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ソーサリー・ゼロ第三部-15

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三〇三

 君は、逃げろと一声叫ぶと踵を返し、全力で駆け出す。
 自らの魔法が引き起こした思わぬ結果を前に、呆然と立ちつくすルイズの手をつかんで引っ張り、火狐とともに走るキュルケを追い抜く。
 タバサは、小動物を思わせる俊敏さで君たちの数ヤード前をひた走りに走る。
 坑道が後ろでどんどん崩れ落ち、土砂が君たちの頭に降り注ぐ。
 幸い、道は下り坂のため、走る勢いは衰えない。
 むしろ、勢いがつきすぎて転んでしまうことに注意せねばと考える君の耳に、背後からの小さな悲鳴が飛びこんでくる。
 振り返った君が見たものは、床にうずくまって苦悶の表情を浮かべるキュルケの姿だ。
 転んだ拍子に足首を捻ってしまったらしく、立ち上がろうとしても、すぐによろけて片膝をついてしまう。
 彼女の傍らには≪使い魔≫の火狐が居て、なんとか主人を助けようとしているのだが、狼ほどの体格のこの獣に人ひとりを運ぶ力などあるはずもない。
 君の視線を追ってルイズも振り返り、キュルケの窮地を目にする。
「キュルケ!」
 顔を真っ青にしてルイズが叫ぶ。
「早く、早く立って!」
 君は、ルイズに先に行けと告げると、足首を押さえて床にしゃがみこんでいるキュルケのもとへと全速力で走る。
 駆けつけた君を見て、キュルケは
「なに考えてるのよ、あなたもフォイアも! あたしに構わないで、早く逃げて!」と訴える。
 彼女がそう言うあいだにも、君たちの頭上の天井はひび割れ、たわみ、小石が頭や背中に降ってくる。
 ひときわ大きく軋む音を耳にした君は天井を見上げ、背筋が凍るような恐怖を覚える。
 道幅いっぱいの巨大な岩塊が今まさに、君たちめがけて落下しようとしているのだ!
 どうすべきか、すぐに決めねばならない。
 キュルケの抗議を無視して彼女を抱え上げて走るか(一七二へ)、それとも自分だけでも生き延びるべく、彼女を見捨てて駆け戻るか(二四五へ)?
 望むなら術を使ってもよい。

 NIF・四三六へ
 HUF・四九三へ
 ROK・四一四へ
 FIX・四七三へ
 FOF・三八五へ


四七三

 体力点一を失う。
 樫の若木の杖は持っているか?
 なければこの術は使えず、もたついている間に岩塊は落下する。七五へ。

 杖を持っているなら、突き出しながら岩に術をかけよ。
 巨大な岩は落下の途中でぴたりと静止するので、この隙にキュルケを抱え上げ、ルイズとタバサの待つほうへと駆け戻ることができる。

 三叉路まで戻ったあたりで落盤の音はやみ、君たちは足を止めて息を整える。
 キュルケを抱きかかえながら走った君の疲労は大変なもので、彼女をそっと下ろしてから、ぜいぜいと荒い息を吐く(体力点一を失う)。一四七へ。


一四七

「やれやれ、大変な目に遭ったわね。ルイズの言ってたとおりになっちゃった」
 キュルケはそう言って、赤い髪についた土埃を払い落とす。
 タバサの≪治癒≫の術で足首の怪我を治した彼女だが、ときおり眉間に皺を寄せる様子を見るに、まだ痛みは残っているようだ。
 君の気遣わしげな視線に気づいたキュルケは微笑み、
「大丈夫、タバサのおかげでもうなんともないわ。あなたにもお礼を言わなきゃね。あなたが来なかったら、今頃あたしもフォイアも石の下に埋もれていたわ。
 素敵だったわよ、ダーリン。まさに勇者さまって感じで。あたし、惚れなおしちゃった!」と言う。
 そのような調子で盛んに君を褒めたたえた後、ルイズにはうってかわって冷たい視線と悪罵を浴びせる。
「それに比べて、いちおうは主人のはずのヴァリエールときたら! 役に立たないだけならともかく、余計なことをしてあやうくみんなを殺しかけるなんて、最低よね。
 なにもできない≪ゼロ≫は≪ゼロ≫らしく、村でおとなしく待っていればいいものを、しゃしゃり出てきてこのありさま。
 身をわきまえるってことを知らないの?」
 しばらくのあいだ無言でキュルケの顔を睨んでいたルイズだが、やがてもごもごと呟く。
「その……ツェルプストー……じゃなくって、キュルケ……」
「なによ、言いたいことがあるのならはっきり言いなさいよ」
「ご、ごめん……」
 その言葉と同時に、大粒の涙が頬を伝う。
「ル、ルイズ?」
 先祖代々の宿敵であるヴァリエール家の者の口から出た謝罪の言葉と、鳶色の瞳から流れ出た涙の両方に驚いたキュルケは、眼を白黒させる。
「その、ご……ご、ごめん! ごめんなさい!」
 涙を流し、しゃくり上げながらそう言って深々と頭を下げるルイズを前にして、キュルケは滑稽なほどに慌てふためく。
「ど、どうしたのよルイズ? ラ・ヴァリエールの者がフォン・ツェルプストー家の人間に頭を下げるなんて、前代未聞のことよ?
 プライドの塊みたいなあなたがそんなことするなんて、信じられない……。それに、今までどれだけ≪ゼロ≫と莫迦にされても怒ってばかりで
涙一粒見せなかったあなたが、泣いちゃうなんて。あたし、そんなにひどいこと言った?」
「違うわよ」とルイズは言い、手の甲で涙を拭う。
「わたしもみんなの役に立ちたかった。誰にでもできる地図作りなんかじゃなくって、あんたやタバサみたいに、貴族らしく魔法で役に立ちたかった。
≪使い魔≫の彼だっていろいろ魔法を使っているのに、わたしだけメイジらしいことをなにもしないで、ただ見ているってのが我慢できなかった。
だから、あんなことをしちゃったのよ」
 そう言って、君たち三人の顔を見回す。
「でも、わたしのせいで、みんな死んじゃうところだった。キュルケには怪我までさせちゃった。それが今になって怖くなって、自分が情けなくなって……。
 ごめんなさい、キュルケ。みんな、本当にごめんなさい……」
 そこまで言ったところで、ふたたびルイズは泣き出す。
「ルイズ……とにかく泣き止みなさいよ。ほら、これを使って」
 そう言って、キュルケは手巾を差し出す。五九へ。


