あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Louise and Little Familiar’s Order-05



「あの子がその子?」
「噂通りどこからどう見たって平民だよなあ。」
「でもお似合いなんじゃない?ゼロのルイズにとっちゃさ!」

大学の講義室の様な教室に入るなり始まる、先に来ていた者達によるひそひそ話にルイズは眉を顰める。
一方のミーは、知らない人に取り囲まれた事からか、何一つ言わずルイズのスカートの裾を握っていた。
彼らの周りにいる生き物に関しても、彼女が元の世界にいた時よく見かけた‘どんな動物図鑑にも載っていない不思議な不思議な生き物’と言われているポケモンという生き物に、
似ているものもいれば似ていないものもいる。
それらが、一斉に襲ってくるのではないかという視線を向けるミーにルイズは嘆息した。

(主人がいるのに、勝手に他人を攻撃する使い魔が何処にいるってのよ……)

そしてルイズが適当な場所に腰をかけると、それにつられる様にミーも隣の席につく。
それを見たルイズは「ここはメイジの席だからあんたは座っちゃ駄目。」と言いそうになった。
が、少し離れた席からキュルケが男性陣に囲まれながらもこちらに視線を送っているので、迂闊にああだこうだと言えない。
完全に四面楚歌の状態だ。
ただ一応部屋の中で形式的に仲直りはしたものの、ルイズの頭の中では主人と使い魔の図式が崩れている事は無い。
先程の出来事は全くの予想外だったが、毎度毎度物に釣られる程馬鹿ではない。
これからも掃除や洗濯等の雑用はさせるつもりだし、へまをやらかせば鞭を使う事も辞さないと考えていた。
暫くすると、ローブと帽子を纏ったふくよかな体型の中年女性が現れた。

Louise and Little Familiar’s Order 「The girl who tame all of the beast」

現れた女性、『赤土』のシュヴルーズ女史は教室をぐるっと見回した後、とても満足そうに言った。

「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ。」

大成功?言葉はほとほと選んで使って欲しいものだとルイズは思う。
自分に限って言うのなら、これで大成功と言うのなら他の者達は神を召喚したに等しいんじゃないかとさえ思えてきた。
そんな彼女の心を刺激する様に、シュヴルーズはルイズの方を見てそらとぼけた感じで言った。

「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね、ミス・ヴァリエール。」

教室全体がどっと爆笑した。
今頃知ったような顔して言っても、正直ふざけているのではないかとルイズは思った。
自分が平民を使い魔として喚んだのは、同じく平民であるメイド達の間でも知られている事なのに、教師陣がそれを知らない訳が無い。
更に何処かから追い討ちをかける様な言葉が続いた。

「ゼロのルイズ!使い魔が召喚出来ないからって、その辺を歩いてた平民を連れてくるなよ!」
「違うわ!きちんと召喚したもの!こ、こいつが来ただけよ!」

ルイズは席から立ち上がり烈火の如く怒る。
しかし、そんな彼女を茶化すように言いだしっぺの少年ことマリコルヌが彼女同様に立ち上がって更に冷やかす。

「嘘吐くなよ!『サモン・サーヴァント』が出来なかったんだろう?!」
「出来たわよ!だから言ってるじゃない!!この子が来ただけだって!!ミセス・シュヴルーズ!侮辱されました!風邪っぴきのマリコルヌが私を侮辱しました!」
「風邪っぴきだと?俺は『風上』のマリコルヌだ!風邪なんかひいてないぞ!」
「あんたのガラガラ声は風邪ひいてるみたいなのよ!!それに使い魔の召喚だって、平民を連れてくるなら誰が望んでこんなのを連れて来るもんですか!!」

誰が望んでこんなの連れて来るもんですか……
その言葉に何人かは笑った。何人かはそれもそうだな(よねえ)、と思った。
極僅かな者だけがその発言に対して怪訝そうな顔をした。

