あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

蒼炎の使い魔-05

食堂

彼女達が食堂に着くころにはすでに生徒達で賑わっていた。
食堂は広く、高級レストランを彷彿とさせるつくりになっていた。
ルイズは席の前に立つとカイトを見る。
「椅子ぐらい引きなさい」
「…」
彼は少し間を空けた後、彼女の前にある椅子を引いた。

10歩以上はなれたところまで。

「ちょっ、どこまで持っていくのよ!」
あわててカイトから椅子を奪い席に着く。
周りはそのやり取りを見て笑っている。
ルイズは少し赤面しながら、食事の前の祈りを始める。
それが終わると、彼女は適当に料理を皿に入れて、床に置いた。
「あんたの分よ。感謝しなさい、私の計らいでここに居させてあげるんだから」
彼女なりの配慮なのだろう。しかしカイトはやはり答えずに立っているだけだった。
「食べないならいいわ、勝手にしなさい」
不満だったと思ったのかルイズはそれを無視して食事を始めた。

ふと、思い出したかのようにカイトの方を振り返り、
「そういえば、洗濯はしてくれた」
「…?」
「昨日渡したやつよ!洗濯しろって言ったじゃない!」

…ああ、これの事か。




カイトはどこからとも無く、彼女の衣類を出した。
当然下着も入っている。
「こここここんなところで出すんじゃ無いわよ!!早くしまいなさい!!」
ルイズは怒鳴った。それはもう思いっきり。食堂にいた生徒達はルイズのほうを見る。
彼女にとって幸いだったのは、すぐにしまったため衣類を見られなかったことだろう。
周りの視線に居た堪れなくなったのか、内心あせりながらも普通に振舞い食堂を出て行った。

(あ~、ほんとに何なのよこいつ。しゃべらない、意味が通じない、空気読まない
 ないないばっかでまるで私みたいじゃな、っといけない。とにかく今日は授業を休んで
 しっかりこいつを調教しなきゃ)

この間約2秒。
食堂での1件が尾を引いているのか、今日の授業に彼女は出たくなかった。
ルイズはこの日初めて授業をサボったのだった。




ルイズの部屋

ルイズは部屋に戻り、椅子に座ると目の前の使い魔に質問をした。
「カイト、これから私の言うことに答えなさい。
 『はい』なら首を立てに振りなさい。『いいえ』なら横よ。分かったわね」
「…」
首を縦に振る。分かったのだろう。
質問を始める。
「まず最初に、私のことが分かる?」
『はい』
「私の言ってることも分かる?」
『はい』
「私の言ってる事の意味は分かる?」
少し考えたようなそぶりを見せて、カイトは首を横に振った。
「洗濯は?」
『いいえ』
「椅子を引く意味が分からなかった?」
『いいえ』

あきれた。これではまるで赤ん坊ではないか。
「あんた、本当に『平民』?」

「ふう…、こんなところね」
ルイズはその後、使い魔としての一般常識を教えていた。
曰く、
  • 洗濯は朝早く起きて外にある川で済ませること。
  • 別に四六時中くっついてこなくてよい。
  • 何か食べたくなったら、厨房でもらってくること。
etc.etc…


「分かった?」
ルイズが聞くとカイトはうなずく。
分かったのだろう。昼時まで説明した甲斐があったというものだ。

そろそろ昼食の時間だ。
お腹が減ったルイズは再び食堂に向かう。
席の前に立つと無言でカイトは椅子を引く。
早速教えた効果があったのだろう。ちゃんとやってくれた。
その後食事をしていると、ふと近くの席から声が聞こえてきた。
何だろう、ルイズはそちらを見る。
そこにはメイドが貴族に頭を下げている光景だった。
あれ、ギーシュじゃない。
「君のせいで2人の女性が傷ついてしまった」
どうしてくれる、とメイドに詰め寄る。
メイドのほうは目に涙をため、ひたすら謝っていた。
この男はどうやら2股がばれたのをこのメイドのせいにしたらしい。
完全な八つ当たりだ。
しかし、周りはそれを見てにやついている。
この場にメイドの味方は居なかった。


