あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

紙袋の使い魔-06



 ミスタ・コルベール。二つ名は炎蛇のコルベール。
 その名の通り火系統の魔法を得意とするメイジである。 
 トリステイン魔法学院にて、かれこれ20年間は教師をしている

 先日行われた使い魔召喚の儀式の際、彼の生徒の一人であるルイズは前例が無い
 人間を召喚し、使い魔とした。
 その際、使い魔契約の証として刻まれたルーンは彼の見た事が無いものであった。
 魔法学院で教師をやってはいるが、本来は人に物を教えるよりも自分の知識欲を満たす
 事を望む研究員肌の人間である。

 そんな彼の好奇心を刺激する何かが、その使い魔とルーンに感じれた。
 彼はその好奇心を満たす為にあの日以来、図書館にてルーンについて過去の文献を
 調べる毎日を送っていた。

 図書館内にある、教師クラスのみが閲覧できる区間にてその日も本を漁り続けた。
 彼の日々の努力か・・・はたまた、研究員としての本能が悟ったのか。

 彼はついに自分の目当ての物を見つけたのである。
 自分の好奇心が満たされていく事を感じると共に、その書物に書かれている内容に
 冷や汗を流し、彼は文献を読み続けた。

 思いもしなかった内容に、彼はその書物を手に取り学園の長。偉大なるオールド・オスマン
 の下へと向かった。



 その日も、トリステイン魔法学院の長。オールド・オスマンは自室にて退屈を持て余していた。
 白い口ひげに長く伸びた白髪。魔法のローブを着たその姿はまさに魔法使いである。
 齢300歳は越えるとも言われる、彼からは有無を言わせない迫力がある・・・・筈なのであるが・・・。



 彼は沈黙を破ると、近くに居る秘書風の女性へと話しかけた。

「ミス・ロングビル。今日は何色かね・・・?」
「オールド・オスマン。申し訳ありませんが意味が分かりかねます」
「ワシは何色と聞いておるのじゃよ・・・。ミス・ロングビル。ワシくらいの男児が色を聞いたら一つしかあるまいて?」

 ミス・ロングビルと呼ばれた女性は軽くプルプルと震えた後、呟いた。
「・・・・・黒ですわ」
「ヒャッホウ!!ワシの勝ちじゃよ!モートソニグル!」

 イヤラシイ目で笑った後、自らの足元の鼠へと話しかけた。
 彼の使い魔と思われるその鼠は、主と同じ様な目つきでニヤニヤと笑っている。

「オールド・オスマン。朝からそのような下卑た事ばかり仰るのでしたら・・・私にも考えがありますよ?」
 彼女の周りからドス黒いオーラの様な物を感じる。
 窓や机が振動しているような気もする・・・。

「・・・・ごめんちゃい・・・。寂しいジジイの言う戯言じゃよ・・・ボーナス1割増しするからアレだけは止めて欲しいのじゃ・・・」
「そうですか。反省されているのなら私も今日の所は水に流しましょうボーナス2割増しして下さる事ですし」
「え・・・?1わ・・・・・」
「何かおっしゃいましたか?」

 人のものとは思えない殺気が部屋を支配した。モートソニグルにいたっては泡を吹いて意識を失っている。
 セクハラに対する女子の怒りはギアをも打ち滅ぼすのだ。
「ナンデモナインジャ・・・ナンデモ・・・」


 コルベールが学院長室の前へと到達すると、扉一枚隔てた向こうから言い知れない殺気を感じた。
 炎蛇のコルベールと呼ばれた彼にさえ感じた事の無い種類の殺気である。

 呼吸を整え、いざ扉を開く。

「失礼します。オールド・オスマン・・・」
 部屋のドアを開けると、軽く意識を手放しているオールド・オスマンと自らの席に鎮座している
 ミス・ロングビルが彼を出迎えた。

「ど、どうかしたのですか?オールド・オスマン・・・。何かあったのでしょうか?」
「大丈夫・・。大丈夫じゃよ。ワシはオスマン。オールド・オスマンじゃ・・・」

 大丈夫と言う彼の目はあからさまにコルベールを見ていない。そんな様子を見た後、ミス・ロングビルの方へ目を向けると、彼女は我、関せずといった様子で自分の仕事をしていた。
 少し考えたコルベールであったが、先ほどの自分の調べた内容の重大さを思い出すとオスマンへと
 話しかけた。

「オールド・オスマン。報告があります」
 その言葉と彼の雰囲気にオスマンは曖昧な状態から我へと帰る。
「ミスタ・バストール。何かあったのかね?」
「はい。先の召喚の儀式に関してなのですが・・・。ちなみに私はコルベールです。オールド・オスマン」
「ふぉっふぉっふぉ。すまんのう。そうじゃったな。それは昨日夢で見た妖精の名前じゃったわい」
「夢と現実を一緒にしないで頂きたいものです・・・」
「して、何があったのじゃね?」

