あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

いぬかみっな使い魔-17


いぬかみっな使い魔 第17話(実質16話)

 その日。アルビオン王党派軍は、タインアンドウィア州タイン川沿いの
優位地形を利用して布陣、数日に渡ってレコンキスタ軍の猛攻を防いでいた。
現在の地上戦力は、レコンキスタ4万3千。アルビオン1万8千。
優位地形を利用して消耗を抑えているが、ぎりぎりの数字である。

 正史ではアルビオン王党派は、すでに決定的な敗北を喫し、
ニューカッスル城へ向けて苦しい撤退戦を開始しているはずであった。
だが、未だに持ちこたえている。その理由は、航空戦力にあった。
今現在上空に展開している艦隊の数が、双方同じくらいなのだ。
正史なら昨日の艦隊決戦で大敗北を喫し、王党派の敗北が決定的に
なっていただろう。だがトリスティンが艦隊の集結を行っている、
さらに他国の艦隊が一部すでにアルビオンに侵入している
という情報を得たレコンキスタは、艦隊の多くを警戒と迎撃に備えて
下げざるを得ず、決定的な戦力差を作れなかったのである。
結果、遠くから牽制しあうだけであり、未だに雌雄を決し切れていないのだ。

 王軍陣地で、アルビオン国王ジェームズ一世が、御輿状の玉座に座って、
全軍を前に演説していた。脇には老将パリー卿の姿も見える。
王太子ウェールズ・テューダーは王立空軍本国艦隊旗艦に乗って上空で警戒中だ。

「諸君! 今まで我らは孤立無援のままレコンキスタと戦ってきた!
王城を1年半前に反乱によって奪われ、補給に苦しみ、裏切りによって敗北し、
ここまで追い詰められてきた! だが、やっと! やっと他国からの援軍が来た!
我が弟が婿入りしたトリスティンが中心となり、ロマリアやゲルマニア、
ガリアの連合艦隊がレコンキスタ艦隊を引き付け、あるいは急行中とのことだ!
見よ、レコンキスタの艦隊は迎撃に割かれて前線から激減している!」
 数日前と比べれば、確かに数の減った敵艦隊。

「敵は禁忌とされる水の洗脳薬や魔法で我がほうの指揮官を操り、
裏切らせて来た事が判明した! われらは、心を操る外法を使うレコンキスタの
奴らに懲罰を与えねばならん! 主がありえない裏切りをしようとしている、
そう思ったら遠慮なく止め、押さえつけるのだ! 主の正気を取り戻す
ことは必ず出来る! 解毒薬を手に入れるまで、レコンキスタに
さらわれぬように保護するのじゃ! レコンキスタに下ってしまえば、
永久に薬で操られたままとなる! 皆のもの、奮い立て!
操られた同胞を奪い返し正気に返らせ救うために、勝たねばならん!」
 それは、宿将すら裏切るのであればと王党派を見限るものが出ていた
状況を鑑みれば、まさに朗報であった。あれは彼らの意思ではなかったのだ。
正気に返れば、また我らの味方となってくれるのである。

「救援艦隊がレコンキスタ艦隊の封鎖を突破して上空に到着した暁には
反撃に転じ、われらアルビオン軍の雄姿を連合艦隊の諸君に見せてやろうぞ!」

 怒号のごとき歓声が上がる。皆、希望の光に歓喜していた。
この演説は兵士達に安堵と士気を与え、裏切りを打診されていた
門閥貴族達には踏みとどまる重石を与えたのであった。

