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其之七:孫悟飯の戸惑い


ヴァリエール公爵家。見るものをことごとく圧倒し、初見の者には例外なく驚愕を刻ませる“超”豪邸。
そこと、領地である森林地帯道と外をつなぐ長い道を、真っ直ぐに、数台の馬車が進んでいた。
カタカタと軽快な音を立てて揺れる馬車は、昇りきっていない青白い日の光に当てられ、その光景はどことなく神秘的かつほのぼのとして……

いなかった。

馬の手綱を持つ老齢の御者も、一番前を行く馬車とは別の馬車に乗車している平民の召し使いたちも、皆額に冷たい汗を滲ませ、目はどんよりとまるで半分死んでいる。
特にひどいのは、先頭を行く馬車の手綱を持つ初老の男。
見事に白く染まった口ひげと髪が、意思を持っているかのようにあさっての方向へぴんぴん背伸びしているのに、まるで直す気が無いのだろう。完全に無視している。
目も一際濁り、額に滲んだ冷汗はもうだらだら流れっぱなしである。
それもそのはずだった。
彼の率いている馬車からは、どす黒く、抑えられない爆発的な怒りに燃えた『気』が常人を圧迫するほどにあふれ出ているのだ。

その馬車には、一人の女性が乗っていた。
足を組み、腕を組み、ただ静かにそこに座り込んでいる女性は、それだけで他を寄せ付けない威圧的な雰囲気を周囲に吐き出している。
特徴ある尖った逆三角の眼鏡の奥で、その眼鏡がはるか鈍角に思えるほど鋭く尖らせた目を、グレーの薄い膜が張ったような空に向けて、光らせていた。

「……ん?」

その殺気が、一瞬消える。
怒りと悔しさに濁っていた筈の目が、何かを捕らえた。
何か、およそ人差し指ほどの大きさしかない『何か』が、空に居る。
鳥か? 船? いいや、違う。どちらでもない。
あんな大きさの鳥がこのあたりにそうそういるとは思えない、かといって船では小さすぎる。
よく見てみると、『何か』は我がヴァリエール家の領地に、ゆっくり降下してい行っている。

彼女は思い当たる節が無いものかと、記憶を探ってみた。
しかし、つい先程までカッと煮えたぎっていた頭では、冷静に考え事ができるわけも無い。
そのことに対し、彼女が更なるイライラを募らせていると、突然馬車が大きく揺れた。

彼女は、バランスを崩して倒れそうになる中で、偶然目をやった際にそれを見た。
最後ヴァリエール家の中に消える『何か』は、その最後の降下の際こちらに振り返り、“確かにこちらを見つめてきた”のだ。

「まさか、人!?」

つぶやいた直後、顔に憂色を浮かべた御者たちが駆け寄ってきて、慌てすぎて裏返った声も気にせず、口々に彼女の名を呼んだ。

「も、申し訳アリマセンッッ!! 大丈夫ですか、エレオノールお嬢さま!!?」

と。
エレオノールは父譲りの金色の髪が乱れまくっていることを気にも留めず、冷静な判断をしにくくなった頭を一生懸命に動かして、ただ今さっき目の前で通り過ぎた出来事に、唖然としていた。





一見すると、どこまで続いているのか分からないほど広い廊下、床は廊下の長さに合わせて作られた踏み心地のいい赤い絨毯がしかれており、その節々には高級そうな花がわさわさと突っ込まれた、これまた高級そうな壷が置かれ、壁には高名な画家が描いたものらしいと一目でわかる、リアリティ溢れる絵が飾られている。

その廊下の上を、大きな窓に採光された青白い光の帯が、薄く長く伸びている。
時は朝。それもまだ朝日が上りきっていない時間、ごく一部の使用人を除きほとんどの者はまだ床についている時間。

