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ルイズの魔龍伝-02


2.異世界の夜に

「普通だったらこの世界に存在する幻獣その他もろもろを呼び出すの。
 あんたみたいな良く分からないのが出てくるなんてトリステイン魔法学院始まって初めての事だわ。」
「しかし驚いたな、俺のような姿をした者は本当にいないのか…」
「むしろアンタみたいなゴーレム、どこから出てきたのか私が知りたいぐらいよ」
ルイズの自室、高級そうな調度品が所々に置いてあり貴族のいる部屋、というのが何となく伺える。
ベットに腰掛けるルイズの目の前にはどっしり胡坐をかいて腕組みをしているゼロガンダムの姿があった。
窓から差す午後の日差しも沈みかけて鮮やかなオレンジに色になっている、そんな時間の事である。

「それはいいが…俺の事はゼロと呼んで欲しいのだが…どうしても駄目なのか?」
「絶対にいや」
「ゼロのルイズと呼ばれてるのに何か関係あるのか」
「うるさい!次に同じ質問したら壊すわよ!」
「…ふぅ」
これで二回目の問いかけであったがやはりルイズはむっとした顔で聞き入れてくれなかった。

サモン・サーヴァントはこの日の授業の最後の科目であり
終了後は使い魔との交流という事でルイズのクラスは他より早く放課になっていた。
なのでルイズもゼロを連れて部屋へ戻って使い魔についての説明をしていたのである。

「材料の調達は地理を知るのにいいし、必要なものは君が教えてくれればいいからな」
「うん」
「守る…これも仕方が無い、この世界を知るためにしばらくここに身を置く以上勤めは最低限は果たそう」
「うんうん」
「だが、何で俺が掃除雑用下着の洗濯までせねばならんのだ!」
「だって使い魔の勤めだもの」
軽く怒っているゼロにしれっと言い放つルイズ。
「断る」
「義務」

「…埒が空かんな。仕方が無い、話を変えて俺の事も少し話そう。」
「じゃあ聞かせてもらうわよガンダム」
掃除雑用下着の洗濯を巡る攻防に終わりが付かないと判断したゼロは話題を換え
自分の事について話す事にした。これで理解してもらえば下着の洗濯だけは
避けられるかもしれない、そう信じていた。
「俺の名前は…まぁ知っているか、これでもユニオン族というれっきとした種族の一つだ。」
「しゅ、種族ぅ!?アンタってゴーレムじゃなかったの!?」
「…召喚された時も俺はゴーレムじゃないと言ったぞ」
「だってアンタみたいな種族なんて聞いた事無いわよ。
どこかの高名なメイジが作った自意識があるゴーレムか何かかと思ったわ。」
「それで、俺はこの世界とは別の世界であるスダ・ドアカからやってきたって訳さ。」
ルイズの顔が一気に胡散臭いものを見ている顔になる。
「異世界?全然信じらんない」
「君が信じようが信じまいが俺はスダ・ドアカという世界から来た、それだけだ。」
「…一応そういうことにしておくわ、ゴーレムさん」
下着洗いを回避しようとするならば多少の事は我慢する必要があった、ゴーレム扱いもやむなし。
そう思いつつゼロはルイズの言葉を流しつつ更に説明を続ける。
「あと俺はまぁ…騎士だ、己の剣の冴えで戦う者。流石に騎士ぐらいはこの世界に存在するだろう」
「それならいるわね、あんた自身は魔法とかは使えないの?」
「無縁だな、とりあえず君を守るという事なら出来る実力ならあるさ。」
「ふーん
本当はかなりの事が出来るのだが正直に話した所で絵空事に取られるだけだろうと考え
ゼロはとりあえず騎士、という事にした。
あまり力はひけらかさない方が良い、力とは良くも悪くも人を変えてしまうものだという
考えもあっての事ではあるのだが。

「(ゴーレムかと思ったら良く分からないし魔法は使えないっていうし…)」
そっけない受け答えをしながらも内心ルイズは落胆していた。
自分の望んでいた使い魔のイメージとはまるでかけ離れていたのもあるが
金のような鎧に妙なと見た目で、しかもゴーレムにしては
身長がルイズよりやや大きいぐらいの小ぶりな大きさ。
「(…夢と違うじゃないのよ)」
あの夢はなんだったのか、自分を乗せて雄大に飛ぶあの黒い龍はどこへ?
彼女の疑問は尽きなかった。

「という事で下着の洗濯はやってもらうから」
「なぬっ!」
結局ルイズはゼロに下着洗いを命じたのであった。


「…これは何だ?」
「何ってあんたの食事よ」
日もとっぷり落ちて夕餉の時間、大きいテーブルが三つ並び荘厳な飾り付けが施された
『アルヴィーズの食堂』に通されたゼロが目にしたものは
床に置かれた皿と、申し訳程度に小さな肉片が浮かんだ琥珀色のスープ、そしてその皿の隅っこに
ちょこんと置かれた小さいパン二切れであった。
「俺の席はどこだ?」
「何言ってるのよ、あんたは使い魔だから床で食べるの」
「…」
「本当は使い魔なら外で食べるんだからね、それだけでもありがたいと思いなさい。
っていうか物を食べるゴーレムなんて初めて見るわよ」
呆れ顔になってるゼロの心境を察してか止めを刺すつもりなのか
ルイズの容赦ない一言が炸裂する。
「…」
「ちょ、ちょっとどこ行くのよ!」
「使い魔は使い魔らしく、俺も外で食べる事にするよ」
そう言ってゼロはスープとパンの乗った皿を持つと食堂を後にしてしまった。
当然後に残されたルイズは憤慨していた。
「なっ、なんなのよアイツ!次からは床じゃなくて外に用意してもらうようにしてやるから!」


