あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのアトリエ-12


学院長室で、オスマン氏は戻った四人の報告を聞いていた。
「ふむ、ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな。」
「一体、どこで採用されたんですか?」
脇に控えたコルベールが問いかける。
「町の居酒屋じゃ。彼女は給仕をしとっとのじゃがな、この手がついっと、その、尻を。」
「で?」
コルベールが先を促す。
「それでも怒らなかったんじゃよ。だからつい、秘書にならないかと言ってしまった。」
「なぜです?」
本当に理解できないといった表情でコルベールが言った。
「うむ、今思えばあれもフーケの手じゃったに違いない。全く、女は魔物とはよく言ったものじゃのう。」
コルベールはその時、今更ながらフーケのその手にやられ、宝物庫の弱点について語った事に思い至った。
「そ、そうですな!美人はそれだけで、いけない魔法使いですな!」
あの一件は自分の胸だけに秘めておこうと思いつつ、オスマン氏に調子を合わせる。
「その通りじゃ!君はうまいことを言うな!コルベール君!」
ヴィオラートとルイズ、タバサとキュルケの四人は呆れ返ってそんな二人の様子を見つめていた。


ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師12~


生徒達の冷たい視線に気付くと、オスマン氏はことさらに厳しい顔を作って見せた。
「フーケは捕らえ、破壊の像は無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ。」
オスマン氏は、一人ずつ頭を撫でる。
「君達三人の『シュヴァリエ』の爵位と、ミス・タバサの『精霊勲章』の授与を宮廷に申請しておいた。」
ルイズ・キュルケ・タバサ、三人の顔がぱあっと輝いた。
「本当ですか?」
キュルケが、驚いた声で言った。
「本当じゃ。君達はそれぐらいのことをした、当然の結果じゃよ。」
ヴィオラートが、怪訝な顔で尋ねる。
「それって、あたしもですか?」
「うむ、見事な魔法でフーケを捕らえたという功績があれば、何も問題あるまい。」
そういうと、オスマン氏はウインクをして見せた。
「なあに、駄目だとぬかしよったらこの私がねじこんでやるわい。」
何というかごめんなさいだった。
「さてと。今日の夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。」
キュルケの顔の輝きが、さらに強くなった気がする。
「そうでしたわ!フーケの騒ぎですっかり忘れておりました!」
「今日の舞踏会の主役は君達じゃ。用意をしてきたまえ。」
三人は、礼をするとドアに向かう。
ヴィオラートだけが、微動だにせずオスマン氏に視線を送る。
「先に行ってていいよ。」
ヴィオラートは言った。三人は心配そうに見つめていたが、頷いて部屋を出て行く。
「なにか、私に聞きたいことがおありのようじゃな。」
オスマン氏は、コルベールに退室を促す。
わくわくしながらヴィオラートの話を待っていたコルベールは、しぶしぶ部屋を出て行った。

「言ってごらんなさい。できるだけ力になろう。」
コルベールの退室を見届けた後、ヴィオラートが口を開く。
「あの、『破壊の像』は、あたしが元いた世界の道具です。」
オスマン氏の目が光った。
「ふむ、元いた世界とは?」
「あたしは、こっちの世界の人間じゃないんです。」
「本当かね?」
「本当です。あたしは、ルイズちゃんの『召喚』でこっちに呼ばれたんです」
「なるほど、そうじゃったか…」
「あの、破壊の像…あれをここに持ってきたのは、誰なんですか?」
オスマン氏は目を細めた。
「もう…何年も昔の話じゃ」
「森を探索していた私は、ワイバーンに襲われた。そこを救ってくれたのがその「破壊の像」の持ち主じゃ。」
「彼は、ワイバーンの最後の一撃で怪我を負い、それがもとで命を落とした…」
「死んでしまったんですか?」
オスマン氏は頷いた。
「フィンデン王国に帰りたい、元の世界に帰りたいと繰り返してな。彼は君と同じ世界から来たんじゃろう。」
「俺の不幸な人生を、考えさせる…そう言い残して彼はこの世を去った…」
オスマン氏は虚空を見つめる。珍しく澄み切った瞳で、しばし黙考し。

オスマン氏は、次にヴィオラートの額を見つめた。
「おぬしのこのルーン…」
「はい、これについても聞きたかったんです。」
オスマン氏は、話そうかどうかしばらく悩んでから、口を開いた。
「これなら知っておるよ。ミョズニトニルンの印じゃ。伝説の使い魔の印じゃよ。」
「伝説の使い魔のしるし?」
「そうじゃ。その使い魔はあらゆる『魔法の道具』を使いこなしたそうじゃ。」
ヴィオラートは、首をかしげた。
「どうして、あたしがその伝説の使い魔なんかに?」
「…わからん。」
「…そうですか。」
「おぬしがどういう理屈でこの世界にやってきたのか、私なりに調べようと思う。しかし。」
「わかるとは限らない。とくに初めてのことなら、手がかりなんてあるわけがない。」
ヴィオラートの指摘に、オスマン氏は驚愕の表情を浮かべる。
「だから、帰る手段は、あたし自身で創り出そうって。そう思います。」
「おぬしは…」
オスマン氏はヴィオラートをしばし見つめると、万感の思いを込めて言葉を贈る。
「うむ。おぬしならきっといつの日か、帰る手段を見つけ出せるであろうよ。」
ヴィオラートはぺこりと頭を下げ、退室する。
「神の頭脳、か。やはり、それに相応しいものに与えられた、ということじゃろうか…」
オスマン氏はヴィオラートの消えた扉の先を、いつまでも見つめていた。


