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虚無の雀士 スーチーゼロ Remix

これで勝った・・・。

額の大粒の汗を拭いながら、ワルドが思案する。
ニューカッスル礼拝堂で繰り広げられた、殺す者と殺される者との異色の麻雀対決も
既にオーラスを迎えていた・・・。

現時点で、トップのワルドとスーチーゼロの点差は21000。
直接振り込んでしまえば、おおいに逆転負けの可能性は残っている。
だが、後半戦に入ってからは、流れは明らかにワルドの方にあった。

ワルドは横目でチラリとウェールズを見る。
序盤こそ、彼とゼロは即席コンビとは思えぬほどの、見事な連携を見せていたが、
『偏在』3体を監視に着けた直後、快進撃はピタリと止まった。
いかに切れ者といえど、所詮は王族の坊ちゃん麻雀である。
すっかり動きが萎縮してしまい、相方への差込すらもままならないでいる。

そこへいくと、流石にゼロは勝負師である。
実質2対1という状況に追い込まれながら、最後の最後で、既に大物手を張っていた。

(だが・・・)

ワルドがニヤリと笑う。
ゼロの和了牌である白は、彼と偏在がそれぞれ1枚づつ抱えている。
ゼロのテンパイは、夢精卵とも知らず、竜の卵を温め続る行為に等しかった。

―なぜ、門前である彼女の和了牌が断定出来るのか? その答えはガン牌である。

一回戦の洗牌の折、ワルドは密かに超局所的なウィンドブレイクを唱え、136枚の牌全てに微小な傷を付けていたのだ。
本来、印にすらならないゴミのような傷である。 普通なら一割も覚えられぬ間に半荘が終わるであろう。
だが、ワルドには『偏在』と言う名の4つの頭脳がある。
それぞれに、萬子、索子、筒子、字牌を分担して覚えさせ、綿密な通しを行うことで、
ワルドは現状、7~8割がたの牌のありかを知っていた。
さらに幸運なことに、現在ゼロの手元にあるのは、全て偏在の覚えた牌であった。

もはや大勢は決した。後はこの白さえ吐き出さなければ・・・。
「私の手元にあるのは、鳴くことの無い不如帰・・・ そんな顔ね ワルド」 

思考を先回りするかのようなゼロの台詞に、ワルドがドキリとする。

「ずっとこの時を待っていたのよ ワルド 
 大勢が決して 必勝の形に持ち込んだあなたが 初めて気を緩める瞬間を!」

あわててワルドが雀卓を凝視する。 
すぐに、卓上の異変に気づいた。
先ほどゼロが自摸った山が、蜃気楼のように揺らめいている。
眼前にあるにも関らず、その山だけが遠い世界にあるかのような違和感。
まるで、そこだけが別の世界の雀卓のような・・・。

「・・・ッ!? これは まさか虚無の・・・!?」
「秘技・【どこでも世界扉(ワールド・ドア)】!!」

ゼロが手牌を倒す。ワルドの眼前に、あるハズの無い5枚目の白が飛び込んでくる。

「ツモ! 大三元! 役満よッ!!
 お約束どおりぶっ飛びなさい! ワルド!!」

「ぐっはあああああああぁぁぁぁぁー!!!!」


役満の衝撃で、ワルドが10メイル程いきおいよくぶっ飛び、後方の壁に強かに激突する。

「フフ・・・ 流石だな 完敗だよ・・・ 虚無の雀士・スーチーゼロ・・・
 だが お前の快進撃もここまでだ・・・

 あのお方・・・ レコン・キスタの盟主 オリヴァー・クロムウェルは
 俺や貴様では足元にも及ばないような脅威の力を備えている
 せいぜい気を付けることだな・・・ 愛しいルイズ・・・ ぐふっ!」

実に芝居がかった台詞を吐きながら、ワルドが昏倒する。
大きくはだけた上着から除く、均整のとれた肉体に、うっすらとしたギャランドゥが大人の色香を匂わせている。

ちなみにこの間、ルイズは一切手を下していない。
ワルドが自らの魔法でぶっ飛び、自分の魔法で一張羅の上着を破り、言いたいことだけ言って勝手に気絶したのだ。
この潔さとノリの良さは、流石にスクウェアクラスの雀士と言えよう。

