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悪魔も泣き出す使い魔-mission17


Mission17 ~闇に潜む影~
商船の秘密を暴け


青い、心が晴れゆくような空の下で
ラ・ロシェールの港町から出港した一隻の商船が、アルビオンを目指す。
その甲板の隅で、ロングビルが一人、魂の抜けたような呆けた顔をしながら、体育座りの格好で、しゃがみ込んでいた。
そんな彼女に、ダンテがはしゃいだ様子で話しかける。

「風の波に乗って、空の船旅とはね。貴重な体験だ!」

ロングビルは、その声に反応したのかしてないのか、
顔の向きと表情はそのままで、呪文のように囁いた。

「もう…、あんたのアレには、
二度と乗らないから…、
 絶対乗らないから…、
 一生乗らないから…」

「ハハッ、一生分楽しんで貰えたみたいで、何よりだね」

そこへ、顎鬚を蓄えた小太りの中年男性、この商船の船長が歩み寄ってくる。
船長は下卑た笑いを交えて、ダンテ達に話しかけてきた。

「いやあ。お客さんは運が良いねえ。
この船を逃したら、後は風石をケチって『スヴェルの月夜』まで出港を渋る様な貧乏商船くらいしか無いところだったよ」

船長は、この船に乗り込む際にロングビルが渡した、大量の金貨が詰められた布袋を、ジャラジャラと振りながら言ってみせた。

「お客さん方は、今日一番の"お得意様"だからねえ。
到着するまで、ゆっくり寛いで下せえ。」
「だ、そうだぜ?御婦人も何かお困りでしたら、何なりと御申し下せえ」

船長の声真似をするダンテにウンザリしたロングビルは、膝に顔を埋めてボヤくようにお願いした。

「一人にしてちょうだい…」


一方、早朝のトリステイン魔法学院。
その門前には、アンリエッタに託された任務を負うべく、出発の準備をするルイズと、その話を聞いて付いて来る事になったギーシュ。
それに加えて、タバサとキュルケの姿があった。

「ちょっとルイズってば、そんな顔して大丈夫なの?」
「うるさいわね…。あんた達までゾロゾロ付いて来て、…余計にイライラするじゃないの」
「なによお。折角、人が心配してやってるっていうのに…。
私だってねえ、今日はジャンと2人っきりで、課外授業の予定だったんだからね!」

文句を言うキュルケだが、それでも渋々と付いてきたのは、男よりもタバサとの友情を選んだ結果であった。

「だったら早く、私の目の前から失せなさい。三度は言わないわよ」
「もう…、何だってタバサは、こんな面倒なのに付き合ってやってるのかねえ」

タバサは何も答えず、シルフィードの上で、ただじっと読書を続けている。
オロオロするギーシュは、ヴェルダンテを使って、場の空気を何とか和ませようと試みたが、それも虚しい一人劇場に終わっていた。
そんな風にルイズ達が、出発前だというのに悶着を起こしている最中、一匹の幻獣が一人の貴族を乗せ、上空から降りようとしてきていた。

「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ!
…到着が遅れたようだね、すまない」
「ワルド、…さま?」

ワルドはグリフォンから降りるや否や、呆気にとられるルイズを抱きかかえて、目の下がクマで真っ黒に覆われたルイズの顔色を伺った。

「ルイズ!僕の小さなルイズ!やあ、どうしたんだい?
そんなやつれた顔をして!」

ルイズに代わって、キュルケが事情を説明した。

「それが、昨晩から姿を消した使い魔を、今日の朝までずっと待ってたみたいで…」
「それはそれは…、それで、君の使い魔は戻ってきたのかい?」

ルイズは俯きながら、仏頂面で答えた。

「…もういい。もうどうでもいい。あんなヤツ」
「ふむ、主人の心中も察しないとは、不届きな使い魔だね。
ああ、安心していいよ、ルイズ。僕が君の傍にずっと付いてあげるから」

残りの3人と2匹に見守られる中、2人だけの世界に包まれたワルドは、ルイズを抱えながら、再びグリフォンに跨った。

「そういう訳で、僕の婚約者が受けたこの度の任務に同行する事になった。
道中よろしく頼むよ」

爽やかな笑顔を振り撒きながら、挨拶と共にルイズの婚約者宣言をするワルドに、呆然とするキュルケとギーシュ。
その間、ワルドの優しい声と腕に包まれたルイズは、安堵の溜息をついた直後に、寝息を立て始めた。

「さあ出発だ!」

ワルドの掛け声と共に、グリフォンと飛竜は一行を乗せて、大空へと身を乗り出した。


再び、場所はアルビオンを目指す商船

部屋の一式を酒場に仕立てた船室の中、ロングビルはカウンターで一人、ギャンブルに戯れる船員達を背景に、アルビオン産のエールを楽しんでいた。
酒場の船室に一人の男が入ってくる。
男はロングビルの隣に座って、バーテンに注文した。

「ストロベリーサンデー」
「おいおい、お客さん…」
「無いなんて言わせねえぞ。ここに来てからもう、一杯だって食ってないんだ」

苦笑するバーテンの気持ちを代弁する様に、アルコールを入れて、顔を赤らめたロングビルが口を開いた。

「ここは酒場だ。ガキが来る所じゃないよ」
「ハッ、キツいお言葉だね」

ダンテは、ロングビルと同じものを注文して、隣の客とバーテンに乾杯してみせる。
それから酒の肴にと、ダンテがロングビルの事を聞きだした。

「そういえば、血の繋がっていない家族って聞いたけど?」
「あんたには関係ないでしょう」
「お届け先は良く知っておかないとね。これでも仕事はキッチリさせておきたい性分なんだ」
「…やれやれ。つまんない話だよ」