 その一方、レコンキスタ軍は盛大に士気が下がっていた。
「閣下、なにやら怪しげな噂が広まり、傭兵達の士気が下がっております。」
「いかがいたしましょうか? すでに、傭兵達の中には脱走するものも!」
「脱走する者は傭兵のみではありません!」「メイジも、でございます。」
「古参貴族にまで動揺範囲が広がっております!」
「あの情報は握りつぶしたはずなのに!」「傭兵達から広まったようです。」
「未確認ですが多数の手紙が貴族達にばら撒かれているとか。」
「切り崩し工作されているということか!?」「そこからの情報と言う線も。」
「それどころではありません、アルビオン各地で不穏な動きが!」
「報告を分析したところ確認しただけで十数騎の竜騎士が暗躍中の模様。」
「隠れおおせている者を含めればその倍にはなるかと。」
「ロマリアの黒色枢機卿艦隊の目撃情報はこのラインに沿っております。」
「予想位置はここです。」「ゲルマニア艦隊の予想位置ははここに。」
「とはいえ、あくまで予想位置。全力で探させてはおるのですが。」
「いまだ、補足したとの報告はございません。」「どこに隠れたか。」
「ガリア艦隊はまだ情報がありません。進入はされていないかと。」
「トリスティン艦隊はまだラ・ロシェールを出たとの報告はありませんが。」
「これでは動きが取れん!」「我が方の艦隊を分散させすぎではないか?」
「しかし、これ以上集中しては即応できず好き放題に蹂躙されるぞ!」
「閣下!」「いかがなされます。」「閣下!」「ご指示を!」

 クロムウェルは、泰然と上座に座って軍議を聞いていた。
まったく動揺が見られない。その横には、奇妙な服を着た青年が立っている。
黒い髪、黒い目、黄色味の強い肌、やや低い鼻。服装は、長めのマントの上に
肘までの長さのマントを重ねるものをはおり、詰襟のついた黒い服の上下だ。
精緻な彫刻のなされた金ボタンがいくつも前の合わせや袖口に並び、
小さな紋章などが襟に刺繍されている。七宝の襟章があるが、あまり豪華ではない。
特筆すべきは、その手に持つ奇妙な箱だ。厚さはせいぜい数サントほど、
数十サント四方ほどの長方形の灰色の平たい箱は、材質が良くわからない。
ゲルマニアの寄木細工のように、細かい切れ目がいくつも走っている。
装飾は、かじりかけのリンゴを意匠化したものが浮き彫りになっており、
そこだけ色がついていた。
「どう、思うかね?」
クロムウェルは、傍らの青年に意見を聞いた。
「は、少なくともガリア艦隊は来ないと確言できます。内通者からの
情報から見て確かにございます。ロマリア艦隊も、戦列艦がガリア上空を
通過したという報告がまったくございませんので、すでに進入されている
としても戦列艦はごく少数かと。数が20隻弱との情報は複数から同じ情報が
入っているので信用できますが、陣容は不明もしくは矛盾だらけです。
ゲルマニアも、多くの戦列艦が消息を絶ったという報告はございません。
となれば、よほどうまく儀装しているか、あるいはごく少数と考えられます。
揚陸用に輸送船を連れてきているだけかもしれません。それならば情報の
欺瞞も簡単でございますし、収集した情報との齟齬もございません。
結論ですが、脅威度は低いかと。」
「ふむ。君の情報分析はいつも素晴らしい。」
 青年の発言で、焦りに満ちていた軍議の場が、一気に沈静化した。
「閣下、その青年は?」
「私が招聘したサイト・ヒラガ君だ。彼はエルフと年中戦争している
ロバ・アル・カイリエの軍人家系の出身でね。膨大な戦争の歴史を知っておる。
ハルケギニアにない技術知識、そう、エルフから奪い取った技術も。
君達もサイト君と親しくしたまえ。現在生産中の長砲身のカノン砲の設計図、
そして高品質な鉄の効率的錬成法は、実はサイト君のもたらしたものなのだよ。」

「おお!」「なんと!」「東方から!」「エルフから奪った技術!?」

「そうだ。彼のもたらした技術があれば、多少の士気低下や戦力差など
なんら問題ない。それとね。今流れている噂。私の虚無がまがい物だとの噂。
あれは、わずかに真実が含まれている。それゆえに厄介だが、
真実さえ広めてしまえばなんの問題もない。」
そう言って、クロムウェルは指輪をはめた腕を掲げた。

「これは、始祖がエルフから奪い、我らに残したとされる秘宝、ニーベルング。
虚無という強大かつ消耗の激しい魔法の負担を軽減するアイテムだ。
無論、アンドバリの指輪などではない。エルフからもたらされた、といえば
そう言えないこともない。始祖ブリミルによってはるか昔に奪い取った事を
そういうのであれば、ね。当然、私がエルフと通じているはずがない。
そして、強力な魔法を使うときに触媒や魔力の強い杖を補助とすることは
当然の事であり、消耗を抑えるために使うことになんら恥じることはない。
それを、卑怯な敵は捻じ曲げた噂をばら撒いて動揺を誘ったのだ。
君達まで動揺してはならない。真実を知らせ、動揺を取り除くのだ。」
そういうと、クロムウェルは幕僚のうち1人に目を向けた。