そのやり取りにルイズは不快感をあらわにしてギーシュに突っかかった。

「ちょっと、あんた2股がばれたからって八つ当たりよしなさいよ」
ギーシュが彼女を見る。
「おや、これは『ゼロ』のルイズ。平民の盾になろうとするのはどういう風の吹き回しだい?
 君は貴族の誇りもゼロのようだな」
ちょうどいいストレス発散を見つけたのか矛先はルイズにむかった。
実際彼女自身なぜ不快に思ったのか分からない。

そしてギーシュはルイズへの罵倒をやめない。
回りもそれをとめずに笑いながらそれを見ている。
ルイズは耐えていた、涙を目にため、服を握り締め、うつむいて。

クスクス…

何かが彼女を笑う。
生き物のようで生き物ではない。感情の塊といったところか。
それはギーシュから聞こえていた。
その声は不快で気持ち悪く、今にも爆発させたい衝動でいっぱいだったが、
ギーシュは「ドット」といえどそのレベルは高い。
力で押さえつけられないし、そんなこともしたくなかった。


自分では何もできないのか

そう思った瞬間、

カイトが動いた。

ルイズの前に庇うようにしてカイトが立つ。
「カイト?」
目の前にたった使い魔を見てルイズがつぶやく。

「なんだい君は?」
「…」
「ああ、ルイズが召喚したという使い魔か。さすがだな平民を呼び出すなんて」
「…」
「傑作だな!君は何もいえないらしい。とっとと逃げて部屋で泣いてるがいいさ」
「…レ」
「何?」
「…ダマレ」
「何だと!?」

カイトは感情を覚えていた。
「怒り」である。
マスターを笑うギーシュが許せなかった。
そして、カイトは気づいていた。
「感染」していると。


「どうやら君は貴族に対する礼儀を知らないようだ。外に出たまえ!「決闘」だ!!」
ギーシュは目の前のカモに喜んでいた。
思い通りだったはずの日常が崩れ去り、言葉だけでは満足できなくなっていた。
そう、彼がほしかったのは何かをボロボロにする「口実」だったのだ。

彼が平常時だったらここまで嫌味は言わなかっただろう。
しかし今の彼の体には微弱ながらも黒い点がうごめいていた。

ルイズは目の前の展開についていけなかった。
ギーシュがメイドを傷つけようとして、
自分が庇って、
馬鹿にされて、
カイトが立って、
いつの間にか決闘をすることが決まってた。

すでにギーシュは広場に向かっている。
カイトがそれに続こうとしたとき、慌てて彼女は止める。

貴族に平民は絶対に勝てない。
私が謝るから行かないで。

ルイズはあらゆる理由をつけて説得を試みていた。
それは説得というより懇願に近かった。
再び泣きそうになるルイズにカイトは声を出した。

「ダイジョウブ」

そういってカイトは周りの生徒達についていった。


場所は変わりヴェストリの広場。

「ギーシュが決闘するぞ!相手はルイズの平民だ!」
誰かが叫ぶ。
すでに何十人もこの「娯楽」を見たいがために集まっている。
円を描くように立っている生徒達の中心にはギーシュが悠然と立っていた。
それはまるで「挑戦者」をまつ「チャンピオン」。
ギーシュは生徒たちの中ではレベルが高いほうだろう。
なぜか分からないが気分が高揚し、何者にも自分は負けないと思っていた。

「それにしても遅いな、まさか逃げたとか?」
ルイズが説得中だったのは知る由も無い。

やがて、この広場に獲物が来た。
ギーシュは口元を吊り上げて笑う。

「よく来たじゃないか。逃げたかと思ったよ」
「…」
ギーシュが笑うがカイトは取り合わない。
「怖くて話せないのか?まあいい。はじめようじゃないか。」
「…」
ギーシュは持っていたバラを錬金して1体のゴーレムを作り出す。
「僕の2つ名は『青銅』だ。だからこのワルキューレがお相手するよ」


黙って立っていたカイトが動きを見せる。
両手を後ろの腰の辺りにもって行き、どこからともなく双剣をとりだす。
カイトがそれを前に持ち腕を交差したときに3つの刃が開く。
双剣の名前は「虚空ノ双牙」。
かつて、トライエッジと間違えられた彼の、
女神から受け取ったひとつだけの武器だ。
そしてそれと同時に静かにルーンが光りだす。

