あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

風神が使い魔 第0話


「役に立てなくてゴメンな。あとたのんだ」
 そう言って力なく笑い、風子は魔元紗の肩に引っ掛かっていた風の爪を外す、止め具をなくした風子の身体は眼前にある黒い穴の形をした空間に飲み込まれて行った。穴が風子を飲み込み、収縮し元の空間に戻ったあとに残るのは魔元紗の高笑いの響き声と、火影メンバーの絶望の表情だった。

 (……で、ここはどこデスカ?)
 長くうねったような空間を抜け、落ちてきたら目の前には見たことのない髪の色をした外国の方々、具体的には青とか赤とか桃色? とか。落ちた時の衝撃で片足を挫いたような気がするけどそんな少々の痛みは目の前の光景のインパクトには霞んだ。地面にへたり込んだ状態で辺りを見回すと草原としか言いようのないところにぽつんと大きな洋館が建っている。徐々に頭も冴えてきたので周りの声に耳を傾けてみる。やけにヒートアップした少女が一人、コッパゲなオヤジに食って掛かってるみたいだ。
「召喚をやり直させてください!」
 一瞬意識が遠のいた。しょうかん、召喚って言ったのかこの小娘は、頭は大丈夫か、ここは明らかに日本ではないけど地球上のどこかではあるはずだ。多分。
「残念だがそれはできない、ミス・ヴァリエール。この春の使い魔召喚の儀式は――」
 なんかまた同じ言葉を聞いたよ今。こっちのコッパゲはマトモそうに見えたのにいったいどういうこと?
 ちょっと意識を飛ばしてたら目の前に小娘の顔、なんか目を瞑って近づいてくる。もちろん避けた。避けた。避けた。避けた。で、避け続けてたら頭を捕まれた。
「い、い、か、ら、大人しくしてなさい、……私だってはじめてがこんなのなんて嫌なのに」
 しゃがんで頭を掴んだまま頭ごなしに叩きつけるように言い放ってきたルイズ。
「いやだね。ってかここはどこさ。あとはじめてってのはなにさ、場合によってはただじゃ済ませないよ」
 捕まれた頭を振りほどき真っ向から睨みつける風子。
「ここ? トリステイン魔法学校に決まってるじゃない、あんたみたいな平民は本当なら一生来れない所にいるんだから感謝しなさい。それとはじめてってのははじめてよ、私だっていやだけど貴族の私が我慢するんだからあんたも我慢なさい」
 負けずに睨み返したルイズ。立ち上がり突きつけるように指を胸に向け語気荒くして反撃。
「トリステイン? 聞いたこともないんだけど、ヨーロッパのどこかとかじゃないの? あのさ我慢とかそういう問題じゃないよね。全力でこの場から逃げたくなってきてるんだけど」
 風子も立ち上がり、言い返した。立ち上がるときに挫いた足に一瞬顔を顰めたがコルベール以外は誰も気付かない。
「逃げるんじゃないの、私を困らせたら困るのはあんたでしょう?」
「何で私が困るんだよ! というかあんたみたいな小娘一発殴って黙らせてから行ってもいいんだけど?」
「いいじゃないの! やってごらんなさいよ、そんな事をしたら最後、ヴァリエール公爵家の名に賭けてあんたを追い詰めるわよ!?」
「あー君たち、そんなに熱くなる事はないだろう。ちょっと落ち着きなさい」
「うるさい!」
「ちょっとだまってろ!」
 にべもなく黙らされるコッパゲ、それでもめげずに話を続けた結果取り敢えず二人を落ち着かせることには成功した。

「……それで、なにが聞きたいんだ?」
 いまだ機嫌の直っていない風子の視線を浴びながらコッパゲは答えた。
「取り敢えずは君の名前を聞きたいんだが、それとヨーロッパというのは地名のことなのかい? このハルケギニア大陸ではそんなところは聞いたことがないのですが」
 首を傾げて探るような視線に切り替えながら風子も答えを返した。
「名前は霧沢風子、日本在住の十六歳、ピチピチのじょしこーせいだい!」
「キリサワフウコ、ですか、珍しい名前ですね……。それでニホンというのはどこのことなのでしょうか? やはり聞いたことのない地名なのですが」
「そうね、ニホンっていう地名は聞いたことがないわ、それに名前の響きも珍しいし。あとあんた十六歳ってことは私と変わらないじゃないの、小娘ってのは訂正しなさいよね」
 話が繋がらないことに若干の違和感を双方ともに感じ始めているのが解るのではあったがまだ若干ではあった。