「では、早速触れを出してまいります。」
「うむ。」
鷹揚にうなずく。ついで、艦隊を指揮している幕僚に目を向ける。
サックス・コーバーグ・オブ・サウスゴータ。
彼がレコンキスタを組織した頃からの宿将だ。
「一通りの情報は集め、警戒をしすぎる必要が無いことはわかった。
トリスティン艦隊に備えているものを除き、半数を引き上げ、
この地に集結させるのだ。今度こそ憎きアルビオン王党派を叩き潰す!」
「「「「「おおおお!!!」」」」」
一同から、雄たけびが上がった。

 啓太達は、比較的船足の速い小型輸送船の甲板にいた。
ともはねのツインテールと先の割れた白い尻尾が風にたななびいている。
ともはねの足元にあるのは、方位計である。方位磁石でなく方位計だ。
船の大砲等の積荷に反応せず、盤面の上が常に北を向くようにし、
さらに水平を保つようにするには、今の技術で作れる磁石型では無理なのだ。
「破邪走行、発露、ともはねスペシャル!」
ともはねの親指が、くるくると動く。そして、方位を啓太に知らせ、
遠め、近め、普通という距離を。一つ、複数、たくさん、という数を知らせる。
それを、後ろに立って大きなテーブルに地図を広げた啓太が記録していく。
同時に、啓太のパソコンに情報を入力する。次いで、啓太とともはねは
5キロほど離れた似たような船に移動し、同じ事を繰り返す。
啓太がエンターキーを押すと、必要な情報が浮かび上がった。
信号手が、啓太の指示に従って信号を送る。送り先は左右それぞれ10キロ
を航行中の2隻の大型輸送船だ。間に5キロ離れた2隻の小型船がいるので、
25キロ離れている計算になる。
その船の甲板では、啓太の書いたお札をはがし、船倉に繋がる
大型ハッチを開ける作業が始まる。そこから、のそりと巨大な幻獣達が
這い出てくる。ドラゴン達だ。彼らの押し込められていた部屋は、
外壁中に啓太の書いたお札がべたべたと貼られていた。
気配隠蔽のお札である。

「ふ・・・前に押し出したレーダー駆逐艦で敵航空機を補足、
後方の空母から戦闘機を発進させて攻撃する。太平洋戦争でアメリカが
やった戦法。対して日本は空母や戦艦に搭載したせいで逆探知を恐れて
ろくに活用できなかった。性能も悪かったしな。
 それを日本人の俺がハルケギニア風にアレンジして使うとは、痛快だな。」
三角測量で敵のドラゴンの位置を補足、必要充分な戦力を送って
確実に潰していく。これが、啓太の作戦の第3段階だ。
※第1は情報の流布と欺瞞工作、第2はラ・ロシェールの偽装と商船拿捕。

 4隻とも硫黄や傭兵を運ぶ民間船に偽装しているので見つかっても困らない。
もし見つかって撃墜されても、雇った本物の民間船なので腹は痛まない。
船長達には、戦争が終われば船の損傷如何によらず徴発した硫黄船の中から、
より大きくより新式の船をやると言っているので士気は高い。
後方20キロ、さらに後方20キロに連絡船が飛んでおり、同じ情報を
トリスティン艦隊に送っている。これで、取りこぼしがあっても対処可能だ。

2時間ほどで20騎以上の竜騎士を撃墜もしくは拿捕・降伏させた
啓太達(ともはねとの共同撃墜6から9へ上昇)は、同時に
レコンキスタ艦隊の正確な位置と高度、陣容、移動方向を把握した。