しかし、今日という日は早足で、と言うよりは慌てた様子で行き交う使用人たちのおかげで騒がしくなっていた。

「どうしたんですか、今日は? なんだか皆さん忙しいみたいですけど」

悟飯は下着姿で気絶している若い使用人をそっと廊下に寝かせながら、カトレアに尋ねた。

この可哀想な使用人は、早朝修行から帰ってきた悟飯と部屋の前でばったり出くわしたため、やむを得ないな、と一瞬で判断した悟飯に驚いて叫ぶ暇も無く、腹を殴られて気絶させられたのだった。
しかも、それを聞きつけてやってきた小悪魔的笑みを浮かべたカトレアに、「あら、ちょうどいいわ」と一言言われた後、白目をむいた使用人はどこからとも無く現れた専属のメイドにあれよあれよとスーツを剥ぎ取られ――悟飯も慌てて止めようとしたが、振り返ったカトレアの屈託のない微笑み+逆らいがたい謎の圧力にあっけなく撃沈された――望まずにして下着姿となった使用人は、カトレアの部屋にいるのもまずいということなので、悟飯がこっそり外に連れ出すことになったのである。

「今日はエレオノール姉様がお帰りになるの。それで皆、お迎えの準備があるのよ」
「へーエレオノール姉さまが。姉さま? …………?
ん? え? カトレアさんって、お姉さんいたんですか!?」
「あらあら、言ってなかったかしら?」
「初耳ですよ! 妹さんがいる事は聞きましたけど……」

それも昨晩聞いたばかりで、かなり記憶に新しいことだ。
なんでも妹さんは『ルイズ』という名前で、今は学校にいるとのこと。
妹を褒めちぎるカトレアの柔らかい声を聞きながら、平和な世界で自分にも弟がいたらこんな感じになるのかもなと思った。
男の子なら父さんに似た子供だろうし、女の子なら母さんに似る……のかな?
まぁどっちにしろ元気ある子になるだろうと思い至って、考えるのをやめた。

「どんな人なんですか?」

部屋に戻り、寄ってきた動物たちの頭をなでながら聞く。
カトレアはつぶやくような声で少しうーんと唸ると、

「わたし達姉妹をいつも想ってくれる、優しい人よ。でも、わたし達より少しだけ厳しいわ」
「……優しい人、ですか」

悟飯は屈託の無いカトレアの笑顔を見ながら、そりゃそうだと思った。
こんなに大らかで心優しい人の姉なのだ。
きっとエレオノールという人もまた、こんな風に他人を慈しむ雰囲気と暖かく寛大な心を持ち合わせているに違いない。と勝手に思った、思ってしまった。
ただ気になるのは、先ほどからエレオノールという名前が上がるたびに頭をなでてやっている奴を含めた動物たちが、心なしか震えているような気がすることだった。

カトレアは光を透き通らせるスーツを腕いっぱいに広げ、嬉しそうに言った。

「うん、思ったとおり……あら!」

スーツを胸に抱いて悟飯を見たカトレアの顔が一瞬呆け、そしてこんどは慈しむ様な
深みのある微笑を投げかけた。
悟飯は何気なく口元に手を置いて、驚いた。彼女を見ている自分の顔もまた――口の端を微妙に上げる程度ではあるが――知らないうちに、笑みを浮かべている。
いったん綻んだ顔は、なかなか戻る気配が無い。あたふたしていると、カトレアはクスリと小さく笑った。
それを見た瞬間、なんだか恥ずかしいような気持ちが体の中でじわじわとこみ上げ、どうしようもなくなった悟飯は、せめてもの照れ隠しに顔をうつむかせて頭を掻いた。

――どうしちまったんだろ、オレは?