ひとつの戦いが終わり、フウッとウェールズが息をつく。

「おかげで窮地を乗り越えることができた 感謝するよ ミス・ヴァリエール
 君がいなければ 私は間違いなく 彼奴の兇刃に斃れていただろう」

「私こそ 陛下にお礼を言わなければ
 陛下が『偏在』の注意を引き付けておいてくれなければ 
 あられもない姿を晒していたのは私の方でしたわ」

「しかし・・・ これが君の『魔法』なのか・・・?
 あの時 私は確かに絶体絶命の危機にあったはずなのに
 君の声を聞いて・・・ 気が付いたら 当の刺客と仲良く卓についていた
 いや・・・ それよりも何故 礼拝堂のど真ん中に こんな立派な雀卓があったのか・・・?」

「そんなことより陛下 
 どうしてもお気持ちは変わりませんの・・・?
 生き延びて トリステインに亡命あそばしては下さりませんか?」

その言葉を聴き、ウェールズは困ったように笑う。

「・・・すまない 私にも王家の人間としての矜持と義務がある
 聞き分けの無い男のワガママを どうか許してほしい」

「そう・・・ それでは仕方ありませんわね」

「・・・? ミス・ヴァリエール・・・」

ルイズの言葉のうちには、妙な喜悦の色がある。
その不審さに、ウェールズが思わず問いかける。

「フフ 仕方が無い 仕方が無いから・・・!

 『 だ っ た ら 麻 雀 で 勝 負 よ ! ! 』  プリンス・オブ・ウェールズ!!」

「 え え え え え え え え え え え ! ? 」

「私にも姫様との譲れぬ約束がある!
 たとえX指定になったとしても あなたをトリステインに連れて帰るわ!」

レコン・キスタの魔の手が迫るニューカッスルの一室で、もうひとつの知られざる戦いが始まった・・・。


ヴェストリでの決闘から一ヶ月
ルイズは早くもアイドル雀士の道をひた走っていた。

2週間前、『破壊の杖』盗難事件を解決したことで
『虚無の雀士・スーチーゼロ』の名は、一気にトリステイン中に広まった。
勝負をご破算にしようとした『破壊の杖』の一撃を打ち返し、トライアングルクラスのメイジのゴーレムを粉砕した上
国中を悩ませた怪盗フーケを『服以外は無傷』の状態で捕縛するという離れ技を見せたのだ。

素晴らしいモノを拝ませて貰った、との理由で、ルイズは実にあっさりとシュヴァリエの称号を賜り、
以後、王女直属の女官として活動を始めた。

その最初の任務である『アルビオンへの使者』も、彼女は完璧に勤め上げた。
魔法衛士隊隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド の裏切りを見抜き、レコン・キスタの策動を未然に阻止したばかりでなく
ウェールズ皇太子を説得し、無事にトリステインへ亡命させることに成功したのだ。
一体どうやって、あの頑迷な王子を説得したのか? それを問う者はいなかった・・・
王子のいでたちを見れば 一目瞭然だったからだ。



その後のレコン・キスタとの一連の戦いの中、彼女はまさに八面六臂の活躍を見せた。

タルブ侵攻戦では、後にスーチーゼロの代名詞となる必殺技 『 爆裂(エクスプロージョン)天和 』 を発動する。
トリプル役満クラスの衝撃波がタルブの大地に炸裂し
その場に居合わせた、トリステイン軍、レコン・キスタ、民間人を、勢い余って全員すっぽんぽんにするという快挙を成し遂げた。

アルビオン戦役においては、敵の罠にはまった連合軍が壊走する中、たったひとりで戦場に踏みとどまり、退却戦を展開。
七日七晩に及ぶ過酷な徹マンの果て、ついにはあべこべに7万の敵兵全てを辱めることに成功。
文字通り裸の王様となった神聖アルビオン共和国皇帝、オリヴァー・クロムウェルを捕縛し、連合の救世主となった。

後に報告を聞いたマザリーニ枢機卿は 
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール は、国士無双の乙女なり。 それも13面待ちの。」と、評したと言う。