食堂の上の階が、大きなホールになっている。舞踏会の会場である。
ヴィオラートはバルコニーの枠にもたれ、バッグに溜め込んだ料理を粛々と平らげていた。
「ここにいたの。」
「あ、ルイズちゃん。」
いつもの服のままのルイズが、近寄ってきた。
「ヴィオラート、あなた魔法が使えること隠してたのね。しかもあんな強力な、先住魔法」
非難するように問いかける。
「え、べつに隠してたわけじゃ…」
「隠してた。」
頬を膨らませたルイズが、ヴィオラートに詰め寄る。
「でもでも、あたしのいた世界だと、珍しい事じゃないし…」
「そうなの?」
「うん。皆一つくらいは、不思議な特技が使えるから。」
「変わってるのね。まあ、私は信じてあげる。皆は、そうは行かないだろうけど。」
強力な魔法を使い、フーケを撃退した。それは既に周知のものとなっている。
「だから人前では、杖を使うふりくらいしなさい。じゃないとエルフだって勘違いされちゃうからね。」
「エルフ?それは、さすがにまずい、かな。」
とりあえず、明日からは杖の素振りでも始めないとダメかな?
ヴィオラートがちょっとブルーになったその時、
「あ、いたいた。」
ようやくノルマ…『つきあっている』男性の相手を終えたキュルケと、
何かに満足した顔のタバサが顔を出した。
「こんな所にいたのね、準備、できてるわよ。」
「…入場。」
「え?え?」
ヴィオラートはキュルケとタバサに腕をつかまれ、連れ出された。
その後を、ルイズがしてやったりの笑顔で追いかけていく。


ホールの壮麗な扉が、音を立てて開いた。
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢!」
「そしてその使い魔、ヴィオラート・プラターネ嬢の、おな~~り~~~」
会場の喧騒が途切れる。
ルイズは長い桃色掛かった髪をバレッタにまとめ、ホワイトのパーティードレスに身を包んでいる。
肘までの白い手袋が、ルイズの高貴さをいやになるぐらい演出し、
胸元の開いたドレスがつくりの小さい顔を、宝石のように輝かせていた。
ヴィオラートは基本的にルイズに合わせた服装、ただし胸元が強調され、
七色に輝く不思議なアンクが首筋を彩っている。そして、キュルケに施された薄化粧が、
普段のヴィオラートからは想像もつかないような美しさを見事に引き出していた。

主役が全員揃ったことを確認した楽師たちが、小さく、流れるように音楽を奏で始めた。
ルイズとヴィオラートの周りには、その姿と美貌に驚いた男達が集まり、盛んにダンスを申し込んでいた。
今までゼロのルイズとからかい、また土まみれの田舎娘と馬鹿にしていたノーマークの女の子の美貌に気付き、
いち早く唾を付けておこうというのだろう。
「ど、どうしよう、ルイズちゃん~!」
ヴィオラートが困った顔で、珍しくルイズを頼った。
「あなたのそんな顔が見れただけで、私の見立てたこの服の倍の価値はあるわね。」
ルイズがニヤニヤしながら、ヴィオラートの困窮顔を鑑賞する。
見かねたキュルケが、老婆心ながらの忠告をヴィオラートに与えた。
「大丈夫、適当にエスコートしてもらえばいいの。身元も割れてるから安全よ。」
それだけ言うと、キュルケは人の波の向こうに消える。
仕方ない、覚悟を決めたヴィオラートがおそるおそる発言し…
「え、えーと、ダンスとか、あんまり得意じゃないんだけど…いいかな?」
男達の何かの回路に、盛大に放火してしまった。
「ぜひ僕と!」
「いやいや、初々しいレディのエスコートにはこのギーシュ・ド・グラモンこそが相応しい!」
「僕にだって権利はあるはずだ!」
「マリコルヌは自重しろよ!」
「どうかこの僕にお慈悲を!」
ブリギットあたりなら、さっさと相手を選んで華麗に踊るところなんだろうなあ。
そんなことを考えながら、誰を選べばいいのかヴィオラートは悩んで、天を仰いだ。

そんな様子をバルコニーから眺めていたデルフリンガーがこっそりと呟く。
「おでれーた!」
二つの月の光がロウソクのそれと溶け合い、ホールの中に幻想的な雰囲気を作りあげる。
「相棒、てーしたもんだ!」
踊る相棒とその主人を眺めながら、デルフリンガーは、おでれーた!と繰り返した。
「ご主人様と一緒に舞踏会の主役を張る使い魔なんて、始めて見たぜ!」


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