五九

 キュルケは、ようやく泣き止み落ち着いたルイズと君の顔を交互に見つめ、にっこりと微笑む。
 普段浮かべるいたずらっぽい笑みとは違う、裏のない、心からの笑顔だ。
「使い魔召喚の儀式以来、あなた、変わったのね。前のあなただったら、内心でどう思っていても宿敵ツェルプストーの一員であるあたしに、謝ったりなんかしなかったわ。
 そんな風になったのは、彼の影響かしら?」と言って、君をちらりと横目で見る。
「べ、別に使い魔は関係ないわよ……」
 しどろもどろになって小声で呟くルイズに向かって、今度はキュルケが頭を下げる。
「な、なに?」
「あたしのほうこそ、あなたにお詫びするわ。あなたをさんざん莫迦にして、煽りたて、追い詰めてしまったことを。あんなことになった原因はあたしにもある。
 許してね、ルイズ」
 ルイズの顔がみるみるうちに赤くなる。
「あ、頭を上げなさいよキュルケ! 許すも許さないも、悪いのは全部わたしなんだから! あんたが謝ることなんてなにもないわ!」
「じゃあ、おあいこってことにしましょ? お互いに貸し借りなしってことで」
「あんた、ほんとにそれでいいの? わたしのせいで死ぬところだったのよ?」
「過去にとらわれないのは、ゲルマニア人の美点のひとつよ。あたしたちは伝統にこだわるトリステイン人と違って、未来に生きてるの。
 さあ、この話はこれでおしまい。それよりも……」
 キュルケが三叉路のほうに向き直って言う。
「冒険の続きをしなきゃね。左の道は埋まっちゃったから、今度は右に行ってみましょう」
 そう言って君たちの先頭に立とうとする彼女だが、よく見れば怪我したほうの脚を軽く引きずっている――≪治癒≫の術だけでは治りきっておらぬのだ。
 キュルケは自らが足手まといになるまいと、痛ましいほどの虚勢を張っているのだろう。
 君はどうする?
 探索をここで打ち切り、来た道を引き返すと告げるなら一八二へ。
 右の通路を進むなら二五三へ。