考えても、それに答えるものは誰もいない。
無論、こんな気持ちは今まで自分で経験したことなど無い。
元の世界にいたときは闘いと勉強ばかりだったが、どんな参考書にもこんな気持ちの原因、答えなんて載ってなかった。
自分より格上の誰を前にしたときも、こんな戸惑いと焦りと羞恥な気持ちの混ぜ合わさった感情は感じたことが無い。

「ゴハン?」

名を呼ばれて、はっとした。
いつの間にか、カトレアがすぐ目の前まで来て、どうしたのと言いつつ顔を覗き込んでいる。
薄く金がかった桃色の髪が揺れるたびに相変わらずいい匂いがするなーと思いつつ、

「ぅわーっ!? 大丈夫です大丈夫! ……はは……」

慌てた。
そして、差し出された手にのっているものに気づき、目を丸くする。

「あの……これは……」
「大丈夫」

カトレアはコロコロと笑った。
父にも似た天使のような笑顔にやや見とれながら、改めて、笑顔のバリエーションが特別多い人だと思った。

「きっと、似合うわ」

そう言う問題なのだろうか……

悟飯は額に一筋の汗をたらしながら、口の端をそっと上げ、笑った。
直後、メイドに首根っこをつかまれ、ずるずると引きずられながら部屋を出た。




「あら!」

時間が流れ――――、
メイドに連れ去られていた悟飯が恐る恐る扉を開けた。
椅子に座って待ち構えていたカトレアは、それを確認すると豊満な胸の前で手を合わせて、目を見開いた。

悟飯は半開きのドアに体の大部分を隠れるようにして、頬を薄っすらと朱色に染めながら恥ずかしそうに視線を落とした。

「早く入れ!」

しばらくたって、いつまでたっても俯いたまま中に入ろうとしない悟飯の背中を、メイドが思いっきり蹴っ飛ばした。
わ、わ! と些か情けない声を漏らし、不意を突かれたのにプラスして、意外と力強い突然の蹴りに悟飯はバランスを崩し、ドアを押し倒すように開くと部屋の中に崩れ落ちた。

「いって~……」

いくら体を鍛えていても、痛いものは痛い!
悟飯は蹴られた辺りをさすりながら、ゆっくり立ち上がり、振り返る。

「いきなり突き飛ばさないでくださいよ、痛いものは痛いんですから……」
「だまれ。さっさと入らなかったあんたが悪い!」

男の癖にぐじぐじしやがって、とため息とともにはっきり言われ、さすがに悟飯もムッときた。何か言い返してやろうかと考えたとき、不意に後ろからクスクスという、澄んだ笑い声が響いた。

「か、カトレアさん……?」
「背中だ、異世界の平民」

メイドに指摘され、肩越しに背中を見た。
黒いスーツの背中に、白い靴跡がくっきり残っている。
紛れも無く、先ほどこのメイドに蹴られた場所であった。

「も、もう汚してしまった……」
「ふん、ものは大切にしろ」
「な!? 元はといえば、キミが……」
「あんたがぐじぐじしてたからだろ?」
「…………クッ!」

そっけない口調でしかし正論を返され、悟飯は押し黙った。
確かにそのとおりだけど、靴跡が残るほど蹴らなくてもいいだろ!
と、心の中でしか反論していない自分にむしゃくしゃしながら。

「大丈夫よ、こうすれば……」

カトレアが手で、汚れを叩いた。
目を見開いたメイドが、今まさに獲物を捕食せんとする肉食獣のように、すばやくカトレアのもとに飛び掛り、細い腕を力強くつかんだ。

「いけません! お嬢さまがこのようなことを……」
「いいじゃない、このくらいはわたしにだってできるわ」

真剣な、気迫さえ篭っていそうな表情のメイドに至近距離でそう言われても、カトレアは動じることなく、さわやかな笑顔のままだった。

「似合ってるのかなぁ……?」

改めて、汚れ落としももそこそこに。
自身の背とそう変わらない大きさの、豪華な鏡の前に立った悟飯は、そこに映る見たことも無い姿の自分に戸惑いつつ、体の各所をぎこちなく動かしていた。

鏡にいるのは黒いスーツに黒いローファーをきちっと着こなした孫悟飯。
もともと筋肉質な割りに、それ以外の無駄なものがついていないスマートといって言い肉体は、上質な黒い布の下に、普段の胴着姿からは連想しにくいほどコンパクトに収まっている。

