あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

スナイピング ゼロ-03


 その轟音は、トリステイン魔法学園の全体に響きわたった。精神力の流入によって爆発した石コロが、目の前に立っていた
ルイズとシュブルーズを凄まじい勢いで黒板に叩き付けた。
 さらに無数の破片となった石コロが、辺り一面に飛び散った。生徒達は机の下に隠れていたので無事であったが、立っていた
セラスはモロにジャストヒット。まるで巨大な狼に正面から体当たりされたかのように吹っ飛ばされ、後ろの壁に叩き付けられた。

「だから言ったのよ、ルイズにやらせるなって!」
「もう、ヴァリエールは退学にしろよ!」
「僕のラッキーが蛇に喰われた、ラッキーが!」
 教室が阿鼻叫喚と化している中、セラスは立ち上がった。目の前の状況に頭が追いつかず、周りを見つめる事しか出来ない。
頭や口から血を流しながら、使い魔達が暴れている姿をただ呆然と見ていた。

「何が起きたんですか・・・何が起きてるんですか・・・何なんですかこれ!?」 
 困惑しながらも、ルイズを確認しようと前を見た。教師が倒れて痙攣しているが、死んではいないようだ。
その横で、むくりとルイズが立ち上がった。まるで化学の実験に失敗したかのように、全身が煤と埃で真っ黒になっている。
髪がアフロになっていないのが、せめてもの救いだ。

「ちょっと失敗したみたいね」
 当然だが、周りの生徒から怒りの声が上がった。

「何が『ちょっと』だ、完全な失敗だろ!」
「成功の確率『0』だってこと、分かってるでしょ!」

 この時になって、セラスは『ルイズがゼロと呼ばれていること』『魔法が使えないこと』を知った。 


 散かった教室は、昼食の時間までに全て片付いた。他の生徒が退室したのを確認し、セラスが一人で清掃した。

それを見たルイズは、危うく気絶しかけた。使い魔の左腕が蝙蝠の羽のように変化し、壊れた机や椅子などに覆い被さる。
そして小石を素手で握り取るかのように掴むと、異様な音が部屋に響き始めた。

「なに・・・この音? セラス、あなた何してるの!?」
「このままだとダメかな~と思ったんで、圧縮してます」
 木の枝を力任せに折り曲げるかのような音、それは羽の中から響いていた。そのままセラスは出入り口まで移動すると、
羽を開いた。出てきたのは球体と化した残骸の塊、奇抜な芸術品のような物が完成した。

「後はゴミ置場へ持って行くだけですけど、どうしますマスター?」
「え? あぁ、良いわよ別に。もうすぐ昼食だから、そのまま置いときましょ」
「ヤー」
 片付けを終えると、教室を出た。食堂への道すがら、ルイズは先の事に付いて喋りだす。

「セラスって凄いわ、あんな事まで出来ちゃうのね! ハルケギニアの吸血鬼だって、とてもマネ出来ないわ! 」
「え、この世界にも吸血鬼っているんですか!?」
「いるわよ。力が強くて生命力が高く、先住魔法が使えて、相手の血を吸って屍人鬼にして操ったりするの。セラスは?」
「魔法を使う点を除けば、ほぼ同じですね。後は銃弾を避けたり、喰らっても死ななかったり・・・」

 吸血鬼の話に華を咲かせながら、食堂へと向かった。そして入り口を前にして、セラスは足を止める。
「マスター、これから医務室に向かいたんですけど・・・良いですか?」
「医務室って、一緒に召喚された人の見舞いとか?」
「はい、そろそろ目を覚ますと思うんで。様子見しておこうかと」
「分かったわ、午後の授業までには教室に戻って来てね」
「分かりました、では行って来ます」

 そう言って、セラスは駆け出して行く。ふうっと息を吐き、ルイズは喧騒で騒がしい食堂へと入った。





始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』かもしれない、と言う訳じゃな」

 昼食の時間を過ぎても、コルベールはオスマンに説明し続けていた。
春の使い魔召喚で、吸血鬼の少女が召喚されたこと。契約の際に少女の右手に浮かんだルーンが気になり、調べてみたこと。
 その結果、分かった事実が・・・。