勝利と栄光とサービスシーンをもたらす美少女雀士の勇姿に当てられ、トリステインでは空前の麻雀ブームが巻き起こる。
アンリエッタ女王が推し進める『麻雀国教化政策』の下、一家に一台雀宅が支給され、
トリステイン王国における麻雀の普及率は95%に到達した。

ブームの中心となったのは、ルイズの在籍する『トリステイン魔雀学院』である。
学院長オールド・オスマンの狂的な指導の下、既存の魔法体系とイカサマ技を組み合わせた、画期的な魔雀技が次々と編み出され
『微熱の雀士・ファイヤーキュルケ』や『雪風の雀士・タツマキタバサ』を始めとする、超一級のアイドル雀士を次々と輩出した。

学院を卒業し、故郷へと帰った彼女たちの活躍により、
麻雀ブームはいつしか、ハルケギニア全土を巻き込む一大ムーブメントへと成長していった・・・。

麻雀の普及はやがて、ハルケギニアの社会構造すらも一変させた。

魔法第一だった世界の価値観が揺らぎ、人々は麻雀の強さにこそ畏敬の念を抱くようになった。
そしてその事が、平民達の大きな進出をもたらした。

麻雀の勝敗を分けるのは魔力ではない、
運と戦略と技量しだいでは、魔法を使えぬ平民であっても、スクウェアクラスのメイジを倒し得るのだ。
例え卑しい生まれであっても、己が才覚次第で天下を掴み得る時代が訪れたのだ。

スーチーゼロの『オヒキ』として、長年ともに戦場を渡り歩き、
東洋仕込みの闘牌で、並み居る貴族達を次々と討ち果たした 【神の左手芸】。
『冥土の雀士 ガンダーシエスタ』 こと、シエスタ・シュヴァリエ・ド・ササキも
騎士の叙任を受けるまでは、一介の平民に過ぎなかった。

平民の多くが彼女に憧れ、一国一城の主を目指して研鑽を積んだ。
もはや上も下もない。貴族と平民を隔てていた壁は、とっくの昔に取り払われていた。
猥雑で、無粋で、混沌として・・・それでいて、無闇なパワーにあふれていた熱狂の時代が、再び眼前へと迫っていた。

その熱狂の炎に、最も強く当てられたのは・・・ 誰あろう、ガリア王・ジャゼフⅠ世その人であった。

何もかもが思い通りのゲームに過ぎなかった彼の前に現れた、唯一思い通りにならない『本物のゲーム』
麻雀を通じ、彼は悩み、苦しみ、必死になって対手の思惑を探るがうちに
彼は徐々に人の心を、他人と対等に向き合う術を取り戻していった・・・。

同時に彼は気付いた。 自分の心すら変えてしまった麻雀の魔力は、
本気で世界中の不幸を追放しうる原動力になるだろう・・・と。

各国の代表が集まるサミットの席で、彼は上記のような思いを語り
そして、次の言葉をつないだ。

「私、ガリア王ジョセフがここに提言する
 世界中の一切の軍事行動の放棄 そして 代理戦争として
 世界各国の雀士が一同に集い、ハルケギニア国家連合の主導権を争う
 四年に一度の祭典 『マージャン・ファイト』の開催を!」


各国の指導者達の情熱的な活動により、数々の障害を乗り越え
ついには現実のものとなった雀士の祭典 『マージャン・ファイト』 第一回・ロマリア大会

最強の美少女雀士の座を目指し、数々の名勝負が繰り広げられる。
神業としか言いようのない魔雀技の数々に、麻雀がもたらすドラマに、そして一流の脱ぎっぷりに
ロマリアの地に集まった人々は釘付けとなる。

そしてついにやってきた、第1回 マージャンファイト 決勝戦。
数々の死闘を乗り越え、その地に立っていたのは、奇しくも同じ『虚無』の使い手同士であった。

一人は、本大会の大本命、ハルケギニア最初の雀士 『だったら麻雀で勝負よ!』
トリステイン王国代表 【虚無の雀士 スーチーゼロ】

もう一方は、今大会のダークホース、謎の覆面少女 『どこの誰かは知らないけれど ボインはみんな知っている』
アルビオン王国代表 【妖精雀士 スーチーレボリューション】

