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いぬかみっな使い魔-02


第2話です、1話は没になったので第2話からです(涙)


 川平啓太。歳は18歳、身長178センチに茶色の髪、
光の加減によっては緑にも見える日本人には珍しい色合いの目を持ち、
雰囲気はどこかいたずら小僧を思わせる。犬神使い川平家直系の少年である。
 犬神使いとは犬神という人妖を使役する者を指す。方術を身に着け、
夜の闇に巣食う悪霊妖怪を調服するのを生業としている。
こう見えても独立してすでに5年目。基礎霊力は1年以上前ですら890、
今はどれくらいになっているのやら、というエリート中のエリートである。

 そんな彼の朝はいつも修羅場である。
複数の女の子達が啓太の気を引こうと争い、暴力沙汰になることも珍しくない。
今日も今日とて、彼の住む洋館では、修羅場が始まっていた。

「ふっふふふ! お退きなさい、偽高校生! 啓太君は私の車で学校に行くのよ!」
 驚くほど見事な真っ白い長髪。金と銀で細工された大きな蝶の髪飾りをつけた
十六、十七才ほどの鮮やかな印象の美少女が、啓太の通う高校の
セーラー服姿で大見得を切った。
「あのな、時子。勝手に決め付けるなよ!」
 赤道時子に、啓太が突っ込んだ。

「ほーっほっほっっほっほ!! 川平君はあなたと一緒に行きたくないそうよ、変態!」
 新堂ケイが、あくまでも優雅に赤道時子に喧嘩を売り返す。
 ゆったりと波打った腰まである黒髪、はつらつとした笑顔と整った美貌。
着ているセーラー服はやはり啓太と同じ学校のものだが、裾やスカートを
長く延長する改造をし、レースのリボンや付け襟、付け袖を追加。
どことなくアンティークドールを髣髴とさせる印象の少女だ。

「ほっほう、言うわね、年増! なんなら今すぐ塵も残さず消してあげましょうか!?」
「ああら、いかにも邪悪な魔道師の子孫ね! そんな事したらあなた
邪術師認定されて政府から退治される事になるわよ?」
「なによ、今の法律では不可能犯として罪にならないわ!」
「裏ではそんな事関係無いのくらい知ってるでしょう?
呪殺は昔っから大罪よ。一族にまで累が及ぶような、ね。」
「お~~っほっほっほっほっほ! 特命霊的捜査官達なんて怖くありませんことよ!」
 恐ろしいほど強い言霊使いの赤道時子の霊圧をこめた凄みに、
新堂ケイはまったく臆せず対抗する。死神に狙われ続け、
3神の試練でも修羅場を潜り抜けたが故の経験が物を言っているのだろうか。
二人の放つ恐ろしいまでの気迫は、あたりの空気を振動させそうなほど怖い。
「ほっほおおおぉぉぉぉう!? 退治に来るのが川平君でも?」
その指摘に、一瞬赤道時子の余裕が崩れる。
「殺された私のために川平君が邪悪な変態魔道師を退治してくれるのね。
あなたは永遠に嫌われ、私を守れなかったと川平君は一生私のことを思ってくれる。
それはそれで素敵だわ。」
「何勝手に私の啓太君をドリーム入れてんのよこの年増! エセ女子高生!」

「お、おい、だから毎朝毎朝こういうのやめろって!」
 止める啓太に横から割烹着姿で黒髪の少女が抱きついてしなだれかかる。
「啓太、あんな二人ほっとこ。私が縮地で送ってあげる!」
 お尻からは金色の太い尻尾がドロンと生え、ばさばさ振られている。
啓太のいぬかみ筆頭、ようこだ。
 いきなりスキンシップを見せ付けられて時子が激昂した。

「離れろいぬっころ! 勝手なまねしたら殺すわよ! 離れなさいったら!」
「そうですわ、ようこさん! それは協定違反ですわ!」
「ああこわいこわい(ぎゅ)」
「む! ああん、わたしもこわい!(ぎゅ)」
 そういって新堂ケイが啓太の反対の腕に取りすがる。
「離れなさい新堂ケイ! それ以上私の婚約者に手を出すならぶっ殺しますわよ!」
「誰があんたの婚約者よ!」
「誰がお前の婚約者だ!」
「ていうかケイ、離れなさいよ!」
「呪殺すればいいでしょ、川平君に永遠に嫌われてもいいならね!」
「くっ! 言うわね! でもそれは術を使わなければただの喧嘩ということ!
二人まとめて生皮はいでやりますわ!」
「やるの!?」
「やらいでか!」
「やったろうじゃん!」

 怖い。ひたすら怖い毎朝の風景である。
場所は川平光(このSSでの薫の本名。本編14巻ですら仮名のままなのがかわいそう
なので適当につけてみました。すでに公式で出ているなら変更します。情報求む)
の館のリビング。
玄関脇には黒塗りのでかいベンツとリムジンが乗り付けている。
赤道時子と新堂ケイの二人が乗ってきた車だ。

