あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのトモダチ

『お聞きください この割れんばかりの歓声!
 ハルケギニア史上初となる トリステイン-アルビオンの親善試合
 国立トリステインスタジアムは熱狂で満ち溢れております!

 それもそのハズ! 今日 スタジアムには我等の小さな女神が戻ってきたのです!!

 背番号10 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!!』

スタジアムの熱気を全身に浴びながら、桃色髪の少女がフィールドを駆ける。
小さな体躯を懸命に動かし、稲妻のようなスピードで突き進む。

(このフィールドに 私は戻って来た・・・)

「えっ」
「なにィ!?」

『ああーっとォ!? これは ルイズ選手の18番・イリュージョンフェイント!!
 アルビオンのディフェンスラインを華麗に抜き去り 早くもキーパーと1対1・・・

 いや違う! アルビオン司令塔・ワルド選手が立ちはだかります
 レコン=キスタから投降し フィールドプレイヤーへと転向したアルビオンのエースが この位置まで下がっていた!!』

「私は勝つ! ここで勝って そしてアイツに・・・」
「甘いぞォ ルイズ!!」

ワルドの叫びと同時にその姿が僅かに揺らぎ、直後、五人のワルドがルイズへと襲い掛かる。

「偏在スライディング部隊だあぁ~!!」
「・・・ッ! キャアアア!!」

逃げ場のない5人がかりのスライディングが牙を剥き、小柄なルイズの体を大きく吹き飛ばす。

「ルイズ! いくら君が伝説の虚無-サッカーの申し子だからといって
 たったひとりでアルビオンの牙城を崩せると思うなよ!」

「・・・まだまだ これからよ!」

『この場面は少し強引過ぎたか?
 ボールはアルビオンへ ワルド選手自身が上がっていきます!!』

かつてのハルケギニアには存在しなかった究極のスポーツ、
そして、トッププレイヤーが魅せる空前の名勝負に、スタジアムの熱気は最高潮へと達した。


「本当に素晴らしい勝負だ!
 いやあ 方々に骨を折ってこの試合を組んだ甲斐もあったというものだ」

周囲の熱狂を受け、アルビオン皇太子・ウェールズが立ち上がる。
発する言葉は熱を帯び、徐々に早口になっていく。
一国の代表という立場も忘れ、彼の心は少年時代のそれへと帰っていた。

一方、隣の席に座るトリシテイン王女・アンリエッタは、一言も発しない。
ただ、どこか遠い目をしながら、ひたすらにボールの行方を追っている。

「・・・どうなされました 王女? 何か心配事でも」
「いえ・・・ ただ 私は大きな過ちを犯したしまった、と」
「・・・?」


―1年前―


碌に魔法を使えず、『ゼロのルイズ』と揶揄されていた少女が召喚した使い魔は
みすぼらしい格好をした平民の少年であった。

初めは自らの未熟さを呪い、少年を呪った彼女であったが
やがて、彼がこっそりとしていた奇妙な球遊びに徐々に興味を持つようになった。
彼女は学園で初めての『トモダチ』と出会い、少年に、そしてサッカーの魅力に惹かれていった。

『トリステインのゴールデンコンビ』の名が国中に広がり始めた頃には
彼女は既に、『トモダチ』を触媒とした、幾つかの虚無の力に目覚め始めていた。

トリステインの貴族達は、少女の力を軍事的に利用するべきであると主張した。
アンリエッタは、友を道具として利用する事に迷いながらも、それを是とした。
家臣団をまとめるため、他に選択は無かったし、それこそがトリステインの未来に繋がると信じていた。

少女が命令を受け入れた時、少年は姿を消し、少女は『虚無』を失った・・・。



「何故 少年がルイズの元を去り 彼女が力を失ってしまったのか・・・ 今なら分かります
 ルイズの力は国を救うためのものではなく 人々の心を救うためのもの
 この人々の熱狂が それを証明しています。
 私は自分勝手なエゴのために 彼女の大切な友人を奪ってしまった・・・」