ハルケギニア麻雀史全体においても、
突出した実力を持つ、二人の美少女雀士の真剣勝負
それはまさに、伝説の名にふさわしい一戦だった。

牌が爆裂し、幻影が飛び交い、異世界から有効牌を引き入れ、空白の記憶にツケ込み手を進める。
【神の左手芸】ガンダーシエスタが、流派・東方不敗の奥義を見せれば、【盤上の大怪盗】マチルダ・オブ・サウスゴータがそれを阻む。
死力を尽くし、ありとあらゆる手を使いながら、勝利を呼び込むことができない両者。
戦いはついに四日目の朝を迎えた。



「流石ね スーチーゼロ・・・いえ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
 この勝負 私の負けよ」

「この戦いには勝者も敗者もないわ
 これまでの人生で最高の一戦だった
 四年後 また 決勝の地で会いましょう」

長い長い戦いが終わり、互いの健闘を称え合う両者
戦うことで深く結びつく友情。
生まれたままの姿で抱き合う二人の姿に、割れんばかりの拍手が惜しみなく捧げられる。

「これだッ! これこそ私が マージャン・ファイトの中に追い求めていた理想
 ふたりとも 良くぞここまで戦い抜いた 感動したッ!!」

ジョゼフ一世が叫ぶ。もちろん彼も全裸だ。
彼だけではない、あれだけの死闘に立ち会って、無事にいられる者などいるはずが無い。
だが、服を着ているかどうかなど、些細な問題である。
もはや人々の間には、民族の壁も、人種の壁も、貴賎の壁も、ムスコの大小の壁も、MA-18の壁すらなかった。
麻雀を通じて、ハルケギニアがひとつになった瞬間である。

ありがとうマージャンファイト! ありがとう美少女雀士! ありがとうおっぱい!


だが、スーチーゼロの戦いは終わらない。

西方で巻き起こった一大ムーブメントは、エルフの住まう聖地を越えて、麻雀の本場【ロバ・アル・カリイエ】にまで届いていた。
西域の女神の実力を確かめんと、東方からサハラ-聖地へと繋がる唯一の道・・・ 通称【ドラゴンロード】を乗り越え
伝説の牌娘(パイニャン)たちが、ひとり、またひとりと、トリステインの地を訪れる。

同時に、蛮族と思っていた人類が戦争を放棄したとの噂に、エルフの一族もたびたび西方に使者を派遣するようになった。
麻雀の力は、久しく途絶えていた東西交流をも復活させたのだった。



8年後、今や世界中を巻き込む祭典へと成長した『第3回マージャンファイト』
会場となった聖地には、史上最強とも謳われる錚々たる顔ぶれが終結していた。

実力主義のゲルマニアにあって、その雀力で王位を掴んだ
【爆熱の雀士 ファイアーキュルケ】

麻雀を通じて叔父との和解を果たし、ガリアの王位を継いだ
【雪風の雀士 タツマキシャルロット】

第二回大会同時優勝にして、浮遊大陸に一大おっぱい教団を作り上げた教祖
【虚乳の雀士 スーチーレボリューション】

マージャンファイトに触発され、8年に及ぶリハビリの果て、まさかの現役復帰を果たした
【絶倫雀士 グレート・オスマン】

麻雀の本場 ロバ・アル・カリイエでの長い廻国修行から帰ってきた
【西域の牌娘 ガンダーシエスタ】

未知の先住魔雀を駆使し、古豪を下して勝ち上がってきたエルフの実力者
【雀士殺し ビダーシャル】

そして、東の最果て・・・ジパングなる島国からはるばるやってきたという、元祖・美少女雀士達・・・




聖地の空に、選手代表 スーチーゼロの宣誓が響き渡る。

「マージャン・ファイト 第一条

 『 だ っ た ら マ ー ジ ャ ン で 勝 負 よ ! ! 』 」


がんばれ ルイズ!  負けるな 虚無の雀士・スーチーゼロ!!


            ( 完 )

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