 なんとか抜け出した啓太は、リビングの片隅にいた光の隣に退避して愚痴をこぼした。
「うう、光、俺もうやだ、こんな生活。」
「大変だね、啓太さん。」
「なんで毎朝毎朝あいつらは!」
「いつものようにジャンケンで決めるように言ったら?」
「なんかずるをしている奴がいるとかで禁止になったんだそうな。」
 いよいよ平和的解決手段のネタがなくなってきた。
 どうしたものか。二人は深刻な顔で相談していた。その一方。

 川平カオルとせんだん、ごきょうやは、我関せずと朝の紅茶タイムである。
「カオル様、もう一杯いかがですか?」
「ありがとう、せんだん。もらうわ。」
「ごきょうやはいいの?」
「ごめん、ここを読んでから。」
ごきょうやの広げているのは難しい医学書である。電子版も買ってあるのだが、
やはり本の形で読んだほうがいい派なのである。
 その後ろにある窓の外をたゆねが走っていく。ロードワークしているようだ。
なぜか背負子にボーっと空を見上げているてんそうを乗せている。
ウェイト代わりだろうか。古城の精霊達も「う~」「や~」「た~」と併走している。
 なでしこは河童と一緒に洗い物の最中だ。
 いぐさは日経新聞片手にフラノから役に立ちそうな予言を引き出せないか奮闘中。
そこに、収穫してきたばかりの果物を剥いて皿に盛り、いまりとさよかが入ってくる。
が、皿をテーブルの上に置くとそそくさと出て行く。とばっちりを恐れたのだろう。

 いまだにようこ、時子、ケイの3人は嫉妬と怒りのオーラを発散しながら口げんか中だ。

 と、開きっぱなしになっていたドアから、ツインテールの十二才か十三才くらいの、
溌剌としたかわいい少女が顔と手だけを出し、おいでおいでをする。ともはねだ。
手に持っているのは赤道斎がプレゼントしてくれた白銀のマントである。
啓太は、そ~~~っとリビングを出ようとした。
「「「逃げるな!!」」」
期せずして張り合っていた3人の声がそろった。 
「に、逃げるんじゃなくてマント着るだけだ! いいか、20秒以内に
誰なのか平和的に決めろ! さもないと俺はお前ら全員置いて行っちまうぞ!」
 そういって部屋を出る啓太。3人はさすがに黙った。
以前この3人で啓太争奪戦(妖力・魔術抜きの肉弾戦)をやって
啓太に大怪我をさせてしまった前科があるのだ。
このマントはその折赤道斎が侘びにといって持ってきたものである。
「これを着ていれば大抵の事はなんとかなる、だから時子を許してやってくれ」と。
故にようこ達は止められない。啓太がこのマントを着るとき。
それはすなわち自分達が暴走して啓太に怪我を負わせかねない。
そう言う状況だと啓太が宣言する事なのだから。


 ちなみにこのマントを持って来た時、赤道斎は啓太に“相談”を持ちかけた。
大妖孤が「うちの娘婿は」と、川平啓太をすでに身内であるかのように
自慢していくので大変ストレスを感じている、と。
そして、最初から我が子孫である時子のことを拒絶してくれるな、
と頼んでいったのである。
要するに、ようこ(=大妖孤側)だけひいきしてると暴れたくなるぞという脅しだ。
身を守るアイテムをもらったのはいいものの、吉日市の平和のため、
ひいては日本の平和の為に赤道時子の暴走を甘んじて受け止めねばならなくなったのだ。
かなり割の悪い「プレゼント」であると啓太は思っている。

 実はこれを着ていると変態に縁が深くなったり裸にされたりしやすくなる、
という呪いが密かについており、割が悪いどころの騒ぎではないのだが、
啓太はそれを知らない。


 さて、廊下に出た啓太ではあるが、ともはねの姿を見てぴくりと眉を上げた。
ともはねの反対側の手には啓太の通学用カバンがあったのである。
しかもともはねは体をマントのように覆う大きな布1枚。その下はすっぽんポンである。
足元にはともはね用の靴や服の入ったとおぼしきリュックがおいてある。
ムジナのマロンがいないが、このリュックの中にいるのだろうか?
 なるほどな、と啓太は納得した。啓太は白銀のマントを学生服の上にばさりとはおった。
戦前に使われていた、肘まで位の長さのマントの下に、膝下までの長さのマントが
重ねられているタイプだ。内側の長いマントの両脇部分にはスリットが開いており、
着物を着たまま袖をそこから出せるようになっている形状だ。
啓太は、自分のカバンとともはねのリュックを持つと、10メートルほど
離れたところにある開け放たれた窓に歩み寄った。
どよどよどよ、砂漠の精霊達が廊下をふらふらと並んで飛んでいく。