「上等な戦果じゃねえか。計画は、第4段階だな。よし、退却!」

 小型高速輸送船2隻、連絡船2隻は、大戦果を抱えてトリスティン
先遣艦隊と合流した。竜輸送用大型船2隻は、少し離れた高い高度を航行し、
他の輸送船はかなり後方をつかず離れずの距離でついてくる。
艦隊旗艦メルカトール号に戻った啓太は、特別にしつらえた船尾最上甲板にある
アンリエッタ王女用玉座の脇に立った。竜騎士の伝令がひっきりなしに飛び交い、
戦いの準備であわただしい艦の様子が良く見える。姫の周りには、
4つの大きな蛙の石像が配置されている。さらに船尾最上甲板の
四方に儲けられた台にも、大きな蛙の石像が固定されている。
啓太の反対側には、艦隊指令ラ・ラメー伯爵、艦長フェヴィスが立ち、
後ろにはともはねとルイズが控えている。さらに後方には、
風、水、土、火の各学院生が控えている。いずれもラインメイジだ。

 伝令が階段を駆け上がって報告する。
「風メイジ達を全員起床させました。気分爽快、気力は充分とのことです!」
「よし! 姫殿下、御下命を!」
艦隊指令ラ・ラメー伯爵が促す。アンリエッタは一つうなずくと、
立ち上がり手すり越しにメインデッキ上に居並ぶ将兵を睥睨した。
「皆のもの! 始祖ブリミルの教えをないがしろにし、
始祖ブリミルの魔法虚無を冒涜するレコンキスタを叩き潰す時が来た!
これは戦争ではなく蹂躙である! 我々は戦う必要すらなく、
ただ蹂躙し、戦利品を勝ち取ればよい! 下劣な異端どもを相手に
一片の情けもかけるな! ただし、強制され、騙されていたもの、
恭順の意思を持つ者達には情けをかけてやることを許す!
我らの崇高なる聖戦を、始祖ブリミルにご照覧いただくのだ!」

ものすごく高飛車で敵を見下した演説である。
だが、この演説に皆が熱狂していた。その通りであると知っていたのだ。

艦長が声を張り上げる。
「全艦、全舷砲戦用意!」
両舷ではない。全舷砲戦用意、である。トリスティン艦隊は、
艦の後方と前方に、申し訳程度であるが大砲を装備していた。
魔法の突貫工事ですえつけたのである。

 啓太の情報に従って雲を回避してトリスティン艦隊が高度を取っていると、
同じく雲を迂回していたレコンキスタ艦隊の斜め上方へと出た。左舷に見下ろす
形になる。まだかなり距離が遠く、とても砲弾が届く距離ではない。
だが、提督の合図に従い、艦長が伝声管に向かって声を張り上げた。
「よし、魔法の使用を許可する! 呪文唱え! 左舷、よ~い…撃てっ!!」
轟音と共に、左舷一斉砲撃が行われた。届くはずのない砲弾が、
やすやすと敵艦隊の先頭3隻を砕く。恐ろしい命中率だ。

 本来なら、遠距離砲戦での命中率は錬度の高い艦隊でせいぜい数%。
しかし、トリスティン艦隊は、超遠距離からの砲撃で
10%近い数字をたたき出した。高度で差をつけられている
レコンキスタ艦隊にとって、脅威どころの話ではない。
それぞれの大砲には、全員メイジが就いていた。念動の呪文を砲弾にかけ、
飛距離を伸ばし、遠隔操作で敵艦に当たるよう軌道修正したのである。
本来なら遠距離の念動は多大な消耗を伴うが、秒単位で済む事と
砲弾そのものが人間などと比べると軽いこともあり、さほど消耗しない。
第1斉射で先頭を航行していた3隻の小型船が大破した。

 艦隊指令ラ・ラメー伯爵が声を張り上げる。
「斉射3連旗を上げろ! 回頭面舵! 狙いは4隻目中型艦!」
この場合当然そうなるはずなので予想していた信号手は即座に信号を上げた。
メルカトール号艦長フェヴィスが声を張り上げる。
「面舵一杯! 魔法全開!」
全艦が急速に船尾をレコンキスタ艦隊に向ける。風メイジが風を操り、
その他のメイジが帆を動かして船員達の操船を補助しているのだ。
どんな熟練した船員の乗る船よりも早く、90度回頭は終了した。
「第2斉射! 狙え! よ~い…撃て!!」
4番目の中型艦、もう少し大きければ戦列艦に加えてもよさそうな艦の
上部甲板が一撃で破壊され、メインマストが折れる。
「面舵一杯! 魔法全開!」
「狙いは前方艦は5隻目中型艦! 後方艦は6隻目軽戦列艦! 当艦は6隻目!」
「第3斉射! 狙え! よ~い…撃て!!」

