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冷徹なる義眼

冷徹なる義眼

「ちょっと!それってつまり…アルビオンをあれで焼き払うって事!?」
「いけませんか?ルイズ様、ウェールズ皇家に付く兵力は残り300程度、対してレコン・キスタなる叛徒共は3万、もはや核でも使わない限り勝機はありませぬ」
 冷徹な義眼が睨み付けてくる…身のうちに感じたそんな言いしれぬ恐れを根性でねじ伏せて、ルイズは己の使い魔、
元銀河帝国ローエングラム朝主席参謀、現ウェールズ王軍残党暫定参謀、オーベルシュタインをにらみ返す。
「もはや反撃どころか逃げる事も不可能、良いところ無駄な突撃を行い300名の敗残兵が骸を晒すだけです
 あなたが真実このウェールズ皇子を連れ出そうというなら、もはや選択肢はそれしかない事くらいあなたならお判りのはずだ」
何を今更、そういった感すら含ませて言うオーベルシュタインに、ルイズはさらにくってかかる。
「だからって!あれは下手すれば周囲10キロメイル以上を焼き払い、百年は草一本生えない焦土と化す兵器だって!」
「だからこそ今使うのです、幸いにもこのアルビオンは浮遊大陸、他の国家、土地への被害は最小限で済む、それに、この機に乗じて良からぬ事を企む者が居るのならば、これは最大の抑止力となりましょう」
どこまでも正論、冷静、冷徹、冷酷な言葉に、二の句を告げぬルイズは何も言えずに地団駄を踏み、キュルケに窘められたりしている。
主の沈黙を了解と取ったのか、オーベルシュタインは次にウェールズ皇太子に向き直る。
「皇太子、ご選択ください、貴方一人だけでも明日を生き、王朝を再建するためにこの大陸と、貴方の腹心300、そしてこの大陸全ての生物と、平民を生け贄にするか、負け犬として死ぬか」
「…ミスター・パウル、卿は私に王として死に、大量虐殺者の汚名を被って生きよと言うか?」
「そのような事、私は次善策を申しているに過ぎなければ」
 今は全てを犠牲にしても生き、再起を図る。
正論だ、ここでウェールズまでもが死ねば、王家そのものが滅びる、そうなれば復興も糞もあったものではない。
だが、だがしかし
「それは…この大陸全てと、ここに住まう臣民を皆殺しにしてまでなすべき事なのだろうか?」
 ウェールズの心の隅にある良心の呵責、自分に付いてきた300の兵達、貴族、そして何も知らされずおびえるだけの平民、これら全てを生け贄とすることに自分は耐えられない、そう言いたかった。
だが、オーベルシュタインの言葉はその葛藤すら愚かと切り捨てる。
「これは異を仰る、この世界、魔法も使えぬ平民は家畜同様、奴隷以下の存在ではなかったのですかな?そのようなもの、たとえ大陸一つ分消えたところで王家にとって痛くも痒くもありますまい?」
 今まで王家が…否、王家も含めた貴族達が平民にしてきたことを考えろ、皆殺しにするなど、その延長に過ぎないではないか、王家も貴族も、平民の生き血を吸わねば生きていけぬ寄生虫なのだ。
宿主を殺すことで美しく羽化する虫とて居ないでは無い。
 ふと、そんな考えがウェールズの脳裏をよぎる、それは限りなく邪悪で、甘美な生への執着、人間の根源、本能…そして、愛しき姫への愛情が作り出した彼なりの線引き。
平民は王の、貴族の為に生き、その命を差し出す義務がある。
だが、その逆はありえない、平民無くとも国は成り立つが、国無くして平民が平穏にある事はあり得ない。
 どちらが枝でどちらが幹か、わずかな躊躇いの後、ウェールズは口を開いた。
「卿の、策を使わせて貰う」
「御意、では、私は準備を」
その次の日、レコン・キスタによる王城襲撃の最中…
アルビオン大陸に、巨大な太陽が出現した。
その熱と光の前に、もはや理屈も思想、理念もなんの力も無かった。
いや、或いは虚無の一端さえ、無力だったかもしれない。
「太陽の欠片」…オーベルシュタインの言うところの「古典的熱核弾道弾」がアルビオン大陸でもっとも効果的な場所…すなわち、首都上空で炸裂した。
 その直後、アルビオンはまさに地獄絵図だったと聞く。
救援に駆けつけたガリアの陸戦隊は、文字通り「何も発見することは」できず
探索に関わったものは、正体不明の病に冒されて次々と死んでいった。
レコン・キスタは全滅、ガリアは事後の探索で実に総兵力の20%を病に失った。
「これで、あの大陸に手を出そうとする者は居なくなるはずですよ、何、病の原因、放射能は100年もすれば濃度が下がります」
「済んだことを言っても仕方ないけど…もっと何か方法が…」
「あったかもしれませんが、私にはあれ以上は献策しかねます」
呆然と呟くルイズの傍らで、オーベルシュタインは淡々と答える。
今、からくりを知るトリステイン以外の国家は戦々恐々としていた。
いつ、あの「太陽の欠片」が自分たちの上に落ちてくるのかと。
……アンリエッタ王女、ウェールズ皇太子挙式の、1週間前の出来事であった。


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