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使い魔はじめました-10


使い魔はじめました―第10話―

ルイズ、サララ、キュルケにタバサにチョコは
トリステインの城下町を歩いていた
シルフィードは町に入れないので、少し離れたところで待機している
「うわぁ、人が多いねえ! でも、道が狭くない?」
チョコが感嘆の声をあげながらも首を傾げる
サララも、自分が居た町よりずっと人間が多いのに、
道が狭いことを疑問に思って、ルイズに問うた
「ここはブルドンネ街。トリステインでも一番大きな通りよ。
 この先に宮殿があるから、道が狭いのよ」
ますます分からない、と言うように一人と一匹はさらに首を傾げる
「サララったら、随分平和なトコから来たのね。
 ほら、道が狭かったら、敵が一度に攻めてこられないじゃない」
キュルケの説明に、ようやく合点がいく
確かに、広くなっているところでは敵にぶつかりにくいが、
狭い一本道では敵にぶつかってしまうことがある
おそらく、宮殿を守るためにはそれが都合がいいのだろう
「それで、武器屋が最初で良いんだっけ?」
「武器屋? 何の用があるのよ」
キュルケに聞かれて、背中に背負っている袋を示す
武器が高く売れるらしいので、買い取ってもらおう、と思ってることを告げる
「ふぅーん、あなたって本当、何でも取り扱ってるのねえ」
頬に手を当てて、感心したようにキュルケは言った
「えーっと、ピエモンの秘薬屋の近くだから……」
ルイズはポケットから地図を取り出して確認する
「秘薬屋はこっち。ついてきて」
「え、ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
タバサがスタスタと歩き出したので、慌ててその後を追った
狭い路地裏、悪臭が鼻をつき、ゴミや汚物が道端に転がっていた
「うえ~きたなぁい。 サララ、ルイズ、早く行こうよ」
綺麗好きなチョコが嫌悪感を露にしながらサララを急かす
「だから、あまり来たくないのよね」
四辻を過ぎた辺りで、タバサが銅で出来た看板を示した
「あそこ」
四人と一匹は、石段を上り羽扉を開け、店の中に入った

店の中は昼間だというのに薄暗く、ランプの灯りがともっていた
壁や棚に、所狭しと剣や槍が乱雑に並べられ、立派な甲冑が飾ってあった
ああ、なんだかとても懐かしい空間だ、とサララは息を吸い込んだ
ほんのりと香る木や、カビや、鉄なんかの匂い
それは、この間までサララの住んでいた場所にとてもよく似ていた
店の奥で、女四人と猫一匹、という客人を胡散臭げに見ていた親父は、
ルイズ達の胸元の星の印に気がつくと、ドスの聞いた声を出した
「貴族の旦那方。うちはまっとうな商売してまさあ。
 お上に目をつけられるようなことなんか……
 あ、こいつぁ失礼。お客様でしたか」
言葉尻が愛想を含んだものにころっと変わったことを
今度はルイズ達が訝しがった
「ちょっと、何で客だって分かったのよ」
「へへ……まぁ、長いこと仕事やってますとね、ピンときまさぁ。
 特に……、同業の方がいらっしゃいますからね」
そう言って、サララに目をやる
サララは、店主と目を合わせると、にっこり笑った
今日は購入じゃなくて、買取だが構わないか、と尋ねる
「承知しやした。でもまあ、トリステインにその名あり、と言われた武器屋だ。
 値段に関しての交渉は、上手く行くと思いなさんなよ」
その言葉を受けてもなお、サララは微笑んでいた
右手の指には、トネリコの木から作った指輪がはめられている
これがある限り、上手く行くだろう、と思っていた
じゃあ、これとこれを、と袋の中から鉄で出来た斧と三叉の槍を取り出す
「ほぉ、中々いいモン出してきたじゃねえか。お前さん、旅の商人かい」
今の所は店はありません、などと相槌を打つ
「ふんふん……こっちの斧が50エキュー。
 こっちの槍が、150エキューってとこかな。
 あ、いや待てよ。こりゃあ固定化がかかってねえな。
 もうちょいひいて、45と140、ってとこか」
これって相場くらいなんですか? とルイズに尋ねてみる
「私が剣の相場なんか知るわけないでしょう」
ルイズは呆れたように眉をしかめた
でもまあ、これだけあれば足りるかな、と納得しかけた所で
一番大事な商品を出すのを忘れていたのを思い出す
「お、何だい? この剣も買ってくれ? ああ、見せてみ……!!」
すらり、と取り出された剣を見た瞬間、主人の顔色が変わった
「こいつは、じ、嬢ちゃん、これを何処で!
 いや、何処でだっていい、こいつぁすげえぜ……」
一見、それはただの古ぼけた剣だがやはり歴戦の?武器屋
その剣の価値を即座に見抜き……ため息をついた
「悪いが、ウチじゃあ買い取れねえよ。値段が付けられねえ。
 どっかの好事家にでも売り飛ばせればそれなりの値は張るだろうが……」
店主は悲しそうに寂しそうに名残惜しそうに盛大にため息をついた