「はい、あの少女の右手に浮かんだルーンは伝説の使い魔『ガンダールヴ」に刻まれていたモノと酷似しているんです!
 図書室で分かった時はビックリして、髪が2~3本抜けたほどで」
「まぁ君のアデランス的な状況はどうでも良いとして、結論は?」
「あの少女は『ガンダールヴ』である可能性が極めて高いと言えます。これは大事ですよ、オールド・オスマン!」
 禿頭に浮かぶ汗を撒き散らしながら、コルベールは力説する。オスマンは露骨に嫌な顔をしたが、コルベールは気付かない。
「確かに、良く似ておるな。しかし、吸血鬼が『ガンダールヴ』になってしまうとはな・・・」
 オスマンは頭を抱えた。ただでさえ強大な先住魔法を操る吸血鬼が、伝説の使い魔となってしまったのだ。本気を出せば
国の一つ二つ、楽に滅ぼせるのではなかろうか・・・。

「彼女に聞いた所、大陸や国の名前に聞き覚えが無いそうです。恐らくは、ロバ・アル・カエリエの出身ではないかと思われます」
「なるほどな・・・じゃが、それだけでは断定するには至らんな。それに、コレではな・・・」
 オスマンが指差したのは、テーブルに置かれた紙切れ。そこには、ガンダールヴのルーンが『半分だけ』書かれている。
右側の『ールヴ』のみで、左側の『ガンダ』に当たる部分が書かれていない。
「これには私も頭を捻りました。なぜ半分だけしかルーンが刻まれなかったのか、残りの半分はどうなったのか。今の所、
 原因は分かっていません」
「一人に半分と言う事は、もう一人に残りの半分が刻まれるのが妥当じゃな・・・ミス・ヴァリエールが召喚したのは
 一人だけかね? 実はまだ一人いました、なんてことは?」
「あ」
「いるのかよww」
 コルベールの胸に、即座にツッコミを入れるオスマン。なるほど、良いツッコミだ。(MGSのスネーク風に)

「実は、他にも召喚された者がいまして。気絶していたため今は医務室に寝かせていますが・・・まさか!?」
「恐らくはな。その人物とは、まだコントラクト・サーヴァントは実施しておらんのだね」
「実施したのは吸血鬼のミス・セラスのみで、そちらの方とはまだ・・・」




「失礼しま~す」

 医務室の入り口に立ったセラスは、顔を覗かせて中の様子を確認する。部屋には係りの教師などはおらず、ガランとしていた。
誰もいない事を確認すると、足音を殺して真っ直ぐに奥のベットへと進む。そこには運び入れた時と全く変わりなく、召喚
されたもう一人の使い魔が眠っていた。近くに置いてある椅子を手繰り寄せ、音を出さないようゆっくりと座る。
 見た所、顔色は良い。怪我などは無く、外見に不審な点は見当たらない。スースーと、安らかに寝息をたてている。

(この人も私と同じ世界から召喚されたんだろうな、起きたらマスターと一緒に召喚された事を説明しないとなぁ・・・。
 元の世界に戻れないって知ったら、きっと落ち込むだろうな・・・・・・あれ?)
 相手の顔を覗き込んでいた時、ある事に気付いた。胸元の辺りから、覚えの有る香りがしたからだ。胸元に鼻を寄せ、
匂いを嗅いでみる。それは、自分もよく知った臭い。

「これって・・・火薬の臭い?」
 その時、廊下から誰かが走って来る音が響いてきた。そして、勢いよくドアが開かれる。
「ここに居たんですかセラスさん、大変ですよ!」
 入ってきたのはシエスタだ。荒く呼吸しているため、かなり急いで来たのだろう。

「シャーリー・メディスンさん! どうしたんですか、一体?」
「シエスタです! て言うか誰ですか、シャーリー・メディスンって!?」
「そうでした、すいません。で、何かあったんですかシエスタさん?」
 シエスタは何度か深呼吸して息を整えると、人が眠っているのにも関わらず大声で喋り始めた。
「ミス・ヴァリエールが、ミスタ・グラモンと決闘をすることになってしまって・・・ヴェストリの広場に」
「決闘!? マスターがですか?!」
 当然の緊急事態に、セラスの脳内がパニックに陥る。シエスタの言った言葉を、脳内でスロー再生した。


決闘・・・ってアレだよね、二人の人間が同一の条件の元で生死を賭けて戦うってやつ。果たし合いとも言われてるんだっけ、
 wikiではそんな風に書いてたような・・・と言うか、何故に決闘?)