「あ、あいつどこから出したんだ!?」
「た、単に隠してただけに決まってる!」
驚きの声が聞こえる。
「どうやら準備はできたようだが…、覚悟はいいね?」

ぶちのめされる覚悟は。

「…ナイ」
「何だと?」
カイトが何か言うがギーシュは聞こえなかったようだ。

「ショウブニナラナイ」

ギーシュの顔から笑みが消えた。
狩られる獲物が今なんていった?
黙って殴られればいいんだ。
ギーシュの顔には怒りがでている。
「何だと貴様ああああああ!!」
狩りがはじまる。それはどちらが狩られるほうなのかこの場に居る者はまだ誰も知らない。


仕掛けたのはギーシュだ。
一体のワルキューレをカイトに向かわせる間に数体のワルキューレをつくりだす。
向かっていったワルキューレは拳を振り上げカイトに殴りかかった。
この場に居る誰もが殴り飛ばされると思っていた。
しかしそれは左腕に持っていた剣にたやすくとめられる。
「な!?…やるじゃないか!これならどうだ!」
一気にワルキューレが襲い掛かる。

しかし

それも目があるかのように後ろからの攻撃も防がれてしまった。

カイトは戦闘中にもかかわらず考えていた。
体が軽い、と。
このままレベルが200くらいまで上がりそうな気分だった。
そしてとあるPCの言葉を思い出していた。
なんだったろう。
たしか…「バラは美しく散れ」だったか。
最後が間違っているが、だれも指摘する物は居ない。
その内相手が変化を見せた。自分の周りを取り囲むように立っている。

ウシロダ。

後ろからのゴーレムを見ずに片手で受け止める。
それと同時に一気に波が押し寄せてくる。
カイトは腕を軽くふってその場のゴーレムをすべてばらばらに解体させた。


「な、なんだんだ…。お前は…」
ギーシュがその場にへたり込む。
カイトは武器をしまいゆっくりと近づいてくる。
武器を持ってないカイトを見て、
「っ!まだまだあ!!」
バラを持ち再び召喚をしようとした。
しかしそれも一瞬で距離を詰めてきたカイトによってとめられる。
カイトはギーシュの顔をつかみ、そのまま張り飛ばした。
「がっ!」
倒れたギーシュに、カイトは右腕をむける。
右腕が光りだし、見たことのないルーンが浮かびだす。

「タバサ?」
キュルケが親友の変化に気がつく。
「危険」
本を持っていた少女は震えながら一言つぶやく。
本来何事にもあまり興味をもたなかった彼女がこの光景から目を離せないで居た。

「だ、だめ!!」
ルイズが追い討ちをかけようとしているカイトを慌ててとめようとする。
だが、もうその力は止められない。
右腕から放たれた光の矢が倒れたギーシュに向かい、

「ぎゃああああああああ!!」



光が彼を包み込んだ。
彼は何かが消されていく感覚を味わっていた。
体の中で虫のようにうごめく何かと一緒に。

ルイズは、ギーシュが光に包まれたときに不快な「声」が大きくなっていく気がした。
まるで、苦しんでいるような感じだ。
そして彼女は見てしまう。
その正体を。
(なに…あれ…)
ギーシュの体から黒い点が出てくる。
それは宙に浮かび苦しむようにうごめくと音を立てて飛び散った。
周りはその異常事態に気づいてない。
どうやらあれが見えるのは、自分だけのようだ。
いや、2人程居る。自分のライバルであるキュルケと、その隣で本を持っている少女タバサだった。




光が静かに消えていく。
そこに居たのは倒れたギーシュと、それを見下ろすカイトの姿だった。
「へ、平民が勝った…」
周りは意外な結果に戸惑いを隠せないで居た。
そして妙な高揚感も抜けていく。
倒れたギーシュに少女が駆け寄る。
どうやらこの少女がギーシュの彼女だったようだ。
「ギーシュ!大丈夫!?」
ゆすってみるが反応しない。彼は気絶していた。
慌てて周りの何人かと一緒に救護室へと連れて行った。
この3日後ギーシュは目を覚ますが、自分の身に起きた事態にパニックを起こすことになる。

こうして、決闘の結果はカイトの圧勝に終わった。


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