「ルイズ。幾ら相手が平民だからってその言い草は無いんじゃないかな?彼女は仮にも小さいレディじゃないか。」

そうやんわりと言ったのは、隣に彼女のモンモランシーを座らせているギーシュだった。
どう反論しようとも必ず難癖を付けられるルイズは彼に噛み付く。

「どう呼ぼうが私の勝手でしょ、ギーシュ!何よ、小さなレディだなんて。馬っ鹿みたい!あんた、綺麗な女の子なら何時もそんな調子の癖に!!」
「失敬だな、君は!もし僕が彼女を召喚したなら、僕は君みたいな扱いはしないと約束する事くらいは出来るぞ!」

そんな彼に対して隣のモンモランシーは、冷ややかな視線と冷ややかなツッコミを入れた。

「……ギーシュ。あなた言ってる事はまともだけど、相手は平民でしかも使い魔よ。いい加減にしておかないと危ない趣味の持ち主だって思われるわよ。」
「な?!ご、誤解だよ、モンモランシー。僕がそんな風になる事など有り得ない!神に誓って有り得ないね!!」

ギーシュは必死になって弁解するが、当の相手はしれっとするばかりである。
三つ巴が四つ巴となり、その規模は段々大きくなる。
ついに教室は休日の城下町にある大通りの様な様相を呈し、言い合いも治まりそうに無くなった。
その様子を見かねたシュヴルーズが手元にある小ぶりな杖を一振りした。
すると、ルイズと少年はすとんと席に落ちた。

「ミス・ヴァリエール、ミスタ・マリコルヌ、そしてミスタ・グラモン。みっともない口論は止めなさい。他の皆さんも……今の話題を蒸し返すような事があれば、この粘土でその口を閉じますよ。いいですね?では、授業を始めます。」


騒ぎはミセス・シュヴルーズによって多少強引ながらも納まった。
それから授業は殆ど滞り無く進んでいくが、ルイズの不機嫌さだけは治まる事が無かった。
隣にいるミーは授業の内容など全く分からないので、5分も経つ頃には居眠りをし始めだした。
使い魔が授業中居眠りをしだしても、それを罰したりする校則は無い。
さっき自分をゼロ呼ばわりしたマリコルヌの使い魔は梟なので、基本的に今の時間は眠っている。
それにミーの寝息は静かなものだし鼾をかいているということもない。
時々ルイズの身にことんと倒れかかる様は、見ていて微笑ましい感情すら出るくらいだ。
だが当のルイズにそんな感情など有りはしない。
倒れかかってきたミーを起こして文句の一つでも言ってやりたかったが、そんな事をすれば彼女を人間扱いする事になってしまうので、必死で我慢する事にした。
教卓ではミセス・シュヴルーズが錬金を行い、ただの土を真鍮に変えてみせている。
あれぐらい簡単な魔法なら何とかなるかなとぼうっとしていると、突然ミセス・シュヴルーズから呼びかけられた。

「ミス・ヴァリエール。あなたに錬金のおさらいをやって貰いましょう。ここにある石ころをあなたの望む金属に変えるのです。さあ、ここにいらっしゃい。」

その瞬間教室の空気が凍りついた。
まさか自分が呼ばれるとは思っていなかったルイズは、突然の指名に慌てて視線をあちこちに泳がせる。
その時キュルケがおずおずと手を上げた。

「はい、ミス・ツェルプストー。」
「あの、ミセス・シュヴルーズ。止めておいた方が良いと思います。」
「それは何故ですか?」
「危険だからです。」

その言葉にルイズを除く教室の生徒が一斉に頷いた。
ミセス・シュヴルーズは生徒達の反応を不思議に思った。
自分はこのクラスをもった事は去年一度も無い。
だが、ルイズがかなりの努力家だという事は他の教師達から聞かされていた。
そんな彼女の感情を無碍にするわけにはいかない。
第一、錬金の授業が危険などそうそう滅多にある事では無い。

