上空から大地にたどり着くまでの僅かな時間、五宇はヘルメットのセンサーを使って敵の数と武器を調べ上げた。
敵性体の数は八名。
これはウエストウッド村に残っていた足跡の数と一致する。
敵の中で火器と思われる武器を所持しているものは五名。
その内、先ほどの対空放火で東亜重工製のバトルスーツに損害を与えられると判明したもの三名。
敵性体の数は八名。
これはウエストウッド村に残っていた足跡の数と一致する。
敵の中で火器と思われる武器を所持しているものは五名。
その内、先ほどの対空放火で東亜重工製のバトルスーツに損害を与えられると判明したもの三名。
この三名が真っ先に死んだ。
自分らの背後に何かが着地したと気付いて振り返った瞬間、珪素生物たちは弾体加速装置の洗礼を浴びた。
対人モードの弾丸が駆除系の外殻に弾かれた教訓を生かし、対機甲モードに設定した弾を眼球に打ち込む。
三体のケイ素生物が眼窩から血と脳のペーストを吹き出しながら、仰向けに倒れた。
対人モードの弾丸が駆除系の外殻に弾かれた教訓を生かし、対機甲モードに設定した弾を眼球に打ち込む。
三体のケイ素生物が眼窩から血と脳のペーストを吹き出しながら、仰向けに倒れた。
【【貴様っ!!】】
後方に控えていた二体の大柄な珪素生物が猛烈な速さで五宇に襲いかかった。
凶悪なスピードで回転する二種類の武器、螺旋槍と鋸刃剣が前後から迫り来る。
完全に挟み込まれる前に自分から前方へ踏み込んだ。
顔面目掛けて突き出された螺旋槍を弾体加速装置の至近距離射撃で弾く。
よろけた相手の顔を狙って左手に握った武器、超硬質素材の戦闘斧を振るった。
凶悪なスピードで回転する二種類の武器、螺旋槍と鋸刃剣が前後から迫り来る。
完全に挟み込まれる前に自分から前方へ踏み込んだ。
顔面目掛けて突き出された螺旋槍を弾体加速装置の至近距離射撃で弾く。
よろけた相手の顔を狙って左手に握った武器、超硬質素材の戦闘斧を振るった。
珪素生物は片腕を上げて、五宇の攻撃から頭を庇おうとした。
その判断は決して間違いではなかった。
駆除系に及ばないとは言え、珪素生物の外殻は鋼鉄よりも遥かに硬く、ラインクラス以下の魔法では傷一つ付けることもできない。
だが、珪素生物は知らなかった。
その判断は決して間違いではなかった。
駆除系に及ばないとは言え、珪素生物の外殻は鋼鉄よりも遥かに硬く、ラインクラス以下の魔法では傷一つ付けることもできない。
だが、珪素生物は知らなかった。
丁五宇は同じ合成人間である庚造一の4000XLのような長距離砲を持っていない。
壬二銖のような強力な内蔵火器も備えていない。
しかし、それは五宇の戦闘能力が他の合成人間に劣っていることを意味しない。
五宇は合成人間の中でも近接白兵戦に特化したタイプとして開発された。
火器の装備は決して多くないが、その純粋な筋力(パワー)は兄弟たちの追随を許さない!
壬二銖のような強力な内蔵火器も備えていない。
しかし、それは五宇の戦闘能力が他の合成人間に劣っていることを意味しない。
五宇は合成人間の中でも近接白兵戦に特化したタイプとして開発された。
火器の装備は決して多くないが、その純粋な筋力(パワー)は兄弟たちの追随を許さない!
