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ルイズの魔龍伝-04


4.白昼の決闘!無(ゼロ)の雷

「ほーんと、毎日変わり映え無く本当に退屈じゃのぅ…
じゃが、ミス・ロングビルの素晴らしいお尻は毎日触っても飽きんわい」
「そろそろ止めていただけませんかこのクソジジイ」
「嫌よ嫌よも好きの内、どぉれどれワシのゴールドフィンガーがはごぉっ!」
机に向かって書類をしたためていた院長秘書・ロングビルのお尻に
後ろに立っていた院長であるオールド・オスマンの手がいやらしく伸びようとしたその時、
顔色一つ変えずロングビルの左肘が一瞬にしてオスマンの鳩尾に突き刺さった。
しかも羽ペンを持った右腕は全く変わりなく書き物を続けている、ある意味特技の領域にまで入っている芸当である。
「オールド・オスマン?退屈ならこの書類に目を通して判でも押して下さいませんか」
自分の机によろめくオスマンに向かって羽ペンを振ると
ロングビルの机に置かれた山積みの書類と判が宙に浮きすっ、とオスマンの机まで移動した。
「おぉぅ…と、年寄りに血も涙も無い暴力を振るうとは……」
ちゅぅ、と白いネズミがロングビルの机の下から突然現われたかと思いきや
素早くオスマンの肩まで駆け上がりオスマンの耳元でちゅうちゅうと鳴いた。
「モ、モートソグニル…大丈夫、大丈夫じゃよ、ちょっと婚期の遅れたお姉さんに小突かれただけじゃ」
その言葉がロングビルの心にちょっとした殺意を芽生えさせた。
「ほぅ…そうかよしよし、今日のミス・ロングビルの下着も地味な木綿の白パンツじゃったか」
モートソグニルの言わんとした事を聞き取ると、自身のポケットを探り
そこに入っていたナッツを一粒取り出すとモートソグニルへと差し出した。
こうしてオスマンはモートソグニルを使って覗き見してはその褒美として
好物のナッツを与えていたのだ。およそ巨大な学院を束ねる院長らしからぬ好色ぶりである。
「しかしのぅ…木綿の白パンツなんちゅう地味なものを穿いておるから婚期を逃すと思うんじゃ」
オスマンの呟きにちゅう、ちゅうと答えるモートソグニル。
ロングビルは無表情、いや、無表情に見えるが纏う雰囲気は下手な氷の魔法より冷たい。
「もっと大人の風格漂う…そう、シルクの黒や扇情的なTバックもええのう」
そう言いながらロングビルに近寄るとロングビルは書き物を止めスッ、と立ち上がった。
「おほ、今度は胸か、おっぱごふぁ!」
胸に伸びようとしていた手を払いのけると、オスマンのボディーにロングビルの拳がめりこんだ。
「わかった…ワシが悪かっふげぇ!」
崩れ落ちようとするオスマンの肩を掴んで自分の顔ぐらいの高さに引き上げ、続けざまに
その顔に平手を打ち込んだ。
勢いで床に倒れるオスマンに容赦無く襲い掛かるロングビルの足。
老人を踏みつけるとは倫理観が疑われそうな行為ではあるがこのオスマンとロングビルの間では
もはや日常の一部にまで昇華していた。心なしか踏まれるオスマンの顔が嬉しそうである。

「オールド・オスマン!至急お話したい事がありまして!」

突然学院長室のドアが開かれ小脇に本を抱えたコルベールが駆け込んで来る。
その急な来訪にも関わらずオスマンはいつの間にか威厳たっぷりに机に座り髭を撫でており
ロングビルもいつの間にか机に向かって先ほどの書き物の続きをしていた。
彼女がこの学院に勤め始めて2ヶ月たらずでのこの連携もちょっとした妙技である。
「どうした事じゃミスタ……スベールじゃったか?」
「コルベールです!今頭を見ながら言ったでしょう学院長!!」
「おぉすまんすまん。コルベールよ、そんなに急いては事を仕損じる」
「至急、お耳に入れたい事がございまして」
「さては学費の滞納かの?まったく近頃の貴族は口ばっかりでいかんて…」
「違いますオールド・オスマン!これを見てください、ある生徒の使い魔に現われたルーンなのですが…」
そう言うとコルベールは手にした本を広げそのページの横に紙に書いたスケッチを置いた。
ゼロの右腕に現われたあのルーンの模写である。
「『始祖ブリミルの使い魔』?なんとまぁ古臭いものを…」
そのスケッチと本を眺めたオスマンの顔に真剣味を帯びた皺が浮かんだ。
「ミス・ロングビル、すまないが席を外してくれんか?」