 コルベールは、図書館で見つけた自分の探していた内容の本を彼へと手渡す。
「その本と、この絵を見てください。これは召喚の儀式の際、私の生徒が召喚した人間に刻まれていたルーンと同じものです」
 オールド・オスマンは眼光を鋭くし、その姿に相応しい威圧感を発するとミス・ロングビルへと声を出した。

「ミス・ロングビル。席を外しなさい」
 先ほどまで、自分の怒りのオーラに震えていた人物とは同一人物とは思わせぬ迫力を感じ取ると
 2人へと一礼し、彼女は無言で部屋から出て行った。
「詳しく説明をするのじゃ。ミスタ・コルベール」


 先日、魔法の失敗の原因が分かるかも知れないと言ったファウストとルイズは部屋で語り合っていた。
「・・・・そうですね。法力の主な理論としてはこんな所ですかネ」
「それにしてもすごいわねぇ・・・。理論化した法力を学べば、平民でさえ扱う事が出来るだなんて・・・」
「まぁ、それでもきちんと扱うにはそれ相応の努力が必要なんですけどね・・・。ルイズさんの頑張りならすぐにでも修める事が出来るでしょう」
「私の魔法の為ならいくらだって努力してやるわ!それで、私が法力について知識を深めた方がいい事は分かったけどあんたの方はどう?この世界の魔法については?」

 ルイズの自室に広がっている書物を見渡し元にあった場所へと返却していく。
「大体は理解しましたヨ。この世界の魔法は実に奥が深い。ここにある書物に書き記していない事がまだまだあるでしょうね」
「もう全部覚えたの・・・!?私が必死に覚えた内容をここ数日で・・・文字も最初は読めなかったのに・・・」
「これでも医者ですので・・・ネ?」
「関係ないと思うけど・・・・。それなら後は私があんたから法力を覚えればいいのね・・・・」

 ぐぅぅぅぅぅぅぅ・・・・とファウストの方から音が鳴り響く。
 どうやらもう正午のようだ。魔法の事になるとついつい周りが見えなくなってしまう癖が
 自分にはあるようだ。
 ファウストの方へと向きなおす。

「今日はここまでにしましょうか。もうお昼だもの。お腹すいたわよね?」
「ハイ、ルイズさん!ごはんー!ごはんー!」
「分かったわよ。それじゃぁ食堂へ行きましょうか?」


 学院のメイドであるシエスタは、その日も忙しい昼の時間帯をきりきり舞いになりながら仕事をしていた。
 最後のメニューであるデザートを貴族へと運んでいた。

 食堂の一角で、貴族の少年たちが声を上げていた。
 どうやら金髪のキザな少年に対し、周りが冷やかしの言葉をかけているようだ。

「なあギーシュ! お前、今は誰と付きあっているんだよ!」
「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」
 ギーシュと呼ばれた少年は口に咥えていた薔薇を右手へと持ち直した。

「何をいっているのだね君たちは?僕は薔薇だ・・・そう・・・薔薇は皆を楽しませる為に自分を美しく咲かせる・・・。そんな僕が特定の女性と付き合うなどと・・・」

 優雅に舞う様に踊りながら語る彼のポケットから、ガラスの小瓶が落ちた。紫色をした液体が中に詰まっている。
 彼らはそのことに気付かず、話に夢中になっていた。

「貴族様、こちらをお落とされましたよ」
 ギーシュへとそれを差し出したが、彼は一瞥しただけですぐに話へと戻っていった。

「こちらへ置いておきます。失礼致します」

 シエスタは、彼らの近くの席へとそれを置いて仕事へと戻ろうとした。

「ん?その香水はモンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ!その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分の為だけに調合している香水だぞ!」
「それが、ギーシュ。君のポケットから落ちたという事は・・・君のお相手はモンモランシー
と言う事になるな?」

 彼が反論を言おうと席を立った時、後ろのテーブルに座っていた少女も立ち上がった。
 栗色の髪の、可愛らしい少女である。彼女はギーシュの前へ出ると。
 涙を流した。

「ギーシュ様。やはり、ミス・モンモランシーと・・・」
「ケティ、待ちたまえ。それは誤解だよ。話を聞いてくれたま・・・・」
 キッとギーシュを睨み付けると、思い切り彼の頬へ平手打ちを放った。

「言い訳なんて聞きたくありません!さようなら!!」
 走って食堂を出て行った彼女と入れ替わりに見事な巻き髪の女の子が
 ギーシュの元へとやってきた。
「モンモランシー!誤解だ!待ってくれ!!話を・・・」
「聞くまでもないわ。貴方があのケティって子に手を出していた事実は変わらないもの・・・」

 近くにあったワインボトルをギーシュの頭上へと持っていくと、ドボドボと中身を頭にかけた。

「浮気者!!」
 と、怒鳴り散らすと彼女もその場から立ち去っていった。

 暫く、呆然としていたギーシュであったが、ハンカチで顔を拭くと芝居がかった言い回しで喋った。

「フフフ。どうやら彼女たちは薔薇という花の真の美しさを知らぬようだね」

 一部始終を見ていたシエスタは、残りの仕事を思い出しその場を離れようとした。

「そこのメイド。待ちたまえ。黒髪の・・・君だよ」

「貴族様。何か御用でしたでしょうか?」
「君が軽率に香水の壜なんか拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「私は、この学院に雇われているメイドとして、貴族様がお困りになられないように落し物を拾って差し上げただけで御座います」