戦闘斧の刃は一撃で珪素生物の腕を叩き切り、死人のように青白い頭蓋骨を叩き割り、脊髄を一気に腰の辺りまで縦に切り裂いた。
ヘルメットの疑似視界の片隅にある小さなウィンドゥにもう一体の珪素生物が鋸状の大剣を振りかざして近寄って来るのが見えた。
躊躇いなく敵の体に深く食い込んだ斧を手放し、腰をかがめる。
上から振り下ろされた剣が火花を散らしながらヘルメットを擦り、仲間の死骸に食い込む。
入れ違いに下から跳ね上がった五宇の回し蹴りが敵の腹を捉える。
敵の身体がくの字に折れ曲がり、破裂した内臓が口からしぶく。
ヘルメットの疑似視界の片隅にある小さなウィンドゥにもう一体の珪素生物が鋸状の大剣を振りかざして近寄って来るのが見えた。
躊躇いなく敵の体に深く食い込んだ斧を手放し、腰をかがめる。
上から振り下ろされた剣が火花を散らしながらヘルメットを擦り、仲間の死骸に食い込む。
入れ違いに下から跳ね上がった五宇の回し蹴りが敵の腹を捉える。
敵の身体がくの字に折れ曲がり、破裂した内臓が口からしぶく。
ここまでの時間、僅か一秒足らず。
一呼吸分にも満たない時間の内に四体の珪素生物が死に一体が重傷を負った。
崖と森の境目に陣取って五宇を待ち伏せしていた二体の珪素生物は青年が仲間を蹴り飛ばしたのを見て、すかさず彼にワイヤーガンの銃口を向けた。
一呼吸分にも満たない時間の内に四体の珪素生物が死に一体が重傷を負った。
崖と森の境目に陣取って五宇を待ち伏せしていた二体の珪素生物は青年が仲間を蹴り飛ばしたのを見て、すかさず彼にワイヤーガンの銃口を向けた。
崖を一息に駆け上がったタイラーの重二輪がその二体を背後から奇襲した。
重二輪の車体の先から巨大な矢尻型の衝突角が飛び出し、珪素生物の一体を隠れていた樹木もろとも貫いた。
前輪を右向きに回転させ、後輪を左向きに回転させる。
超信地旋回!
残りの一体は慌ててタイラーに武器を向けたが、もう全てが手遅れだった。
ワイヤーガンから放たれたアンカーは空しく誰もいない空間を貫き、代わりに重二輪の前から突き出した激震衝突角が珪素生物の腹部を薙ぎ払った。
超振動を宿す刃に触れた珪素生物の身体は真っ白な火花を吹き上げ、真っ二つになりながら崖の下に姿を消した。
前輪を右向きに回転させ、後輪を左向きに回転させる。
超信地旋回!
残りの一体は慌ててタイラーに武器を向けたが、もう全てが手遅れだった。
ワイヤーガンから放たれたアンカーは空しく誰もいない空間を貫き、代わりに重二輪の前から突き出した激震衝突角が珪素生物の腹部を薙ぎ払った。
超振動を宿す刃に触れた珪素生物の身体は真っ白な火花を吹き上げ、真っ二つになりながら崖の下に姿を消した。
タイラーが二体の珪素生物たちを葬っている間に、五宇は地面に倒れた自分の敵に飛び掛った。
回転鋸を持った腕を掴むと渾身の力を篭めて、まだ猛回転を続けている兇器をその持ち主の首に押し付ける。
昆虫の鳴き声のような甲高いな悲鳴が上がり、吹き上がる血飛沫が五宇のヘルメットの視界を真っ赤に染めた。
回転鋸を持った腕を掴むと渾身の力を篭めて、まだ猛回転を続けている兇器をその持ち主の首に押し付ける。
昆虫の鳴き声のような甲高いな悲鳴が上がり、吹き上がる血飛沫が五宇のヘルメットの視界を真っ赤に染めた。
青白い首がごろりと地面に転がる。
ヘルメットの返り血を拭いつつ振り返ろうとしたその時、
ヘルメットの返り血を拭いつつ振り返ろうとしたその時、
【―――そこまでだっ!!】
五宇は弾体加速装置を構えようとした姿勢のまま凍りついた。
ヘルメットをつけた首をだけをきっちり十五度だけ動かし、声がした方向に顔を向ける。