アルヴィーズの食堂、食事もあらかた終わった生徒達は
配膳される食後のデザートを堪能していた。

「おいギーシュ!今誰と付き合ってるんだよ!」
「そうだぜ、俺達にこっそり教えたっていいじゃないか!」
「何を言っているのかな?僕にはそのような女性はいないよ。
薔薇は皆の目を楽しませるもの、誰か一人の為に咲くものではないのさ」
周りの友人に囃し立てられながら自分に酔っているかのような台詞を吐くのは
明らかに学院の制服ではないフリルのついたシャツを着ている
巻き毛の金髪の少年、ギーシュ・ド・グラモン。
「まぁ、世の女性が薔薇に見とれてしまうのは無理もないけどね」
気障ったらしい台詞と妙なポーズを決めたその時、ポケットから小瓶が落ちた。

その小瓶に気づいたのはたまたま近くでデザートの配膳をしていたシエスタであった。
恐らくは貴族様の大事な小瓶、誰かが踏んづけて割ってしまってはいけないと思い
「あの…失礼しますが、これを落されたのは…」
小瓶を拾ってそうギーシュに話しかけたのが良くなかった。
「何?そのような小瓶、僕は知らな「ギーシュ!これってモンモランシーの香水じゃないのか!?」」
ギーシュの友人が小瓶を手に取り頭上にかざす。
「マジかよ!自分で作った香水を自分以外の奴に持たせてるって事は…」
「ぼっ、僕はそのような事を…」

「ギーシュ様っ!」
ギーシュの後ろで声がする、声の主は栗色の髪をした素朴な感じの顔の女生徒であった。
「やはり…ミス・モンモランシーとお付き合いをしているという噂は本当だったんですね…」
「違うんだケティ…これは!」
「さらばですギーシュ様!私は貴方の友人ではいられない!」
涙目でそう言うと彼女は走り去ってしまった。
「…やれやれ、薔薇の美しさを理解できないとは、ね」
なんとか平静を装うとしていたギーシュにまた別の女生徒が歩いてきた。
「モ、モンモランシーだ!」
「ギーシュどうするんだよ!」
ギーシュと付き合っていたそのモンモランシーは無言でギーシュの目の前に立っていた。
その怒気を孕んだ顔にギーシュが弁解の言葉を口にする。
「違うんだモンモランシー!彼女とはただ僕と一緒に馬に乗っただけで…
いや僕に乗ったとかそういう意味じゃ無くてね!あぁモンモランシーそういう顔をしないでおくれ…
薔薇のような君の姿だけが僕の心を繋ぎとめてるというのに…」
「見損なったわギーシュ、貴方とはこれっきりね」
そう言うとギーシュの顔に一閃、平手をかましてその場を後にしてしまった。
「……そこのメイド」
「は、はい!」
恋の急転直下な展開にその場に立ち尽くしていたシエスタがギーシュに呼ばれた。
「君が機転を利かせさえすればこの事態、避けられそうだったんだかねぇ」
「私は…その…これを拾っただけで」
「口応えかい?平民」
「すっ、すみません!私とした事が!」
思わず地に伏していわゆる土下座のポーズになるシエスタにギーシュの言葉が降り注ぐ
「そこまで謝っているならその気持ちを汲んでやらない事もないねぇ」
「何なりと…全ては私が…私が悪く」

「いい加減にしなさいよ」

声の主はギーシュの近くの席で食後のデザートを食べていたルイズだった

「自分の失態を下の立場の人に押し付けようだなんて貴族が聞いて飽きれるわ」
「誰かと思ったらゼロのルイズじゃないか…よしたまえ、君には関係ない話だ」
「目の前でナルシストが二股かけて馬鹿やらかしてる様を見ながらデザートを食べるこっちの身にもなりなさいよ」
「当たり前だギーシュ!」
「ゼロのルイズにまで言われてるようじゃお笑い草だぞ!」
ギーシュの友人達が一斉に笑い、ギーシュは顔を真っ赤にしていた。
「今日の授業で失態をやらかした君に言われる筋合いは無いね」
「確かに失敗したけどそれはそれ、これはこれ。
アンタ自分のミスを誤魔化すのに人のミスも笑うのね、平民以下だわ」
「ぐっ…魔法も使えない貴族以下の貴族に…!」
自分の言い訳にポンポンと反論するルイズに、ギーシュは苦々しい顔をするしかなかった。
「という訳だからそこのメイド、顔を上げて仕事にお戻りなさい。」
「は、はい…」
ルイズに言われてスッと立ち上がったシエスタがそそくさとその場を立ち去ろうとするが
それをそのまま見ているギーシュではなかった。彼女を逃すまいと腕を握り締めるギーシュ。
「きゃっ!」
「ゼロのルイズは全くの部外者だ、ならば彼女の処分については僕が――」

