あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの赤ずきん-07


今日は虚無の曜日、学院も休みの日であった。

朝、目を覚ましたキュルケは、窓から外を見渡す。
すると、門から馬に乗って出て行く、ルイズとバレッタの姿が見えた。
「予定通り、町に出かけるみたいねー。……」
キュルケは少し考えた後、身支度を済ませ、自分の部屋を出た。

やってきた先はタバサの部屋であった。
タバサは部屋の隅にある椅子に座り、読書を楽しんでいる。
そこに『アン・ロック』の魔法でドアにかけられた鍵を開けキュルケが入ってきた。
入ってくるなり、キュルケは、タバサに用件を話した。

「タバサ、ちょっとお願いがあるんだけど、一緒に来てくれないかしら?
 ルイズ達が町に行くのは知ってるでしょ?それを追いかけたいのよ」

タバサは短く、ボソッとした声で、自分の都合を友人であるキュルケに述べた。
「虚無の曜日」
「それは、よくわかってるわ、あなたにとって虚無の曜日がどんな日だか。でもねやっぱり気になるのよ、あの使い魔がね」

「あたしは、あの使い魔に、一瞬でも臆したのが納得できないのよ、このツェルプストー家のあたしがよ?
 それが許せないから、あたしはバレッタのことをもっと知りたいのよ、ね?お願いよ、タバサ」

「それは半分」
その言葉に、目の前の、他人から見た目より幼く見られる友人に、自分の心の内が見透かされていることに感づく。
「心配?」
キレイに整えられた赤い髪がクシャクシャになってしまうほど、キュルケは髪をかき混ぜた。そして悔しそうに言う。
「……ああもう、そうよ、その通りよ!ルイズが心配なのよ。
 ったく……使い魔があんなのじゃなかったらこんな風に思わなかったでしょうに、
 でもタバサも知ってるでしょ、この前の夜聞いた話から、あの使い魔がどんなに危険かって、
 ルイズが手綱をしっかりと握られるなら何も問題はないと思うわ、でもそうならなかったら、
 あの使い魔は、今まで起こしてきた惨事よりもっと酷いことを実現するに違いないわ、
 ルイズを利用するだけ利用して、使いきった後は切り捨ててね。
 そうしたら、ルイズに待つのは身の破滅のみよ。それがあたしにとって容認できないのよ
 だからってあたしに何かできるのかと言えば、それはわからないけど、とにかく行かないといけない気がするのよ。
 それに、あなたの使い魔じゃないと馬に乗って出かけたあのコ達に追いつけないのよ」

タバサは肯定の意味を表すため頷いた。なるほど、と思った。
「ありがとう!……タバサ!」
タバサは再び頷いた、キュルケは友人である。そしてその友人の面倒見が良いところを好いていた。断る理由がなくなった。
タバサは窓を開け口笛を吹いた。
そうすると、タバサの使い魔であるウィンドドラゴンの幼生が現れた。
「いつ見ても、あなたのシルフィードは惚れ惚れするわね」
二人はシルフィードの背に飛び乗った。
すると、二人が乗ったことを確認したシルフィードは、
寮塔に当たって上空に抜ける上昇気流を器用に捕らえ、一瞬で二百メイルも駆け上った。
「どっち?」
タバサが短くキュルケに尋ねた。
「多分、買い物って言ってたから、城下町じゃないかしら、でも確実とは言いがたいわね」
タバサは、シルフィードに命令した。
「馬二頭。食べちゃだめ」
シルフィードは短く鳴いて了解の意を主人に伝えると、青い鱗を輝かせ、力強く翼を振り始め、一気に加速した。
トリステインの城下町を、ルイズとバレッタは歩いていた。
「……ちょっと、あんた買い物しすぎじゃない?いくらお金があるからって」
バレッタは町についてから、手当たり次第に店を回り、様々なものを買っていた。

「女の子は買い物がスキっていうのは皆おんなじでしょっ?ルイズおねぇちゃんも何か買えばいいじゃない?」
「多少は工面して持ってきたけど、誰かさんのおかげで、懐が寂しいのよ」

ルイズは思った。金の亡者というのは、やはり金を使うことも、その範疇に入るのであると。
「なんか、こう、あんたの買い物はもっと強盗じみたもんだと思ってたけど案外普通ね」