一八二

 君は、今回の探索はここまでだ、と一同に告げる。
 目的のものを見つけるまでに、この先どれほどさまよい歩くことになるかわからぬのだから、脚を怪我した者がひとりでも出た以上は引き上げるべきだ、と。
 この場でルイズたちと別れて、ひとりで探索を続けるなどもってのほかだ。
 同行を認めた以上、自分には彼女たちを安全に外へと連れ出す責任がある、と君は考えているからだ。
「そう? 残念だけど、あんたがそう決めたのなら、しかたが……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
 安堵の表情を見せたルイズの言葉をさえぎって、キュルケが気色ばんだ声を上げる。
「心配してくれるのは嬉しいけど、これくらいどうってことないわ! あなたの故郷へのゲートを探し出すまでは、とことん付き合うって決めたのよ。
ちょっと歩くのが遅くなっただけで、べつに痛くなんかないもの!」
 キュルケがそこまで言ったところで、タバサがすっと進み出る。
「痩せ我慢」
 タバサはそう言うと、杖の先でキュルケの足首をつつく。
「~ッ!」
 声にならぬ悲鳴を上げて悶絶するキュルケに、タバサは淡々とした口調で
「無理は禁物。撤退」と告げる。
「洞窟を出るなら、先に進んだほうがいい。風が強くなっている。近くに開口部があるはず」と、タバサは言う。
 確かに、≪風≫の魔法使いではない君でも、通路の先からの空気の流れを感じとることができる。
 君はタバサの意見に感心してうなずく。
 窓――あるいは通風孔か戸口――さえ見つけてしまえば、そこから容易に洞窟の外に出られるのだ。
 そこでタバサがシルフィードを呼び寄せれば、君たちはあっという間にタルブに戻ることができる。
 長い道のりを引き返し、洞窟の入口に戻ってきているであろうオーク鬼の一団と一戦交える危険を冒す必要はない。
 君は彼女の言葉に従い、開口部を目指し、そこから洞窟を脱出することに決める。
「ぜ、前言撤回、あたしもダーリンの意見に賛成。今回の探索は終わり。続きはまた日を改めてということで……」
 眼に涙を浮かべたキュルケが言う――タバサをちらちらと横目で窺いながら。
「あの子って、おとなしいようで意外と行動派よね……」
 額に冷や汗を浮かべたルイズが言う。
「それじゃあ、行きましょうか」
 君たちは開口部を探すべく、右の通路を進むことにする。一三六へ。


一三六

 君たちは上り坂になった通路を北へと進む。
 やがて道は平坦になり、岩が剥き出しになった坑道めいた壁や天井が、しっかりとした石造りのものへと変化する。
 さらに進むと、東壁に半開きになった鉄の扉を見つける。
 君は扉に触れず、隙間からカンテラを差し込んで内側を照らし出す。
 そこは一辺二十ヤードほどの正方形の部屋で、床にはたくさんの白骨が散乱している。
 骨の大半は人間のもののようだが、妙に小さな、しかしがっしりと太い骨も見受けられる。
 骨に交じって、折れた剣や錆びた斧頭、砕けた楯や兜が見つかる。
 どうやらかつてこの部屋で、武装した二つの集団が衝突したことがあったようだ。
 扉の隙間から見る限りでは、別の扉や調度品など、君の興味を惹くようなものはなにもない。
 なにか見つからぬかと部屋に入ってみるか(三一六へ)、それとも死者はそっとしておいて通路を先へ進むか(二七〇へ)?


三一六

 君はルイズたちに通路の外で待つように言い(部屋の中は、あまり少女たちに見せたくないような光景だ)、床に散らばる骨や武器、防具を調べる。
 ハルケギニア様式の剣や槍と並んで、誂えや寸法からみて≪タイタン≫のドワーフのものに違いない、斧や戦槌、鎖帷子が見つかる。
 遠く離れた二つの世界の武具が、持ち主たちの遺骨とともに並んで転がっているのは、なんとも奇妙な光景だ。
 床に散らばる武器と髑髏を数えた君は、この部屋でなにが起きたかを推測する。

 十人以上のハルケギニア人の戦士たち――洞窟を根城とする山賊か、それとも帰ってこなかったという噂の討伐隊か――はこの部屋で、
五人前後のドワーフの一団と遭遇したのだ。
 両者は言葉を交すこともなく慌てて武器を構え、すぐさま熾烈な闘いが始まった。
 その結果は、双方の全滅に終わってしまったようだ。
 生き残った者が居たにしても、この洞窟を出ることはかなわなかったに違いない。
 ドワーフたちはシエスタの曾祖父と同じく、アランシアの何処かにある地下迷宮を探索しているうちに≪門≫をくぐり抜け、このハルケギニアに迷い込んでしまったのだろう。
 彼らはササキほどの幸運には恵まれず、ここで屍をさらすことになったのだ。

 なにか情報をもたらす物はないかと、床に積もった埃を掻き分けるうちに、小さな羊皮紙の巻物を見つける。
 さっそく拡げて読んでみるがあちらこちらが破れ、穴が開いているうえに、血の跡らしき黒い染みもついており、どうにか判読できる箇所といえば、
下半分に描かれた乱雑な地図くらいのものだ。
 検討するうちに、地図が示すものがわかり出す。
 これは、不完全なものではあるが、いま君たちが居る洞窟の地図のようだ。
 地図の上方に『輝ける門・出口』という書き込みを見つけ(君のドワーフ語の知識はあやしいものなのだが)、君は快哉を叫ぶ。
 驚くべきことに、ドワーフたちがくぐり抜けたであろう≪門≫の位置が記されているのだ!
「ちょっと、まだなの? いつまでも寄り道してないで、早く行きましょうよ」
 通路のほうからルイズの苛立った声が聞こえてきたので、君は羊皮紙を片手に部屋を出る――名も知らぬ悲運のドワーフたちと、守護神リブラ、
幸運の女神シンドラに感謝の祈りを捧げながら。一九四へ。


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