あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔はじめました-08


伝説の使い魔はじめました―第八話―

サララが使い魔生活を始めてから一週間程度が経過した

ふわ、と寝ぼけた声をあげてサララは寝床から起き上がる
寝床は小さな平民用のベッドだ
これは、ルイズが注文して設置してくれた
「べべべ、別にあんたのために買ったんじゃないんだからね!
 ただ、私のベッドが狭くなるのが嫌だったんだからね!」
頬を紅く染めながらそう言ったので
素直じゃないなあ、と思いながら満面の微笑を返しておいた
それにしても、ベッドが二つに巨大な鍋一つ
さらに大きなタンスを置いてもなお余裕があるのだから
この部屋の広さと、貴族の凄さに改めて驚く
起き上がったサララは、ルイズが先に起きていないことを確認する
チョコを起こし、いつもの服装に着替える
夜着は、ルイズには小さくなったものを譲り受けている
鏡の前で身だしなみを確認すると部屋を出る
片手にはルイズの洗濯物、もう片手にはバケツを持ち
軽快な足取りで水場まで向かう
シエスタと朝の挨拶を交わしながら洗濯をし、水を汲んで部屋に戻る
そのくらいに起こせばちょうどいいと数日間の経験で把握した
「んー……おはよう、サララ」
おはようございます、と挨拶を返す
「とりあえず服だけ取ってー」
さすがに着替えを手伝わせるようなことはなく、
服を渡し、洗顔用の道具を用意する
髪を梳くルイズを見ながら、同じ桃色の髪なのに
彼女のほうが綺麗な髪だなあ、とそんなことを考える
やはり食べてるものの違いだろうか
黒のマントに白いブラウス、グレーのひだつきスカートの制服に身を包むと
ルイズはサララを連れて部屋を出て、食堂まで一緒に向かう
食堂の近くまで来ると、いつも通りにルイズとは一旦別れる
平民であるサララが食堂で食事をするわけにはいかないので、
厨房で使用人たちと同じものを食べさせてもらう

「あ、おはようございます、サララさん」
「おう、来たな、『我らの鍋』!」
そう叫んでサララを歓迎したのはコック長のマルトーである
「……マルトーさん、女の子を鍋呼ばわりはちょっと……」
シエスタと一緒に、サララは顔を引きつらせる
「なーに言ってんだ! 鍋は偉大だぞ! 鍋はこの世界の縮図だぞ!」
どこぞの鍋一族のようなことを言う人だ、とサララは嘆息する
そもそも、サララが鍋呼ばわりされるには、ある逸話があった
数日前、急な客が来たせいで、サララの分の食事が足りなくなった
そう聞いたサララへ部屋へ戻ると魔女の大鍋からある料理を取り出した
こぼさぬように気をつけたまま、厨房の勝手口付近へ回る
部屋で食べて匂いがつくと掃除が大変そうだからだ
その料理の名は『すきやき』
風邪さえも一発で治すと言われる高級鍋料理である
大豆を発酵させて作ったソースに砂糖を合わせた甘辛いタレ
シャキシャキした歯ごたえのネギと白菜
ある種の芋の球茎から作られた麺、大豆から作られた凝乳、質のいい牛肉
全ての食材が調和して、絶妙な味になっていた
それに舌鼓を打っていると、匂いを気にしたマルトーが厨房から出てきた
そして一口食うと目をらんらんと輝かせ、サララに頼んだ
是非とも、この料理のレシピを教えて欲しい、材料も欲しい、と
そりゃあもう鬱陶しいくらいの顔の近さで頼まれたのである
「なあいつになったらレシピを教えてくれるんだ?
 金ならいくらでも出すって言ってるじゃないか。な?」
マルトーは追憶にふけっていたサララの顔を覗き込んだ
食事をしに来たサララに、いつもこうやって問いかけるのである
その言葉に、サララは曖昧な微笑を返すだけだった
まさか『絶妙の味に料理を仕立て上げるのも魔法の一つ!』だと
公言してはばからない彼に、そこら辺の石ころやモンスターの死体を
不思議な魔法のかかった鍋に突っ込めばできあがる、
なんて事実を知らせるわけにもいかないからだ
初めてソレで作ったすきやきを売りに出したころなど、
チョコにじと目で見られていたものだ

食事が終わったサララはルイズと合流し授業に供をする
この時間を、サララはこちらの世界で一、二を争うほど楽しみにしていた
水からワインを作り出す授業や秘薬を調合して特殊な魔法薬を作り出す授業
目の前に現れる巨大な火球や、空中に箱や棒を自在に浮かべ、
それを窓の外に飛ばして取ってこさせる授業など、物珍しかった
魔法が使えないサララには、それを見ているだけでも楽しくてたまらない
ルイズとチョコにそういったら、二人にしかめ面をされてしまい、
あちゃあ、と頭を抱えるはめになったりもした

