あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ワイルドの使い魔-9(2)

既に完全に日も暮れた街道、キタロー達は学園へと向かっていた。
行きはルイズと馬で走った道だが、今は合流した(というか、された)キュルケとタバサと共に歩いている。
理由は簡単。全員満腹だからだ。
そんな有様で馬や風竜に乗って帰り道を急げば、一歩間違えて大惨事になりかねない。
特に・・・力ない表情で馬を引くキタローはそれが顕著だ。
仲良くケンカするルイズとキュルケの喧騒さえも気にする余裕が無いらしい。
ただ、時折水色の髪の少女の方を見ては何とも微妙な表情を浮かべたりはしていたが。
(あの髪の色の女の子に凄い物を食べさせられるのは、宿命なのかな・・・?)
それは、幾つかの買い物の後、夕食を料理店で食べていた時の事だ。
その細身の身体に似あわぬ食欲を発揮するキタローに、タバサはあるモノを差し出した。
無論キタローはそれを何の疑いも無く口にして・・・

あっさりとベルベットルームに直行した。
イゴったとも、戦闘不能に陥ったとも言う。

ちなみに今のステータスはポイズン状態だ。歩いているだけで体力がごっそり減っていく。
何故かディスポイズンや毒消しも通用しないので、瀕死になる度にスキルでこっそり回復しかない。
なんとなくHPだけではなくSPも減っている気がするのは・・・気のせいだと思いたい。
(はしばみ草・・・ミステリーフードの上を行くなんてなんて・・・あんな味は風花のお弁当以来かな・・・)
同じ水色の髪の少女からの洗礼に、何とも因縁めいたモノを感じるキタロー。
(そういえば・・・)
思うように動かない身体に鞭打って、未だ(傍から見れば微笑ましい限りの)口ゲンカを続けるルイズとキュルケを見る。
ルイズはピンクつながりとツンデレ風味がゆかりを思い起こさせる。
あの赤毛と見事なプロポーション・・・炎と氷の違いはあるが、キュルケと美鶴も似ている気がする。
後は、アイギスが・・・あの機械の身体と人以上の優しい心を持った少女が居れば、S.E.E.Sのメンバーがそろったかのような錯覚を起こしそうだ。
・・・え?男性陣?
ガキ先輩とコロちゃんは普通に一軍ですよ?
肉先輩とテレッテと腹黒半ズボンに用はありません。寮で留守番していてください。
(そういえば、ギーシュってテレッテに空気が似てたな・・・)
今一決め切れない所に似た物を感じたのは確かだ。
友人として付き合うのは楽しそうだが・・・


キタローがそんな事を考えているころ、そのギーシュはあの決闘のあった広場に居た。
夜の闇に紛れながら、あの少年との戦いを思い出す。
あの決闘からギーシュの環境は少し変化を遂げていた。
まず一つ。
ケティから盛大に振られた。
これは無理も無い。
二股をかけていた奴が悪い、と周囲からは散々はやし立てられたし、自分でも仕方ないと思っている。
ただ、あの少年からは男女間の考え方について、『複数の女の子との関係は男のロマン』との共通点で一致を見た後、

「中途半端な仲だとそうなるよ。行き着くところまで行っておかないと」

などと言う妙なアドバイスをもらったが。
かわりに、モンモランシーとの関係は維持できた。
まぁ、散々土下座させられて、向こう数週間分の仕送りを費やすほどのプレゼントをしたけれども。

そしてもう一つ・・・あの少年の操った幻影。
あれを見てから、ギーシュは何とも言えない違和感を自分自身に感じるようになった。
何と言えばいいのだろうか?
自分以外の自分の存在とでも言うべきだろうか?
今も形になりきれない何かが自分の内から溢れそうで、夜中だというのに居ても居られずこの場所へとやってきたのだ。

