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プレデター・ハルケギニア-10


波止場へと降り立ったエレオノールが街へと下りてくる。
引き連れている魔法衛士は20人はいるか。

「何なんだ一体!?」
「さあ……ていうか何アレ?あんなにたくさん犬なんか連れて」

キュルケ達や街の人々が怪訝な眼差しで一行を見つめる。
見るとエレオノールたちは十匹ほどの犬を引き連れている。

やがてその一行はまだ血痕の生々しい宿屋の前で足を止めた。

「始めるわよ」

エレオノールの言葉に傍らの魔法衛士たちが頷く。
一人が鞄から槍の穂先のような金属片を取り出すと
それを犬たちの鼻面の前にかざした。

その金属片がブルドンネで起こった殺人事件の現場に残されていた物だとは
ラ・ロシェールの人々は知るはずも無かった。

犬を連れた隊員たちは街中に散らばって行った。





1時間程たっただろうか。
一人の隊員とエレオノールが小高い岩山の上に立っていた。

「どういうこと?」
「よくわかりませんが……ここで『ヤツ』の匂いは止まっているようです」
「ここで?空にでも消えたって言うの?」

エレオノールが空を見上げる。雲一つ無い青空だ。

ふと、その青空に何かが飛行しているのが見えた。
それは真っ直ぐにラ・ロシェールへと近づいて来ている。

「何かしら?」

やがて近づいてくるに連れ、それが青い竜鱗を纏った竜だということが確認できた。

「全く、とんだ目に会っちゃったのね!」

ラ・ロシェールへと下降しながらシルフィールドは小さく愚痴を洩らした。
その角にはあの亜人より渡された不気味な首飾りが掛けられていた。

「ウィンドドラゴンかしら?」
「さあ、少し違うような気も……ん?」

突然、隊員が手綱を握っている犬がシルフィールドに向かって激しく吼え出した。

「どうしたんだ一体?」
「竜が珍しいんじゃないの?」
「いや、こいつらは軍で訓練された犬ですから。竜なんて見慣れてますよ」

やがてシルフィールドがエレオノール達のいる場所から少し離れた岩場へと着地すると
犬は手綱を振り切り一直線にシルフィールドへと走り出した。

「あ、コラ待ちやがれ!」

隊員が犬を追いかけ走り出す。
エレオノールは黙って前方のシルフィールドを冷ややかな眼差しで見つめていたが
やがてゆっくりと歩き出した。




シルフィールドの周りに集まって来たのは先ほどの犬と隊員だけでは無かった。
ほとんどの犬とその手綱を握る隊員達が彼女を取り囲むかの如く集まっていた。

(い、一体なんなのね!?)

シルフィールドが心の中で叫ぶ。犬たちはしきりに彼女に向かい吼え続けている。
周りの隊員達はみな杖を抜いていた。襲ってくる気配は無いとはいえ目の前にいるのは竜なのだ。
警戒するのは当然と言えたか。

「全員集まってるようね」
「ええ、この竜を見たとたんに全員……コラ落ち着け!」

犬をなだめながら隊員が答える。

「何かを嗅ぎつけたのかしら……ん?」

シルフィールドを見てめていたエレオノールの目に、彼女の角に掛かっているものが目に留まった。
小動物の頭骨が数珠のように繋がれた物が掛かっている。

エレオノールがそれを見つめながらしばし考え込んでいると後方から声がした。

「ちょっとちょっと、どうなってるのよコレ?」

エレオノールが振り向くとそこには少女二人と少年一人の三人組が立っていた。
いわずもがな、キュルケ、タバサ、ギーシュの一行である。

「何なのあなた達は?捜査の邪魔よ。子供は帰りなさい!」

エレオノールが少し厳しい口調で言い放つ。

「邪魔って……あのねえ、そりゃこっちの台詞よ。そのウィンドドラゴンはこの子の使い魔なの!」
「使い魔?」

エレオノールはキュルケの傍らに立つタバサを見つめる。
その時、不意にタバサが前方に歩き出した。

「ちょっと、タバサ?」

タバサはエレオノールや隊員達の間をすり抜けシルフィールドの前に立つと
一行に小さな声でこう言った。

「話を聞いてくる。少し待っていて欲しい」
「話を聞くですって?」

エレオノールの怪訝そうな言葉に答えず、タバサはシルフィールドに乗るとそのまま飛び去って行った。




飛び上がったタバサとシルフィールドはやがてラ・ロシェールより少し離れた森の中へと舞い降りた。
あたりに人の気配は無い。

「お姉さま、聞いてよ!アタシとんでも無い目にあっちゃったのね!キュイキュイ!」

タバサは黙ってシルフィールドの話を聞いている。

「あの桃色の髪の女の子が召喚した変なヤツ、あいつがアタシを無理矢理アルビオンまで飛ばさせたの!
 帰ってきたら今度は犬に吼えられるしもう散々なのね!」

「それは?」

タバサがシルフィールドの角に掛かった首飾りを指差し、問う。

「あの変なヤツがくれたの!いらないけど捨てると呪われそうだから持ってるの!」

「そう」

小さく答えるとタバサは再びシルフィールドの背に飛び乗った。

「お姉さま、お姉さま。アタシ、アルビオンまで往復してお腹空いちゃったのね!
 何か食べさせて!お腹が空いた、お腹が空いたのね!キュイキュイ!」

「戻って。さっきの場所に」




戻ってきたタバサとシルフィールドの前にエレオノールたちが立ちはだかる。

「その竜と上手くお話はできたのかしら?お嬢さん」

少し嫌味にエレオノールが言う。

「アルビオン」

「は?」

「『アレ』はアルビオンにいる」

そう呟くように答えるとタバサとシルフィールドはエレオノール達の前を通り抜け
キュルケ達の元へと戻って行った。

「全く、本当トリステインの女は性格悪いのばっかりね!」
「いやあ、君も中々いい勝負だと思うけど……ブハッ!」

キュルケの裏拳を喰らいギーシュの顔面から鼻血が滴り落ちる。

「で、タバサ。一体なんだったの?」
「大したことじゃない」
「そ……まあいいわ。そんなことよりお腹空いたわね。何か食べましょ」

「おいキュルケ!いきなり何をするんだ君は!オイ、待ちたまえ!」



街へと降りて行く一行をエレオノールは見つめていた。

「どうします?」

隊員の一人が問いかける。エレオノールは黙って青空を見上げた。
肉眼では確認できぬ遥か先にはあの巨大な浮遊大陸があるはずだ。


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