裏庭で対峙する二人の男。
一人はギーシュ・ド・グラモン。 名だたる武の名門、グラモン家の子息。
一人はシュージ・クサカリ。 その名も高き無能メイジ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔。
一人はギーシュ・ド・グラモン。 名だたる武の名門、グラモン家の子息。
一人はシュージ・クサカリ。 その名も高き無能メイジ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔。
「たかが平民風情に本気になるのも大人気無いが、やはり平民如きが貴族に無礼な口を利くのを
放置するわけにはいかないからね」
気障ったらしく手に持つ薔薇の造花を振ると、ひとひら落ちた花びらが地に付き、2メイル程の甲冑の騎士が姿を表す。
「さあ、僕のワルキューレよ。あの平民の相手をしておあげ
君がちょろっと撫でれば泣きながら謝るだろうね
『生意気な口を利いて申し訳ありませんでした、偉大なるギーシュ・ド・グラモンさまぁ』とね」
「やめなさいよギーシュ!
それこそ平民相手にみっともないじゃない」
「これだからゼロのルイズは・・・・・・
礼儀とか身の程とかを知らない平民を教育するのも貴族の義務なのだよ
魔法も使えない君には分からないだろうけどね」
放置するわけにはいかないからね」
気障ったらしく手に持つ薔薇の造花を振ると、ひとひら落ちた花びらが地に付き、2メイル程の甲冑の騎士が姿を表す。
「さあ、僕のワルキューレよ。あの平民の相手をしておあげ
君がちょろっと撫でれば泣きながら謝るだろうね
『生意気な口を利いて申し訳ありませんでした、偉大なるギーシュ・ド・グラモンさまぁ』とね」
「やめなさいよギーシュ!
それこそ平民相手にみっともないじゃない」
「これだからゼロのルイズは・・・・・・
礼儀とか身の程とかを知らない平民を教育するのも貴族の義務なのだよ
魔法も使えない君には分からないだろうけどね」
ふっと笑ったギーシュの、その顔のすぐ横を何かが通り抜けていき校舎の壁に突き刺さる。
その場の空気がまるで『固定化』でもかけたかのように固まり、ギーシュは引きつった表情でワルキューレに
コテンパンに叩きのめされているはずの平民に視線を向ける。
しかしそこに彼のゴーレムは無く、ただ正拳突きの姿勢をとっている無礼な平民の姿があるだけだった。
油の切れかけたようにぎこちなく首を回してみると、愛しいワルキューレは上半身めり込ませた状態で壁に突き刺さっていた。
「わかった」
「な・・・・・・何がだい?」引きつった笑顔のギーシュ・ド・グラモン。
「僕に叩きのめされれば、君は彼女らに謝るというんだね
なら君を殴り飛ばしてあげよう
他の誰でもない、君のために」
この言葉に、ギーシュの元々そう長くない堪忍袋の緒がブチ切れた。
「ならばやってみるがいい!」
即座に、周囲に六体のゴーレムが現れる。
素手だった先ほどのと異なり剣に槍にメイスと重武装だ。勿論全員(全機?)盾を構えている。
「このグラモン家四男、ギーシュ・ド・グラモンを謝らせられるというのなら!」
その場の空気がまるで『固定化』でもかけたかのように固まり、ギーシュは引きつった表情でワルキューレに
コテンパンに叩きのめされているはずの平民に視線を向ける。
しかしそこに彼のゴーレムは無く、ただ正拳突きの姿勢をとっている無礼な平民の姿があるだけだった。
油の切れかけたようにぎこちなく首を回してみると、愛しいワルキューレは上半身めり込ませた状態で壁に突き刺さっていた。
「わかった」
「な・・・・・・何がだい?」引きつった笑顔のギーシュ・ド・グラモン。
「僕に叩きのめされれば、君は彼女らに謝るというんだね
なら君を殴り飛ばしてあげよう
他の誰でもない、君のために」
この言葉に、ギーシュの元々そう長くない堪忍袋の緒がブチ切れた。
「ならばやってみるがいい!」
即座に、周囲に六体のゴーレムが現れる。
素手だった先ほどのと異なり剣に槍にメイスと重武装だ。勿論全員(全機?)盾を構えている。
「このグラモン家四男、ギーシュ・ド・グラモンを謝らせられるというのなら!」
その場にいる生徒たちは己の目を疑った。
ゼロと侮蔑される少女は呆然とし、豊満なスタイルを誇る少女は瞳をキラキラと輝かせ、寡黙な少女は本を取り落とす。
これは何かの間違いだ。
ただの平民がゴーレムを殴り飛ばし、蹴り倒し、投げつけるなんて。
いままた平民がジャンプして、ゴーレムの頭部を両足で挟み込むと空中で回転をする。
ゴーレムはそのまま頭頂から地面に地面に叩き付けられ、粉微塵に粉砕される。
もはやギーシュに残されたのは左手をもぎ取られた、メイスを持つ一体のみだった。
「あわわわ・・・お、お前はいった・・・・・・」
「はあ!」
平民が振り上げた両手を揃え、最後のゴーレムに打ち付ける。
世に言う拝み打ちを受けたワルキューレのボディは寸瞬たりともその一撃を止める事ができず
