あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

斬魔の使い魔01


 何処かの次元の何処かの宇宙。
 そこで二体の巨人、デモンベインとリベル・レギスが血闘を繰り広げていた。
 滅びを撒きながらの闘いは、果たしてリベル・レギスの勝利に終わった。

 コックピットを抉られ、瀕死の重症を負ったデモンベインの術者、大十字九郎。

「……く、九郎」

 彼の名を呼ぶのは魔導書にしてパートナーたる少女、アル・アジフ。
 彼女もまた重傷を負い、その構成を維持できなくなっていた。
 身体から魔導書のページが滲み出ている。

「アル……くそっ……!」

 白い輝きが宇宙を照らす。
 モニターの向こうで、リベル・レギスが左手を白く輝かせていた。
 絶対零度の極々々々低温の手刀、ハイパーボリア・ゼロドライブ。
 滅びの白い輝きが迫ってくる。
 もはやどうにもならない。
 九郎とアルの魂が絶望感で塗り潰されていく。


 そのため、二人は気がつかなかった。

 眼が焼け付くほどの輝きの中、現れた鏡の存在に。



 それはいかなる奇跡なのか。
 この日、無貌の邪神が生み出した無限螺旋の宇宙から、魔を断つ剣は消え去った。







「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、通称ゼロのルイズは叫んだ。
 この召喚を成功させる。そして、自分を馬鹿にしていた連中を見返すのだ、という思いを込めて。

 その瞬間、上空に巨大な魔法陣が出現した。

 半分、揶揄を込めて見ていたギャラリーが、様子を見守っていた教師が、そして当のルイズが驚愕した。
 通常、「サモン・サーヴァント」でここまで大規模な現象が起きることはない。
 さらに彼らを驚かせたのは、そこから現れたマントのような翼を広げた巨人。
 その圧倒的な存在に、ただただ放心していた中、一足早く正気に戻ったルイズは心の中でガッツポーズをした。

(やった……こんな凄いゴーレムを召喚できるメイジなんて他にいるはずが無いわ! 私はやったのよ!)

 だが、そのルイズの喜びは一瞬で消え去った。

 眩い光と共に、巨人が一瞬で消滅したのだ。
 巨大な魔法陣も消え、まるで何事も無かったかのような静寂が訪れた。
 何が起こったのか理解できず放心状態のルイズ。

 ――と。
 上空を見上げていた生徒達の背後で爆発が起こった。
 慌てて振り向く一同。

 同時に――

「わきゃっ!」

 上空から落ちてきた何かに押しつぶされたルイズ。
 それは少女の姿をしていたが、ぶつかった衝撃でバラバラの本のページになった。

 それは、ルイズと同化するようにその身体に溶けていく。



 最初にルイズの様子に気付いたのはキュルケだった。
 もっとも、ぶつかった瞬間を見ていない彼女の目には、ただ爆発に驚いて転んだようにしか見えなかった。

「ちょっとちょっと、何をやっているのよ、ルイズ」
「う、うるさいわね! 何かが頭にぶつかったのよ!」

 はいはいと笑いながら手を差し伸べる。
 その手を払って自分で起き上がるルイズ。
 その様子を見て苦笑するキュルケ。

「ところで、あの人間、貴方が召喚したんじゃないの?」

 え? と驚いて顔を向ける。
 そこには、逆さまに倒れて目を回している見知らぬ男の姿があった。

「……へ?」

 フラフラとした足取りで男に近づくルイズ。
 傍で男の様子を観ていた教師のコルベールは、ふむ、と呟くとルイズに振り向いた。

「どうやら彼が召喚された使い魔のようですな」
「……えっ!? じ、じゃあ、さっきのゴーレムは!?」
「皆目見当がつきませんが、ひょっとしたら彼と何か関わりがあるのかもしれませんな」

 未だに目を回している男に顔を向けるコルベール。
 ルイズもまじまじと顔を見る。

(じ、冗談じゃないわよ! こんな、情けない顔をした平民を召喚したですって!? これじゃあ、またゼロのルイズって
馬鹿にされるじゃない! こんな! こんな――)

 ジッと見つめながら心の中で罵倒を繰り返すルイズだったが、見つめている内に、ふと理由の判らない心の
痛みに襲われた。
 思わず俯く。

 その瞳から涙が零れ落ちた。

(何……これ?)

 訳が分からない痛み。

 そして、こうすれば痛みが消えると云わんばかりに男に顔近づける。
 契約の呪文を唱える。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与
え、我の使い魔と為せ」

 そして唇が触れ合う。
 瞬間、

「ぐあぁぁっ!」

 男がのた打ち回る。
 左腕が放電している。魔力の放電だ。
 異常に気付いたコルベールが、ルイズを下がらせる。

 男の左手の甲に紋章が浮き出て、前腕部分にルーンが刻まれる。
 しばらくしてルーンが刻まれ終えると魔力の放電も消え、男も落ち着きを取り戻した。

「ふむ、珍しい形のルーンだな。甲に刻まれている紋様も初めて見る。さっそく調べなければならないな」

 男は気絶したままだが、呼吸は安定している。
 まるで冬眠をしているかのように静かに眠っている。
 一方、ルイズの胸の痛みも消えていた。
 訳が分からないが、とりあえず「コントラクト・サーヴァント」に成功したことは確かなようだ。

「では、皆さん、教室に戻りますぞ」

 巨大ゴーレムのショックがまだ消えていないのか、いつもなら騒がしい生徒達も大人しく「フライ」の魔法で飛んでいく。
 コルベールは途中で止まり、

「ミス・ヴァリエール。後で人を寄越します。しばらく新しい使い間の傍にいてやりなさい」

 ルイズは答えなかったが、沈黙を肯定と見たコルベールはそのまま飛び去った。
 残されたルイズは、ジッと使い魔を見つめていた。







 その晩、学院を巨大な魔力が覆った。
 魔力が消滅した後、謎のゴーレムのことを覚えている者は誰もいなかった……


新着情報

取得中です。