あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

FF:U:Z~ファイナルファンタジー:アンリミテッド:ゼロ-2

『―異界の夜へようこそ。私はファーブラ、導く者―』
光を放つ二枚貝の館、その中心で今日も彼女は言葉を紡ぐ。
『召喚の儀、サモン・サーヴァント。遥か彼方の少女の呼び声。
 そしてそれに答えた、無愛想で無口な謎の男。
 刹那、竜の姿を纏った彼が降り立ったのは、遠い遠い異国の地。
 そう…異界よりも遠い場所、真の意味で異なる世界』
そこで彼女は一旦口を閉ざし、どこか寂しそうな微笑を浮かべる、
『私の声も届かない、そこは混沌を越えた先…触れ合うはずのない世界』
だんだんと小さくなる彼女の声、しかし表情とは違い、そこにはある種の期待とも取れる響きが混じっていた。
『その世界で始まる物語は、私も予言できません…ああ、彼女と男を待ち受ける運命は…』

 FF:U:Z 第2話 爆発 ~ぜろとよばれるゆえん~

「…はい、ここがわたしの部屋よ」
ルイズが波乱万丈の召喚を終えたその日の夜。
契約を済ませてからこっち、一言も喋らない男を部屋に招き入れた後、ルイズは大きなため息をつきベッドに腰掛けた。

改めて品定めするかのように男を見るルイズ。
(どこからどう見てもただの平民。同じ無口で無愛想でも、せめて幻獣であってほしかったわ…)
幻獣、というくだりで一瞬姿を見せたドラゴンのようなものを思い出したルイズだったが、
実際目の前にいるのはこの男だ、消えてしまったものの事を考えても埒が明かない、と頭を振る。
(ミスタ・コルベールの情報待ちね、自分でも調べてみようかしら)と、そこまで考えてふとある事に思いつき、
「あ…名前!」と声を上げる、そういえば自分はまだ使い魔の名前すら知らなかった。

「あんた、名前なんていうの?いくらなんでも名前くらい言えるでしょ?」
どこを見るでもなくただ立っている男に問いかける。
「…風」
またしてもだんまりかと思われたが、少しの間をおいて返事が返ってきた。
「風と、呼ばれていた」
「へぇ…風、か。変な名前ね」
相変わらず失礼な言葉だが、初めて能動的なコミュニケーションを取れたルイズはどこか嬉しげだ。

「それじゃ、使い魔としての心構えを教えたげるわ!っとその前に…あんた最初、ここはどこだ?とか言ってたでしょ。
 どこの田舎の出だか知らないけど、使い魔がそんな常識知らずじゃわたしの沽券に関わるわ。
 説明するからよ~く聞きなさい。まず、ここはトリステイン王国、そしてこの学院はかの高名なトリステイン魔法学院で…」
熱弁を振るうルイズだが、残念な事にというか予想通り、風はまったく聞いていないのだった。


(…ここはどこだ?)
今まさにその疑問に答えてくれているルイズの言葉は華麗にスルーしつつ、風は何度目かの自問を繰り返す。
(なぜ…俺はここにいる?俺は、自分をソイルに―)
風は、ここに来る直前の記憶をたぐっていた。
最後の戦い…具現した混沌、取り込まれる一刀獣、白い雲の遺言、光の粒となって消える仲間、
そして自らも、最後の一撃を仲間に託し輝く光の螺旋となり…そこで記憶は途切れる。
決着の行方は分からない、だが自分が世界から消えた事だけは確かなはずだった。
なのに、居る。確かな存在として、この見知らぬ地に。

(召喚、と言っていたが…消えたはずの存在を召喚したというのか?それにこの印は…)
左手の甲に浮かんだルーンを見る。このルーンが刻まれてから、どこか違和感があった。
目の前の少女に、妙に気を許してしまう…というか、落ち着くのだ、一緒に居るだけで。
まるで彼女と、アウラと一緒に過ごしていたあの頃のように。
普段の彼なら、名を問われても答えないだろうし、そもそも部屋まで一緒に来なかっただろう。
(これがあの契約の効果なのか…)
桃色のブロンドをした少女を見る、どうやらこの学院についてあれこれ語っているようだったが、
今の彼にはそれよりも気になることがあった。