「だが 全てが遅かったわけではないでしょう
 サッカーとの出会いは 私の運命 そして 今やアルビオンの重臣となったワルドの運命をも大きく変えてしまった
 サッカーを世に広げるため この試合の実現に向け 貴方がどれ程心を砕いてきたか 私は知っています」

「ウェールズ様・・・」

「見届けましょう
 彼女たちの情熱が この試合の結末が ハルケギニアに何をもたらしてくれるのかを!」


『これはスゴイ! ワルド選手 これで8人抜きだあああ~!!
 時に稲妻の如く 時には疾風の如くトリステイン陣を切り裂いていく!!
 そして! ついにキーパーと1対1ッ!!』

「コイツで決める! 受けてみろッ この必殺の一撃を!!」

ワルドが右足を大きく振り上げる。
大気の異常な流れが、グラウンドにほどばしる静電気が、次に放たれる一撃の威力を予感させる。

「ウィンドブレイクショオォォットッ!!」

『で、で、で、出たァァァー!? 成功率100%を誇る ワルド選手のウィンドブレイクショット!!
 唸りを上げて トリステインGK・ギーシュ君に襲い掛かります!!』

(猛烈な疾風を纏ったW.B.S・・・ ただ待ち構えていては ボール触れることもできずに吹き飛ばされてしまう)
「これだああああああああああ!!」

『ああーッと!? ギーシュ君のこれは・・・ 錬金!?
 ギーシュ君 ワルキューレ7体分のブロンズアーマーを全身に纏って踏みとどまったーッ!?』

「体のどこかに当たってくれえええッ!!」
超重量と逆風の中、全身でボールの軌道を塞ぎに飛び込むギーシュ。

「甘いぞォ!! そんな小細工で 俺のW.B.Sが防げると思うな!」

『ギーシュ君ボールをキャッ・・・ ああ!? アーマーがブッ飛んだ!?
 猛烈なシュートの威力が両腕を弾き ボールが顔面を直撃ッ!!
 そのままギーシュ君の体ごと ゴールネットに吸い込まれていくゥ~!?』

「ぐおおおおおおッ!!」

  ガンッ !!

『いや・・・ 止めた!? 止めましたッ!!
 ギーシュ君 両腕でゴールバーを掴んで踏みとどまったァ!!
 文字通り体を張ったスーパープレイで ゴールを守り抜きました!!』

「な なにィ!!」

必死にボールに覆いかぶさりながら、ギーシュはその場へと崩れ落ちる。

「大丈夫!? ギーシュ!? ここは一度外へ・・・」
あまりの惨劇に、その場に駆け寄ろうとするDF陣を、ギーシュ自身が手で制する。

「へ・・・ 平気さ 
 ボールは・・・ トモダチだからね!」

(そう言えば それを教わったのはアイツとの決闘の時だったな
 この試合 アイツも何処かで見てるんだろうか・・・)

「さあ行くぞ! 反撃開始だッ!!」
溌剌とした表情で、ギーシュが天高くボールを蹴り上げた。


『なんという荒々しいドリブル! パスを受け取ったキュルケ選手
 強引に中盤を突破していく』

体を張ったプレイの連続に観衆が再び沸き立つ。
フィールドを駆けるキュルケの瞳が静かに燃える。

(まったく あんなプレイを見せられちゃあ こっちも熱くならざるをえないじゃない!)
「やってやるわよ! タバサ 準備はいい!?」

「・・・・・・」
キュルケの合図を受けタバサの瞳がキラリと光る。

『ここはタバサ選手へのパス・・・ではない?
 ボールは二人の中間に転がり・・・ え!? 早くもシュートの体勢か!?』

「「いっけええええええええ!!!」」
 鏡合わせとなった二人の蹴り足が同時にボールを捉え、前方に一直線に弾き出す。

『これは何とッ 超ロングシュート!!
 キュルケ選手のファイアーショットと タバサ選手のハンマーショットが同時に炸裂!?
 ヘキサゴンスペルクラスの強烈なツインシュートが飛び出したァァァ!!』