「追いかけっこしながら買い物をするのは趣味じゃねーのよ」

あれ……これって、バレッタが、望んで犯罪をするわけではないということかしら。
確かに罪人になれば、動きにくくなる。それは不本意なの?
ハンターやってたって言ったけど、それ自体は、別に犯罪ではないしょうし……。

ルイズは目の前が明るく開けたような気がした。久方ぶりに弾んだ声で話した。

「つまり……!つまりは今までわたしに対して言ってきたこと、やってきたは単なる脅しや嫌がらせにすぎないってこと?」

バレッタはルイズを、ちらりと横目で見たあと、ルイズに向き直った。
「そーねぇ、そのとーりよ、誰だって望んで犯罪者になるわけないでしょー?」

気分が高揚したルイズは目を輝かせていた。バレッタの行動に実現性がないとわかったのならば、恐れる必要はなにもない、
つまりは、バレッタを従わせられるチャンスがあるということだ、とルイズは考えた。
「じゃあ……じゃあ!!」

「まぁー、ムカツク奴がいて表立って行動に移せない場合はぁー、そいつが自滅するように仕組むってのが常套手段かなっ♪
 例えば、誰かさんが魔法を失敗する時にぃ、そばに爆弾を仕掛けておくとかぁ」

「……やっぱり、あんた物騒で危険過ぎよ。イヤよ私、自分の魔法で死んだことになるなんて……絶対やるんじゃないわよ」

ルイズは深いため息を吐いた。バレッタの物言いにも若干慣れてきたようだった。いい傾向とはいえないが。
「で?町は結構回ったけど、まだどっか行くところあるわけ?」

バレッタはとある方向に指をさした。
「あの宮殿に、行っきたいなぁ♪」
ルイズたちがいるブルドンネ街から見える、トリステインの宮殿であった。
訝しげな表情をつくりルイズは尋ねた。
「宮殿に行って何すんのよ?女王殿下に拝謁でもするつもり?」

「うーんとね、ルイズおねぇちゃんね。好きなもの一つ買ってくれるっていったでしょ?」

忘れていたルイズの思い出したくない事柄であった。
「うっ……。確かに言ったけど、宮殿に店なんかないわよ?」

「えーとね、あのキレイで立派な宮殿をまるごとルイズおねぇちゃんに買って貰おうかなって♪」

「買えるかっっっっ!!!!!常識でものを考えなさいっ!!!!」

バレッタが頬を膨らせて、不機嫌な表情を作った。
「ぶぅー!ルイズおねぇちゃんのケチぃ。まーいいよ、そしたら最後に武器屋に連れてってちょーだいっ♪」
「武器屋?」
買い物で増えた荷物を一度、馬を預けている駅に置いた後、
二人はバレッタの提案で武器屋の前まで来た。みると、剣の形をした看板が下がっていた。
「武器買うつもりらしいけど、あんたナイフとか意味わかんない銃とか持ってるじゃない、
 とゆーかあんたの腕に下げたバスケット、一体何が詰まってるの?そんなんばっかじゃないの?」