「ミス・ツェルプストー。錬金の魔法を行なうのですよ。危険な事など無い筈です。さあ、ミス・ヴァリエール。失敗を恐れるなら進歩はありませんよ。こちらにいらっしゃい。」

ルイズは寄りかかっていたミーを離して席から立ち上がる。
彼女にとってキュルケの一言はかなり癇に障った。

「ルイズ、止めて。」

キュルケが蒼白な顔で頼み込むものの、ルイズは聞く耳を持たずに逆にキュルケを一睨みする。
そして教卓の前に来たルイズにミセス・シュヴルーズは優しく言う。

「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を心の中に強く思い浮かべるのです。」

その言葉にルイズは頷き、杖を振り上げてから呪文を唱える。
このままでは不味いと思ったキュルケは、未だに眠り続けているミーを自分のところまで運び、机の下に連れ込んだ。
その段になってやっとミーは目を覚ました。

「あれっ?キュルケお姉ちゃん、どうしたの?ねえ何で皆隠れているの?」
「あ、危ないから頭伏せてなさい!怪我するわよ!」

だが最後の方は最早聞こえなかった。
突然、目の痛くなる様な閃光の次に爆風と爆音が起き、次いで爆煙が濛々と部屋の中にたちこめたからだ。
煙が晴れた時には教室は上へ下への大騒ぎだった。
石ころは机と共に木っ端微塵になっていて跡形も無い。
ミセス・シュヴルーズは床の上で仰向けになって倒れている。
痙攣していることから命に別状は無いと思われるが、気を取り戻すには少しばかり時間がかかりそうである。
そして一番厄介だったのが、使い魔が暴れだした事だった。
逃げるもの、どこかの誰かに噛み付くもの。教室はあっという間に阿鼻叫喚の図となった。
それはキュルケのサラマンダーことフレイムとて例外では無い。
眠っていたところをいきなり叩き起こされたせいか、完全に興奮状態のままあちこちに火を吹いている。
そんなフレイムがミーの方に近寄りだした。

「あ……あ、やだぁ……こっちに来ないで。あっちに行ってぇっっ!!」

その興奮状態からしていつ火を吹いてもおかしくは無い。
ミーも完全にパニック状態になってしまう。
キュルケは直ぐにそこに駆けつけようとするものの、爆発の時に倒れた机が足の自由を奪っていた。
最悪の状況だ。フレイムはキュルケ以外の者の言う事を聞く事など無いに等しい。

「フレイム!落ち着いて!落ち着きなさい!」

キュルケは声をあらん限りに大きくして叫ぶが、フレイムが落ち着く気配は見えない。
これまでかと思われたその時だった。
咄嗟にミーがフレイムに対して翳した右手にあるルーンが強く光りだした。
それに続くように、興奮しきっていたフレイムが段々と借りてきた猫の様に大人しくなっていく。
終いには、嫌がるミーにはお構い無しにその身を摺り寄せ始めた。
キュルケにしてみれば不思議な事だった。自分の声で止まらなかったのに何故だろうか……?
その時丁度ルイズがゆっくりと起き上がる。
煤と煙で真っ黒になったルイズは自分の衣服が乱れているにも拘らず、取り出したハンカチで顔を拭きながら淡々と言った。

「ちょっと失敗したみたいね。」

その一言に周りから猛然と怒号が飛んだ。

「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「いつだって魔法の成功確率ゼロなんだから!」
「だからあれほどやらせるなって言ったのに!」
「俺のラッキーが蛇に喰われたぞ!どうしてくれるんだよ!」

だがその怒号の輪の中にキュルケはいない。
彼女は倒れた机からやっと出た後、ずっとミーとフレイムを交互に見ながら考えていた。
フレイムは下手な所を触れば忽ち機嫌を悪くしてしまう。
事情を知らない人間にとっては尚更だ。
では何故ルイズの使い魔、ミーがあっさりとフレイムを手なづけたのか。
何故ミーの右手にあるルーンが光ったのか。
様々な謎は深まるばかりだった。



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