悟飯がぎこちなく思うのは、“それが”ただ単に着慣れない衣装であるがためであった。

元の世界、人造人間が襲撃してからというもの、戦いと修行に明け暮れる日々が続いた。やつらは気まぐれである。
悟飯はやつらがいつやってきても、どんなときでも戦えるように備えておかなければならず、そのため、普段着るものといえば胴着であり、私生活上でも着替えるといえば、たまに入る風呂と、寝るときだけで――と言っても、寝巻きはほとんど下着であるから――実質的に、他の服をまともに着ることなど、実に十数年ぶりだった。

――だからなのだろうか?

「とってもよく似合ってるわ。うん」

――その言葉が、猛烈にうれしく感じるのは。

「さ、わたしたちも行きましょう」
「え、どこに……?」

ぐっと手を引っ張られ、されるがままにドアをくぐった。

「エレオノール姉様の、お迎えよ」
「え……? え――――――っ!?」

どこまでも続いていそうな長い廊下に、悟飯の声がよく響いた。

カトレア先導の元、廊下を進む途中途中で悟飯は感嘆した。
いつもはこそこそ隠れながら大急ぎで駆け抜けるから解らなかったが、こうして堂々とゆっくり歩いていると、改めてこの屋敷というか、カトレアの家柄のすごさが解る。

まず廊下がただっ広い。そして部屋の数がやたらめったら多い。
しかも、「ご丁寧にも同じ扉で同じ感覚で横一列にずらりと並ぶそれらは、それだけで迷路かと思ってしまうほどで、どこと無く気味が悪い。
他にも、壁には豪華な絵が、隅には宝石などで惜しげなく装飾された花瓶が、進めど進めど何度も何度も目に飛び込んでくる。

――こりゃ、カトレアさんがいなくなったら大変だな……

自慢にもならないが、そうなったら絶対に迷う自信があった。
人造人間が襲撃する以前、ここよりもはるかに狭いカプセルコーポレーションですらいまいち把握できなかったことを思い出す。
ここはカプセルコーポレーションとは違い、知り合いなど二人しかいないのだ。
下手に迷ったらまたこの前のように大騒ぎになりかねない。
“力”を持ってすれば別にそれ自体は簡単に収めることもできるだろうが、そうなってはまたカトレアに迷惑をかけるかもしれないのである。

「それは、いやだな……」

悟飯は眉をひそめ、冷や汗を一粒滲ませた。


そして、気づく。


「……あれ?」

目の前に誰もいない。
カトレアの女性にしては大きな、しかし小さく見えてしまう背中がいつの間にか消えていた。
どこかを曲がったかと思って、ばっと後ろを振り返る。
しかし、道の先にはいくつもの曲がり角が、まさに迷路のように存在していた。

悟飯は頭を抱えた。ついで、叫びたくなった衝動を、手のひらで口を閉じることで押さえ込む。

「い、いやー、やっちゃった……はは、ははは……」

口の端がヒクヒク震える。
シンと静まり返った廊下の真っ只中、乾いた声と、苦笑いがとまらなかった。




「おいおまえ、なにやってんだ?」

気配を消して注意深く歩いていると、突然背後から若い男の声が聞こえた。
びっくりした悟飯が振り返ると、そこにはスーツを着た男が一人、怪訝な顔でこちらを見ていた。

「あ、いや! オレは怪しい者じゃなくて……」
「はぁ? 何言ってんだおまえ?」

思わぬ来訪者に、胸の中で不安と焦りが一気に噴出したのを感じた。
反射的に後ずさる悟飯を怪しく思ったのか、怪訝そうな顔をさらに厳しくさせて、男はずんずんと寄ってくる。
男は悟飯より頭ひとつ背が高く、近寄って顔を見つめるとほとんど見下ろされる形になった。
目線を男に向けつつ、周囲の気を探る。驚くことに、人の気配は無かった。
相手は一人……いっそ気絶させるか、などと真剣に考え始めたとき、男は器用に片眉を吊り上げて、口元に何かを悟ったような、妙な笑みを浮かべた。