「少年、それ位にしておけ」

「ゴーレムさん…!」
シエスタの視線の先にはゼロの姿があった。
「“ヴァリエールの小さなゴーレム”か、使い魔もルイズも出る幕じゃないんだ。大人しくしてほしいね。」
「ガンダム…」
「昼食を取りに来たらちょっと見知った顔が妙な奴に絡まれていたからな。
まぁいい、しかし女性にそういう事をするのは感心しないな」
「貴族に無礼を働いてしまった平民だ、仕方がないじゃないか」
「この世界の貴族というのは下衆を指してそう呼ぶらしいな」
ルイズにも、そしてその使い魔にも馬鹿にされたギーシュにとってもはやこの場で気が収まるはずも無かった。
「…主が主なら使い魔も使い魔、か。いいだろう、じゃあ決闘しようじゃないか!」
「決闘って…貴族同士の決闘は禁じられているはずよ、ギーシュ!」
「なぁに、僕が決闘をするのは君の使い魔さ。決闘で君の方が勝ったらこのメイドと君に謝るよ。
ただし君が負けたら僕のやる事には文句を言わない事と、僕自身にも君に謝ってもらおう。
ゼロのルイズ、それでいいかい?」
「わ、私は…」
ルイズはちらりとゼロの方に目をやる。仮にゼロの話が本当だとしても
剣の腕が立つ騎士がメイジに勝てるのだろうか?
しかし目の前のギーシュを見ていると「こいつの鼻を明かしてやりたい」という気持ちが猛烈に強くなる。
貴族としてしてはいけない立ち振る舞いをしたこの男に、引いてはならない。
「ルイズ、どうするんだい?」
「やるわ、この決闘」
「決まりだな!場所はヴェストリの広場、今から行えば次の授業までに決着は付くだろう
僕は先に行っているよ!はっはっはっは!」
ギーシュとその友人達は笑いながら食堂を後にしていった。


「あ…あ…」
シエスタは自分のしでかした事に戦慄していた。小瓶を拾っただけで
貴族と、その使い魔の決闘騒ぎに発展してしまったのだ。勝敗がどうであれ
もう自分に明日は無いのではないかと考えると目の前が真っ暗になりそうだった。
「そこのメイド」
「はははははいっ!」
「名前」
「シッ、シエスタと申します!」
「シエスタ、別に私は貴女を取って食おうって訳じゃないからそんなに怯えないで。
単にギーシュの態度が気に入らなかっただけだから言ってやっただけよ」
「でも…」
「2度も言わせないで、貴女は悪くない。行くわよガンダム」
そう言い放つとルイズとゼロも続けて食堂を後にした。

「ルイズ」
「何よガンダム」
「はねっかえりだけの娘かと思ったが言うじゃないか」
「だっ、誰がはねっかえりよ!!いい加減使い魔らしくねぇ…んもう!」
そんなやり取りをしつつヴェストリの広場へと足を踏み入れた二人。
既に人だかりが出来ており、そこに割り入って歩く中
観衆による数多くの好奇の視線と心無い会話が飛んでいだ。
「(ゼロのルイズ、使い魔を呼べたって話本当だったんだな)」
「(アレが使い魔かよ…小さいゴーレムだな)」
「(今日も授業で失敗しちゃったんでしょ?ギーシュ様の前で恥かくのがオチよ)」
しかし二人は気にも留めずギーシュの元へと歩みを進める。

「やぁゼロのルイズ、そしてその使い魔。逃げずに良く来たね」
「…御託はいいわ、始めるなら始めてちょうだい」
「そうかい、ならそこの小さなゴーレム君。前に出たまえ」
ゼロがギーシュと相対し、ルイズは後ろに下がった。
彼の言葉を一応信じてはいるがいざとなるとやはり不安がよぎる。

「諸君!決闘だ!」
その言葉と共にギーシュが持った薔薇を掲げるとギャラリーの反応が一気に盛り上がった。
「相手は“ヴァリエールの小さなゴーレム”だー!」
「壊しちまえギーシュー!」
ギーシュは掲げた薔薇をゼロに向かって突き出す。
「僕の名前はギーシュ・ド・グラモン。珍しく喋れるようだし、君も名乗ってみたらどうだい?」
「俺の名は…ゼロガンダムだ」
そう言いながら剣を抜きギーシュに対して構えるゼロ。
「ハハハッ!こりゃあいい!ゼロのルイズが召喚したのはゼロか!何ともお似合いだ!」
ギーシュは手にした薔薇を振るうと、地面に散った薔薇の花びらから光があふれ
それはたちまちに2メイルに届こうかという青銅の甲冑人形へと変化した。
「僕の二つ名は“青銅”。よって青銅のゴーレム、ワルキューレがお相手しよう。
ルールはどちらかが参ったと言うか、君が僕の杖を落とすか、君が僕に壊されるかだ」
ギーシュは薔薇を再びゼロの方向へ向ける。
「さぁ!決闘開始だ!」


