あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

紙袋の使い魔-04


日夜問わず、患者を求め旅をする男。

彼の名は、ファウスト。かつて世界最高の名医と称された男。
かつて彼は、とある事件で狂い・・・そして罪を犯した。

正気を取り戻す事が出来た彼に残されたモノは・・・自分の犯した数え切れない
”罪”だけであった。

彼は自ら命を断つ決意をした。

だが彼に取っての死は苦痛を与えるモノでは無く、逃げでしか無いと彼自身が
一番よく分かっていた。

死ぬ事も出来ぬ日々。そんな中、かつて自分を狂わせた事件が人為的なものだと知った。

事件の真相を解明する日まで、彼は顔を隠し、可能な限りの命を救っていく事を己への生きる
証と考えた。

そんな中、彼は異世界であるハルキゲニアへと召喚されたのである。

そこで一人の少女と出会う。

少女の名はルイズ。

彼が救えなかった娘の面影を持つ少女。

困っている少女を前に彼は自分がどんな状態に晒されているかも理解せぬまま契約を行った。

少女は喜び、その様子を見た彼も嬉しかった。

そう・・・あの娘の笑顔を見ているようで・・・。




ルイズの使い魔として彼女を助け、この異世界にいる、自分を必要としている患者を助ける事を
決意したファウストは異世界での初めての朝を迎えるのであった・・・。





そう。彼のハルキゲニアでの救済の日々は幕を開けたのだ。

「ヌメっと爽快!!う~んいい朝ですねぇ。この世界はブラックテックに汚染されていない様です・・・
 実に空気が美味しいですヨ」
 彼は目覚めがいい。と、いっても彼自身は完全に寝むる事は少なく、どんな状態でも意識は覚醒状態でいる事が出来る。
「うふ!それは私が”達して”いるからであって皆さんは真似しちゃダメですよ。絶対!」
 常人には出来ないから安心して頂きたい。

「私ッたら誰と話をしているんでしょうねぇ~。まぁ、イイです・・・さて、ルイズさんを起こすとしますかねぇ。

 彼は昨晩作った自室の扉をそぉ~~~~~っと開けた。
 ドッキリ番組の様にルイズの部屋へ入り彼女の元へ近づいた。

「アラヤダっ!ルイズさんったらおへそ丸出しで寝てるじゃありませんか!風邪をひいてしまいますよぉ・・・」
 彼は法力にて、部屋の気温を少し上昇させ、彼女を起こす事にした。
「おっはーーーー!ルイズさん!朝ですヨ!起きて下さいぃ」
 その音量に驚いたルイズは、布団を蹴飛ばし跳ね起きた。
「何事!?ハルキゲニア最大の危機!?」
「おっはーーですルイズさん。目は覚めましたか?」
 ファウストに問いかけられてから数分。
 落ち着いたルイズは目を充血させファウストへと食いかかった。

「ちょっとファウスト!朝っぱらから何て声出してるの!?それに何よその”おっはーー”って!?」
「ウフフ。それはですね・・・。私の世界ではナウなヤングにバカうけな朝の挨拶なんですよ!」
「ナウ・・・?ヤング・・・?何処と無く古の響きがする言葉ね・・・まぁいいわ。次からはもっとやさしく
起こして頂戴」
「ルイズさんのイケズぅ・・・。お、怒らないで!?」
 軽く目が据わったルイズ。昨日のしおらしさは何処へ言ったのやら・・・。これがツンっ期ってやつなのか?

「・・・朝からあんたのそのテンションには付き合いきれないわ。さて、学校へ行く準備でもしようかしらね」
「何か私に手伝える事はありますか?」
 ルイズは少し考えるとクローゼットへと指をさし・・・。

「服」
 とだけ告げた。

「ハイハイ。服ですね・・・。どうぞ」
「ん・・。ありがと」
 ルイズはネグリジェを脱ぐと洗濯籠へと投げ捨てた。
「次は下着を取って頂戴」
「下着ですね・・・・・って・・・ハイィ~!?下着もですかぁっー!?」
「いいじゃないの。モノはついでよ」
 何を持ってついでというのかは分からないが、少々悩んだ末、ファウストは下着をルイズへと手渡した。
 紙袋の外から見ても彼の照れる様子が分かった。

