少々雲行きが怪しい、春の午後
横島忠夫は上機嫌だった。
横島忠夫は上機嫌だった。
「待ちに待った給料日!これで一個のカップヌードルを二日に分けて食うのも今日までだ! はぁ~、やっとラーメンに卵入れて食えるぅ!」
この男、横島忠夫は日本でも有数のGS(ゴーストスイーパー)美神令子の元でGS見習いとしてアルバイトをしている。ちなみに時給260円である。
そのためかなりの貧困生活を強いられているのだが、彼曰く元は取れているとのこと。
そんなわけで、足取りも軽く浮かれた気分で美神の事務所まで来たまでは良かったのだが・・・
そのためかなりの貧困生活を強いられているのだが、彼曰く元は取れているとのこと。
そんなわけで、足取りも軽く浮かれた気分で美神の事務所まで来たまでは良かったのだが・・・
「あ、あれ?美神さんいないんスかー?」
意気揚々と事務所に入ったはいいが、部屋は無人だった。
「美神さーん、おキヌちゃーん、シロー、タマモー?」
どうやら全員出てしまっているらしい。除霊にでも行ったのだろうか?と思案していると
机の上に書置きがあることに気付いた。
机の上に書置きがあることに気付いた。
「なになに、横島クンへ、おキヌちゃん達と除霊に行ってきます。給料袋は机の引き出しに入れてあるから勝手にとっときなさいーーーか」
なるほど、やはり除霊か、と一人ごちた横島は机の引き出しを開け、給料袋を取り出した
ちなみにその中には給料袋以外入ってなく、他の引き出しもばっちり施錠されていた。
金にがめつい美神らしい、ともう一度ごちる横島であった。
ちなみにその中には給料袋以外入ってなく、他の引き出しもばっちり施錠されていた。
金にがめつい美神らしい、ともう一度ごちる横島であった。
「それにしても5円アップしたとはいえ、時給260円はないよなぁ、俺だって役に立つじゃないっスかー!美神さーん!」
これまで何度給料値上げを主張して却下されたことだろうか。通算してわずか10円の値上がりしかなかった。
一応GSの資格を持っている横島をこんな待遇で働かせていること自体、労働基準法違反である。
一応GSの資格を持っている横島をこんな待遇で働かせていること自体、労働基準法違反である。
「いや、待てよ・・・今日事務所には誰もいない・・・ということは!今現在俺がここでなにをしようとオールオッケー!」
途端にいやらしい笑みを浮かべる横島。これが彼の言った「元をとる」ことである。
警戒する必要はないのに辺りを見回しながら部屋を出る。
やってきた来たのは美神の私室であった
警戒する必要はないのに辺りを見回しながら部屋を出る。
やってきた来たのは美神の私室であった
「すこしぐらいいい思いをしてもいいはずだ・・・美神さんの下着・・・あぁなんと久しぶりの感覚か!」
目的は下着であった。金目のものを盗ろうという考えがないことが横島らしい。
しかしことがそう簡単に運ぶはずもなく・・・
ガチャッ、ガチャ!
しかしことがそう簡単に運ぶはずもなく・・・
ガチャッ、ガチャ!
「はぅ!やはり完璧に施錠してある!おのれっ~!」
おそらく鍵は美神が持ち出しているのだろう。だが、ここであきらめる横島ではなかった!
「ふ・・・ふふふふはははははは!甘い!甘いですよ美神さん!男の煩悩はなぁ!時に不可能を可能にするのだ!」
そう言った瞬間、横島は瞑想を始める。しばらくすると彼の手のひらに見る見るうちに光の帯のようなものが集まり、ビー玉ぐらいの大きさの玉へと凝縮していった。
彼がこの若さでGSの資格を持っている理由のひとつ、「文珠」である。
霊力をこめて凝縮した玉に漢字一文字の念を込めることによって作用する宝玉
しかしその能力を持つ者は昔から少なく、今現在では横島ただ一人である
彼がこの若さでGSの資格を持っている理由のひとつ、「文珠」である。
霊力をこめて凝縮した玉に漢字一文字の念を込めることによって作用する宝玉
しかしその能力を持つ者は昔から少なく、今現在では横島ただ一人である
「ん?あぁー!?一気に14個もできちまったぞ?!なんでだ!一個作るのにでもかなり霊力を使うのにぃ!?」
そう。文珠はその万能さのリスクとして、生成するにはかなりの霊力を消費するのだが・・・
「・・・ま、いっか、多くて困るってこともなし!それより今は~」
が、自体をあまり重く受け止めていない横島にとっては、目の前にある下着の問題のほうが優先されたのだった。
そんな横島には、これから起きることなど知るよしもなく・・・
そんな横島には、これから起きることなど知るよしもなく・・・
とりあえず、できた文珠のうち一つを残しあとの13個はポケットにつっ込んでおくことにした。
手のひらに残った文珠を握り締め、全身のチャクラを開き、神経を手のひらに握られた玉に集中させる。
すると、握られた文珠に「鍵」という文字が浮かび上がった。
手のひらに残った文珠を握り締め、全身のチャクラを開き、神経を手のひらに握られた玉に集中させる。
すると、握られた文珠に「鍵」という文字が浮かび上がった。
「さぁ、感動のご対面だ!シルクのパンティー!すべすべだろーな!やーらかいだろーな!」
それにしてもこの男、もっと別の方向にその情熱を使えないものだろうか。
- 一方その頃別の世界の別な場所では
「宇宙の果てのどこかにいるわたしのシモベよッ。神聖で美しく、そして、強
力な使い魔よ!
わたしは心より求め、訴えるわ……我が導きに、答えなさい!」
力な使い魔よ!
わたしは心より求め、訴えるわ……我が導きに、答えなさい!」
ここハルケギニアにあるトリステイン王国のトリステイン魔法学院では
2年生になるとメイジが一生をともにする使い魔を召喚する儀式
「サモン・サーヴァント」が執り行われていた
2年生になるとメイジが一生をともにする使い魔を召喚する儀式
「サモン・サーヴァント」が執り行われていた
彼女、ゼロのルイズと野次を入れられるメイジが召喚の呪文を唱えたのと、怒涛の煩悩、横島忠夫が鍵穴に文珠をあてがったタイミングが全く同時だったのは、ある種の因果なのかもしれない。
刹那、爆発と爆音とともに強烈な光が発せられた。もくもくとあがる白煙の中に人影のようなものが見える
「おい!見ろよ!ありゃ平民だぜ!」「さっすがゼロのルイズ!サモン・サーヴァントで平民を呼び出すとはな!」
周りの生徒たちがドッと沸くが、彼女の耳にそれは届かなかった
「こ、これが・・・気高く、美しい・・・私にふさわ・・・ふ、ふさわしい・・・使い魔・・・」
こめかみに青筋を浮かべながらピクピクと小刻みに肩を震わせるピンクがかったブロンドの少女。
そんな光景を知る由もなく、横島忠夫は召喚の際に起きた爆発のせいで頭から血をドクドクと流しながら地面にぶっ倒れるのであった。