「……そうか、新人か」

なんとなく意味深に呟かれた言葉に「そういえば」と、今の格好を思い出す。
もうすっかり体に馴染んでしまった黒いスーツは、当たり前だが目の前の男の着ているものと、同じものなのだと。

どうやら同職の人間と勘違いされているらしい。

ほっと胸をなでおろした。胸のうちから零れそうだった不安と焦りが、安堵という穴に吸い込まれるようにして、一気に抜けていく。

「え、ええそうなんですよ。いやー早く道覚えようと思って歩き回ってたんですけど、この家広くって広くって、つい迷っちゃったんです。……はは……」
「ふーん……。まぁいいや、いま見たとこ暇だろ? ちょうどよかった。この際新人でもいいわ。ちょっと、手伝ってほしいことがあるんだ」

男は言うだけ言うと、返答も聞かず首根っこをつかんで早足で歩き出した。

「え、ちょっと……!?」
「まぁいいから来い! 人手が足りんのだ!」

悟飯は怱忙な男の態度に引っ張られるまま、屋敷の外に出た。

岩や土なんかを捏ねて作ったような巨大な人形が両端に立つ跳ね橋を通り、連れて来られたのはまるで崖の様に聳え立つ城壁に、先端が槍のように鋭い鉄格子で飾られた正門。
そこをさらにまっすぐ早歩き、屋敷がだいぶ小さく見えてきたところで二人は足を止めた。
そこで男に渡されたものは一本の、いたって普通の竹箒。
いきなり連れて来られてもわけがわからない。悟飯は箒を手に、ぽかんと立ち尽くした。

「あの……、いったい何を……?」
「だから、掃除だよ掃除! お嬢さまがお帰りになるというのに、屋敷までの道を汚したままにしておけんだろ」

男はバツの悪そうに話しながら、正門からつながる道を指差す。
悟飯はその指を追うようにして道を見た。そして、疑問に思う。

「汚れてるって……別にゴミなんか落ちてませんが?」

掃除しろと支持された範囲には、地平線の曲線まで見渡せるほど何も無かった。
両脇に並ぶ木々の根元にちらほらと落ち葉が見えるが、逆に言うならそれだけしかない。
多くの葉っぱたちは、まだ緑々とした色を保ち木の枝に付いて、時折吹く風に触れるとうれしそうにその身を躍らせている。

「いいから! この辺り一帯を頼んだぞー!」

男はお気楽な声を残して、自身もどこから取り出したのか、箒を片手に屋敷の中へ戻って行った。

「……さて」

男の後姿が見えなくなったことを確認して、箒を近くの木に立てかけると、遠く、小さく見える屋敷を見通す。
あの人には悪いけど、こんなところでのん気に掃除なんかしてる場合ではない。
カトレアも困っているはずだし、早く戻らなければならないのだ。

「結構遠いな」

あれほどの巨大な建物がだいたい親指くらいの大きさに見える。
思っていたより離れたところに来ているようだった。
……そうは言っても、軽く走ればすぐにたどり着く距離ではある。

――ここでやっちゃいけないことは、不用意に誰かと接触すること。

すでに自分の甘さのせいで二度もミスしている。心掛ける事は、集中力を高めて気配を察知することを常に行うこと。
今頃気づいたことだが、今の今まで人造人間という『気を持たない存在』と戦っていたせいか、気を探ることが昔に比べて下手になっているようなのである。
常に集中力を保つのはエネルギーを使うことだが、それもひとえに修行のひとつなのだ。
それを踏まえたうえで、問題は男の気配がまだそう遠くに行ってないことだった。
まっすぐに駆け抜ければいやでも鉢合わせしてしまう……

顎に手を当て、悟飯はしばらく考えたのち、ふぅと息ついた。

「ちょっと面倒だけど、遠回りするのが一番だな……」



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