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ゼロのアトリエ-10


二つの月に照らされた、夜のトリステイン魔法学院。
その光が、宝物庫の外壁を歩く人影を浮かび上がらせる。
「ふん。物理攻撃が弱点、とはよく言ったものだわ。」
強力な『錬金』で全てを土くれに変える、というその手口から
土くれのフーケと名づけられた、メイジにして大怪盗。
「かかってるのは固定化だけみたいだけど、この厚さは私のゴーレムでも無理ね…」
苦労して手に入れた情報も、決定的なものではなかったということか。
「さて、一体どうしたものかね。」
考えながら外壁を降りるフーケ。
瞬きする間に、土くれのフーケはその存在を消し去っていた。


ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師10~


錬金術の勉強を始めたルイズ達は、心持ち以前より良好な関係になっていた。
「何をしてるの?」
「あ、ヴァリエール。いや、ちょっと魔法の練習をね。」
ほんの少し、魔法に関するものごとを除いては、だが。
「…」
たしかにルイズに対して侮蔑の感情をあらわにすることはなくなったが、そのかわり、
キュルケの言葉にあわれみのようなものが混じるようになったことが気に入らない。
実に気に入らない。
「私もやる。」
「でも。」
「やるって言ったでしょ。」
ルイズの固い決意を読み取ったキュルケは、諦めたように両手を腰に当てる。
「しょーがないわねえ。じゃ、とりあえず空にファイヤーボールでも飛ばしてみる?」
「…やるわ。」
杖を構え、ファイヤーボールのルーンをよどみなく詠唱するルイズ。
「ヴァリエール。強力なファイヤーボールが飛ぶ所を心に強く思い浮かべるのよ。」
今度こそ。何百度目かのルイズ渾身のファイヤーボールを天に向かって放った、のだが。
なぜか、脇の宝物庫が大爆発を起こす。
ルイズ達の周りに重苦しい空気が漂う。

中庭の植え込みで、その一部始終を見ていた者がいる。フーケだ。
ルイズの魔法で宝物庫の壁にヒビが入った。一体あの呪文は何だろうか?
疑問が浮かぶが、ともあれ今がチャンス。
フーケは長い詠唱を完成させ、地面に向けて杖を振る。

轟音を立てて、巨大なゴーレムが立ち上がった。


「ゴーレム!?」
最初に気付いたのはルイズ。
ゴーレムは一目散に宝物庫へ向かい、巨大な拳で宝物庫を攻撃する。
「ちょ、ちょっと、何これ!?」
キュルケが思わず頓狂な声を上げると、ゴーレムがこちらの頭上に足を持ち上げた。
間一髪、タバサの使い魔、ウィンドドラゴンが滑り込み、
キュルケ、ルイズ、最後にタバサをつかんで、ゴーレムと足の間をすり抜ける。
「ふふ、頑張ってね…」
既に目的は達したのか、フーケは何かのルーンを呟くと、どこかに飛び去った。

(…ラート、ヴィオラート…!)
「ルイズちゃん?」
溶鉱炉の内部で仕上げに取り掛かっていたヴィオラートは、
ルイズの声を聞いた気がして我に返る。ルーンが光り、
ゴーレムに襲われるルイズ、という光景が眼前に飛び込んできた。
「ルイズちゃん!」
フライングボードに飛び乗り、宝物庫に急行する。
すぐに、巨大な土のゴーレムを確認したヴィオラートは三叉の音叉を取り出し、
フライングボードの勢いを生かしたまま、ゴーレムの頭に思い切り撃ちつけた。
あたりに澄み切った重低音がこだまする。
三叉音叉が、ヴィオラートの額のルーンと同じ色の輝きに包まれ、光が溢れ…
土のゴーレムは跡形も無く崩れ去った。

「大丈夫だった?ルイズちゃん!」
そう言ったヴィオラートの顔は汚れ放題で、服は土まみれ。
でもルイズはそんなヴィオラートの姿を認めた瞬間、何かが溢れそうだったので
かわりに、微笑んだ。


