あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

割れぬなら……-05


 ~前回までのあらすじ~

ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドはアンリエッタを裏切り、レコン・キスタの一員となっていた。
彼は味方を装い、ルイズと彼女が持っている手紙を手に入れるつもりだったのだ。
迂闊にも彼と2人きりになったルイズは衝撃の事実を告白され、動揺する。
ルイズは必死の思いでワルドの手から逃れようとするも、彼女の未熟な魔法ではワルドに太刀打ちするのは不可能であった。
とうとう追い詰められ、ワルドに捕らえられたルイズ。
はたしてルイズの運命やいかに!? その時曹操のとった行動とは!?

 クライマックスは近い!

「……ちょっと待ちなさいよ」

何でしょうか? 今かなりノリノリで執筆中なので止めないでいただきたい。
そもそも貴方はワルドに捕らえられている筈なのですが。

「前回ってそういう話じゃなかったわよね」

……あ、本当だ。

「どういう事なの?」

 史上初! 前回までのあらすじに衝撃の新事実!!!

「ごまかすなぁっ!」


手足は縛られ、杖も手紙も奪われ、さらにグリフォンによって地上から100メイル以上も離れた場所を飛んでいた。
おおよそ逃れる事は不可能な状況の中で、ルイズの心は決して折れる事無くワルドを糾弾し続ける。
当時のルイズにとって貴族たる者は誇り高く、清廉潔白であることが当然であると信じていたし、人間の持つ心の闇を見せられた経験も無かった。
彼女にとってワルドの裏切りは天地を揺るがすような一大事であり、初めて見る汚い大人の姿であった。
ワルドもその辺りの事は心得ていて、ルイズによる糾弾が初めて口にする毒の味に対する驚きの表れであって、
実に子供っぽいヒステイーにも似た感情である事を見抜いていた。
だから今すぐにルイズの激情を静めるのは不可能だろうと見て、焦らず時間をかけて説得し、
心を開かせなければ彼女の協力を得るのは難しいだろうと考えていた。
ルイズと手紙を押さえ、敵地を離れ、後はレコン・キスタの本陣へと戻るのみとなったワルドは、原作以上に冷静であった。
基本的にこの男は追い詰められない限り冷静さを失わない。
自ら死地に飛び込むと聞き、ウェールズ暗殺を早々と断念した事が良い方向に作用したのかもしれない。
しかしながら、彼の冷静さはすぐに崩れる事となる。



「両軍ごくわずかの犠牲をもち、この無意味な戦いを終結とする」

曹操の宣言は、戦場近くを飛んでいたワルド達の耳にもしっかりと届いていた。
彼等は目撃していた、砂塵の中からクロムウェルの死骸が現れる瞬間を。
ワルドは聡明な男である。
しかし今回ばかりは聡明である事が災いした。
かれは聡明であったが故に、レコン・キスタがクロムウェルの私兵に近い烏合の衆である事に気づいていた。
クロムウェルという名の最高責任者が消えれば、とたんに崩れ始めるだろうと予測していた。
もしもワルドの内通を知る者がクロムウェルただ一人ならば、ルイズの口を封じて何事も無かったかのようにトリステインに戻るという手もあった。
しかし現実には彼の内通を知る者は何人かおり、レコン・キスタが無くなるのであれば、
少しでも責任を逃れるために自己の知りうる全てを喋る者は必ずいるだろう。
つまりワルドが反逆者として処刑されないためにはレコン・キスタの存続が不可欠で、
レコン・キスタの存続にはクロムウェルの存命が不可欠で、
そのクロムウェルは最悪のタイミングで殺害されてしまったのである。
ワルドは追いつめられない限り冷静さを失わない男だったが、予定外の事態に遭遇するとすぐに冷静さを失う悪い癖があった。
その結果、彼は逐電逃亡を決断するのにほんの僅かばかりではあるが時間がかかり、それが後に偶然かつ突発的な戦いが起こる事となる。


クロムウェル殺害から2日が経過した。
ワルドの予想通りレコン・キスタ内では未曾有の大混乱が起きた。
有態に言えば、裏切り、寝返りの連鎖である。
まず真っ先にあの日先陣に居た1万の兵達が残らず寝返った。
その報を聞き、レコン・キスタに脅されて静観していた王党派が決起した。
次に金で雇われていた傭兵、盗賊達が離散した。
それと同時に優勢を理由にくっついていた日和見主義者が離れた。
そしてついにはクロムウェルの理想に惹かれた者達の中からすら、レコン・キスタと手を切る者が出始めた。
……ここまでが僅か2日の間で起こったのである。
アルビオン王国のジェームス一世が、

「降伏した者の罪は一切問わない」

と宣言した事もあっただろう。
クロムウェルによって(見かけの上では)蘇った者達が一人残らず元の屍に戻り、それが少なからずレコン・キスタを動揺させた事もあっただろう。
しかし最大の理由はクロムウェルが舌戦で完敗し、さらに命を落とした結果であった。


さて、とにかく2日が過ぎ、ワルドは港に居た。
今のワルドにとって、生き延びるための選択肢は2つしか無い。
1つはアンリエッタに全てを話し、助命を乞う事である。
割とお人好しな面がある姫殿下の事だ、十二分に勝算がある賭けである。
しかしこの策を使用すると、一生裏切り者として蔑まれながら生きていく事になるだろう。
もう1つは戦争による混乱が収まる前に下界に降り、そのまま身を隠すという手である。
この策は助命嘆願に比べてリスクは大きいが、うまく変装し別人になりきれば、いくらでも新しい職場が見つかる事だろう。
ワルドは後者を選択した。
彼はルイズと共にとある船の貨物室に忍び込み、息を潜めて出港の時を待った。
実は、この時点までルイズが生きているのは奇跡に近かった。
少し考えれば誰にでもわかる事だが、逐電逃亡、その上ほとぼりが冷めるまで身を隠す上で人間一人を抱えるという事はとてつもない不利益を生む。
それが逃亡に非協力的な人間であるのなら尚更の事だ。
ならば何故ワルドはルイズを殺そうとしなかったのだろうか?
前述の通り、ワルドは冷静さを失っていた。
それがワルドから正常な判断能力を奪っていたからであろうか?
それともワルドはギリギリの処で冷静さを保っており、人間だれもが心に抱く闇に拒絶反応を示すような子供を殺したくなかったのだろうか?
残念ながら筆者にはその問いに対して明確な答えは持っていない。
しかしワルドがどのような心情を抱いていたとしても、ルイズはまだ生きており、ワルドと同じ船室に居た。
重要な事はこの1点である。

……偶然、本当に偶然の出来事だが、ちょうどその時に港に居たジャイアントモールがルイズの持つ水のルビーの匂いに気がついたのだ。

ジャイアントモールは宝石類を好む性質を持っており、水のルビーの匂いに魅せられて移動を始めた。
そのジャイアントモールを使い魔にしていた男、ギーシュ・ド・グラモンがそれを追いかけ始めた。
同行していたキュルケ・中略・ツェルプストーも彼を放っておく訳にもいかず、同じくジャイアントモールを追いかけた。

 数分後、レコン・キスタの乱最後の戦いが始まるのであった。



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