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ゼロHiME~嬌嫣の使い魔~ 第十三話


 翌日の早朝、ルイズ達はタバサの使い魔のシルフィードに乗って学院を出発すると、一路、トリステインの南部にある港町ラ・ロシェールへと向かった。
 時間的なことを考えれば、直接アルビオンに向かいたいところだが、さすがに五人も乗せての長距離移動は無理があるということで、一旦ラ・ロシェールに向かい、そこからアルビオン行きの船に乗ることになった。

 「ルイズ、非常に言いにくいんだが……」

 学院を飛び立ってしばらくした後、後ろの方に乗っているギーシュがルイズに向かって声をかける。

 「……なによ?」
 「僕のヴェルダンテを連れて行くのを君が快く許可してくれたことには大変感謝しているんだが……あの扱いはどうにかならないのかな」

 そう言うとギーシュはシルフィールドに咥えられた自分の使い魔であるジャイアントモールのヴェルダンテを指差す。

 「しょうがないでしょ、これ以上シルフィードの背中に乗せられないんだし」
 「まあ、それはそうなんだが……ああ、僕の可愛いヴェルダンテ、ラ・ロシェールにつくまで辛抱しておくれ」

 大げさに嘆くギーシュの様子を見て、静留が苦笑ぎみに声をかける。

 「まあ、大人しゅうしとるみたいだし、大丈夫ですやろ……それにしても、ほんにギーシュはんは使い魔思いどすなあ」
 「へっ……い、いやあ、別に大したことじゃありませんよ。メイジとして使い魔を大事にするのは当然の嗜みですから。それにヴェルダンテを使い魔にして以来、僕はジャイアントモールほど優秀で愛らしい生物はいないと思っているのですよ。強靱な手足、宝石を探し当てる鋭い嗅覚、艶やかで高貴な毛並み、忠誠心を秘めたつぶらな瞳、そしてなにより抱き心地がいいキュートなボディ――その全てが僕の心を魅惑してやまないのです。まあ、僕の貴女への熱い想いとは比べようもありませんがね」
 「はあ……」

 話しかけられたうれしさからか饒舌にヴェルダンテのことを語るギーシュに、やや引き気味に静留が相槌を打つ。それを見ていたルイズがやや呆れた感じで口を開く。

 「シズル、それはギーシュのいつもの病気だから相手しなくていいわよ。それより、ギーシュ、あんたモンモランシーをちゃんと言いくるめて学院を出てきたんでしょうね?」
 「も、もちろんだとも、そうでなきゃ旅になんか出られるわけないよ」

 ルイズの問いに、冷や汗をだらだらかきながら焦った口調でギーシュが答える。

 「ふ~ん、その分だと黙って出てきたみたいねえ。後でどうなっても知らないわよ~」
 「帰ったらおしおき……絶対」
 「あは、あははは……」

 ギーシュは無慈悲なキュルケとタバサの突っ込みに、虚ろに笑いながらがっくりと肩を落としてうなだれた。
 やがて太陽が真上に昇る頃、ルイズ達は休憩するために山間に流れる川のそばにシルフィードを降下させた。

「ああ、こんなにやつれてしまって可哀想に……さあ、ヴェルダンテ、今の間に思う存分、ミミズを食べておくれ」

 そう言ってギーシュがシルフィードの口から開放されたヴェルダンテに駆け寄って撫で回すと、彼(?)は嬉しそうにヒクヒクさせた後、土の中へと潜っていった。

 その時だ。
 不意に向こう岸の崖の上からくつろごうとしていたルイズ達の周囲に、風切り音と共に何本かの矢が飛んできて地面に突き刺さった。

 「奇襲だ!」

 ギーシュが叫ぶと同時に、ルイズ達目がけて無数の矢が雨のように降り注ぐ。

 「そう簡単には当てさせませんえ!」

 デルフリンガーを手にルイズ達の前に飛び出した静留が初弾の矢を打ち払い、ついでシルフィードが翼を大きく羽ばたかせ、その風圧で続く矢を叩き落す。

 「ふふん、奇襲する相手が悪かったわね……タバサ!」
 「了解……反撃開始……」

 そんな会話を交わしながら、崖の上に向かってキュルケがファイアボール、タバサがエア・カッターを叩き込む。

 「うわ~~~~」

 崖の上部が崩れ、ボロボロになった賊らしき5、6人の男達が火の粉をまといながら悲鳴をあげて転げ落ちてきた。更に崖の土砂と岩が彼らを飲みこんだ。

 「うっ……自衛の反撃の結果とはいえ、気分が悪いわ」
 「襲ってきたのは向こう……彼らの自業自得……」
 「それはそうだけど……」

 敵の末路を目の前にしても、動揺することなく、冷淡に切り捨てるようなタバサの言葉にキュルケが顔をしかめる。

 「キュルケさん、こればっかりはタバサさんの言うとおりや。うちらの任務の性格上、妨害する連中との戦闘は避けて通れまへん。相手に遠慮してやっとったら、こっちが死ぬことになりますえ」

 静留は真剣な表情でキュルケにそう言った後、ふっと表情を和らげるとキュルケを気遣うように言葉を続ける。

 「……まあ、今回は事故みたいなもんやし、あまり気にせん方がええ」
 「そうね、皆が無事だったんだし、余計なことは考えないことにするわ……ルイズ、ギーシュ、怪我はない?」