手刀は彼女の左肩から胸中央までめり込んだ。
「くううううううううううう、おりゃ!」
そんな掛け声とともに彼は両手を勢いよく開き、ゴーレムは真っ二つに引き裂かれていく。
ゼロと侮蔑される少女は呆然とし、豊満なスタイルを誇る少女は瞳をキラキラと輝かせ、寡黙な少女は本を取り落とす。
これは何かの間違いだ。
ただの平民がゴーレムを殴り飛ばし、蹴り倒し、投げつけるなんて。
いままた平民がジャンプして、ゴーレムの頭部を両足で挟み込むと空中で回転をする。
ゴーレムはそのまま頭頂から地面に地面に叩き付けられ、粉微塵に粉砕される。
もはやギーシュに残されたのは左手をもぎ取られた、メイスを持つ一体のみだった。
「あわわわ・・・お、お前はいった・・・・・・」
「はあ!」
平民が振り上げた両手を揃え、最後のゴーレムに打ち付ける。
世に言う拝み打ちを受けたワルキューレのボディは寸瞬たりともその一撃を止める事ができず
手刀は彼女の左肩から胸中央までめり込んだ。
「くううううううううううう、おりゃ!」
そんな掛け声とともに彼は両手を勢いよく開き、ゴーレムは真っ二つに引き裂かれていく。
シュージはそのままゆっくりと、もはや身を守る術の無いドットメイジにむかって歩み寄る。
「ひっ」
腰が抜け、その場にへたり込むギーシュ。
もはやプライドも対面も無くずりずりと尻を地に擦り付けながら逃げようとするが、当然の如く無駄な行為だった。
眼前に立ちはだかる恐怖に、もはや泣き叫ぶ事すらかなわない。
しかし、その恐怖はにっこりと笑うと、語りかけてきた。
「さ、彼女たちに謝ってくれるね」
「ひっ」
腰が抜け、その場にへたり込むギーシュ。
もはやプライドも対面も無くずりずりと尻を地に擦り付けながら逃げようとするが、当然の如く無駄な行為だった。
眼前に立ちはだかる恐怖に、もはや泣き叫ぶ事すらかなわない。
しかし、その恐怖はにっこりと笑うと、語りかけてきた。
「さ、彼女たちに謝ってくれるね」
恐れ慄いた見物人が逃げるようにその場を去るなか、やれやれと素手でゴーレム七体を粉砕した魔人は木にへたり込む。
「凄いじゃないシュージ!アンタあんなに強かったんだ!」
ピンクの髪のご主人様が満面の笑みで彼に語りかける。
「たいしたこと無いよ」
「ゴーレムを素手で引き裂くのは、十分たいした事」
翼竜を傍らに置いた寡黙な少女の言葉にシュージは答える。
「そりゃ最初からあんな事が出来るように生まれついたのならたいした物だけどさ、違うからね」
「違うの?」
「ああいう事が出来るように鍛錬したからね、ある意味出来るのはあたりまえさ」
「それって普通とは言わない」
「凄いじゃないシュージ!アンタあんなに強かったんだ!」
ピンクの髪のご主人様が満面の笑みで彼に語りかける。
「たいしたこと無いよ」
「ゴーレムを素手で引き裂くのは、十分たいした事」
翼竜を傍らに置いた寡黙な少女の言葉にシュージは答える。
「そりゃ最初からあんな事が出来るように生まれついたのならたいした物だけどさ、違うからね」
「違うの?」
「ああいう事が出来るように鍛錬したからね、ある意味出来るのはあたりまえさ」
「それって普通とは言わない」
そこに姿を表したのは、たった今コテンパンにやられたギーシュ・ド・グラモン。
「三人に謝ってきたよ」
「三人?」
「モンモランシーにケティ、そしてミス・シエスタにも謝罪してきたよ」
仮にも貴族が、同じ貴族である二人にはともかく平民のメイドにまで謝罪するのは尋常でない勇気が必要だったろう。
「しかし、何故あんなに執拗に謝らせようとしたんだい?」
その言葉に、ふっと寂しげに天を見やるシュージ。
まるでそこに誰かの顔を見出そうとしているかのようだ。
「僕にはね、好きな子がいたんだ
ひどく世話を焼いてくれてね、僕の事を好きって言ってくれた
色々迷惑もかけてね
謝りたい、と思う事も沢山あったよ
でも もう会えない」
その言葉に、固まる一同。
「だからね、グラモン君
君はまだ謝る事が出来るんだから、謝る事をためらっちゃいけない
それは、多分君にとってとても悲しい事なのだから」
「三人に謝ってきたよ」
「三人?」
「モンモランシーにケティ、そしてミス・シエスタにも謝罪してきたよ」
仮にも貴族が、同じ貴族である二人にはともかく平民のメイドにまで謝罪するのは尋常でない勇気が必要だったろう。
「しかし、何故あんなに執拗に謝らせようとしたんだい?」
その言葉に、ふっと寂しげに天を見やるシュージ。
まるでそこに誰かの顔を見出そうとしているかのようだ。
「僕にはね、好きな子がいたんだ
ひどく世話を焼いてくれてね、僕の事を好きって言ってくれた
色々迷惑もかけてね
謝りたい、と思う事も沢山あったよ
でも もう会えない」
その言葉に、固まる一同。
「だからね、グラモン君
君はまだ謝る事が出来るんだから、謝る事をためらっちゃいけない
それは、多分君にとってとても悲しい事なのだから」