 トリスティン艦隊とほぼ同数でより大型のレコンキスタ艦隊は、
大砲の門数で言えば2倍もの戦力があったにもかかわらず、
1発の反撃も出来ないままに7隻が大破した。

 そこに、トリスティンの竜騎士隊が現れて急降下する。
レコンキスタ艦隊は、まだトリスティン艦隊は遠いだろうと偵察のみに竜騎士を
繰り出し、残りを船倉で休ませていた。
アルビオンのラ・ロシェールへの接近時期と、監視に常駐させていた
密偵からの報告で油断していたのだ。むしろ、密偵からの報告ら判断して、
今ここまでの警戒をすることに多大な不満を抱えていたくらいなのである。
啓太の情報管制の勝利であった。

 先ほど竜騎士隊をほとんどやられ、竜騎士隊がやっとの思いで発艦したとき、
すでにトリスティン竜騎士隊は攻撃直前だった。総数も多い。
この条件では、いくら錬度の高いといわれるアルビオンの竜騎士といえど
かなうわけがない。あっという間に蹴散らされた。
ついで、マンティコア隊が発進した。それぞれの鞍にはロープが結び付けられ、
一定の長さごとに青銅製の取っ手が数個ずつ取り付けられている。
それを掴み、レビテーションを使ったメイジ達が、マンティコア並の高速で
レコンキスタ艦隊に迫った。フライならば同時に魔法を詠唱するのは至難の業だ。
しかし、レビテーションなら難易度はかなり下がる。

マンティコア隊隊士が張る結界魔法で弓や銃弾を弾き飛ばし、
艦上に強行着陸するメイジ隊。土メイジが、チョコレートそっくりの
色と手触りをし、蛙の形をした秘薬を数個掴んで甲板にばら撒く。
呪文を唱えると、甲板の床、すなわち木の板を錬金したゴーレムが次々と
立ち上がり、切り込んできたメイジ達を迎撃しようとした水兵達に立ち向かう。
「我、青銅のギーシュ! グラモン元帥が息子、ギーシュ・ド・グラモン、参る!」

 空の上、土のない場所では土系メイジの力は半減する。
しかし、啓太の秘薬、土のチョコがあれば。土のチョコは、大地にばら撒けば
濃縮されたミネラルと栄養分によって大地を豊かにする素材で作られており、
さらに啓太が、スクウェアクラスの力を持った啓太が大地の力を込めた物だ。
多少の固定化で防御してあっても、錬金を止められるものではない。
やろうと思えば空気からワルキューレを合成することすら出来る。
切込みでの数の劣勢はこの瞬間消え去った。

「我は風上のマリコルヌ! マリコルヌ・ド・グランドプレ、参る!」
六角棍を持った反対の手に風石を持った太っちょのマリコルヌが、
啓太の作った水の軽石を持っているクラスメイトの水メイジと協力して
魔法を唱える。強化ウォータープレッシャーと強化エアハンマーだ。
放つのは、上甲板にいる水兵たちではない。
穴だらけになった上甲板の下、砲列甲板に並ぶ大砲と砲撃主たち、
ではなく、彼らの周りに積まれた火薬達だ。
ズバッシャ~~~ン!
軽い津波のごとき勢いを持って、砲列甲板は水浸しになった。
当然、水浸しになった砲列甲板は砲撃が不可能になる。
トリスティン艦隊を向いた右舷砲列甲板は、この瞬間大破したも同義となった。
さらに火メイジが帆に火を放ち、ギーシュのワリュキューレが暴れまわる。
この戦列艦には3人のマンティコア隊士が切り込んでいて、彼らと同じ
4人一組のチームを各2組、合計6組運んでいた。
27名ものメイジによる無力化工作。艦の周りには多数の竜騎士。
トリスティン艦隊からはすさまじい砲撃間隔での間断ない砲撃。
「降伏せよ!」
 魔法衛視隊マンティコア隊員が艦長の首に杖を突きつけると、
この戦列艦はあっさり降伏した。
そして、同じような部隊を降下させられていた他の戦列艦もまた、
あっさり降伏したのであった。


新着情報

取得中です。