あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

プレデター・ハルケギニア-18



壮絶なる捕獲劇の翌日、ルイズ、エレオノール等の乗った船は港を出港した。
亜人によって屠られた隊員たちと竜は海へと埋葬された。港を出る際に死体を持ち込んでは
何かとやっかいなことになりかねない。


そしてこの浮遊大陸で数百を超える人間を殺戮した人外の戦士は
今、船内の一室に拘束されていた。

両手足は強固な拘束具が付けられ、全身に身に付けていた武器の殆どは今、亜人の身からは外されている。




「これで、大体全部ね」

エレオノールが机の上に並べられた武器類を眺める。
肩に付けられたいた黒い筒状の武器。折りたたまれたグレイブ。
棒状のグリップに巨大な一枚刃が取り付けられた武器。形状としてはトンファーに似ているか。
三十セントほどに収縮された長槍。円周部分がギザギザのノコギリ状に削られた円盤。
棒状のグリップの両端に半楕円形の物体が取り付けられている装置。
半楕円形の物体には槍の穂先のような物が取り付けられているのが確認できる。


エレオノールの手が筒状の武器を手に取る。竜の前足を吹き飛ばし手練の魔法衛士数人を一撃で絶命させた恐ろしい威力を放った。
形状はこの世界の銃と似ていないことも無いが銃にあるはずの檄鉄も引き金も見当たらない。
ハルケギニアの技術力では解析し使用することは不可能だろう。あの『破壊の銃』がそうであったように。

