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異世界BASARA-44


異世界BASARA-44


『女神の杵』亭の一室……
大きい欠伸をし、キュルケはベッドから起き上がった。
見回してみると、タバサの姿がない。窓から外を見てみると、もう朝のようだ。
キュルケは身なりを整えると、部屋を出て下に向かった。

酒場に下りてみると、タバサがテーブルに座ってサラダを食べている。
同席にはギーシュとその使い魔、氏政もいた。
しかし、その顔には生気がない。目は充血し、大きな隈が出来ていた。
「や、やぁ。おはようキュルケ……」
「どうしたのその目……あなた寝てないの?」
「いやぁウジマサに説教していたら長くなっちゃって……ついさっき終わったんだよ……」
そう言って軽く笑った後、氏政とほぼ同じタイミングでテーブルに突っ伏した。
しばらくすると、大きなイビキが2人の口から漏れてきた。
ギーシュと氏政を放っておき、キュルケはタバサの隣に座る。
「お、起きたかキュルケ殿!遅いぞぉ~」
その時、入り口から前田利家とワルド、続いてルイズが入って来た。
しかし、幸村の姿だけが見当たらなかった。



幸村は未だ練兵場に留まっていた。
「いやぁ負けちまったな相棒」
利家に渡されたデルフリンガーが話し掛けてくる。
「……ま、心ここにあらずで勝てる程あいつは甘くねぇよ。ありゃ相当の使い手だ」
だが、幸村はデルフリンガーの声など聞こえてはいなかった。
それよりも、利家とワルドの言葉が頭から離れなかったのだ。

その夜、幸村は部屋から月を眺めていた。
他の者は1階の酒場で酒を飲んで騒いでいる。
途中で利家とキュルケが誘いに来たが、幸村はそれを断った。
2つの月が重なり、1つになって青白く輝いている。
まるでそのまま月に吸い込まれそうな気持ちになった。


ふと、幸村は甲斐にいた頃に月見をしていた時の事を思い出した。
『幸村よ。何でも、あの月には兎がおり、何百年もの間餅をつかされ続けているらしい……』
『なんと!?そのような拷問をかけるとは!我等で何とか出来ぬのでしょうか!?』


『幸村……』
『お館様!』


『大将~~団子持って来ましたよ……』


『うおおおぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』ブンブンブンッ!!
『うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』ブンブンブンッ!!

『ちょ!?大将に旦那!何やってんの!?』



『ゆけぇい幸村!!月まで飛び、兎を救い出すのじゃあぁぁぁぁぁ!!!』ブンブンポーイ……
『果たしてみせますぞおおおぉぉぉぉぉぉーーー…………』
『旦那あああぁぁぁぁぁ!!!!』

あの後は大変だった。
そのまま奥州まで飛んで行ってしまい、独眼竜と一戦交える事になってしまったのである。
だがそれも、ハルケギニアで一生を暮らす事になった時には良い思い出になっていた。
だが、またあの世界に帰れるかもしれない……
それを思うと、胸の内からどうにも熱い何かが込み上げてきた。


「うぅおおおぉぉぉぉぉああぁぁぁぁぁ!!!!!」


気づいた時には、幸村は声を上げて泣いていた。
今まで押しとどめていた甲斐への思いが一気に爆発したかの如く、月に向かって吼えた。

「ユキムラ!」
が、急に後ろから名前を呼ばれる。
幸村は涙を流したまま後ろを振り向くと、部屋の扉を背にして、ルイズが腕を組んで立っていた。
「大声がしたから何事かと思ったら……負けたからってそんなに泣かなくてもいいでしょ?」
「こ、これは違いまする!」
幸村は必死に涙を拭って言った。
「甲斐の……拙者の元の主、お館様の事を思い出していたのでござる」

それを聞いたルイズは俯いてしまう。
「な、何よそれ……そそそそんなに帰りたい訳?」
次第にルイズの声が震え始め、怒りの篭った声になっていった。

「わわ私だって迷惑しているんだから……部屋のドアだって壊しちゃうし、どどどどうやったらあんな馬鹿力出せるの?」
「申し訳ございませぬ……」
「それに、すぐに周りが見えなくなるし、声も大きいし!あああんたみたいな使い魔なんてね、こ、こっちから願い下げなのよ!」


「拙者では、使い魔など無理なのでござろうか……」


突然、幸村が弱気な言葉を呟いた。
「な、何よ……そこまで落ち込まなくても……」
「申し訳……ございませぬ」
幸村はまた謝る。
正直、ルイズはこんな幸村は初めてだった。そのせいかルイズはしどろもどろになってしまい、顔を背けた。
「べべ、別に今すぐ使い魔を辞めろだなんて言ってないわよ?こ、声の大きさだってあんたが気をつければいいだけだし……」
次第にルイズの声が小さくなっていく。

「ルイズ殿」

と、幸村がルイズの名を呼んだ。
「実は今朝、前田殿から元の世界に帰れるやもしれぬという話をしていたのでございます」
ルイズは思わず幸村の顔を見てしまう。
「もし帰れるのであれば……拙者は帰りとうごさいます」
「そっ、そう……」
帰りたいという言葉にルイズの胸が少し痛くなる。
「ま、まぁ私はあんたが帰っても大して困らないわよ。べ、別の使い魔をまた召喚すればいいだけだし……でも!」
まるで胸の痛みを誤魔化すように、少し大きめの声でルイズは言った。
「ハルケギニアにいる間は私の使い魔なんだから!それまではちゃんと私の傍にいなさいよ!」

「やはりルイズ殿は心優しき御方にござるな」
「えっ?」
幸村はそう言って微笑む。
その笑顔が以前夢に出てきた幸村のようで、ルイズは赤くなった。
「この幸村!ルイズ殿の元で働いた事を真に嬉しく思います!」
「そ、そう?ま、まぁ当然よね。そ、それじゃあ私1階に戻るわ」
「はっ!」

ルイズは部屋を出ようとする。が、途中で思い出したかのように立ち止まった。
「そうだ。あのねユキムラ、私ワルドと結婚……」
ルイズが言いながら振り向いたが、幸村はその言葉を途中までしか聞けなかった。


何故なら


岩で形成された巨大な腕が、幸村を叩き潰したからだ。


叩きつけられた腕の振動で、ルイズは尻餅をいた。
ルイズはその腕を見る。間違いない、これはゴーレムだ。
腕だけでもゴーレムの大きさが想像できる。こんなのを作る事が出来るのは、トライアングルクラスだろう。
だとしたら……まさか……

「フーケ!!」

「感激だわ、覚えていてくれたのね」
名を呼ばれ、ゴーレムの肩に座っていたフーケは嬉しそうに言った。
「あんた……牢屋に入れられた筈じゃ……」
「親切な人がいてねぇ……私みたいな美人はもっと世の中の為に役に立たなくてはいけないと言って出してくれたのよ。それで……」
フーケの目が吊り上り、狂的な笑みが浮かんだ。


「素敵なバカンスをありがとうって、礼を言いに来たんだよ!!!!」




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