「キョーキよっ♪」

「きょうき、ね……凶器と狂気どっちかしら?……多分どっちもね、両方とも道具として使いこなしてるもの。はぁ……」

言い終わると、ルイズとバレッタは石段を登り、羽扉を開け、店の中に入っていった。
店の中は昼間だというのに薄暗く、ランプの明かりがともっていた。壁や棚に、所狭しと
剣や槍が、乱雑に並ばれ、立派な甲冑が飾ってあった。
店主であると思われる、五十がらみの親父が、入って来たルイズを胡散臭げに見つめた。
しかし、相手が貴族とわかると、ドスの聞いた声で喋り始めた。
「旦那、貴族の旦那。ウチはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
「客よ、一応ね」
ルイズは腕を組んでそう言った。
「こりゃおったまげた。貴族が剣を!おったまげた!」
「なんか知らないけど、買うのはこっちの使い魔よ」
バレッタに指をさした。
「忘れておりました、昨今は貴族の使い魔も剣を振るようで、いや、しかしですな……」
商売っ気たっぷりでお愛想よく言ったのは良かったが、ルイズが指し示した使い魔をジロジロと見て、店主にある種の不信感が沸く。
「こちらのおじょーさんは武器を振るうより、もっとこう、お花摘みのほうがお似合いに見えやすがね」
「そうよね、初見だったらそれが普通なんでしょうけど、それはすぐに誤解だって気づく羽目になるわよ、んで後悔するわ。」
 というか、私はここに何も用はないのよ。バレッタ、欲しいものは見つかったの?」
バレッタは煩雑に置かれた、数々の武器の中から、ナイフを物色している最中だった。
「まーぼちぼちってところかしらぁー、今持ってるのと違って、投げナイフとしての消耗品を買うつもりだから、
 そんな質は問わないし、そこそこので十分なのよ。っていうか鍛冶技術がいまいちかしらね」
店の主人は思い出したように言った。
「そういや、昨今は宮廷の貴族の方々の間で、下僕に剣を持たすのが流行っておりましてね」
「それってどういうこと?」
ルイズは尋ねた。主人はもっともらしく頷いた。
「へえ、なんでも、最近このトリステインの城下町を、盗賊が荒らしていまして」
「盗賊?」
「そうでさ。なんでも『土くれ』のフーケとかいう、メイジの盗賊が、貴族のお宝を散々盗みまくってるって噂で。
 貴族の方々は恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末で。へえ」
ルイズは盗賊に興味がなかったが、そば耳立てて聞いていたバレッタが食いついた。
「そいつ捕まえれば、お金になるかしらぁ、っていうか何で『土くれ』なの?顔が土くれみたいってこと?」
主人がバレッタの疑問に答える。
「いや、なんでも、『錬金』の魔法を使って、扉や、壁を粘土や砂に変えて、穴を開けて潜り込んで、盗みを働くって算段らしいでさあ
 ああ、モチロン武器やなんかも『錬金』で土くれに変えられてしまうらしいですゼ。だから『土くれ』って呼ばれてるってわけで」

バレッタのが怪訝そうな顔に変わった。怒りの感情も混じっている。

「はぁ?ちょっと待てよ。それってどういうことよ」

いきなり、か弱く見える少女が自分より迫力のある声で喋りしたため、主人は一瞬たじろいだ。
「ど、どうといわれましても、何でそんなに怒ってるいらっしゃるか、わかりませんで、なんとも」

「その『錬金』っての困るんだよ」

バレッタがここまで、『錬金』の魔法を危惧するのには理由があった。それは、武器を使って戦うバレッタのにとって、
物質を変えてしまう『錬金』によって手持ちの武器が使い物にならなくなる可能性があると考えたからだ。
これほど厄介なことはなかった。それに加え、町を散策した結果から、文明レベルを見て判断すると、
ここでは、今まで使っている武器の補充が不可能に近いことも、重大さに拍車をかけていた。
つまり『錬金』の魔法への対処はバレッタの死活問題に直結するのであった。
「へ、へえでしたら、値は多少張りますが『固定化』の魔法がかかった武器なんかをお買い求めになっては?」
「『固定化』?」
ルイズが口を挟む。
「あんた魔法について何も知らないのね。いい?『固定化』っていうのは、その魔法をかけた物の風化を止めたり
 して、物質をそのままの状態に保つものなんだけど、同時に、『錬金』の魔法からも守ってくれるの、わかる?
 でも、『固定化』の魔法をかけた術者の能力に勝る『錬金』の魔法をかけられたら、『固定化』は無意味になっちゃうの、
 つまりは、どっちの魔法が強力かで、決まるのよ。」


「つーまーりー、半端に『固定化』がかかった武器なんか買っても、相手によっては容易に看破されちまうってことか」

バレッタは顎に手をやり真剣に悩んでいる。
ルイズはバレッタが苦心している理由をうすうす気がついていた。

そして、『錬金』の魔法の習得を強く胸に誓うのであった。

「……そういえば、学院の宝物庫なんかには相当強力な『固定化』の魔法がかけられているって話だけど、
 そうなら、盗賊なんかが入る心配なんかないわね。おそらくは土系統の『スクエア』のメイジが魔法をかけてるでしょうしね。
 というか、バレッタ。たとえ、その『土くれ』のフーケっていう盗賊捕まえたとしても、平民のあんたには
 報酬なんて出ない可能性が高いわよ、それに平民が捕まえられるはずがないっていうのが一般見識もあるしね」
明らかに不機嫌とわかる色がバレッタの顔に浮かぶ。
「はぁ?なによそれぇ?……メンドーなとこねぇ、ココ。やり方も工夫しないとイケないわけねっ。
 ……まあ、とりあえずー、その問題は後回しねぇ、ところでおーじさん?火薬なんかも置いてなーい?」

