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異世界BASARA-49


ルイズ達を乗せた軍艦、「イーグル号」は、浮遊大陸アルビオンのジグザグした海岸線を、雲に隠れるように航海していた。
3時間ばかり進んでいくと、大陸から突き出た岬が目に止まった。
岬の突端には高い城がそびえている。
「ウェールズ殿、あの城が?」
「ああ、あれがニューカッスルの城だよ」
「ふ、ふむ……少しは立派な城を持っておる。まぁわしの小田原には適わんがの!」
氏政がニューカッスルの城を見て悔しそうに言い放った。

イーグル号はさらに雲の中を進んで行く。
大陸の下に入ると、辺りは打って変わって真っ暗になり、視界が悪くなった。
しかし、水兵達はまったく動じる事なく、船を進めて行った。
その働きを見て幸村は感心した声を上げる。
「見事な航海術にござるな」
「まるで空賊だがね」
ウェールズは自嘲気味に応えた。

しばらく航行していると、頭上に大きな穴が開いている部分に出た。
イーグル号は正確な動作で穴の真下に停止し、少しずつ上昇していった。
暗い穴の中をイーグル号は進んで行く。と、頭上に明かりが見えた。
眩い光に、幸村と氏政は目を細める。たまらず氏政が口を開いた。
「な、何じゃこれは?目がしぱしぱするわい!」
「発光性のコケが生えているんだ。諸君、もう港に着いたよ」
ウェールズがそう言いながら歩いて行く。
しばらくして目が慣れた2人が辺りを見回してみると、そこは巨大な鍾乳洞の中であった。

ウェールズはルイズ達を促し、タラップを降りていった。
「篭城中で歓迎が出来なくてすまないね。私の部屋はこっちだ」

城の一番高い天守の一角にあるウェールズの居室は、王子の部屋とは思えない、質素な部屋であった。
「何じゃこの粗末な部屋は……」
「ちょ!!!ウジマサ!!!!!」
とんでもなく失礼な言葉を発した氏政の口を、ギーシュは慌てて押さえた。
しかし、ウェールズは別段気にした様子もなく椅子に腰掛けると、机の引き出しから宝石が散りばめられた小箱を取り出した。
首からネックレスを外し、その先についていた鍵で小箱を開ける。
蓋の内側には、アンリエッタの肖像が描かれていた。
「宝箱でね」
ルイズたちがその箱を覗き込んでいるのに気づいたウェールズが、はにかんで言った。
小箱の中には一通の手紙が入っていた。
ウェールズはそれを取り出し、愛しそうに口づけた後、開いて読み始めた。

(のう若造、あれはやっぱりあれかの?恋文ではないか?)
(ウジマサ、頼むから……頼むからちょっと黙っていてくれ!!)

ギーシュと氏政を余所に、ウェールズは手紙をまた綺麗に畳んだ。どうやら読み終わったようだ。
「これが姫から頂いた手紙だ。君の言う通り、確かに返却したぞ」
ウェールズが差し出した手紙を、ルイズは深々と頭を下げながら受け取った。
「あ、あの……陛下、よろしいでしょうか?」
と、横で氏政の口を押さえていたギーシュが遠慮がちにウェールズへ話し掛けた。
「先程耳にしたのですが、明日反乱軍の総攻撃があるというのは本当ですか?」
「その通りだ、明日の正午、ニューカッスルに総攻撃を仕掛けると書状を送ってきた」
「……その、勝ち目はないのですか?」
その問いに、ウェールズはあっさりと答えた。
「ないよ。我が軍は300、敵軍は5万の軍勢だ。万に1つの可能性もないだろう」
そう言ったウェールズの声には、一片の悲愴さもなかった。

ルイズは俯いた。だが意を決したように顔を上げると、ウェールズの顔を見た。
「殿下、恐れながら申し上げたい事がございます。この、ただいまお預かりした手紙は……」
ルイズはそこまで言って口篭もるが、ウェールズは察したのか、微笑みながら言った。
「君の思った通り、それは恋文だよ。僕とアンリエッタは確かに恋仲にあった。アンリエッタが手紙で知らせてきたように、この恋文がゲルマニアの皇室に渡っては拙い事になる。」
やっぱり、とルイズは小さな声で言った。
ウェールズの言うように、もしこの恋文が貴族派の連中に渡ればゲルマニアとの同盟は破棄されるだろう。
そうなれば、トリステインは一国で奴等に立ち向かわなければいけなくなる。