二年生は、午後からは使い魔との触れ合いの時間とされている
使い魔を連れた生徒達は大抵、広場に集っていた
この時間、サララには日課が出来ていた
広場の片隅にあるテーブルの上に白い布を敷く
ルイズに頼んで取り寄せてもらった袋をごそごそとまさぐる
その中から、小さなバッジと氷に似た水晶で出来たペンダントを数個ずつ取り出す
元の場所では、『正義のバッジ』『氷のペンダント』と呼ばれていたものである
傷がついていないことを確認しながら、それらを陳列していく
それから、大きくて人の目を引く看板を隣に立てた
「まあ、綺麗なペンダント」
看板の存在に、何事かとよってきた少女達はペンダントの美しさにうっとりする
「このバッジも、凄くかっこいいぞ」
少年達も輝くペンダントに見ほれているようだ
そんな生徒達にサララはにっこりと微笑みかける
今なら、お安くしておきますよ、と
ペンダントは本来なら5エキューのところを4エキュー
バッジは本来なら8エキューのところを5エキュー
そのくらいなら……と生徒達は財布の中から金貨を払う
さすがは貴族、随分と支払いがいい
「……あんたねえ、神聖な学院でなんで商売してるのよ」
その光景を紅茶を飲みながら眺めていたルイズから、呆れ気味に言われる
サララは根っからの商売人である
こうやって、ものを売っていないと今イチ落ち着かないのだ
なお、値段に関してはミス・ロングビルに聞いてみた値段だ
高価な部類に入る商品らしく、幾つも取り出して見せると目を丸くしていた

「やあ、サララくん!」
商品を片付けていると声をかけられた
「あ、ギーシュだ。モンモンも一緒だよ」
見慣れた顔を見て、チョコが声を上げていた
「またバッジを売っていたのかい? あれは随分とかっこいいものね。
 全男子の憧れと言っても過言ではないよ、うんうん」
「このペンダントも凄く綺麗だわ。氷が結晶になったみたい」
ギーシュとモンモランシーの胸元には、バッジとペンダントが輝いている
最初にこの商品を買ったのは、何を隠そうこの二人である
「ところで、試しにこのバッジに似せて作ってみたんだがね」
ギーシュがポケットから良く似たものを取り出す
それを手に取り、撫で回してみる
見た目はまずまず、特殊機能はなし、材質はおそらく青銅、と
そのペンダントについて詳しいことを認識していく
元からアイテムの鑑定眼のあったサララだが、
この世界に来てからはさらにその能力があがった
加えて、サララ自身が使用する時に限って、
アイテムの性能が格段に上がっているような気がする
そんな時はいつも、額に刻まれたルーンが熱を持つ
理由に心当たりがないか、後でルイズに聞いてみよう、とサララは思う
ルイズが勉強熱心なのはこの数日間でよく理解していた
「ど、どうだい?」
ギーシュの言葉にサララは思ったままを答える
これだけの技術があるのなら、模倣品ではなく
オリジナルの装飾品を作る方が向いてるかもしれない
「そ、そうかい? いやあ、実は僕は彫金が趣味なんだが、
 学院に来てからはついつい時間がなくてね……。
 君に言われると何だかよくわからない自信が出てきたよ」
鑑定されたバッジを受け取りながらギーシュがはにかむように笑った
「あら、じゃあ最初に作ったのは私にちょうだいね?」
「勿論だよモンモランシー!」
目の前でイチャつく二人を、サララは華麗にスルーした
ルイズとチョコはあきれ返って言葉も出なかった
いつかいいものが出来て、こっちでも店を持てたら
ギーシュの作った装飾品を並べてもいいかもしれない、とサララは考えた
結構な量があったバッジとペンダントの在庫は、およそ半数が売れていた
それだけの量があった理由は、このアイテムの入手経路にある
攻撃力・命中精度において最強である『光線銃』
教会で救済することによって、所持金の半数を渡してくれる『冒険者の死体』
それらを所持しているモンスターから、アイテムを盗もうとした時、
大抵の場合はバッジとペンダントの方を入手することになる
技術的、ならびに精神衛生的な問題で
手に構えた武器や死体よりは、盗みやすいのだろう

その日の夜、サララはベッドの上で日記と出納帳をつけていた
アイテムの在庫も確認しておく
「へえ……結構たまったのね」
塔にされた貨幣の数を見ながらルイズが感心したような声をあげる
「当たり前さ。サララは商売上手だからね!」
チョコが誇らしげに胸を張った
「はいはい。それにしても凄いわ。100エキューはあるんじゃない?」
それに頷くと、サララはルイズに質問がある、と言った
「あら、何?」
この辺りに店がたくさんあるような大きな町があるか教えて欲しい
あるならば、それはどの辺りでどうやって行けばいいか
そう尋ねると、ルイズは首を傾げながらも答えた
「一応、馬で三時間くらいのところに首都のトリスタニアがあるけど……
 何か用事でも……え、買い物? 自分の目で見て商品を確認したい?」
こちらの世界には、サララの知らないものもたくさんあるだろうし、
似たようなものもあるだろう
学院の中で、それを知るには限度がある
なので、一度実地に赴きたい、とサララは告げた
「んー……、そうね。明日は虚無の曜日だし、一緒に出かけましょうか」
その言葉にサララはにっこりを微笑んで礼を言う
それから、袋を掴むと魔女の大鍋の所へ行き、手を突っ込んだ
「何やってるの?」
お金があるにこしたことはないので、売れそうな商品を
幾つか見積もって売り飛ばすつもりだ、とサララは答える
「……本当、根っからの商売人なのね……ふぁ。
 早めに寝なさいよ? 明日は、朝から出かけるからね……」
むにゃむにゃとルイズはベッドに潜り込んだ
額のルーンのことを聞くのを忘れたが、まあいいか、と思いながら
サララは目的のアイテムを引っ張り出す
ミス・ロングビルに聞いた話では、武器の方が買い取りの値段は高いらしい
せっせと武器を詰め込む間も、ひっきりなしに額のルーンは輝き続けていた




新着情報

取得中です。