山羊の頭蓋骨の形をした仮面を被った男がティファニアの身体をぶら下げながら、五宇に憎憎しげな視線を投げかけていた。
ヘルメットをつけた首をだけをきっちり十五度だけ動かし、声がした方向に顔を向ける。
山羊の頭蓋骨の形をした仮面を被った男がティファニアの身体をぶら下げながら、五宇に憎憎しげな視線を投げかけていた。
【……土くれから生まれた木偶人形の分際で! よくも貴重な殉教者を七名も殺してくれたな。だが、貴様の蛮勇もこれまでだ。主の身を案じるのなら、その武器を降ろして大人しくしていろ】
その男、珪素生物のリーダーはティファニアを釣り下げていた触手の一本を解くと、その先端を少女の襟元に挿し込んだ。
ティファニアは首を左右に振って必死に嫌がった。
しかし、触手はハーフエルフの少女の豊満な果実の隙間を潜り抜け、すべすべした腹の上を通り過ぎ、なおも下へと降ろうとする。
五宇は―――
ティファニアは首を左右に振って必死に嫌がった。
しかし、触手はハーフエルフの少女の豊満な果実の隙間を潜り抜け、すべすべした腹の上を通り過ぎ、なおも下へと降ろうとする。
五宇は―――
「それはこちらの台詞だ。射ち殺されたくなかったら、今から三つ数えるうちにテファを降ろせ。その子に何か危害を加えようとした場合は即座に射殺する!」
一瞬の躊躇もなく、弾体加速装置を珪素生物のリーダーの額に向けた。
珪素生物は鼻を鳴らして、ティファニアの服を引き裂いた。
乳房が激しく震えながら零れ落ち、瑞々しい裸体が冷たい外気に曝される。
少女の白い肌は恥ずかしさのあまり薄紅色に染まった。
目の端にうっすらと涙の粒が浮かび上がる。
乳房が激しく震えながら零れ落ち、瑞々しい裸体が冷たい外気に曝される。
少女の白い肌は恥ずかしさのあまり薄紅色に染まった。
目の端にうっすらと涙の粒が浮かび上がる。
「三っ!」
警告するように五宇が声を張り上げた。
弾体加速装置の引き金はすでに限界まで引き絞っている。
あと一ミリグラムにも満たない力で、極超音速の弾丸を敵の脳目掛けて解き放つことができる。
しかし、まだだ。攻勢に出るのはまだ早い。
触手の一本がティファニアの腰に巻きついている。
あれにほんの少しでも力が加われば、少女の身体は小枝よりも容易く折れてしまうだろう。
弾体加速装置の引き金はすでに限界まで引き絞っている。
あと一ミリグラムにも満たない力で、極超音速の弾丸を敵の脳目掛けて解き放つことができる。
しかし、まだだ。攻勢に出るのはまだ早い。
触手の一本がティファニアの腰に巻きついている。
あれにほんの少しでも力が加われば、少女の身体は小枝よりも容易く折れてしまうだろう。
【……殺さずとも、身体の一部だけを千切り取ることもできるのだぞ】
触手がティファニアの乳房に巻きついた。
少女の果実の柔らかさを青年に見せつけるように何度も揉みしだく。
口を塞ぐ触手の下でティファニアがくぐもった悲鳴を上げた。
少女の果実の柔らかさを青年に見せつけるように何度も揉みしだく。
口を塞ぐ触手の下でティファニアがくぐもった悲鳴を上げた。
「二っ!!」
五宇の手の中で銃身が背筋が寒くなるような音を立てて軋んだ。
一撃で敵を仕留めるために、弾体加速装置の射出力を最大に設定!
マナーモードを解除!
もし、最後のカウントが終った瞬間にやつがまだティファニアを開放しなかった時は、
その時は!
一撃で敵を仕留めるために、弾体加速装置の射出力を最大に設定!
マナーモードを解除!
もし、最後のカウントが終った瞬間にやつがまだティファニアを開放しなかった時は、
その時は!