その時、店の中に店主のものとは違う低い男の声が響いた
「おいおい、どうしたってんだ、テメエらしくもねえ!
 いつもならテキトーぶっこいて買い叩いてんじゃねえか!」
店内に響いた声の出所を探して、彼らはうろうろと辺りを見回した
客は、彼女達しかいないようだし、店の奥から聞こえたわけでもない
「な、何よ今の声は……」
「どこに目ぇつけてやがる! ここだここだ!」
サララは、声がする方へ歩み寄った
それは、乱雑に積み上げられた剣の中から聞こえていた
その内の一本が、カタカタと鍔を鳴らしていた
「やいデル公! 黙ってろ! 武器屋には武器屋のプライドってのがあんだよ!」
店主がその剣へ向けて叫んだ
「あれって、インテリジェンスソード?」
ルイズがそちらに目を向けた
「へえ、その通りでさあ。全く、どこのどいつが
 剣を喋らせるなんてこと始めたんですかね……」
店主はまた大きなため息をつく
サララとチョコはその剣を見ていた
「へぇ、こっちじゃ、喋る剣って売ってるもんなんだね。
 ボクたちのところじゃ、怪物扱いだけど」
「黙ってろこのネコ!」
「ネコにネコって言ってもけなし言葉にならないよ……。
 チーズに、お前腐ってるぞ、って言うようなもんじゃないか」
「うるせえ!」
ギャアギャアとうるさい剣だが、サララは興味が沸いた
試しに手に取ろうとしたのだが……ここで問題が生じた
デル公と呼ばれた剣は、筒状の容器に他の剣と一緒に縦に入れられている
また、ルイズと同じくらいのサイズの大剣だ
手が、届かなかった
「あら、サララ。その剣が見たいの?」
サララの意図に気づいたキュルケに問われ、コクコクと頷く
「いいわ、とってあげる。……結構重いわよ、気をつけて」
両手でそこからデル公を取り出すと、キュルケはサララに手渡した
それを受け取り触れると、額のルーンが熱を持つのが分かった
おそらく、光ってるんだろうな、と思う
剣の本当の名、デルフリンガーと、付加された特殊能力が頭に流れ込んでくる
その能力を知った途端、サララは思わず言葉を失った
『魔法吸収』魔法が主な戦闘手段であるらしいハルケギニアでは
この能力は相当脅威になると思われる
両手に構えたまま、その錆びた剣を撫でた
「ん……この感じ? おでれーた! 嬢ちゃん『神の本』か」
神の本? と首を傾げる
「まあいいや。嬢ちゃん、俺を買え」
「えー、こんな錆びた剣買うの? ボクやだよ。うるさいし」
「何だと、この毛玉!」
「け、毛玉だって! 何さ、このガラクタ!」
ぎゃあぎゃあとケンカする一本と一匹
ルイズがそれを聞きながら思わず頭を抱える
一方サララは、デルフリンガーをどう入手するかしばし考えこんだ
それから、ちらりとカウンターの方を見やる
店主は、こちらとカウンターの上の剣を交互に見やっていた
その行動を見て、サララの腹づもりは決まった
多分、デルフリンガーは世界に一本しか無い剣だ
それと比べれば、あの剣など安いものだろう
サララは決意して、デルフリンガーを携えてカウンターまで歩いた
タバサは、自分より小柄な彼女が大剣を引きずることもなく
ひょいひょい扱っていることに、かすかに驚きの表情を見せた
「(……魔法は使えないけれど、ひょっとして、強い?)」

カウンターまで歩くと、サララは店主にニッコリ笑いかけた
斧と槍をそちらの言い値で買って欲しい
それから……このデルフリンガーと、その剣を交換で
そう告げた瞬間、店主の目がらんらんと輝いた
「へぇ、本当におよろしいんで? そっちのデル公と
 この剣とじゃ、大分価値が違うと思いやすが!
 いいんですね、本当にいいんですね! 毎度どうも!」
物凄く高いテンションで、サララの前に金貨を積み上げる
「ちょっと多いんじゃないの?」
横で見ていたルイズが訝しげに問いかけた
「なあに、ここで色をつけなきゃ武器屋の名がすたるってんでさあ!
 ああそうそう、そいつは、鞘に入れておけばおとなしくなりますから!」
サララはデルフリンガーの鞘を受け取る
「毎度どうも! またお越しくだせえ! 嬢ちゃん相手にだったら
 幾らだってサービスしやすよ!」
お店が潰れない程度でお願いしますね、とサララは答えた
「じゃ、今から他のとこも回るんでしょ? 早く行きましょ」
「ねえサララ、あなた、もっと可愛い服も買った方がいいわよ」
「ちょっと! サララは着せ替え人形じゃないんだからね!」
「サララー、早く行こうよー」
彼女達が去ったのを見送った後で、店主は改めて剣を見る
ゲルマニアのシュペー卿が鍛えた業物ほど輝いてはいない
だが、これはそれ相応の歴史を背負った剣に違いない
そう、まさに伝説の一品と呼ぶに相応しい
店主はウキウキと紙とペンを取り出してきて、しばし悩む
それから、さらさらと文字を書いた後で、店の表に画鋲で止めた
「売るにしろ売らないにしろ、宣伝はしておかねえとな」
満足げにその貼り紙を見ながら頷くと、店内にスキップで戻っていく
『伝説の剣 はじめました』
そう書かれたチラシがパサパサと風に揺れていた


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