あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの皇帝8

ジェラールはそう告げるや否や召喚した風神剣を召還すると、術の詠唱を開始する。手首を揃え両腕を
高く掲げ精神を集中し己の気力を魔力に変換すると、その掌中に膨大な熱が発生し始める。その熱量たるや、
この学園の生徒の中でも火の系統ではトップクラスの使い手であるキュルケはいうに及ばず、一昔前に
「炎蛇」の二つ名で、味方にすら畏れられたほどの実力を持つコルベールさえ太刀打ちできぬほどのもの。
そんな文字通りケタ違いの魔力を見せ付けられているヘ…ギーシュといえば、先ほどのセリフで軽くビビって
いる上にこの光景、当然腰を抜かしている。しかも軽くチビっている。残念(?)ながら小のほうである。

(なんだよこれ……こんなの浴びせられたら……あ、でも少し漏らしているのが乾いてごまかせるかもね、
そう考えれば悪くないかもなぁ…は、は、は……)

すでに脳味噌は酸欠のようである。

(コレがちゃんと発動することはさっき実証済みだ。しかし自分で試すわけには行かないからな、万が一
発動しなかった時は洒落にもならん。試しに実験してみたが、結局あの生徒も気づかなかったようだし
問題は無い。たとえ犠牲になってもアイツならルイズも許してくれるだろう。さて小僧。アバロンの歴史、
その体を使って存分に学んでもらおうか…!!)

どうやら術が完成したのか、熱が意思を持ったかのように自ら形を成していく。それは傍から見れば荘厳な
不死鳥であり、観客からは感嘆の声さえ聞こえてきそうである。ただし、これほどのものが今にも自分に
放たれようとする身からすれば、なぜかこの美しい火の鳥がカバに似ている気がしてくる。どうやら
脳味噌が茹だったようだ。そしてついにジェラールがこちらに向けて大きく一歩足を踏み込み、両手を
振り下ろす。判りやすく言えばオーロラエクスキューションやマグマ・アクシスの様な構えから一気に
フェニックスがギーシュ目掛けて飛翔し、突撃する!


…と思いきや、ソレはゆっくりと羽ばたいてギーシュの前にたどり着いたかと思うと、ゆっくり、
そして優しくギーシュを自らの羽根で包み込んでいき…そして消えていった。その光景を見た地上の観客も、
空中の一団も、まだ紹介はしていないが学長室から観戦中の二人も、勿論被害者も、簡単に言えば術を唱えた
ジェラール以外全員が唖然としている。なぜかと言えばあれほどの攻撃を受けたギーシュが全くの無傷なのだ。
その魔力から察するに消し炭どころか跡形も無くなるのでは?と思えるほどの威力に感じられたのに、である。
しばらく間があって、ようやくギーシュが喋り出す。

「な、なんだい、も、もう終わりかい?た、たいしたこと無いね、やっぱり君はハッタリが大好きなのかな」
「いや、成功している」
「ど。どこがだ!このとおり僕はピンピンしているじゃないか」
「いずれわかる。(ん?能力強化の効果が…素手ではいかんのか?まあいい)…さて、宣言どおり素手で
相手をしてやろう!」
「あ、あくまでもしらを切ろうというのかい。その上素手だと?ふん、それならそれでいいさ。いけ、
ワルキューレ!この調子に乗った平民にしっかりとペナルティを与えてやれ!」

残ったワルキューレ二体がジェラール目掛けて時間差で突進していく。一体はその青銅の拳で、一体は
手にした剣で。しかしジェラールは恐れるものは何も無いといわんばかりの態度で悠然と前進していく。
そして交差するその瞬間、ジェラールが「シィィイ!」と丹田から吐き出した声とともに多少体を動かしすれ違うと、
二体のワルキューレはそれぞれズウゥゥンという音と共に倒れていった。最初の剣を持ったワルキューレは
顔の下半分だけが削り取られている。あまりにパンチスピードが速かったせいだろう、それ以外は全くの
無傷である。ガラスに石を投げたら周りも割れるだろうが、ライフル弾では周りはせいぜい微細なひび程度、
と同じようなものか。そしてもう一体は、繰り出した左腕は肘から折られ、側頭部がスイカ割り状態と
なっている。青銅で本当によかった。コレが生身の人間だったらどこからか「沙耶かわいいよ沙耶」とか
聞こえてきそうな惨劇と化していただろう。


「なにあれ…ちょっと!ルイズ!説明してよ!」
「わ、私にだってわからないわよ!そもそも何が起こったのかすら!」
「…本当にすごい…」
「タバサ、あなたもそう思うでしょ?」
「…最初に、剣を持っていたワルキューレが攻撃に移った瞬間、一気に間合いを詰めてショートレンジでの
カウンターの左フック。しかも、あの軌道と肩、拳のひねり具合からいってまず間違いなくガリアン・フック。
でも本来ガリアン・フックはその特殊性、言ってしまえば最短距離で向かうのではない技のため中、遠距離向き。
それをあの距離で、しかも拳が振り切る前に当たったのに腕力、背筋力、そして完璧ともいえる体重移動を駆使して
振り抜いたため、ジョルトの名がついてもおかしくないほどの破壊力も加わった…。なにより、手甲、ううん、
バンテージすら着けていない人間の拳で青銅を破壊した。…すごい」
「え、えーと、タバサ?」
「…それに二体目を倒したのはおそらくゲルマニアン・ハイキック。でもあの技は、最初のミドルをフェイントにして
相手が気を取られた隙に角度を変えたハイを叩き込むもの。なのにさっきのは、ガリアン・フックのあとすぐに
オーソドックスにスイッチ、そして右のミドルで相手の左肘を破壊。攻撃を無力化した後、足を下ろすことなく
脚力と腰の切れだけでそのままハイキックをテンプルに命中させても、頭を砕くだけの威力があった。一体
どれだけの身体能力と実戦経験があればあれほど見事にできるのか…本当に、本当にすごい」
「ターバーサー?」
「………ッ!!!……って、この前読んだ本に書いてた」
「本当に?」
「本当に」
「「本当に?」」
「……シルフィード、二人がここから飛び降りたいって」
「や、やーね、冗談よ、冗談。ねぇ、ルイズ」
「そ、そうよ。特に私はフライが使えないんだから、勿論冗談よ」
「…わかった。ならいい」
(きゅいきゅい、おねえさま…久しぶりに見たですわ、あの表情。…きゅい、あれはどこだったかしら…どこかの
地下施設で人間たちが一対一で…たしか「たいまん」とかいうものを見物に行って…あの時以来ですわ、これほど
おねえさまの血が騒いでる姿を見るのは。でも自分から喋り出しちゃ、ダメですわおねえさま…きゅい)