「でも、確かルイズさんて魔法が使えないんじゃ?」
「そうなんです、なのに魔法が使える相手に決闘を挑んでしまって。殺されてしまうかもしれないのに・・・」
 半泣きの状態で慌てふためくシエスタに、セラスは事の重大さを理解する。魔法NGマスターVS魔法OKグラモン
 =人間VS吸血鬼、セラス覚えた!
「分かりました、すぐに現場に向かいます! すいませんけどシエスタさんは、部屋に残っててください!」

 そう言うと、セラスは窓から飛び降りた。いきなりの事に、シエスタは呼び止める暇も無い。
 「セラスさん!?」
 慌てて窓の外を見て、シエスタは目を丸くした。地面に着地したセラスは足を痛めた様子が無く、もの凄いスピードで
走って行ったのだ。窓から地面まで10メイル以上、魔法を使った様子は、全く無い。
「そんな・・・一体、どうやって?」
 シエスタは頭を両手で抱え、どうやって着地したのか考え始めたのだった。


魔法学園を構成する五つの塔の二つ、火と風の間にある中庭。そこは西側にあり、日中でもあまり日が差さない。そのために
人通りは少ないため、決闘を行うには最適と言える場所。
 そして今は決闘を見守る生徒達が群れと化し、二人の生徒を円形状に取り囲んでいた。一人は二体のゴーレムを護衛にし、もう
一人の生徒は方膝をついている。

「ゼロにしてはよく戦った方だよ、ルイズ」
 薔薇の杖を弄びながら、ギーシュはキザっぽい笑みを浮かべた。二人の間には破壊されたゴーレムが一体、ルイズの爆破によって
倒れている。だが目の前には、まだ二体も残っている。しかもギーシュの持つ杖には花が四枚、四体のゴーレムを作る余裕が有る。

「もはや君が負けるのは明らかだ、いい加減に諦めたらどうかね?」
「あきらめろ? あきらめろですって? アンタらしい言い草だわ、人に責任を押し付けるようなアンタにはね」
 額から血を流し息が途切れつつも、ルイズは立ち上がった。杖を右手に強く握り締め、相手を強く睨みつける。
口元からも血を流しながら、腹の底から声を振り絞る。

「アンタなんか餓鬼よ、生まれた時から何一つ変わってない格好つけの餓鬼よ。ゼロを舐めるんじゃないわよ、糞餓鬼め。
 来なさいよ、闘ってあげるから」
 それを聞いたギーシュは、呆気にとられた顔をした。だが、すぐに何時もの表情に戻ると大声で笑す。てっきり激怒するかと
思っていた生徒達は、突然の事態に困惑する。ひとしきり笑った後、ギーシュは杖を振って二体のゴーレムを身構えさせる。
                                           ・・・・・・  ・・・・・
「聞いたかいモンモランシー、聞いたかい皆? 血を流して何体ものワルキューレを前にして『かかってこい』『闘ってやる』
 だってさ。・・・・・・まずは褒めよう、ゼロのルイズ。そこまでしても僕に楯突いている事に、素直に感激するよ」
 近くにいたモンモランシーに顔を向け、楽しそうに声を掛けた。キュルケやタバサにも、その声はハッキリと聞こえた。
「良く頑張ったよルイズ、そしてサヨナラだ」
 杖を天高く振り上げると、ゴーレムは腰を屈めて姿勢を低くした。武器を地面と平行に構え、真っ直ぐルイズに向けた。
「君は僕の事を、糞餓鬼と言った。生きて広場から出られると思わないことだね・・・覚悟しろ、ゼロ!!」