「馬鹿な!? どんなに強烈とはいえ
 センターサークルから放ったシュートが決まるものか!?」
「フン! もちろんそうそう都合よく行くなんて思っちゃあいないわよ!」

ワルドの叫びにキュルケが応じる。同時にボールが不自然な変化を見せ始める。

『ボールは一直線にゴールへ・・・ いやッ! 曲がったァァァ!!
 ボールは左へと大きく反れ・・・ そこに ルイズ選手が詰めて来ている!?
 これはまさかシュートではなく DFを切り裂くダイレクトパスかッ!?』

「私とキュルケではキック力が大きく違う
 当然 ボールは大きく曲がる・・・」

『オフサイドの笛は無し! しかし このスピードボールに追いつけるのか?』

ルイズが走る。ボールに向かって一直線に駆ける。
(トモダチは 手を使われる事を嫌うんだ・・・)

ルイズの脳裏に、かつての彼の言葉が響く。
(あなたがいなくなった時 私は裏切られたと思った
 あなたもボールも 私の事を見捨てたのだと思った・・・でも違った
 あなたはトモダチを サッカーを愛していた だからトモダチもあなたに応えてくれた
 裏切ったのは私のほう・・・
 トモダチを愛していない私に トモダチが応えてくれるはずが無かった・・・)

『ルイズ選手ダイレクトに飛び込む! 届くかァ!?』

(今なら言える・・・ 私はサッカーが好き
 この試合で最高のプレイをして それを証明する
 そして そして もう一度・・・)

「いやあああああああ!!!!」

『届いたー! ルイズ選手のゼロトラップランニングボレーシュート!!
 しかし!? GKのマチルダ選手も反応しているぞ!!』

「なめるなあああ!!」
マチルダが飛びつく、その右腕に土くれが集まりだし、直ちにゴーレムの巨大な右腕が出現する。

『出たァ――!!!! S.G.G.K(スーパー・グレート・ゴーレム・キーパー)
 マチルダ選手のパンチング! シュートを大きく弾き返したァ!!』

「・・・ッ!? そんな!?」

鉄槌の如き一撃を受け、ボールは中央付近まで一気に押し返される。

『激しい主導権争いの末 ボールはラインを割りました
 -ッと ここで選手の交代があるようです。』

ショックを受け、その場に棒立ちになるルイズ。
彼女だけではなく、トリステインイレブンの顔は一様に暗い。

「完璧なシュートだと思ったのに」
「あのキーパーを 破る事は出来ないのか・・・?」
「・・・・・・」


「 あ き ら め る な ! ! み ん な ! ! 」



フィールドにこだまする雄たけびに、ルイズが稲妻に打たれたように顔を上げる。

『ああっと! 先ほど交代したばかりのトリステインの12番
 ワルド選手へのパスをカットした!?』

「なにィ!?」

ルイズだけではない、トリステインの面々が呆けたように12番をつけた少年を見つめている。

「やらせるかあああ!!」
『ワルド選手が追いついた しかし これは危険なプレイ!
 真後ろからタックルに行ってしまっ・・・ え ええ!?』

眼前で起こる光景に、冷や水を浴びせられたように観客が静まり返る。
少年は、まるで後ろに目があるかのように、5人のスライディングを次々と切り返していく。
蝶々サンバ、ジグザグサンバ
縦横無尽のボール捌きで、次々に敵を抜き去る12番。