ギーシュは、目の前で起こったことが信じられなかった。確かにさっきもワルキューレが破壊されたが、あれは
剣や術によるもの。しかし今回は素手でしかも先ほどより手馴れている印象を受ける。なぜだ。僕の
ワルキューレがただの拳に。別にてっけんやごうけんでもないのに。何の話だ。そんな電波受信気味の
ギーシュに向かってジェラールが再び歩き始める。

「な、何者なんだ君は!に、人間が素手で青銅のゴーレムは破壊するなんて!」
「さっきお前が言っただろうが。デタラメなんだよ、俺は」
「わかった、こ、この勝」
「何を言っている。まだお前が残っているだろう。さあかかってこい!もう一度ゴーレムを呼べ!己の体に
青銅を纏え!倒れた連中を復活させろ!剣を創り出し反撃に移れ!戦いはこれからだ!さあ!早く!早く早く!
ハリー!ハリーハリー!ハリーハリーハリー!」
「も、もういやだぁー!僕のま」
「喝ッ!」
(な、なんだ…う、動けない!)
「…その程度、その程度のお前が麗しのアバロンや歴代皇帝陛下を愚弄したのか?…もういい、負けて死ね。
偉大なるアバロン最後の皇帝として、お前に罰を下す!いくぞ…奥義!千手観音!!」
(だ、誰か、誰か助けてくれぇぇぇーーー!!)


……普通の観客が目で追えていた範囲では、ジェラールの輪郭が段々とぼやけそしていきなり光ったかと思った
次の瞬間にはギーシュが見るも無残な姿になっていた。時間にして2~3秒のことである。ちなみにギーシュは
不幸にもこの段階では死んでいない。ただし怪我の具合は頭蓋骨骨折及び脳挫傷、鼻骨骨折、第7歯から
第4歯欠損、第1歯及び第2歯欠損、頚椎捻挫、左鎖骨不完全骨折…コレでやっと半分。もしギーシュがどこぞの
武道団体の門下生だったら総勢100万人がギーシュの敵を捕ろうとしてくれるに違いないぐらいのフルボッコ
ぶりだ。
(おや、まだ死んでいない…?ふむ、思いのほか見所があるな、とっとと発動させるか)
ジェラールがギーシュの頭をつかんで空中に蹴り上げる-偶然にもルイズたちの近くまで-と、それが致命傷に
なったらしく、先ほど失敗した(と思われていた)術、リヴァイヴァが発動する。上昇を終えたギーシュだったものが
落下を始めると、先ほどの火の鳥が現れ、ソレを優しく包む…のではなく、ただ見過ごしている。そして
地面に衝突しそうになったその時、まるで止めを刺すかのごとくカバ似の不死鳥は突進し、ギーシュだったものを
己と地面のサンドイッチにしたその瞬間、その遺体が業火に、もとい聖なる炎に包まれる!
どう見ても発動したほうが攻撃魔法です、本当にありがとうございました。
そして圧倒的な炎が静まった後には…身体的には無傷のギーシュがいた。心はボロボロだが。

「あれ…ここはどこだい…?それに僕は一体何を……」
「おい」
「ん?ヒ、ヒィィ!」
「よし、無傷だな。さ、仕切りなおしと行こうか。…しかし、お前に今から3秒時間をやろう。何に使うかは
お前次第だ。さあ、数え」
「すいませんでしたあぁぁ!!僕の負けです!許してください!!もう勘弁してくださいー!!」
「そうか、ふぅー。……いや、解ってくれればいいんだよ。すまなかったね、ちょっと私もムキになってしまった
ようだし。怪我は無いかい?」
「はい!全くありません!あなた様の偉大な魔法で文字通り生き返った気分です!」
「よかった、よかった。それにしても君の戦い方は面白いね、ちょっとアドバイスしてあげるから耳を貸してくれない?」
「は?はい…」
(…余計なことは一切喋るな。誰にもだ。解ったら一回だけ頷け)
「ッ!!ハイ!」


こうして、この決闘は結果だけ見ればたった一人だけが怪我をしただけですんだと言う、穏やかなものに終わった。
こうしてジェラールは忠実な部下(通称ベアポジション)を手に入れ、ルイズもあれほどの外道…じゃなくて強力な
使い魔を召喚したとしてバカにされることも無くなり、ギーシュも(洒落にならないほど)強く厳しい師匠の下で
格闘、武術を学ぶことができるようになり、メデタシメデタシである。…ん?なにか?



ちなみに怪我をしたのはジェラールが蹴り飛ばし、ロケットパンチとなったワルキューレの左腕が命中した生徒、
それも本人は気づいていないが奇しくもリヴァイヴァの実験台となった生徒、その名も悲しきマリコルヌである。

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