「いえ、火薬の類は軍需物資になりますので、こんな木っ端の店には回ってきませんぜ」
バレッタはため息をつく。
「とんだ原始時代にきたもんねぇ、わたし。まぁーいいわ、とりあえずこのナイフ数本と、その手入れ用品をもらおうかかなぁ」
バレッタはそう言うと、カウンターの上にジャラジャラと懐からだした金貨を置いた。
「いや、あの、買っていただけるのは真にありがたいのですがね、まだこちらは値段言ってませんぜ?
 それにこれじゃぁあ足りませんぜ、せめてこれの倍は出していただかないと」
主人は実に憎たらしげにバレッタにそう言った。
「わたしはぁ、原価から考えて、これでじゅーぶんな利益がでると思うんだけどなぁー」
町を買い物をしながら散策したため、トリステインの物価状況をほぼ把握していたバレッタであった。
「いやいや、ご冗談を、こちらも生活がかかってるもんで」
まるで、からかう様な、軽い口調で主人は言った。こんなガキに値切られてたまるもんか、と内心考えていた。

いや確かに、このガキが出した金の額は実に的を射ているいうか、普通に売るならそれで十分ってもんだが、
商売はそういうものじゃないんでなぁ、鴨がネギしょってやってきたってのに、普通に売ってどうするってんだ。
金を持ってるヤツから多くとらないといけないもんなんだよ。……ヘッヘ。

商売用の笑顔を作って、もみ手をしている主人に、感情の篭っていない冷たい目をくれた後、ルイズに顔だけ向けて言った。

「あのねぇー、ルイズおねぇちゃん。バレッタね、酒場とか、ハンターの寄り合い所とか、コワイおじさん達が集まる所に行くとね、
 必ずって言っていいほど、絡まれたり、ナメられたり、足元見られたりしちゃうの。わたしこーゆーふうな見た目でしょ?
 それはぁ、仕方ないことなんだなーっては思うのよ?でーもぅー、ホントーの困っちゃうの。わかる?」

「わ、わかるけど。イヤ、あんたの言いたいことがわかった気がするわ、……つまり」

「そうよー、つまり、引っ切り無しにそんな奴らの相手してたもんだから、わたし、人を脅す術ばっかり長けちゃったってワケ♪」

主人の方へ向き直り、カウンターにバレッタは両肘をつき、言った。

「相手によって値段を変えるっていう賢い商売するのはいいけどぉ、相手をキチンと選ぼーねっ♪」

荒くれ者達を相手取ってずっと商売をしてきた主人あったので、平然と臆すことなく反論しようとした。
しかし、口を開こうとした瞬間、顔の横を何かが通り過ぎる。そして壁に何かが刺さる音がした。
後ろを振り返ると、店の売り物であるナイフが壁に深々と刺さっているのが見えた。
主人は慌てて向き直るが、そこには先ほどと変わらぬ、にこやかな表情で主人を見つめる少女しかいなかった。
先ほど見た笑顔と同じであるはずのに、今の少女にはそれ以外のものが含まれているように感じられた。

「ねっ♪……それができねぇならよ、全部の商品に値札をさげとけよ」

主人の背筋が凍る。
「へ、へぇ、いやその、あれでして。どうなってやがんだ?これ?」
自分が抱いている少女に対しての感情がいまいち、納得できない主人は混乱していた。
その時、乱雑に積み上げられた剣の中から、声がした。低い、男の声だった。