自分の家が仕えていた王家の者が、異種族との子を儲けた事。
親がそれを庇った事で、家を取り潰された事。
親の意志を継いで、子の面倒を見る決心をした事。
ロングビルは酔った勢いで、洗い浚いダンテに話した。
ダンテは、その話に水を差す様な事はせず、珍しく真剣な顔で、ただ黙って聞いていた。時折、首に掛けた"お守り"を指で弄りながら。

「…だから、あの子は、わたしの命よりも大事なの。
血の繋がらない絆なんて、あんたにはわからないでしょうけどね」
「いや、わかるよ。…俺も、育ての親は、どこの素性とも知らない婆さんだったしな」

ダンテは懐からアイボリーを取り出し、その銃身に刻まれた文字の、スペルミスの部分を、いとおしそうに親指でなぞった。

"BY .45 ART W 「A」 RKS"

「もう、いなくなっちまったけどな。いつも口やかましくって、
…最後の最後までしつこい世話焼きだったよ」

口から出る言葉とは正反対に、親の死を惜しむ、今にも泣き出しそうな、ダンテの表情。
それを横目で見ていたロングビルが、ダンテにそっぽを向いて、優しい言葉をかけた。

「フン、今のあんたが立派がどうかは別にしてさ、大事に育ててくれたんじゃないか。感謝しなよ!」
「ああ、今でも感謝してるぜ。だから…
アンタも、その娘を残していなくなる事には、絶対なるなよ?」

ダンテに背を向けたロングビルの涙腺は、もう限界だった。
瞳に溜め込んだ涙をぐっと堪えながら、ジョッキに残ったエールを一気に飲み干す。

「それにしてもよ」
「何よ?」
「こんな血生臭い所で、よく飲んでいられるな?」
「…な、何を言い出すのよ、急に…」

ロングビルは、急な話題の切り替えで、思わず目を丸くする。
ダンテは、顔をゴシゴシ擦りながら問い詰めるロングビルを余所に、辺りの様子を見回し、足元をじっと見ながら、言葉を続けた。

「10や20って数じゃねえな。一体何を運んでる船なのか知らないが…」
「やったぜ!見ろよ!"ロイヤル・ラファエル・アヴェニュー"だ!!」

突然、後ろのテーブルで、カードゲームを楽しんでいた男の一人が、ダンテの言葉を遮るように叫んだ。
しかし、ダンテはそれも構わないといった様子で、大勝を当てた男に忠告する。

「"ロイヤル・ストレート・フラッシュ"ってところか?
そんな役出してたら、寿命が縮むぜ?」

立ち上がった男はゆっくりとダンテに近付き、

「みんな!一杯…」

ダンテの首を絞めんとばかりに襲い掛かってきた。

「奢るぜ!!」

ダンテを背にした左脇から、アイボリーの銃口が除いている。
まるで最初から予定されていた段取りの様に、男の眉間に45口径の弾丸が届けられた。


一瞬の出来事。
何が起きたのかも分からなかったロングビルが気づいた時には、ダンテがカウンターから飛び退き、ダンテがそこに座っていた席に「何か」が突進して来ようとしていた。
木っ端微塵を撒き散らしながら半壊するカウンター。
その衝撃で床に叩きつけられようとするロングビルを、ダンテが受け止める。その腕の中で、ロングビルが小さく呟いた。

「やだ…何?こいつら…」

人間から、人間ではない者へと、その姿を変えた船の乗組員達。
亜人でも幻獣でもない、人間を畏怖させる様なその存在が目に映り、ロングビルは一気に酔いを醒ました。

ダンテは、ロングビルを床に置くと、今度は両手に2丁の拳銃を構えて、乗組員だった者達に銃口を向ける。
即効だった。
相手はダンテに飛び掛ることもできず、次々と打ち込まれる銃弾に、為す術も無く倒れていく。
その内の一匹がダンテの右腕に噛み付く。
最初にダンテへ飛び掛った、大勝を得た男だった。

「やるじゃねえか、ロイヤル・ストレート・フラッシュ野郎!」

右腕は出血しながらアイボリーを手放すもの、ダンテは痛がる素振りも見せずに、残った左の肘と右の膝で、噛み付いた相手の頭を勢い良くプレスしてやった。
それを受けた者は、目から、耳から、口から大量の血を噴出しながら、悲鳴を上げる。
バタバタと床で悶え苦しむ様に、ダンテは慈悲のカカト落としを食らわせた。

ロングビルは、肩を震わせながら、その一部始終を見ていた。
その瞳に映るダンテの姿は、先程までに見せていた優しい表情は隠れ、その目は、破壊の杖の一件で見せた、鋭い狩人の様な眼差しだった。

「…何なのよこいつら!」
「さあ?どこのペットショップで見つけたのか、船長にでも聞いてみろよ」

ダンテはモット伯の屋敷前でのルイズと、大して変わらない反応を見せるロングビルに、やれやれ、とった顔で肩をすくめながら、いつもの軽口を叩いた。

「雲行きが怪しくなってきたようだぜ?外の天気でも見て来るか…」


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