翌朝。魔法学院では、朝から蜂の巣をつついたような騒ぎが続いていた。
巨大なゴーレムで壁を破壊する、などという派手な方法で「破壊の像」が盗まれたのだ。当然である。
破壊された宝物庫の周りには学院中の教師が集まりざわめいていた。
壁には、土くれのフーケの犯行声明が描かれている。
「破壊の像、確かに領収いたしました。土くれのフーケ。」
教師達は好き勝手に責任を擦り合っているようだ。
「土くれのフーケ!ついに我が学院にも現れたか!」
「衛兵は一体何をしていたんだね!」」
「平民など当てにならん!それより当直の貴族はどうしていたんだね」
「当直など、誰も真面目にやってなかったではないか!」
(なんで、こんなみっともない貴族ばかりなの!ヴィオラートに、貴族のこんな姿を見せたくない…)
ルイズはふがいない貴族の実態に憤りを感じ、せめて自分だけは貴族たらんと決意を新たにする。

「さて」
教師達が集まりきるのを待っていたのか、オスマン氏が悠々と姿をあらわした。
「犯行の現場を見ていたというのは、君達かね?」
「は、はい!」
ルイズ、キュルケ、タバサ。そしてヴィオラート。
「ふむ、君達か。」
オスマン氏は興味深そうにヴィオラートを見つめた。
「詳しく説明したまえ。」
ルイズが進み出て、見たままを述べる。
「あの、大きなゴーレムが、ここの壁を壊して…たぶん「破壊の像」を、盗み出したんです。」
「それで…肩に乗ってたメイジはゴーレムを飛び越えて、そのままどこかに…」
「ゴーレムは、ヴィオラートが破壊しました…」
「ふむ。後を追おうにも、手がかりはなしか…」

「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」
「それがその…朝から姿が見えませんで…」
「この非常時に、どこに言ったんじゃ?」
「どこなんでしょう」
そんな風に噂をしていると、ミス・ロングビルが現れた。
「申し訳ありません、朝から、急いで調査をしておりまして。」
「調査?」
「ええ。土くれのフーケの情報を。」
「仕事が速いの。で、結果は?」
「はい、フーケの居所がわかりました。」
「誰に聞いたんじゃね?ミス・ロングビル。」
「はい。近所の農民からの情報です。森の廃屋に、黒いローブの男が入って行くところを見たと。」
ルイズが叫ぶ。
「黒いローブ?フーケです!間違いありません!」
オスマン氏は目を鋭くして、ミス・ロングビルにたずねた。
「そこは近いのかね?」
「はい。徒歩で半日、馬で4時間といったところでしょうか。」
「ふむ…」
周囲が、オスマン氏の次の言葉を待つ。
「では、捜索隊を編成する。我と思うものは、杖を掲げよ。」
周囲が、静まり返る。

「おらんのか?」
教師達は静まり返り、誰一人としてオスマン氏に向き合おうとすらしない。
ルイズはうつむいていたが、すっと杖を顔の前に掲げた。
「ミス・ヴァリエール。君は生徒じゃないか。」
「誰も掲げないじゃないですか。」
ルイズはまっすぐな目で、オスマン氏を見返す。
ルイズが杖を掲げているのを見て、キュルケも杖を上げた。
「ふふ、ヴァリエールには負けられませんわ。」
それを見て、タバサも杖を掲げた。
「タバサ。あんたはいいのよ?」
そう言ったキュルケに、タバサは
「心配」
とだけ告げ、ちらりとルイズを見る。
キュルケは嬉しそうに、タバサを見つめた。
ルイズも感動した面持ちで、タバサにお礼を言った。
「ありがとう…タバサ…」
そんな三人の様子を見て、オスマン氏は破顔する。
「そうか。では、頼むとしようか。ミス・ロングビル、案内役を頼む。」
「はい」
そう命じられたミス・ロングビルの顔には、場違いなほど妖艶な笑みが浮かんでいた。


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