 キュルケは気分を切り替えるように明るい声で静留に答えると、後方にいるルイズ達に声をかける。

 「ああ、僕らは無事だよ」
 「ええ、おかげ様でね……任務を受けた以上から妨害はあると覚悟していたけど、まさかトリステイン領内で仕掛けてくるとは思わなかったわね」

そう言いいながらもルイズはほっとしたような微笑みを浮かべる。だが、安心するには早すぎた。

 「うお~~~~~!」

 ふいにルイズの後ろの茂みから剣をかまえた男が飛び出し、絶叫しながらルイズに向かって切りかかる。

 「あかん、ルイズ様!」

 異変に気づいた静留がルイズの元へと走るが、ルイズと男との距離はわずかで到底間に合わない。

 「「「――――――っ!」」」

 全員がルイズの死を覚悟したその時、上空から大きな影が高速で舞い降り、ルイズを襲った男を吹き飛ばした。

 「……ぐぎゃ!」

 飛ばされた男は首から地面に叩きつけられ、蛙の潰れた様な声を上げるとそのまま動かなくなった。
 皆が突然のことに唖然とする中、ルイズを救った大きな影――グリフォンから長身の羽根帽子をかぶった青年がルイズの前に降り立つ。

 「どうやら間に合ったようだね……怪我はないかい、ルイズ?」
 「……ワルド様!」

 ルイズは立ち上がると、震える声で男の名を呼んだ。
 その声に男――ワルドはうれしそうな笑顔を浮かべると、ルイズを抱き上げる。

 「久しぶりだね、ルイズ! 僕の可愛いルイズ!」
 「お久しぶりでございます、ワルド様。おかげで難を逃れることができましたわ」

 抱き上げられたルイズが頬を染めてワルドに礼を言う。

 「いや、もう少し遅ければ君を失うところだった。これも君らを追うように命ぜられた王女陛下の知己と始祖プリミルのご加護の賜物だよ」
 「姫殿下が……」
 「さすがに学生だけで死地に向かわせるのは忍びないと思われた様でね。しかし、お忍びの任務ゆえ、一部隊をつけるというわけにもいかぬ。そこで僕が同行者として遣わされたいうわけさ」

 ワルドはルイズを地面に下ろすと、いぶかしげな表情を浮かべる静留達の方に向かって声をかける。

 「驚かせてしまってすまない。僕は王女陛下の命により諸君の任務に同行することとなった魔法衛士隊、グリフォン隊隊長のワルド子爵だ、よろしく頼む。では、ルイズ、彼らを僕に紹介してくれたまえ」
 「あ、はい……そこにいるのが友人のギーシュ・ド・グラモン、向こうにいるのが同じく友人のキュルケとタバサ、それと使い魔のシズルです」

 ルイズの紹介を受け、ギーシュが深々と、キュルケ、タバサ、静留が軽く会釈する。

 「君がルイズの使い魔かい? 陛下から人だと聞いていたが、まさかルイズと同年代の少女だとはね。僕のルイズがお世話になっているよ」
 「いえいえ、こちらこそルイズ様にはずいぶんと良うしてもろうてます。ところでさっきからなんやずいぶんと馴れ馴れしい感じやけど、ルイズ様とはどういうご関係で?」

 ワルドは友好的な笑みを浮かべて静留に手を差し出すが、静留はそれに答えず、ワルドとルイズとの関係を問いただす。その静留の問いにワルドは一瞬、鼻白んだ表情を浮かべるが、すぐに笑顔を繕いながら答える。

 「おや、さっきの説明では不十分だったかね? 容易く主人以外を信用しないのは使い魔として立派な心がけだが……自分の主人の婚約者に対してその態度はあんまりだとは思わないか」
 「婚約者……ほんまどすか?」
 「ええ、そうよ。もっとも、幼い頃に親同士が勝手に決めたことだけど……」

 ルイズは顔を赤らめながら静留に答えると、照れ隠しの言葉をごにょごにょと呟く。

 「おやおや、ルイズは僕を嫌いになったのかい? まさかそこのグラモン家のご子息が恋人だ、なんて言い出したりしないだろうね?」
 「なっ、そ、そんなこと――」

 おどけたようなワルドの問いにルイズが慌てて何か言い返そうとするが、それより前にギーシュが口を開く。

 「いやいや、それは酷い誤解ですよ、ワルド卿。生憎と彼女の様な慎ましい女性は私の守備範囲から大きく外れておりますので、ご安心を」
 「ルイズが慎ましい……?」
 「……深く考えてはダメ」

 ルイズは朗らかな笑顔で否定するギーシュの言葉と、それを聞いてひそひそ話をするキュルケとタバサに少し腹が立ったものの、ワルドの手前なんとか怒りを堪える。

 「それはよかった。もし彼が君の恋人だったら、君を賭けて彼に決闘を申し込まねばならないところだったよ」
 「あはは、ご冗談を……」

 やわらかい笑顔と裏腹にぜんぜん笑っていないワルドの視線を受け、ギーシュはひきつった笑いを浮かべた。

 「さて、敵は撃退したが、ここにいてはまた襲撃を受けるかもしれない。ラ・ロシェールに急ぐとしよう」

 そう言ってワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手招きした。

 「おいで、ルイズ」

 ルイズはしばらく真っ赤になってモジモジした後、ワルドに抱き上げられ、グリフォンに跨った。
 そして、ワルドは静留たちがシルフィードに乗り込むのを確認した後、グリフォンの手綱を握り、杖を掲げて叫んだ。

 「では、諸君! 出発だ!」

 グリフォンが空へと駆け上がり、続いてシルフィードが飛び立つ。

 「なんや、タイミング良すぎるのが気になりますな……何もおきんとええけど」
 「奇遇だな、俺もそう思うぜ、姐さん」

 シルフィードの背中から前方のグリフォンを見つめながら、静留はデルフと小声で会話を交わした。



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