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ゼロの軌跡-19


ゼロの軌跡

最終話 ゼロの軌跡


「もうすぐリベールに帰っちゃうのね…」
「やっぱり、あっちの世界がレンのいるべき場所だと思うから」

 レコン・キスタ軍を撃退してから数日、タルブ村の住人と魔法学院の教師生徒達、アルセイユの乗組員やアンリエッタ率いるトリステイン軍が協力してタルブ村の復興に取り組んでいた。
 民家の多くは半壊、全壊に近い被害を受けていたし、周辺の森は戦火に巻き込まれ殆どが消失していたが、王女アンリエッタが村の完全復興まで援助することを約束。住民の暮らしは安定を取り戻していた。

「エステルはこんな世界までレンを助けに来てくれたんでしょ。仲間みんなで。…少し羨ましいわ」
「ルイズだって学院挙げての援軍が来たじゃない。それはとっても素敵なことよ」

 エステルはレンが危機にあることを知ると直ちに遊撃士ギルド、リベール王国軍に協力を要請。リベール王家の介添えもあってかそれは無事に叶う。
 七耀教会から借り受けたアーティファクト<方石>を使っての、次元を越えた救出劇が展開されたのだった。

「ルイズはこれからどうするの?」
「何も変わらないわ。これまで通り、貴族として出来ることをやるだけよ。…レンは?また放浪の旅を続けるの?」

 そして、アルセイユの出航の日が決まり、ルイズとレンの別れのときが近付いていた。
 それまでの短い間、ルイズとレンは二人きりで話そうと村の周りをあてどもなく歩いていた。



「レンは…、遊撃士になろうと思うの」

 歩みを止めて、レンは己の決意を語る。

「レンはこれまで流されるままに生きて、そして多くの人達に迷惑を掛けてきたわ。
 でもこの世界に来て、ルイズに会って、トリステインに生きる人々を見て思ったの。この人達を守りたいって。そう感じた。こんな感情を覚えたのは初めてなの。

 かつて私は歪んだ大人達の玩具として扱われ、次は<身喰らう蛇>の駒の一つに過ぎなかった。
 その軛から解き放たれた時、私の中には何も残ってはいなかった。私は死んでいないだけで、生きてすらいなかった。

 私は今度こそ前を向いて歩いていきたい。自分の感情と向き合って進んでいきたい。
 自分の殻に閉じこもって、<パテル=マテル>に盲目的に縋っていた私に別れを告げたい。
 だから、私は遊撃士になる。エステルのように、大切なものを守れるように。

 それを教えてくれたのはルイズ。あなたよ。ありがとう」

 ルイズは答えなかった。いや、答えられなかった。
 少しでも口を動かせば、涙がとめどなく零れそうで。

 二人は出来る限りゆっくりと、アルセイユへ向けて歩き出した。



 アルセイユの発進の時刻になった。既に準備は完了し、残るはレンが乗り込むだけ。
 そして、レンが別れの言葉を述べる。

「さようなら、ルイズ。…また会う日まで」

 その言葉に涙の堰は溢れ、ルイズはレンに飛びついて叫ぶ。

「レン!レンッ!」

 自分よりも幾分か大きいルイズの体を強く抱いてレンは語りかける。

「別れに泣いてはいけないわ。笑顔を見せて。また会えるその日のために」 

 ルイズは涙を拭いて、濡れた頬に笑顔を浮かべて、誓う。

「私は、私は立派な貴族になるわ。
 国のために、民のために、私が守りたい全てのもののために。

 だからまた、会う日まで。さようなら、レン」

 もう一度しっかりと抱き合って、二人は離れる。

 そして、リベールの希望の翼、アルセイユは静かに飛び立っていった。



「行っちゃったわね…。ルイズ、もう涙は止まった?」
「ええ、最後までレンに心配かけるわけにもいかないわ。
 それに約束したもの。私は私の信じる道を、胸を張って歩いていくって」


「魔法を使えない貴族、ルイズが進む道…。ゼロの軌跡ってわけね」

 キュルケの独り言は風の中に消えていった。



 ルイズは歩き続ける。気高き誇りと信念をその胸に。


 Fin.



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