「大きい月が二つ…か、俺も随分遠い世界に来てしまったもんだな…」
校舎の外、多数の生徒の使い魔が集まりそれぞれのエサを食べている中
どっしり座ったゼロは月を眺めながらパンをかじりスープをすすっていた。
この世界における自分の待遇とスダ・ドアカ界には無い宙に浮かぶ二つの月が
自分が異世界にいるという事をより実感させてくれる。
「文句は言えんが…腹に据えかねるものが…っと、もう空か」
あっという間に食べてしまい目の前には何も無い皿しか残っていなかった。
物足りなさを感じつつも戻ろうとした時、自分のマントに何か違和感を感じたゼロ。
振り返ると尾に炎を灯た真っ赤で、結構大きなトカゲが彼のマントを引っ張っていたのである。
「きゅるきゅる…」
「中々立派な火竜だな、こっちでいうとサザビードラゴンかそのあたりか?」
そのトカゲは自分の足元にあった何かの生肉を加えてこっちに差し出してくる。
「…もしかして俺にくれると?」
「きゅる」
「いいよ俺は。その気持ちだけ有り難く受け取っておくさ」
大トカゲの頭を撫でたゼロを見てたいた他の使い魔達も自分が食べていた餌を運んで来た。
何かの生肉をはじめとして草や虫、ミミズなど野性味溢れる餌がゼロの前に積まれてゆく。
「いや、俺が足りないなとは思ったけど別にそこまでは欲しくないぞ!いいから!お前たちで食え!」
ゼロは皿を手に取ると熱烈的な使い魔達から逃れるように再び食堂へと戻っていった。
その時、右手のルーンがぼんやり光を放っていたのにはゼロ自身も気づいてはいなかった

「(ちょ~っと調子が狂ったけど一日の最後こそは
きっちりと主従関係を叩き込んで締めないとね!)」
一日も終わり就寝の時間、ルイズは決意を固めながらゼロと自室まで歩いていた。
「さて、寝る場所だけどあんたはここね!こーこ!」
「床か?」
「そう、使い魔だから当っ然床!これ以上ない位床よ!」
ドアを開けた途端から高圧的な態度で床を指差しゼロに話すルイズ。
「(いくらなんでもこれなら私の立場が上だって気づいて…)」
「そうか、すまないが鎧を置かせて欲しい」
「え?えああそそっ、そうね、そこのクローゼットの隣に置けばいいんじゃないかしら?」
「悪いな」
今まで流浪の身であったゼロにとっては野宿は当たり前、ましてや敵の気配も無いここなら
どこであろうと問題なく眠りに就けるのであった。
ルイズの企みはあっけなく幕引き。目の前で鎧を脱いで指定した場所に置くゼロの横で
同じく服を脱いでそこら辺に投げるルイズ。
「ルイズ」
「何よ、ご主人様と呼びなさいって言ってるでしょうガンダム」
「女の子なら多少は恥じらいを持った方がいいぞ」
「使い魔、しかも人間じゃない奴に見られても別に何とも思わないわよ!」
そういってさっさとネグリジェに着替えた彼女はすばやく布団に潜り込んで指を鳴らすと
部屋を灯していたランプも消えてしまった。月の明かりだけが部屋に蒼く差し込む。
「使い魔の説明の時にも言ったけどそれ、明日洗っといてね」
先ほど脱いだ下着を投げ口早に言うとそれっきり彼女は一言も喋らなくなった。

「(やれやれ、とんだじゃじゃ馬娘だ)」
ゼロは脱いだ鎧にかかっていた自身のマントをひったくり、それに丸まって床に横になった。
「(ユニオン族のいない異世界…か)」

心に去来するのはかつての戦いの記憶。

強大な力を持った遺跡、ドゥームハイロウの力によりユニオン族が抹消され
幻魔皇帝がザンスカール族を率い人間を統制支配する悪しき世界。

生き残った唯一人のユニオン族であるゼロは受け継がれた雷の技と
一族に伝わる神の獣、龍機ドラグーンを用いこれに挑んだ。

雷の奥義にて召喚された城は巨人となりて幻魔皇帝と戦い、抹消されたはずの仲間も
精神のみの状態で現世に舞い戻り自身に力を与えた。
集う力はついに幻魔皇帝を討ち破り、消えたユニオン族をこの世に再び戻し平和を取り戻した…。

「(雷龍剣よ、俺はこの世界でどうすればいい?)」
かつての戦いが思い浮かんでは消えていき、その意識も眠りの中にゆっくりと落ちていった。
彼の、長い一日はこうして終わりを告げたのである。


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