あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

平気で人を撃つ使い魔

私の召喚した使い魔は、とても強かった。
小柄な私よりも更に頭一つ分足りないくらいの小ささ。
額からは、先端で先分れした細長い角が生えていた。
両肩には黒い円筒がついている。
橙色の小人のような、未知のゴーレム。

―――――――――――

ある時。
その使い魔は、一人の貴族と無謀とも思える決闘をした。
相手は土のドットクラス。
メイジとしては然したる相手ではないが、それこそ一介の使い魔、
ましてや「ゼロのルイズ」と呼ばれるこの私が呼び出したゴーレムなどに、
彼を倒すことはできない。
その時の私は、そう思っていた。

結果、私の使い魔はあっさりと勝利した。
私は驚愕した。
貴族……「ギーシュ・ド・グラモン」の繰り出した、青銅のゴーレム「ワルキューレ」。
私の使い魔に、ワルキューレは一直線に迫った。
使い魔はただその場に立ち尽くす。
私は叫んだ。早く逃げろと。
次の瞬間、顔を打ち砕かれ仰向けに倒れたゴーレムの姿が、私の目に飛び込んだ。
しかしそのゴーレムは、私の使い魔ではなかった。
拳一つでワルキューレを黙らせた私の使い魔は、首を捻り拳を鳴らしてみせる。
立ち上がろうとしたワルキューレに、私の使い魔は容赦なく追い討ちを加えた。
拳と蹴りを何度もお見舞いしてやると、ワルキューレはボロボロに砕けて、
すっかり動かなくなってしまったのだ。
ギーシュはうろたえた。
すぐさま7体のワルキューレを作り上げると、急いで私の使い魔にけしかけようとする。
だが突如、一体のワルキューレの顔面が吹き飛ぶのである。

伸ばした右腕から煙を吐き出した私の使い魔。
それを見たギーシュは理解した。
ワルキューレに何が起きたのか、ではない。
目の前の使い魔が笑っていることに。
使い魔は、決して声を上げて笑っているわけではなかった。
ゴーレムなので表情はわかり辛かったが、その使い魔の光る目が細くなるのを見た彼は理解した。
そして煙が抜けた右腕を下げ、その替わりに左腕を上げた私の使い魔。
今度はわかった。
何が起こったのかが。
弾丸の雨だ。
使い魔の左腕から放たれる弾丸の雨。
この国の銃器では到底真似のできないものだ。
もの凄い勢いで放たれ、ばら撒かれた弾丸に、あっという間にワルキューレ6体は蜂の巣にされてしまう。
ゆっくりと使い魔が歩き出した。
ギーシュは恐怖に慄き、その場にぺたんと座る。
使い魔が右腕の銃口を、彼の額に突きつけると、彼は涙ながらに許しを請った。
私は驚愕した。

―――――――――――

「どうした、相棒? 柄にもなく、だんまりしちまってよ」
「あー、ちょっとな」
「折角の舞踏会だぜ。楽しまなくていいのか?」
「うるせーなあ。俺はダンスなんて踊れねーんだよ」
「ふーん、そうなのかい。おっと、おめえさんのご主人様のお目見えだぜ」
「あっそう。……どーでもいいっつうの」
「ちょっと! どーでもいいはないでしょ!」
「うへはっ!? いつの間に後ろに来てるんだよ!!」
「アンタがボーっとしてるから気がつかないだけでしょ! 何してるのよ、こんなとこで」
「なんもしてねーよ」
「まったく。それよりもアンタ、あたしの相手しなさいよ」
「あー? 俺に喧嘩を挑もうってのか」
「もう! そうじゃないでしょ!」

―――――――――――

彼はこの世界の生き物ではないと言う。
生き物、と聞いて最初は訝しんだりしたが、彼は自分の事を生き物だと強く主張した。
彼の頭脳にあたる「六角貨幣石」を、素体……つまり今の彼の身体にとりつけることによって、
初めて行動が可能となるらしい。
その他、頭部・右腕・左腕・脚部の四つに分けられた装甲を取り付けることによって、
様々な力を引き出すのだと言う。
その証拠に、彼は「土くれのフーケ」と呼ばれる盗賊の作り出した巨大なゴーレムに、
破壊の杖を左腕に装備して戦い、見事に勝利した。

彼は私にとって、優秀極まりない戦闘力を持った使い魔だった。
後々手に入れた様々な装甲によって、あらゆる局面で私を助けてくれた。
とても素晴らしい使い魔と言えよう。
ただひとつ、問題を挙げるとするのなら、非常に性格に難があるのであった。
それこそ気まぐれで、我侭で、短気で、乱暴で、口が悪くて、あまり賢くないときている。
全部私にも当てはまるではないかと、キュルケの奴は言っていたが、私はそれを認めない。

「もう、そうじゃなくて……」
「こうか?」
「足踏まないでよ!」
「ガー! 難しい!」

とても子供っぽい奴だ。
だけど、とっても真っ直ぐした奴。
私はそんなコイツのことが、嫌いじゃない。

―――――――――――

「どうしたのよ、そんなぼんやりしちゃって」
ふいに少女が話しかけてきた。
不本意ながら、自分のマスターを務めさせてやっている少女だ。
その少女の部屋で、ぼんやり窓から夜空を眺めていた俺は、振り返る。
「別に何でもねえよ。気にするな」
素っ気なく答えると、少女はそれ以上言及することはなかった。

この世界で、あとどの位動いていられるか、自分にはわからなかった。
既に、身体の中に残されたオイルの量は半分を切った。
オイルくらいなら、探せば見つかるかもしれない。
あちらこちらから悲鳴を上げるマッスルケーブルは、もう完全にお手上げだ。
本来、素体や装甲は、非常にデリケートなものなのだ。
少し動くだけでも、あちこちで破損が生じる。
元の世界では、頻繁に送られたり補充されたりするエネルギーによって、
ナノマシンが各部を随時修理を行っていた。
しかし、この世界でそれはできない。

(すまねえな……ルイズ)
こちらの視線に気がついたのか、少女は首を傾げて言った。
「どうしたのよ。今日のアンタ、ちょっと変よ」
「ああ、大丈夫だ」
いまひとつ納得できないようだったが、少女はそれ以上気にしないことにしたようだった。

向こうの世界では、既に無用の代物となってお払い箱となってしまったこの使い魔。
突然少女に召喚された時は、驚いたり怒ったりもした。
しかし、今となっては彼女も自分を必要としてることもあって、非常に現状を喜んでいる所であった。
だから彼は、ほどなくして自分が動けなくなり、こんどこそ本当に無用の代物になってしまうのが怖かった。
諦めて、腹を括るしかない。
そう結論付けても、やはり心の隅では暗い感情が募るばかりだった。
そうして仕方がなしに、楽な姿勢で窓から夜空を眺めることぐらいしか、
今の彼にできることはなかったのである。
(その時まで、精々楽しくやらせてもらうか)

―――――――――――

翌朝

「メタビー君! メタビー君! 君の言っていたメダロッチとやらが、宝物庫の中にありましたよ!
どうやらちゃんと動くようですよぉ!」
「あらら~」
長い付き合いになりそうだ。

めでたしめでたし

(「メダロット」よりメタビー)



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