【はったりは通じないか。どうやら、貴様は交渉というものが分かっているようだな……】
五宇が最後の数字を口にする前に、珪素生物のリーダーが深々と溜息をついた。
そしてティファニアの胸に巻きつけていた触手を解き、彼女の口の中に押し込んだ触手を引き抜いた。
ティファニアは激しく咳き込みながら空気を吸い込み、
そしてティファニアの胸に巻きつけていた触手を解き、彼女の口の中に押し込んだ触手を引き抜いた。
ティファニアは激しく咳き込みながら空気を吸い込み、
「ゴウさん……」
「テファ、大丈夫か?」
「テファ、大丈夫か?」
それはほんの一瞬の出来事だった。
涙に濡れたティファニアの声を聞いた瞬間、五宇は眼前の敵のことを忘れた。
銃口が僅かに敵の急所から逸れ、引き金にかけた指から微かに力が抜けた。
司祭服の珪素生物はその隙を見逃さなかった。
長い触手が翻り、山羊の仮面を引き剥がす。
頭蓋骨の仮面の下から現れたのは人間の髑髏によく似た顔。
ただし、左側の顔面には眼窩のような穴が三つ空いている。
その穴が突然火を噴いたかと思うと、三つの穴から三個の小型ミサイルが飛び出した。
涙に濡れたティファニアの声を聞いた瞬間、五宇は眼前の敵のことを忘れた。
銃口が僅かに敵の急所から逸れ、引き金にかけた指から微かに力が抜けた。
司祭服の珪素生物はその隙を見逃さなかった。
長い触手が翻り、山羊の仮面を引き剥がす。
頭蓋骨の仮面の下から現れたのは人間の髑髏によく似た顔。
ただし、左側の顔面には眼窩のような穴が三つ空いている。
その穴が突然火を噴いたかと思うと、三つの穴から三個の小型ミサイルが飛び出した。
ミサイル発射音を耳にして、やっとティファニアを開放したのが敵の策略であることを悟った。
油断が生み出したコンマ一秒にも満たない遅れ。
たが刹那を奪い合う実戦においてその遅延こそが致命的だった。
五宇は右側へと身を投げ出すように跳んだ。
同じことだった。右へ逃げようが、左へ逃げようが亜音速で飛んでくるミサイルから近距離で身をかわす術など存在しない。
オレンジ色の火の玉が森の木々を飲み込み、爆音と衝撃波がティファニアの悲鳴を圧倒して青年の姿を覆い隠した。
油断が生み出したコンマ一秒にも満たない遅れ。
たが刹那を奪い合う実戦においてその遅延こそが致命的だった。
五宇は右側へと身を投げ出すように跳んだ。
同じことだった。右へ逃げようが、左へ逃げようが亜音速で飛んでくるミサイルから近距離で身をかわす術など存在しない。
オレンジ色の火の玉が森の木々を飲み込み、爆音と衝撃波がティファニアの悲鳴を圧倒して青年の姿を覆い隠した。
◆ ◆ ◆
ついでに人物紹介!!
【触手珪素さん】
BLAME!単行本九巻にて登場。
よりにもよって、サナカンとシボさんに触手を振るった蛮勇の人。
残念ながら相手が相手なので、えろえろな展開になる前にあっという間に昇天。
(彼らの場合、カオスに還ったというべきか)
個性抜群の姿をしているはずなのに、
相棒の巨大珪素があまりインパクトのでかいやつだったため、
影が薄くなってしまった不遇の人(珪素)でもある。
よりにもよって、サナカンとシボさんに触手を振るった蛮勇の人。
残念ながら相手が相手なので、えろえろな展開になる前にあっという間に昇天。
(彼らの場合、カオスに還ったというべきか)
個性抜群の姿をしているはずなのに、
相棒の巨大珪素があまりインパクトのでかいやつだったため、
影が薄くなってしまった不遇の人(珪素)でもある。