だがしかし……アンリエッタ姫はそれでもウェールズ様を……

「殿下!どうかトリステインに……トリステインに亡命を!」
ルイズは激しい口調でウェールズに頼み込んだ。
しかし、ウェールズは首を振るう。
「それはできない。アンリエッタはそんな事を望んではいない筈だ」
「殿下!!」

「もうよいルイズ殿」
詰め寄るルイズを、幸村は制した。
「ウェールズ殿、その決死の覚悟……この幸村、深く感じ入った」
幸村は真っ直ぐとウェールズを見据える。
「しかしながら、負ける気で戦に望むでない。常に必勝の意気で戦うのだ」
「……ありがとう」
ウェールズは幸村のその言葉を聞き、礼を言った。
それから机の上に置かれた時計を見る。
「そろそろパーティの時間だ。君達は我等が王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してくれ」

出撃の前夜に開かれたパーティはとても華やかであった。
貴族達は着飾り、テーブルには様々な料理が並べられていた。

「いや!さっきのあれは素晴らしかったね!」
「ふん」

パーティに参加していたギーシュはワイングラスを片手に、氏政に話し掛けていた。
既に酔っているのか、ギーシュは上機嫌であった。対して氏政は面白くなさそうに料理を口に運んでいる。
ギーシュが話しているのは先程あったアルビオンの王、ジェームズ1世の演説であった。
この老いたる王は明日に行われる戦いで彼等が傷つき、倒れるのを見たくないと言い、この城から逃げるように言ったのだ。
しかし、貴族達は誰一人とその言葉に従わず、全員が戦う事を望んだのである。

「あれこそ正に王の鏡だよ!よし、僕もここで名誉ある戦死……いや、でも死んだらもうモンモランシーとは会えないしな……」

ううむ、とギーシュは唸り、どうしようかと氏政の方を見て尋ねようとした。
「あれ?」
しかし、さっきまで隣にいた筈の氏政がいない。しばらく辺りを見回すと……いた。
なんとジェームズ1世の玉座の前に立っている。
ギーシュは、さっきまでの酔いが冷めていくのを感じた。そして


「ジェームズとやら!わしはお主が気に食わん!!」


その一言で、ギーシュの酔いが一気に吹き飛んだ。

「……聞かせてくれぬか?朕は何か失礼な事をしたのだろうか?」
氏政の無礼な言葉にもジェームズ1世は怒りを表に出さず、静かに尋ねた。
「わしだってなぁ……わしだってなぁ!お主と同じぐらい国と兵を大切にしているんじゃ!それなのにわしの兵ときたら……」
氏政は拳を強く握り締めた後、きっ!ジェームズ1世を睨みつけた。
「何故じゃ!何故お主はそんなに慕われるんじゃ!気に食わんっ!!」


「うわあぁぁぁ!ももも申し訳ありません!このウジマサはそのちょっと頭がおかしくて、痴呆なんです!どうかお許しを!」


と、そこへ血相を変えたギーシュが飛び込んできた。
氏政はそのままギーシュに羽交い絞めにされ、言葉を喋れなくなる。
「……ウジマサであったな、もう1つ尋ねてよいか?」
再びジェームズ1世が口を開く。
「今、自分が兵に慕われていないと言ったようだが…では、その兵達はそちの元を離れていったか?」
「……いや、給料が低いと文句は言うが……誰も去ってはおらんわい」


「それは、兵がそちの事を慕っているからだろう」


氏政は驚いたように目を見開き、ジェームズ1世を見る。
当のジェームズ1世はさっきまでとは違い、にっこりと笑顔を浮かべていた。
「大丈夫。そちは充分、兵から信頼されているよ」
ジェームズ1世は氏政にそう言った。
氏政はギーシュに羽交い絞めにされたまま、ただ彼を見ていた。



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