの世界からハルケギニアにやってきた者の為にこれを残し、譲り渡すという意思を伝えた。
だのにコルベールの研究心を満たす為に譲り受けるのは、曾祖父の本意とは違うだろう。

 とは言っても、燃料が少ない上に劣化している。資料が残されてるとはいえSR-71を動かすなんて素人が出来るわけがない。
また一応SR-71内にしまわれているようだが、一度使用されたパラシュートは着陸の際の再度使用には信頼性に欠ける。
そもそも現在SR-71は退役している、まともに動かせる人材がたまたまこれを見つける可能性など限りなく低い。
なればシエスタも管理が面倒と言っていることだし、譲り受けるのもよいのかもしれない。


 アーカードが思考を巡らせている中、キュルケが何かを思いついた表情を見せる。
次にニヤ~っと笑うとアーカードに近付き耳打ちしてきた。アーカードは聞きながらうんうんと頷く。
「コルベール」
考えを決めたアーカードはコルベールの名を呼ぶ。コルベールは頭髪の寂しい頭を上げアーカードを見る。

「実は我々は授業をサボって宝探しをしていた、このまま帰れば恐らく叱られることになるだろう。
 まぁ私には直接関係のない話なのだが・・・。とりあえずその際にフォローをして欲しい、とのことだ」
突然のカミングアウトと持ちかけられた取引に、コルベールの顔が葛藤で歪む。

 コルベールは少しの間考え、そして決めた。
「・・・・・・わかりました、私の方から学院の方に言っておきましょう。恐らくこのまま帰ればあなた達には相応の罰が待っているでしょうしね」
コルベールのその受諾の言葉に、やった!とキュルケが小さくガッツポーズをする。
ギーシュとルイズもほっとした顔になる、タバサは相変わらず表情が読めなかった。


「ただし!今この場であなた達にお説教をします。私は教師です、宝探しなどという動機で授業をサボタージュした生徒を黙認することなどできません」
「そんな!」
キュルケが抗議の声をあげようとするも、コルベールは遮った。
「取引の内容は、『竜の羽衣』の研究と学院への弁解です。私個人が教師としてあなた方を叱るのは含まれていません」
「ぐっ・・・」
キュルケは言葉に詰まりさきの会話の内容を思い出す、・・・やられた。

「諦めなさいキュルケ。悪いのは私達なんだから、この場で叱られるくらい当然よ」
そうルイズが口を開く。ギーシュもそれに続き、タバサも無言でキュルケを促した。
さすがにキュルケも諦めたのか、四人は立ったままコルベールの説教を黙って聞き始めた。


 そんな様子にアーカードは声に出さず笑いながらSR-71へと飛び乗る。はしっこに腰掛け、足を組んでふんぞり返る。
長くなりそうな説教に、シエスタは夕食の準備をしてきますと言って家に戻って行った。
普段から温厚で滅多に叱ることのないコルベールの説教は陽が落ちるまで続き、四人はもう二度とコルベールに叱られることはしないと心に誓った。




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