 確かめるように話を続けていくと解ったことが幾つか、一つ目はここは風子にとって『異世界』と呼んでいい世界であり、魔法というゲームの中でしか存在していないものが当然のようにあること。二つ目は自分が使い魔として呼ばれていて先程の『はじめて』というのが契約の方法、コントラクト・サーヴァントであったこと、三つ目は自分の元いた世界に帰る方法など存在しているかどうかが疑わしく、困難であること。この辺までのことが解った時点で大分風子の顔色は悪かった。
(死ぬよりはマシだけど、あんまり変わらないレベルでご勘弁願いたいことになっちゃったよ……)
 と、こんなことを考えていた。
 もう少し話を続けていくと、どうも使い魔として自分が召喚された以上風子は目の前のいけ好かない小娘の使い魔としてしかこの世界では生きていけそうになく、コルベールという教師の話によれば最低限生きていけることは保障できるとのことだった。
「あー……悪い、ちょっと考えさせてくれない」
 頭を抱えて腰を折りぐしゃぐしゃと髪を掻き回す風子。
「往生際が悪いわね、私の使い魔として召喚されたんだから、大人しく私の言うことに従っていればいいのよ!」
「うるっさいなあ、私の人生は私が決めるんだ。はいそーですね。つって大人しく人に従えるかっての」
「しかし、君はこちらの世界について何も解らないだろう? それならば今はルイズ君の使い魔になって帰る手段を探すのが無難だと思うんだけどどうだい?」
 横からコルベールという名前らしい中年がいらないことを言ってきた。
(確かにいまんとこ私はこの世界について何も解ってないし、取り敢えず生きてけないとなあ)
 自分の考えを纏めた風子は顔を上げてコルベールを見ながら言う。
「しょうがない、死にたいわけでもないし今はあなたの言葉にしたがっておくかな」
「そう、懸命な判断ね。それなら私の方をみながら言いなさい? 私を使い魔にしてくださいって。わ、た、し、があなたのご主人様になるのよ?」
 自分より多少小さな身長で目一杯ふんぞり返っているルイズというらしい小娘、正直こんな奴に従うのは心底から嫌だが、こんな状況じゃ仕方がない。溜息を一つ吐いてルイズに視線を合わせた。

「……私を使い魔にしてくださいルイズ様」
 丁寧に腰を折り頭を下げる風子、直前に溜息を吐かれたのは気になったもののこれには満足したのか打って変わって機嫌のよくなったルイズはコルベール先生に確認を取った。
「コルベール先生、こうして確認も取れたことだし、コントラクト・サーヴァントを行っていいですよね!」
「ああ、しかし他の世界から来る使い魔なんて聞いたこともなかったね、けど、こうして話も纏まったことだし問題はないだろう」
「はい! ありがとうございますコルベール先生」
 目には見えない重圧が多少は晴れたように笑ったルイズはすぐに風子に視線を向ける。
「それじゃあ今からコントラクト・サーヴァントをするわよ、繰り返し言うけど私だって嫌なんだからね」
「はいはい、もーいーからどうにでもして……」
 いきなり異世界に放り出され、唐突に使い魔になることが決定し、生きてはいるもののこれからのことがまったくの未定状態に陥っている風子は今非常に気力が減退していた。なので、目の前に目を瞑ったルイズが近づいてきていても気付くのが普段より遅れてしまった。しかし、
(あー……これがコントラクト・サーヴァントってやつかぁ……なるほど、ほんとうにゲームみたいな契約の仕方だあ)
 と、無気力な状態のまま諦め、自分も目を瞑る。徐々に息が近づいてくるのが解って今からでも逃げ出したくなっているが、なんとか思い留まる。
(なんというか――はぁ。しかしファーストキスをこんなことに……風子ちゃん悲ちみで死んぢゃいそう)

 むちゅう

 クチビルはやわらかかったです マル


新着情報

取得中です。