「“ヴィンダールヴ”…」
「そう、あの始祖ブリミルの使い魔と言われる伝説のヴィンダールヴ!そのルーンなのです!」
その頃、学院長室ではコルベールがルイズの呼び出した謎の種族不明の使い魔と
使い魔の手に刻まれたルーンについて説明をしていた。
「しかし…ヴィンダールヴはともかくその、ユニオン族というその使い魔の種族の方が謎じゃな」
「えぇ、見た目はゴーレムのような…それでいて生きている種族なんて初めてです」
「その言いようじゃと『フェニアのライブラリー』でも徒労じゃったか」
「尽力の甲斐も虚しく」

「ジジ…えー院長?ちょっとよろしいですか?」
扉をゆっくり開けて様子を伺いながらロングビルが入ってきた。
「む?」
「ヴェストリの広場で騒ぎがあって、それがどうやら決闘だとか…
騒ぎを聞きつけた教師達から“眠りの鐘”の使用許可を求められています」
「たかだか子供の喧嘩に秘宝まで使わんでええわい、教師達に取り押さえるよう言っとけ」
「それが…観衆の生徒達が多くて中には仲裁を邪魔する者もおり、とても割り入れないとの事で」
「放っておけ放っておけ。一応大事にならんよう治療出来る者はその場で待機じゃ」
「ではそのように」
「あーそうじゃ、今回の決闘をしとる馬鹿は誰じゃ?いい機会じゃし学費ふんだくらんと」
「話によるとギーシュ・ド・グラモンと…」
「グラモン家の色ボケ息子か、まーったく親に似て女性の事となるとどうしようもないのぅ…」
「ですが…相手はミス・ヴァリエール…」
「ミス・ヴァリエール?」
「の、使い魔です」
「使い魔じゃと!?」
「えぇそうです。貴族同士は禁じられていますからこうしたのかと…」
「むぅ…まぁええわ、さっきの要領で頼むぞい」
「分かりました」
ミス・ロングビルが退室した後、オールド・オスマンは立てかけてあった自身の杖を持つと
かけてあった大きな鏡に向かって杖を振う。
鏡に写る像がぼやけるとそれは段々と違う像を映し出していた。
「その使い魔がどういったものか、ヴィンダールヴのルーンと合わせて見極めねばならんな」
鏡に映っていたのは、観衆に囲まれたギーシュとゼロの決闘の風景であった。



「ゴーレム、突進!軽くひねってしまえ!」
ギーシュのその声と共にゴーレムがゼロへと突進していく。
「ハァッ!」
突進してきたゴーレムに対し、ゼロはゴーレムの脇を目がけ横薙ぎに剣を振った。
ゼロの剣はゴーレムの上半身を斬り飛ばし、地面に斬り飛ばした上半身がめり込む。
開始から即座に一体のゴーレムはただの青銅の塊になり、魔法が解けて元の土に還ってしまった。
その様に一瞬周囲が静まるが、間を置かずして周りが再びざわつき始める。
「ギーシュ何やってんだよー!」
「遊びすぎだぜー!」

「ふぅん、あのゴーレム中々やるじゃないの。ゼロのルイズが呼んだ使い魔にしては上出来じゃない?」
燃えるような赤い髪をかきあげながらキュルケが隣の少女、タバサに話しかける。
「…」
何も言わずにタバサは手にしている本を読んでいた。
彼女達二人はというと、タバサの使い魔である風竜シルフィードの背中に乗って
観衆達の上空よりこの決闘を見守っていたのである。
「ま、この分だと意外と善戦しそうね」
「…力が、渦巻いてる」
「え?」
タバサはいつの間にか本を閉じゼロの方を見ていた。

「ハ、ハハッ!今のはほんの小手調べさ!」
と、ギーシュは余裕のある態度を見せてはいたが
内心ゴーレムがあっけなくやられてしまって少々焦りを感じていた。
「くっ…小さくてもゴーレムはゴーレムだったか!だが僕のワルキューレは!」
ギーシュが楽団の指揮でもするかのように薔薇を振るうと
何枚もの花びらが宙を舞い、そして先ほどのようにゴーレムが生まれ出る。
「これだけいるのさ!」
しかし先ほどと違いその数は六体、そして全てのゴーレムがその手にランスを手にしていた。