 ルイズはそんなファウストを見ると一つ悪戯を思いついた。
「じゃあ後は着せてくれるかしら?ここまで来たら最後までお願いね?」

 当初、服だけ取ってもらって自分で着替えるつもりであったが、ファウストの年甲斐(?)も無く照れる
 様子を見ると朝驚かされた仕返しとばかりか、彼を困らせてやろうと思ったのだ。

「男は度胸。何だってやってみるもんよ?って本にも書いてあるらしいわ」
 ファウストは目を回し、挙動不審(それはもともとだが)な態度をしている。

 悩むに悩んだ末、ルイズの正面へと向いた。

「・・・・・・・・・・分かりました。朝のお詫びです。ルイズさんの悪戯心を満たす為に、私も誠心誠意努力
しましょう」

 ルイズの悪戯は顔に出ていたらしく、ファウストに見破られたようだ。
「(さすがにバレたらしいわね・・・。フフ・・・でもそんな様子でどうするつもりなのかしら・・・?)」
「では闇医師ファウスト・・・推して参る!!」

 ファウスト右手でルイズの上着を取り、左手でルイズの下着を持ち・・・・そして右手でルイズの体を固定し、左手で・・・・・・。

「ちょっーーーーーーーと待ちなさいよ!?う、う、う、腕が四本あるじゃないのよぉー!!」
「これはこれで便利なんですよ?手術の時なんかでも自分で全部出来ますからネ。一人で出来るモンっ!ってやつですよ」
「それにあんた紙袋被ってるから気付かなかったけど首が真後ろ向いてるじゃないのぉーーー!?」
「さすがに直視しては私が爆発しちゃいますよぅー」

「・・・・あんた本当に人間?」

「あじゃぱー!?」

 ファウストは見て分かるほどに凹んでいる。ホントはお医者様じゃなくてリアクション芸人なんじゃないかと思う。

「ルイズさんのイジワル・・・私は悲しいのですよぉ・・・」
「そんなん朝から見せ付けられたらそうも言いたくなるわよ・・・それも法力ってのでやってるの?だとしたら何でもありね」

「ここまで出来るのは私くらい”達した”人間だと思いますよヨ。まぁ、上半身の筋肉が肥大した巨漢の戦士や自分の10倍以上はありそうな錨を使う少女なんかも知り合いにいますが・・・」

 その光景を思い浮かべようとしたが全く想像が出来ない。人間、自分の理解が出来ない想像なんかは出来ないようになってるらしい。

「すごい世界ねぇ・・・あんたの世界って・・・」
「ルイズさんも私の様になりたいのですか?」
「・・・法力には興味はあるけど、それは遠慮しとくわ・・・」
「ウフフ・・・残念です。気が変わったらいつでもお教えしますよ・・・」

「・・・さて準備も終わったし、まだ学園へ行くまで少し時間があるから自分の部屋で待っててくれるかしら?
 また後で声をかけるわ」
「そうですカ。それではまた後でお呼び下さいね」

 ファウストは自室へと戻ると自らも、就寝用の白衣からお出かけ用の白衣へと着替えていた。

「おはよう。ルイズ。今日はちゃんと起きてるかし・・・・」

 急に扉が開かれると赤い髪の女の子がそこに立っていた。

「(はて・・・確かに鍵をかけた筈なんですが・・・・まぁここは王道的に・・・)いや~ん!まいっちんぐぅ~!」
「あ、あらごめん遊ばせ・・・?へ、部屋を間違えた様だわ・・・!」

 赤い髪の女の子、キュルケは自室と、今自分が入った部屋の位置関係を確認していた。

「(私の部屋の隣はルイズの部屋の筈・・・それは間違いないわ・・・。なら今、中にいた男は誰・・・?
胸に5つの傷を持つ男・・・・・・。まぁいいわ。もう一度とにかく入って見るわ)」

 キュルケが再度ドアを開いたとき・・・。
「ど、どうしたのファウスト!?今の叫び声は!?」
「ル、ルイズさん・・・アタシ汚されちゃった・・・アタシ・・・アタシ・・・そこの女の人に・・・」
「キュ、キュルケ!!人の使い魔に何したの!?アンタったら朝から盛ってるの!?」