 ギーシュはこの言葉に面食らってしまった。自分の考えていた事と全く違う反応である。
 沈黙しているギーシュを見て
 彼の周りの少年達はどっと笑った。

「そうだぞ!ギーシュ!そもそも君が二股なんかかけるからこういう目にあうんだぜ?」
「そうだそうだ!俺たちモテナイ男のしっと心に対して失礼だぞ!!」

 なんやかんや少年たちが言った台詞をギーシュは全く聞いていなかった。
 シエスタへ向き直ると低い声で言った。
「君は、貴族に対しての態度がなっていないようだね。君達平民・・・」
「なっていないと言われようと、自分の正義を曲げる事は出来ません。これは祖父から日々教えられた事ですから。それが貴族様のいう事であろうと、私は自分を曲げる事は出来ません」

 この言葉に、食堂は静まり返った。特にギーシュと親しく、彼が貴族としてのプライドは人一倍強い事を知っている生徒達は息を呑んだ。

 当然、この様子をみていたのは貴族達だけではない。他の給仕をしているメイド達やコックもこの喧騒を見つめていた。
 ただでさえ冷や冷やと見ていた者達もシエスタの台詞は予想外すぎた。
 貴族が白と言えば、黒い物でも白いといわなければいけない。それが貴族と平民の関係だ。
 シエスタはそのルールを破ったのだ。

 誰もが、声も発することなく成り行きを見つめ続けていたその時。

 彼女達は現れたのある。

「おや?どうかしたのですかねぇ?人だかりが出来ていますよ」
「何かあったのかしらね?そこのメイド。何か見せ物でもやっているのかしら?」

 シエスタの同僚であるメイドは、ルイズへと事の成り行きを説明した。

「あのギーシュの女ったらし・・・。完全に自分が悪いじゃないの。それを平民になすりつけるなんて貴族の風上にもおけないわ。それにあの黒髪のメイド・・・以前ファウストに食事を頼んだ子じゃない」
「そうです。アレはシエスタさんに間違いありません。ルイズさん・・・」
「えぇ。言われなくても分かっているわ。止めに行くわよ」



 ギーシュがシエスタの方へ杖を突きつけ、声を発しようとした時
 目の前にルイズと背の高い異様な男が現れた。

「・・・何か用かね?ルイズ。僕は今から礼儀がなっていないメイドに躾をしなきゃいけない所なんだ。退き給え」
「何言ってるのかしらギーシュ?事情は聞いたわよ。完全にあんたが悪いじゃないの。確かにそこのメイドは礼儀はなってなかったかも知れないわ。でも間違ってもいない。アンタは自分の腹いせに彼女に絡んだだけじゃない」

「ルイズ。君まで僕を馬鹿にするのかい?いいだろう・・・。そのメイドを庇うというなら・・・・決闘だ!!」
「上等よ!!」

 ギーシュの発言に、食堂は騒然となった。貴族同士の決闘はご法度だ。それを彼は宣言したのである。
 ギーシュの周りの少年も彼を諌めようと話しかけた。
「ギ、ギーシュ。気持ちは分かるけども決闘は行きすぎじゃないか・・・?それに貴族同士の決闘はご法度だぜ?先生に見つかりでもしたら・・・」

 頭に紙袋をつけた背の高い男が、彼らの前へと歩いてきた。
「まぁまぁ。みなさん。落ち着いて下さい。それに貴族同士の決闘は禁じられているのでしょう?」

 突如、話に参入してきた謎の男にギーシュを始め少年たちは彼の顔を見上げた。
「誰かと思ったらルイズの使い魔じゃないか。紙袋を被っているなんてふざけている。貴族の前で失礼だとは思わないのかい?」

 ギーシュはファウストを一瞥すると鼻で笑うようにそう言った。
「それとも何かね?君がご主人様の代わりに僕と決闘でもする気かい?それなら貴族同士の決闘ではなくなるがね」
「いいでしょう。聞き分けの無い子にはオ・シ・オ・キが必要のようですからね。戦う気はありませんでしたがそれも大人の務め。私がお相手いたしましょう」
「ちょっとファウスト、何を勝手に・・・!!」

「ハハハハハっ!!貴族でもない使い魔の・・・しかもルイズの使い魔の君が僕にオシオキすると!?いいだろう!その思い上がり・・・僕がたっぷりと後悔させてあげよう!!決闘だ!!!」

彼は目を怒りの色へと変えて叫ぶと食堂から出て行く。

「ヴェストリの広場へ来たまえ!!そこが決闘場だ!!」

出て行った彼を追うように周りの少年たちもその場を後にした。





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