(白い、雲…そして混沌…奴はどうなった?)
そう、自分がこうして滅せずに居るということは、相手もまた存命している可能性を示唆している。
それでなくとも世界を喰らい、侵食し、拡大を続ける混沌だ、あれで倒しきれた保障も無い。
先刻は無意識のうちに「白い雲を探す」などと口走ってしまったが、意外と的を射ていたのかもしれない。


「で、他には秘薬の原料を探してきたr…」
「混沌を…探さなければ」
ノリノリで話していたところに急に横槍が入り、最初ぽかん、直後にむっとした表情を浮かべるルイズ。
「こんとんって何?もう、訳わかんない茶々入れるんじゃないわよ!」
「俺をもと居た場所に戻せ」
「ムリ」
「何故だ!」
「もう召喚しちゃったし、契約しちゃったでしょ…ていうか、もと居た場所ってどこよ?」
「異界」
「はぁ?なにそれ…そんな地名聞いたことない」
「こことは違う世界だ」
「…」
だめだこいつ、早く何とかしないと…病院だろうか?それとも教会?窓の無い部屋に入れるべきではないか?
不憫な人を見るような目つきになったルイズに、風はこれまでの経緯を説明する。
異界、混沌、滅ぼされた世界、自らの仇…それを討ち倒すことが自分のすべてだ、と。

「とても信じられないわね~、三流小説家でももう少し気の利いた話を作るわ」
ルイズは風の話を一笑に付す。それくらい話の内容は荒唐無稽だった。
仮に小説として売り出したとしても、半分書き進めたくらいでに打ち切りになるだろう。


「とにかくあんたはわたしの使い魔として過ごす以外に無いの!やり直しはきかないんだから」
やり直せたらとっくにしてるわよ…と口を尖らせて呟くルイズ。
「わかったらつべこべ言わないで、しっかり使い魔としての責務を果たしなさい。
 わたしが世話してあげなきゃ野垂れ死によ、あんた」
ここぞとばかりに生活の保障という餌で釣りにかかる。古今東西、躾の基本は飴とムチである。
「ちゃんと使い魔として働くなら衣食住は保障してあげるわ、わたしだって鬼じゃないしね」
ふふん、感謝しなさい!とばかりに胸を張る…張ってもなお絶壁に近いが…

「わかった?それじゃ、説明の続きね」
風の沈黙を肯定と受け取ったルイズは、中断されていた話を再開した。
「もう眠いから要点だけ言うけど、風に出来そうな仕事はわたしの身の回りの雑用、これだけよ。
 本来ならば主を守るのも使い魔の役目だけど…平民に期待できる事じゃないしね」
そこまで言って大きなあくびを一つ、気づけばもう結構な時間になっていた。
「そろそろ寝ないと明日に響くわ…それじゃこれ、明日の朝洗濯しといてね」
その場でネグリジェに着替え、脱いだ下着は風のほうへ投げ、
「あんたは床で寝なさいよ、あと朝になったら起こすように」とあくび交じりに言ってベッドへ潜り込む。
目の前で展開されるR-15的な風景を気に留めもせず、壁を背にして座った風が見上げた窓の先には…
異界でも見た事の無いほど幻想的な二つの月が、こうこうと輝いていた。


(ここに居るべきなのか…?)
すうすうと寝息を立て始めたルイズを見やって、風は感じていた疑問を反芻する。
本来ならばすぐにでもここを立ち去り、混沌を探しに行くべきなのだが、
それに反して彼の直感はこの地に留まるべきだと告げていた。
ここに居れば、彼女の近くに居れば、自らの宿敵に出会える。根拠は無いが、そう思う。
それは、かつて異界で出会った双子に感じていたものと似ていた。
(だとしたら、ここにも混沌が…)
どうせ他にアテが有るわけでもない、しばらくはここに居るしかなさそうだ…そう結論付け目を閉じる。
こうして、異界ハルケギニア最初の夜は静かに更けていった。


明けて次の朝、朝というには早すぎる時刻。
朝靄煙る中、小さな布切れをその手に持ち、途方に暮れている風の姿があった。
何故こんな彼らしくもない状況に陥っているのかというと…