「こいつぁ、おでれーた!オヤジ、こんな娘っ子に、たじたじじゃねぇか!おめえさんの負けだよ、あきらめな!」

声がする方向を見るが人の影はない、ただ剣が積み上げられている山があるだけだった。
バレッタが声を頼りに近づいて、一つの剣を手に取った。
「なにこれぇ、剣が喋ってんの?」
「やい!剣が喋っちゃ悪いってんのか!娘っ子!というか、おめえみたいな小さいのに剣なんざ似合わないんだよ!はなせ!」
声の主は錆の浮いたボロボロの剣であった。大剣と比べても長さはそう変わらないが、刀身が細めで、薄手の長剣だった。
「それって、インテリジェンスソード?」
ルイズが当惑した声をあげた。
「そうでさ、若奥さま。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。いった、どこの魔術師がはじめたんでしょうかねぇ、
 剣を喋らせるなんて……。とにかくコイツはやたらと口が悪いわ、客にケンカを売るわで閉口してまして……。
 やいデル公!これ以上失礼があったら、貴族に頼んでてめえを溶かしちまうからな!」
デル公と呼ばれた剣は、バレッタの手の中でいっそう騒がしくがなりたてた。
「おもしれ!やってみろ!どうせこの世にゃもう、飽き飽きしてたところさ!溶かしてくれるんなら、上等だ!」
「やってやらぁ!」
主人が歩き出し、バレッタの方へ向かってきた。
しかしバレッタはそれを制止した。
「コレ面白いじゃないっ、名前はデル公っていうの?」
「ちがうわ!デルフリンガーさまだ!さっさと置いて、はなしやがれ!」
「やーねぇ、ホントーに口が悪いわー。あれっ?どうしたのぉ?急に黙って?」
自分のことをデルフリンガーと名乗った剣はバレッタを観察するかのように黙りこくった。
それからしばらくして、剣は小さな声で喋り始めた。

「おどれーた。見損なってた。てめ、『使い手』か。……いや、待てよ。これいいのか?
 ……真っ黒じゃねえか!?って……うぉ!なんだこりゃあ!このドス黒い魂はっ!?」

一瞬バレッタの顔が、容赦なく険しくなった。
「……ま、まあいいや。てめ、俺を買え」
その言葉を聞くと、バレッタは少し考えるような仕草をした。
「そーねぇ。どうしよっかなぁー。面白いのはいいんだけどぉ……。あっ、そうだ、ルイズおねぇちゃん!」
呼びかけられたルイズは、僅かに首をかしげた。
「なによ」
「一つ何か買ってくれるっていってたでしょ?それなんだけど、この剣にしようかなっって♪」
「えっ!?私が買うの?っていうかそんなのを?その前にあんた、十分すぎるほど金もってるでしょ!?
 そんな剣一本余裕で買えるでしょ?だって私が持ってたお金だけでも、治癒のための呪文の秘薬が買えるほどあったはずよ!」
満面の笑みでバレッタは言う。
「買って♪」
「ぐっ……!」
ルイズはたじろいだ。
「……わかったわよ、約束は約束だし。買えばいいんでしょ、私が。ていうかなんで私が言いなりになってんの?」
「わーい、アリガトウっ。ルイズおねぇちゃんっ♪」
「毎度あり。じゃあ、デル公のほうは新金貨百で結構でさぁ、厄介払いみたいなもんですからね。
 それとそっちのずきんのおじょうさんが、お買い求めになった品の料金は、先ほどお出し頂いた料金で結構でさあ、
 ……これ以上とるとなると、何か身の危険を感じずにはいられないもんで。」

ルイズは、意外そうな顔した。
「案外、安くて助かったわ。それでも手持ちの全部だけど……」
料金を手渡すと、主人は慎重に金貨の枚数を確かめた。
「お買い上げありがとう御座いやす。」
剣を手に取り、鞘に収めるとバレッタに手渡した。
「どうしても、煩いと思ったら、こうやって鞘に入れればおとなしくなりまさあ」
バレッタは頷いて、デルフリンガーという名の剣を受け取った。

「よろしくっ!わたしバレッタよっ」

「おうよ。相棒。先々に不安を覚えずにはいられねーが、まあいいや。俺のことはデルフって呼べ」

「そのことなんだけどぉ、あなたのことハリーって呼んじゃダメかしら?」

「ハリー?なんだそりゃ」

「あたしの愛犬の名前よ」

「犬かよっ!!剣なのに犬っておい!つうかなんで紐を括りつけてんだ!?俺ぁ犬じゃねぇ!ちょ、っちょ、
 引きずるな!あっ!地面と擦れるっ!段差が!犬の散歩じゃねぇんだから!や、やめっ、やめて!頼むからやめてくれー!!」

紐で括りつけられたデルフリンガーを引きずり、バレッタはスキップで店の戸を開け出て行った。
その様子を、まるで遠い景色を見るような目でルイズは見つめていた。そして、独り言のように呟く。

「私、あの剣と仲良くなれそう……」


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