「失礼しますオールド・オスマン、問題が起こりました」
 ドアがノックされ、秘書のミス・ロングビルが入ってきた。急いでやって来たのか、額には汗が滲んでいる。
「どうしたんじゃね、問題とは?」
「ヴェストリの広場で決闘をしてる生徒がいて、大騒ぎになっています。何人かの教師が止めようとしてるのですが、邪魔されて
 止めらません」
「暇を持て余した貴族こそ、最も性質の悪い生き物じゃな。で、誰が暴れておるんだね?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「あのグラモンとこの四男坊か。父親も色の道では豪の者じゃが、しっかり息子に受け継がれとるな。おおかた、女の子の
 取り合いじゃろう。で、相手は誰かね?」
「ミス・ヴァリエールです」
「か、彼女がですか!?」
 コルベールが大声をあげた。理由は一つ、ルイズは魔法が使えないからだ。魔法が駄目な貴族など平民と同じ、
力の差は歴然としている。急いで現場に向かおうとしたコルベールを、ロングビルの言葉が引き止めた。

「ですが、途中からミス・ヴァリエールの使い魔の少女が代役を務めたようです。教師達は『眠りの鐘』の使用許可を
 求めていますが・・・どういたしますか?」

 オスマンはコルベールと顔を合わせた。相手は吸血鬼、しかもガンダールヴである可能性が有る。ここで闘い方を見れば、
真偽の程を見極められるかもしれない。
「いや、秘宝を使う必要は無い、放っておきなさい」
「分かりました、では失礼します」
 頭を下げると、ミス・ロングルビルは部屋を出た。去っていく足音を確認すると、オスマンは杖を振るった。壁にかけられた
大きな鏡に、ヴェストリの広場が映し出された。

二体のワルキューレが空を飛び、キュルケとタバサ、そして周りの生徒達から悲鳴があがった。
現れたのはルイズの使い魔、セラス・ヴィクトリア。仁王立ちで、鋭い眼光をギーシュを突きつける。

「セラス・・・貴女、なんでここに!?」
「シエスタさんから『マスターがピンチだ』って聞いたんで、助けに来ました」
 突然の事に、ルイズは困惑していた。いきなり使い魔が走って来たかと思ったら、二体のワルキューレを
『横合いから思い切り殴りつけ』たのだから。双方との壁に叩きつけられ、無数の破片と化してた。

「闘うか謝るか二つに一つみたいですけど・・・どうします、マスター?」
「どうするですって? そんなの、答えは決まってるじゃない!」
 頬に付着した血を拭い、ニヤリと笑みを浮かべた。血が混じった唾液を吐き出し、迷いの無い声で命じる。
「命令は唯ひとつ、ギーシュを倒しなさい! でも殺しちゃ駄目よ、面倒な事になるから」
「認識しました、マイマスター」

 使い魔が主人の代行を務めると言う状況に、ギーシュは困っていた。暴言を吐いたルイズを懲らしめようとしたら、
『ちっちちっちおっぱいぼいんぼいん♪』な平民が出て来たのだから。
 レディーを敬う者として決闘を中止しようとも考えたが、すでにルイズは平民に命じてしまっている。
それにモンモランシーや他の生徒が見ている手前、自分から身を引くことも出来ない。

「使い魔君、本当に良いのかね? いくら僕がレディーに優しいと言っても、決闘を中断する事は出来ないんだが」
「心配いりませんよ、私これでも吸k・・・急な事にも臨機応変に対応出来ますんで」
「・・・分かったよ、それなら手加減は無用だね。殺したりはしないけど、医務室の世話になってもらうよ」
 薔薇の杖を振るって残りの花が舞い、即座に四体のワルキューレが現す。それぞれ盾・短剣・剣・槍で武装している。
隣との距離を開けて、横一列で前進を始めた。

「悪いけど、一気にケリを着けさせてもらうよ。恋人の前で少女を傷付ける所は、あまり見せたくないんでね」



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