「ギ、ギーシュのゴーレムがこんなに…」
整列した六体のゴーレムを見てルイズは息を呑んだ。
最初のゴーレムを倒した時には思わず声を上げたが、同時六体となっては
流石に腕の立つゼロも危ういとルイズは思ったのだ。
この戦いはもう駄目かもしれない。
素直に言う事聞かないわ使い魔の分際で主人を慰めようとするわ
(ルイズからしてみれば)かなり不適格な使い魔。
…だが自分が成功した唯一の魔法の証をこんな形で失いたくは無い。
「俺を信じろ」という使い魔の言葉。
そしてギーシュに毅然と言ってのけた貴族としてのプライド。
駄目だと思う気持ちを押しのけて自然とルイズの口が言葉を発していた。

「勝ちなさい、ガンダム!!」
「応ッ!!」

その瞬間、手にしているゼロの剣に紫電が走る。
「再度突撃!くっ、串刺しにしてしまえぇぇ!!」
ギーシュが薔薇を振るうと、ゴーレム達が一斉にランスを構えゼロ目がけて突撃してきた。
だがゼロは顔色一つ変えずそこから一歩も動かない。
彼もまたギーシュのやり方は好かなかった。
ならば見せてやる、お前が馬鹿にする使い魔の放つ、正義の雷を!
ゼロが剣を振り上げたその時、剣が稲光を帯びて眩い光を放った。
「受けるがいい…我が雷!」

「雷鳴斬(サンダーバリアント)!!」
迫り来るゴーレムに対しその剣を振り下ろした瞬間、剣から雷の奔流が炸裂する。
それはゴーレム全てを包み込み、あっという間にゴーレムは稲光の中ボロボロと崩れ去ってしまった。

「青銅の騎士よ、“無”(ゼロ)に……還れ!」


ゴーレムがいた場所は雷の一撃によりえぐれており、その中心部には
そのゴーレムだったと思しき黒く煤けた金属の塊がゴロゴロと転がっているだけであった。
その金属にかかった魔法の効力も切れ、その塊もやはり一瞬で元の土に還ってしまった。
「なんだよ…なんなんだよ…」
ギーシュは目の前で起きた事態を飲み込めなかった。
突撃させた瞬間稲光がゴーレムを包みこみ、残ったのはゴーレムだった金属塊。
そして、その雷を発したと思われる“ヴァリエールの小さなゴーレム”は
抜き身の剣を持ったままこちらへ歩いてくる。
周囲の観衆は静まり返っており固唾を呑んでこの様子を見ていた。
「くっ、来るなよ!来るな!」
迫るゼロにギーシュは後ずさりをした、だが後ずさり損ねて尻餅をつく。
しかしゼロは無情にもギーシュへと歩きその目前までやって来た。
その威圧感に軽くパニック状態になり無闇に薔薇の花を振り回すギーシュをよそに
ゼロは手にした剣を振り上げた。
「わかった!僕の負けだ!参ったから!やめてくれーっ!!!」

「…え?」
振り下ろされた剣はギーシュの目前に切っ先を向けてぴたりと止まった。
「参ったと言ったな。俺の勝ちだ」
ゼロが剣を鞘に収めた瞬間、勝負が決したのを告げるように午後の授業を知らせる鐘が鳴った。
「ルイズの使い魔が勝った…」
「な、なんだあの雷は!」
「あのゴーレム、只者じゃないぞ!」
「ギーシュ様が負けるなんて!」
堰を切ったように沸き起こる観衆の声の中
ルイズとゼロ、そして腰を抜かしたままのギーシュだけがその場に立ち尽くしていた。
「あれが…雷龍…剣…」
「(いかんな、つい観衆の前で雷龍剣の技を、しかも派手に使ってしまった……まだまだ未熟!)」


「…勝ちましたね」
「うむ」
オスマンとコルベールは神妙な顔で鏡の映し出す風景を見ていた。
「あの雷は一体…魔法の類でしょうか」
「呼んで参れ、一刻も早くあれを知らねばなるまい」
「分かりました」
コルベールが退室した後、オスマンは宙を仰ぎ見て大きく息を吐いた。
「よもや30年前に会ったあの者達と同じ様な姿形を持つ者に会うとは…」
オスマンの誰に向けたでもない独り言にちゅう、と机の上のモートソグニルが返事をした。

「ならばあの者達との約束は、果たさねばなるまいて」





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