銃を机に戻すと一つの武器に目をやった。
それは亜人の武器の中で一つ異彩を放っていた。剣だ。
これだけは他の武器類とは違い、言うなればハルケギニアの色が強い。

「こいつは一体……」

隊員の一人がその剣の柄を握りしめ持ち上げる。
大剣だけありかなりの重量感を感じる。

「何だってこんなボロ剣をあいつが……」

隊員が剣を机に戻し言う。確かに見た目は単なる錆びた大剣にしか見えない。

「どうでもいいわよ、そんな物は。肝心なのはそれ以外の物なんだから」

エレオノールが剣以外の武器を見回しながら言う。



「水魔法の調合はどのくらいで終わる?」
「ヤツ一人分ならそれほどかかりませんが、人数が多いですからね。
何日かかかります」

エレオノールとしても亜人と話しをし分かり合えるとは思っていない。
最初から本来は禁忌とされる水魔法を使うつもりでいた。

「そう。なるべく急いでちょうだい」

エレオノールがそう応えた瞬間、ドアをノックする音が響いた。
数回ドアが叩かれると半開きになったドアから桃色の髪が顔を出した。


「姉さま。お話が……」

ルイズがエレオノールの方を見て言う。その表情は神妙な物があった。

「……いいわ。来なさい。少し頼むわね」

周りの隊員にそう告げるとエレオノールはルイズを連れ、部屋を出て行った。




二人は誰もいない広い貨物室に移動した。
貨物ごと買い取った船のため所狭しと貨物で埋め尽くされている。

「あの、傷のほうは……」
「大丈夫よ。水魔法で治療したから」

ルイズとエレオノールは数メイル程距離を離し向かいあっている。
数秒、その場に沈黙が流れたがやがてルイズが意を決したように口を開いた。

「姉さま……テファニアたちをどうするおつもりですか?」

テファニアと子供たちは今、船の一室に殆ど閉じ込められる形で乗せられていた。
彼女たちはあの村に残ることを主張したがエレオノールはそれを許さなかった。

「少し話しを聞かせてもらったらあの村に返すわ」

口調も表情も変えずにエレオノールは言った。

「本当ですか、姉さま?」
「本当よ。私たちの目的はあいつだけよ」

二人は数秒、睨み合うかのように見つめあった。

「話はそれだけ?」

沈黙を破りエレオノールが口を開いた。

「あの、あの亜人のことについてもお話があります」




「あなたが召還者?」
「ええ。私があいつを召還してしまいました」

そう言うとルイズは俯いた。今までに一体どれだけの人間が殺されただろう。

「あいつをどうするんですか?何で殺さずに船に……一体姉さまたちは何を!?」

エレオノールはルイズの言葉に顎に手をかけながら考えこんでいるかのような仕草を見せた。
そして強い視線でルイズを見つめ直した。

「ルイズ」

少し強い口調で自らの名前を呼ばれルイズは身を硬くした。

「あいつと契約しなさい」



エレオノールの言葉にルイズは一瞬言葉を詰まらせた。


「そんな、あいつは殺人鬼です!使い魔にするなんて……殺して新しい使い魔を……」
「召還した使い魔がどんなものであっても契約する。それがメイジの務めね、ルイズ」

エレオノールの言葉にルイズは言葉を詰まらせた。確かにその通りだ。
召還された者が竜であろうとカエルであろうと契約はまぬがれない。

「あなたメイジとして力だけでなくメイジとしての誇りも無いのかしら?」
「ツッ!?」

エレオノールが冷たく、そして強い口調で言う。その言葉はルイズの胸に深く突き刺さった。

「メイジである自覚があるなら契約をしなさい。わかったわね」
「……わかりました」

ルイズは俯きながら答えた。やはりメイジとしての義務から逃げるわけにはいかない。

「私たちの目的は後でゆっくりと話すわ。今は黙って私の言う通りにしなさい」






「交代だ」
「ああ。すまんな」

亜人の監禁された部屋の前には二人の見張りが立っていた。
今、他の隊員が交代に来たのだ。

「どうだ?あの化け物の様子は」
「眠ってるよ。ピクリともしねえ」

交代にきた隊員がドアの窓から内部を覗き込む。そこには床に横たわった亜人が見えた。

「半分近くやられたな。たった一人の亜人に……」
「系統魔法でも先住でもない。確かにアカデミーが欲しがるのもわかる」

やがて隊員たちはその場を入れ替わり、交代した隊員たちは去っていった。



二人が見張りに立ってから何分か立っただろうか。

『こっちだ!来い!』

突然どこからか声がした。男の声だ。声の感じからして中年ほどだろうか。

「何だ?」

見張りの二人が怪訝そうにあたりを伺う。

『来い!来い!こっちだ!来い!』

途切れなく発せられる声に二人は耳を傾ける。
そして声が聞こえてくる場所を突き止めた。

「この中から?」

声が聞こえてくるのは何と亜人のいる部屋の中だった。
二人が覗き込むがそこには横たえられた亜人の姿以外には何もない。
そしてその亜人は先程からピクリとも動いていない。

「入って見るか」

一人が部屋を覗き込みながら言う。

「大丈夫か?」

もう一人が心配そうに問う。眠っているとは言え、中にいるのは恐ろしい亜人族だ。

「どうせ二、三日は眼を醒まさないさ。それにどう聞いたって人間の声だ」

中からは相変わらず声が聞こえている。

「気を抜くなよ」
「ああ。わかってるさ」

一人が『アン・ロック』でドアにかかったロックを解く。そしてゆっくりとドアを開き中へと入って行った。

「誰かいるのか?」

一人が暗闇に向かい問いかける。それほど広い部屋ではないが暗闇のために細部までよく見ることが出来ない。

「声が止まったな」
「ああ。しかし、一体何なんだ?」

その時、二人の頭部を巨大なトカゲのような手がそっと掴んだ。






ルイズとエレオノールは貨物室から亜人の装備が置いてある部屋へと戻った。
そしてルイズが亜人の召還者であること。そして今から契約の儀式を行うことを他の隊員に説明した。

一同が部屋から出て、残されたのは亜人が装着していた武器だけとなった。


「はあ、参ったねえこりゃ」

人の気配が無くなったのを見計らって剣が鎬をカタカタと鳴らしながら喋り始めた。

「まさかあそこで『虚無』とはな。流石の俺も予想でき無かったぜ。
しかし、あいつら相棒を殺しちゃあいねえみたいだが……一体何がやりてえんだ?」





一同は言葉も無く亜人の部屋へと歩く。
エレオノールは屹立とした、そしてルイズは不安げな表情を浮かべながら。
亜人の部屋の手前まで差し掛かった時、エレオノールは足を止めた。

「見張りを付けておくよう言っておいたはずよ?」

エレオノールが眉をひそめながら背後の隊員に向かって言う。
亜人の部屋の前には誰も立っていない。

「いや、確かに先程交代したはずですが……」

隊員の言葉に怪訝な表情を浮かべながらエレオノールはドアへと歩く。
そして彼女はすぐに異変に気づいた。

何とドアがほんの少しだが開いている。
つまりは厳重にかけたはずの『ロック』がかかっていないのだ。

エレオノールが顔色を変えドアを素早く開け放った。
中を見て彼女は驚愕した。亜人の姿はどこにもないのだ。

「こんな馬鹿な!?何でロックが解除されて!?」
「第一薬が切れるには早すぎるわ……」

エレオノールは無人の部屋を見ながら歯噛みした。
亜人の回復力を見くびり過ぎたか。

ルイズの表情は一気に不安から絶望へと変わっていた。
解き放たれたのだ。あの怪物が。


その時、

「エレオノール様!大変です、すぐに甲板に!」

一人の隊員が声を荒だげながら通路を走ってきた。

「一体何だって言うの、大変なのはわかってるわ!!」

「……とても言えません」

俯きながら答える隊員の様子に尋常ならざる物を感じエレオノールと一同は甲板へと走った。

甲板に出た瞬間、強い風が肌に吹き付けた。そしてまだ時刻は夕暮れにさしかかろうと言う時間であったが日の光は薄い。
見ると空一面灰色の雲に覆われている。一雨来るかもしれない。

そして一同はすぐにあることに気づいた。匂いだ。鼻をつく酸鼻な匂いが漂っている。
その時、ポタッっと雨だれが落ちるような音がし、一同が振り向いた。

それは雨だれでは無かった。少し黒味を帯びた赤い液体が垂れ落ち、小さな水溜まりを作っているのだ。
一同が水溜まりの真上をゆっくりと見上げる。そこにあったのは一同が皆一様に頭の中で予想した物だった。

亜人の部屋を見張っていたはずの隊員は全身の生皮をはがされ、マストの頂から逆さ吊りにされていた。

ルイズはその光景を口に手を当て嘔吐を堪えた。



上空何千メイルを飛ぶ貨物船。逃げられぬのは亜人か人間か―



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