 この物言いに呆然としていたキュルケは我に帰ると。
「盛ってたったどんな言い草よ!そもそも私の部屋の隣は貴方の筈でしょ!?何でこんな男がいるのよ!!」

 そうだった。昨晩ファウストが自分用の部屋を隣に作ったのは私しか知らないのだ。キュルケが部屋を間違えたのではない。そもそも自室の部屋と隣の部屋の間に、新しく部屋ができていたなんて思う筈もないのだ。

「こ、こいつは私の使い魔のファウスト・・・。人間を召喚したなんて初めてだって言ってコルベール先生が部屋を空けてくれたのよ。私の部屋は、もう一つ向こう側に移動したのよ」
「へぇ・・・そういえば貴女ったら人間らしいモノを召喚したんだったわね・・・」

 ふぅ・・・とりあえずは誤魔化せた様だ。だが、キュルケの目はファウストを見つめている。
 コラそこの紙袋。頬を染めるな。見えないが私には見える。見えるのだ。

「あっはっは!本当に人間じゃない!すごいじゃないの!」
 くぅ・・・口惜しい・・・。ファウストは只の人間じゃないのに・・・。そんじゃそこらの使い魔より
 凄いのに・・・。

「サモン・サーヴァントで人間を召喚するなんてさすがじゃないの。ゼロのルイズに相応しいわね」

 ゼロ、という言葉にルイズは両手を握り締めた。

「そ、そんなの私にかかれば簡単よ」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんとは違って、一発で成功したけどね」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら私のこの子みたいじゃないとねー。いらっしゃいフレイム!」
 キュルケの声に真赤で巨大なトカゲが現れる。
「ほう。これは興味深いですねぇ・・・・おや?」
「あら?貴方はフレイムを見て驚かないのね?」
「キュルケさんと仰いましたか?よろしければ、このフレイム君。少し舐めさせて貰ってもいいですか?」
「えぇ。良いわ・・・え!?」

 キュルケの驚いて声を上げた時にはファウストはその大トカゲを舐めまわしていた。
「ちょっと貴方!人の使い魔に何をするのかしら!?」
 キュルケは杖を掲げ、今にも魔法を唱えようとしている。
「キュ、キュルケ!?ちょっと待って!ファウストも急に何してるのよ!?」

 一瞬即発の空気にルイズはキュルケとファウストへと問いかけた。
「いえ。少々気になる事がありましてね。キュルケさん。昨日の晩、フレイム君がくぐもった泣き声を上げていませんでしたか?」
「え?ええ。確かに上げていたわよ。何でそれを貴方が知っているのかしら?」
「やはり・・・。キュルケさん、フレイム君は喉を怪我しているようですね」
「!?何でそんな事が分かるのかしら!?」

 ファウストはポケットから虫眼鏡を取り出すとキュルケへと差し出した。
「キュルケさん、ここを見てください。棘の様な物が刺さっているでしょう?召喚の際に何処かで引っかかったんでしょうな」
「ホントだわ!大丈夫フレイム!?」
「少々お待ち下さいね・・・こうして・・・抜いた後は、秘伝の薬を塗って・・・出来ましたよ」
「大丈夫なのフレイム?」
「きゅるきゅる」

 フレイムは嬉しそうにキュルケとファウストの顔を舐めまわした。
 ここで完全に置いてけぼりであったルイズがキュルケへと話しかけた。
「フフフ。ファウストはお医者様なのよ!それもすごい高位のね!」
「貴方にはお礼を言わなきゃいけないわね・・・・。ミスタ・ファウスト」
「私は私の成すべき事をしたまでですよ。キュルケさん。これからもフレイム君を大事にしてあげて下さい」

 キュルケはフレイムの頭を一撫でするとルイズ達の方を一瞥し。
「ルイズ。先ほどは失礼したわ。貴女の使い魔、ミスタ・ファウストは私のフレイムの恩人よ。そんな人を召喚するなんてなかなかやるじゃない?」
「べ、べべ別にアンタに褒められる為に召喚した訳じゃないわ!」
 滅多に聞けないキュルケの賛辞にルイズは顔を真赤にしてしまった。

「それじゃあ。ルイズ。ミスタ・ファウスト。また後で会いましょう。失礼するわ」




「ファウスト。・・・・ありがと・・・・」
「何ですか?何か仰いましたか?」
「何でも無いわ!私たちも行きましょう!」
「ウフフ・・・照れ屋さんですねぇ」


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