「おい…朝だ、起きろ」
「うぅ~にゅ…あとごふん~…ってあんたダレっ!?
 …あ、あぁ、召喚したんだっけ…起こしてくれてありがと、風。
 ウフフフ、今日も清清しい朝ね………ってオイ!」
寝ぼけ半分でビシィ!っとコテコテのノリツッコミを入れるルイズ。
「あんたねぇ…朝っていうかまだ日も昇り始めてないじゃないの!」
窓から外を見れば、やっと東の空が白んできたかという時間だ。
「あ~もう、常識ってモンが無いのあんたは?朝食の時間に間に合うように起こせばいいのよ」
もう一眠りするから、暇なら洗濯でもしてきなさい…と昨晩脱いだ下着を渡され部屋を追い出されたのだった。


(洗…濯…)
さて困ったのは風である。神すら超える力を持つもの…アンリミテッドと呼ばれる彼でも、
流石に年頃の少女の下着を洗濯する、などというスキルは持ち合わせていなかった。
とりあえず水場を探そうと不審者のようにそこらへんをウロウロしていると…
「あれ?そこの貴方、何をしているんですか?」
かけられた声に振り向いてみれば、ボブカットにした金髪と健康的に日焼けした肌が眩しいメイド少女の姿があった。

「…洗濯」
「えっと、洗濯を頼まれたんですね、洗い場まで案内しますよ」
言葉少ない風の説明でも事情を察してくれたらしく、前に立って歩き始める少女。
「ふふっ、ミス・ヴァリエールの使い魔さんですよね?色々と噂になってましたよ。
 ただの平民の使い魔だ、とか、とにかく無口だった、とか、意外とカッコイイ、とか…」
そこまで言って風のほうを振り向く少女、しばし見つめると納得したように頷き、
「噂通りの人ですね。使い魔って大変でしょうけど、がんばって下さい。
 …あ、自己紹介がまだでしたね、私はここに住み込みで働いているシエスタといいます。あなたのお名前は?」
「……風」
「かぜさん、ですか。よろしくお願いしますね」
そう言って、にっこりと笑った。
シエスタと風はその後も道案内の傍ら色々な話をした…もっとも、風は聞き専門だったが。
この学院の事、自分の職場の事、知り合いのコック長が風に興味を持っていたらしい事etc...
とにかくよく喋る少女だ。誰かに似ている、と風は思ったが、どうにも思い出せなかった。


そうこうしている内に水場へ到着する二人。
洗濯用の桶を見下ろして微動だにしない風を見かねたのか、
「あの…よろしかったら私が洗濯しておきましょうか?その、手も塞がっているようですし」
と声をかけるシエスタ。風の右手は金属の光沢を持つ筒のようなものをずっと握っていた。
「それ、けっこう重そうですけど…ずっと持っていないで外しておいたらどうですか?」
「…これは、俺の心臓だ」
「し、心臓ですか~!?それじゃ外すわけにはいきませんねぇ…」
そんな説明で納得したのか、シエスタはぽんと手を打ち、
「では、お手伝いさせていただきます。ふっふっふ、こんな事もあろうかと~♪」
鼻歌交じりで奥の部屋から何やらごそごそと持ち出してきた。
「じゃ~ん!試作型半自動洗濯機『エバッカニアくん』です!」
「…」
「これはですね、洗濯物を入れる桶部分を斜めにしたことによって従来よりも少ない水で効果的に…」
「…」
「さらに手元の切り替えレバーで伝わる力を調整すれば、麻から絹まで何でも洗える万能の…」
「…」
「なんとこのカバーを外す事でこれ一台で脱水まで出来てしまうという…」
腰の高さまである箱状の物を前に鼻息を荒くして語り始めた彼女を見て、やっと風の疑問が氷解する。
そう、シエスタは異界で出会ったあの発明家にそっくりなのだった。
「後はこの部分をもう少し改良できればいいんですけどねぇ…」
「…よろしく頼む」
「あ、待ってください、別に最終鬼畜兵器じゃないから大丈夫ですよ~!」
まだ語り足りないといった顔をしているシエスタにそういい残し、風はそそくさと退散した。

「…カエル…」

新着情報

取得中です。