「ス スゴイ」
「なんで魔法も使わず あんなプレイができるんだ・・・!」
「まさか あの12番・・・!!」

「帰ってきたのね! サイトッ!!」

ルイズの叫びに、観衆が再び沸き返る。
ヘッ、と サイトが笑う。

「この一発 ワイン一本分の価値があるぜ!」
手にしていたワインの小瓶を投げ捨てる。同時に、才人の左足に黄金のルーンが出現する。

「このセンタリングで勝負を決めろ! ルイズ!!」
才人の左足が黄金の軌跡を描き、ボールが大空へと舞い上がる。

『サイト君からのセンタリング しかしこれは大きい~!
 これはミスキックか? ・・・いや 
 いつの間にか ゴール前にタバサ選手が詰めているーッ!!』

「タバサ! こっちよ!」
「分かってる」
タバサの頭上めがけ、ルイズが飛び上がる。タバサが詠唱を唱える。

「「ス カ イ ラ ブ ハ リ ケ ー ン !!!」」

『なんとおおおッ!! タバサ選手のエア・ハンマーをスパイクで受け止め
 ルイズ選手が上空へ一気に飛び上がる
 きりもみながら空中で体勢を変え・・・ そ そしてこれは~!?』

(覚えてるわね サイト・・・
 これは あなたが私に教えてくれた 最初のシュート)

「オーバーヘッドキイイイィィィック!!」

『出たアアアァァァ!!! ルイズ選手のスカイラブオーバードライブエクスプロージョンシュートだああああああ!!!!
 今世紀最高の究極シュートが遂に炸裂!! しかしこれは マチルダ選手の真正面か~!?』

「いえ 違う!?」
「あのシュート キーパーの股下を狙っている!!」
「そうだルイズ! ゴーレムの巨大な両腕に死角があるとしたら そこしかない!!」

「こ こんなシュートオオオオオオ!!!!」
「いっけえええええええ!!!!」

全身に土くれを纏いながら、シュートを止めに行くマチルダ。
閃光、ついで爆音が炸裂し、巨大な土柱が舞い上がった。

『ゴ ゴオオオオオオオオオオオルッ!! 決まりました!!
 土くれごとマチルダ選手を吹き飛ばし ルイズ選手のシュートがッ! ネットを突き破りました!!

 そして どうやらここで 試合終了のホイッスル!』

「やったわ! 私・・・私 やったわッ!」
「・・・勝った!」
「今まで最高のシュートだったわよ!ヴァリエール!」

たちまちチームメイト達に揉みくちゃにされるルイズ。
敗れたアルビオン面々にも、不思議と悔しさが見られない。
観客の割れんばかりの拍手がイレブンを包む。

そして、仲間たちを掻き分け、才人がルイズの前へ歩み寄る。


「サイト・・・」
「・・・・・・」

「サイト・・・私 ずっと信じてた・・・
 サッカーを続けていれば きっと もう一度 あなたに逢えるって・・・ だから」

「・・・バッカ野郎」

今にも泣き出しそうな少女。その、薄桃色に輝くブロンドの髪をぶっきらぼうに撫ぜる才人。

「あんまりやきもきさせやがるんでよ 思わず飛び出しちまったじゃあねえか・・・
 あんなスッゲえプレイができるなら 最初からやりやがれ」

「・・・何よ 主人に黙って 勝手に姿を消したくせに・・・」

二人がまともに会話を出来たのはそこまでだった。
友人たちの祝福の嵐が、再び二人を揉みくちゃにする。

『ああ! 今 ユニフォームの交換が始まりました
 死力を尽くした両雄の間で結ばれた深い友情! 実に美しい光景です!
 ありがとう! ありがとう選手たち!

 うう もうガマンできない!!
 サイトさんステキ~!! サイトさんサイコ~!!』

興奮のあまりマイクをかなぐり捨て、グラウンドへと飛び出すシエスタ。
その行動を皮切りに、興奮が頂点に達した観客たちが、次々と飛び降りてくる。

万人の祝福の中、やがて、ルイズの小さな体が3度、鮮やかに宙に舞った。





―それは、ハルケギニアに初めてサッカーが誕生した瞬間だった。

いくつもの問題を国家間に抱えるハルケギニアの地は、今後も幾度となく難局にさらされる事になるだろう。

しかし、彼女たちの情熱が、現実の壁を突き崩す一矢になる事は間違いない。



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