「・・・ふっ、僕としたことが、熱くなっているのか・・・」

薔薇の造花を片手に自嘲するギーシュ。
誰かギャラリーがいたら、たった一人広場で自分に浸る彼に回復の魔法をかけたくなる事だろう・・・主に脳へ。
決闘に負けたのがそんなにショックだったのか、と。
とはいえ、ギーシュを表立って笑うものは、あの決闘に負けた今でも殆ど居なかった。
ドットクラスの魔法使いなのは変わらないが、かと言って彼の操る7体のゴーレムをどうにかできる者は、学生ではめったに居ない。
むしろ、あの決闘で見せたゴーレムの一糸乱れぬ陣形と連携に恐れを抱いた者が多かったと言える。
魔法使いとしての評価は、決闘以前よりもむしろ上がっていたのだ。
(彼にはある意味感謝するべきかも知れない。僕にとっても、あの決闘はいい経験だったよ)
夜空に浮かぶ二つの月を見上げ、自分に酔いながら気の利いたことを言おうとして・・・

ズズン・・・

「な、なんだ!?・・・なんだぁぁぁぁ!?」

低く重たく響く音に、さっきまでの姿をあっさり捨てて狼狽する。
そんなギーシュを気にした様子も無く、それは学園の敷地に忽然と姿を現していた。
見上げるほどに巨大な土のゴーレムが。


『土くれ』のフーケと言えば、最近トリステインの城下町を騒がす神出鬼没の怪盗として有名だ。
正体も、姿も年齢も性別も一切不明。明らかなのは強力なメイジだと言う事だ。
最低でもトライアングルクラスの実力を持つとされるその力は、巨大なゴーレムを操り魔法で強固に保護された壁も土くれに変えて通り抜けると言う。
その異名の由来でもある。
その土くれのフーケは、今大変急いでいた。
理由は簡単。長い間下準備してきた標的を狙えるのが、今夜くらいしかないと解ったからだ。
(あんな凶暴なガーディアンが居るんじゃ、おちおち忍び込めないじゃない!)
目深にフードを被り、顔の輪郭さえも隠したその怪盗は昼間の恐怖を思い出し身震いする。
あの強力な金細工のゴーレムが普段警護している限り、忍び込もうとしても、ゴーレムで強引に強奪しようとしても目当ての宝物に辿り着けるかさえ怪しそうだ。
それに、もう一体・・・あの生きているとしか思えない『メアリ』も、いざとなれば何をしてくるか。
あの宝物庫の住人が居る限り、今回目指す『銀の小杖』と『黒の円柱』の奪取は絶望的かと思われた。
(でも、案外運は巡ってくるものね・・・あの『2体』が今夜は学長に呼ばれるなんて)
つまり厄介な守護者は今夜宝物庫に居ないと言う事。
ならば、少々強引でもこのチャンスを生かすしかない。
フーケは土くれのゴーレムの両拳を鋼に変えると、本塔へと近づけさせた。
そのまま、力任せに宝物庫辺りの壁を殴りつける!

ゴガ~~~~~~~~~~ン!!!!

あたり一面に響き渡る巨大な破壊音。
しかし流石に由緒正しいトリステイン魔法学園の宝物庫の壁だ。
一発殴った程度ではヒビさえ入らない。
だが、フーケは今夜のチャンスを逃すつもりは無かった。
今度はゴーレムの拳を鋭角に尖った槍のようなモノに変えて、再び殴らせる。

ガジュッ!!!ガジュッ!!!

立て続けに何度も何度も。流石にこれには堅牢な壁も持たなかったらしく、見る見る無残に穴を穿たれてゆく。
宝物庫の壁に人が通れる穴が出来るのも時間の問題のようだった。
(いけるわ!これで長い間セクハラに耐えてきた苦労が報われるのよ!!)
思わずフーケはこれまでの苦労を思い出す。
毎日行われるセクハラ、セクハラ、セクハラ・・・故郷で待っているあの子を思って、辛くても必死に耐えてきた。
正直露骨にモーションかけて来るコッパゲにもウンザリしていたし、苦労する割には少ない給料に落胆したりもした。
それが、ようやく実を結ぶのだ。
(まっててね、ティファニア!帰ったら二人で美味しいもの食べましょうね!)
もう半ば今夜の獲物を売り払って故郷に帰っている気になっっていたフーケ。
だから、気付けなかった。
巨大なゴーレムの足元。夜の闇に隠れて何モノか達がせっせとゴーレムの足に向けて攻撃を仕掛けている事に。
夜空をまさしく風のように駆け抜ける影と、同じく大地を駆け抜け学園へと急ぐ影とを。
フーケにとって、散々な夜が幕を明ける・・・

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