 遅れて部屋を出てきた光が腕時計を見ている。20秒が過ぎるまで、あとわずかだ。
ともはねの姿が、劇的に変化した。小学生程度の背の低い、
胸もお尻も発達していないスルペタな体が、見る見るうちに大きくなり、
白い毛が生えて、体長2メートル以上の巨大な犬の姿になる。犬神の本性だ。
特筆すべきはその尻尾。普通なら1本の尻尾が、二股に裂けかけている。
わずか12歳にて基礎霊力550TI、「紅」「紫刻柱」「影縛り」「縮地」「石化」
と様々な力を身につけた天才振りを証明しているかのようだ。
(ほとんどはまともに使えないが)

 21秒目。リビングの入り口にいた光が小さくバッテンを作ると歩み寄ってくる。
リビングの中からはなにやら物騒な音がし始めている。平和解決は失敗したようだ。
啓太は犬形態になったともはねの背に乗って、窓からから空に飛び立った。
光は、少しでも時間を稼ぐために“啓太のような気配”でその場に残った。
しかし、その程度のごまかしではいかほどの効果も無い。

「啓太!?」
「川平君!?」
「啓太君!?」
「「「にげられた~~~!!!」」」

 はるか後ろから、待ちやがれとか待ってちょうだいとか
ともはねが横から掻っ攫った、とかいっている少女達の声が聞こえたが、
そんなのは無視である。ともはねはひたすら速度を上げた。
すぐに時速200キロを突破する。

「ありがとうな、ともはね。お前は本当に役立ってくれるよ。」
「そんな。私は啓太様の犬神ですから当然です!」
 うれしそうに答えるともはね。
ともはねの耳にはカエルの形をしたヒスイをはめ込まれたイヤリングが。
啓太の耳には熊さんイヤリングが光っている。
ともはねは、光との契約を解消し、啓太と契約を結び直したのだ。
ようこも反対しなかった。それに力を得たのか、たゆねやごきょうや、
ふらのまで啓太との再契約を持ちかけてきたのだが、ようこの大反対で
今のところ保留となっている。時間の問題、という気もしているが。
光とカオルを含めた3人に、新たに契約してくれと押しかけてきている犬神たちも多い。
「それに、啓太様を送った帰りに薬草採取に行くつもりなんです。
そのついでなんですよ。道具もリュックに入ってるんですよ?」
「PSPや移植シャベルかい?」
「ええ!」
二人は楽しく会話しながら、順調に高校目指して飛行していた。
が、それもすぐに終わりを遂げる。
「右っ!」
啓太が突然短く指示を出す。ともはねが進路を急激に右へと変える。
二人の進路のわずかに左の空気が消滅して竜巻が生まれる。
「左っ」「降下!」「増速!」
啓太の指示に、ともはねが的確に飛行軌道を変える。
その度に空気が消えたり赤い光が瞬いたり紫色の結界やらようこやらがあらわれたり、
と、まるで3Dシューティングゲームの様相を呈し初める。
慣れたもので、啓太もともはねもまったく動じず、むしろ楽しそうにすっ飛んでいく。

突如としてなじみの無い気配がすると同時に、二人の目の前に
銀色の鏡のようなものが現れたそのときまでは。
止まることも避けることも出来ないタイミングで現れた銀色の鏡は、
二人(もしくは一人と2匹)を飲み込むと、すぐに、消えた。

 銀色の鏡に飲み込まれた次の瞬間、啓太の魂を衝撃が襲った。
自らの心を強制的に広げられ、何かを付け足されるかのような感触。
己の心を縛ろうとし、あるいは操ろうとする赤道時子の言霊にも似た圧力。
それは白山名君と2度にわたって行った契約のそれにも似た、
しかし押し付けがましく異質なものであった。
普通の人間なら容赦なく意識を奪われるだろうほどの衝撃。

 何の攻撃だ、と考える暇も無く、景色が一変する。
空を飛んでいたゆえに空と見下ろすビルであった景色が緑の草原に変わる。
ともはねの足が草に触れて急減速され、いきおいまってもんどりうち、
背中に乗っていた啓太を弾き飛ばす。啓太はとっさにカバンとリュックを
抱えて前転の要領で受身を取った。ごろごろと転がって速度を殺す。

 赤道斎のマントをまとっていなかったら、それは成功していただろう。

 マントが何かに引っかかって態勢を崩す。半回転してベクトルが変わる。
啓太はとっさにお尻から落ちようとし、それに成功はしたものの
勢いでズボンが半脱げになって脚の動きを妨げられた。
後方でんぐり返りの要領でごろごろ転がり、なんとか止まったときには、
さすがの啓太も三半規管が限界を迎えていた。
そう。フルチンでまんぐりがえし状態になっていることにも気づかないほどに。
ずるりとリュックとカバンが啓太の手から地面に落ちる。

フリチンまんぐりがえしな啓太の目の前には。
マントを身にまとい、タクトのような棒を持ったピンクブロンドの美少女が一人、いた。
「いっいっいっいっいっいっいっいっいいいいいい!!!!!」
「うぎゅ~~~???」
「いっや~~~~!!!!!!」

 ぼ ご っ

その少女が、絶叫と共に全力キックを啓太の股間にむけて放ったのは、
ある意味ひじょ~~に当然の事なのであると思われた。



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