あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

異世界BASARA-42


ラ・ロシェールで一番上等な宿、「女神の杵」。
この宿に泊まる事になった一行は1階の酒場でくつろいでいた。
利家は運ばれてきた料理をタバサをと一緒に食べている。
ギーシュはクタクタで、テーブルに突っ伏していた。


「……………」ブルルルル…
忠勝は中に入れないので、外で眠りについていた。


しばらくして、乗船の交渉に行っていたワルドとルイズが帰ってくる。
ワルドは椅子に座ると困ったように言った。
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと、出ないそうだ」
「急ぎの任務なのに……」
ルイズは口を尖らせている。
聞けば、明日の夜は月が重なる『スヴェルの月夜』らしい。
その翌日の朝、アルビオンがこの港町に最も近づくと言うのだ。

「そんな船を待たなくても、タダカツに乗ってアルビオンまで飛んで行けばいいじゃない。ねぇ?」
キュルケはそう言うと、タバサの方を向く。
しかし、タバサは本から目を離して首を横に振った。

「充電中」

成る程、忠勝とて人間である。

朝早くにキュルケに起こされ、ルイズに追いつくまで飛んで来たのだ。
戦国最強の男も、流石に休まなければならないのだろう。

「さて、今日はもう寝よう。部屋を取っておいた」
ワルドは鍵束をテーブルの上に置く。
「キュルケとタバサは相部屋、ギーシュとウジマサが相部屋だ」
ワルドはそれぞれキュルケ達を見る。
「そしてトシイエとユキムラ……おや?ユキムラは何処へ行ったのかな?」
「ああ、幸村なら外で槍と剣の鍛錬だ」
利家が、脂の乗った骨付き肉に齧り付きながらワルドに言った。

「何よあいつ!じっと待っていられないのかしら!」
ルイズはそう言いながら、目を吊り上げて腰に手を当てた。
だが、次にルイズの頭にある事が浮かぶ。
「ま、待ってワルド。トシイエとユキムラが相部屋なら私は……」
「ああ、僕と相部屋だが?それが何か?」
ワルドはさも当然だと言うようにルイズに告げた。
「そんな、ダメよ!私達まだ結婚している訳じゃないのよ?」
ルイズは慌てて騒ぐ。
だがワルドは首を振ると、ルイズを見つめて言った。
「大事な話があるんだ、2人で話したい」

鍵が配られた後、キュルケ達はそれぞれ部屋に行こうとした。
と、キュルケは利家が立たずに未だ座っているのに気づく。
「あら、あなたまだ食べるつもりなの?」
「ん……それもあるが、幸村を待たんとな。あいつ部屋が分からないだろ?」
それだけ言うと、利家は運ばれてきたスープを皿から直接啜り始めた。

「さぁウジマサ!今日という今日はどっちが主人か教えてやるからね!」
「上等じゃ!お主にも北条家の素晴らしさを朝まで語ってやるわい!」

ギーシュとウジマサはそんな口論をしながら階段を上がって行った。

『女神の杵』、流石貴族も相手にする宿だけあって部屋も上等なものである。
宿の主人の趣味なのか、ベッドは天蓋付きで、高そうなレースの飾りが付いていた。

部屋でルイズはポケットの上から、アンリエッタから預かった封筒を押さえた。
「心配なのかい? 無事にアルビオンのウェールズ皇太子から、姫殿下の手紙を取り戻せるのかどうか」
ルイズの様子に気づいたのか、興味深そうにワルドが覗きこんでいる。
「そうね、心配だわ……」
「大丈夫だよ、きっと上手くいく。なにせ僕がついているんだから」
「そうね……あなたがいれば、きっと大丈夫よね。あなたは昔から、とても頼もしかったもの……」
そこでルイズは一呼吸置き、ワルドを見て言った。
「それで、大事な話って何?」

ワルドは急に遠くを見るような目になって話し始めた。





「ルイズ殿!ただいま戻りましたぞ!!」

その頃、入り口の扉を開けて幸村が入って来た。
鍛錬が終わり、戻って来たのである。
しかし、戻って来たら主のルイズどころかキュルケ達もいないではないか。
幸村はキョロキョロと店を見回した。
「おお戻ったか幸村。皆部屋に行ったぞ」
利家は手と口を、デザートのケーキのクリームまみれにしながら言った。
そして、アルビオンへは明後日の朝に出発する事、それまではこの宿に泊まる事を告げる。
「なんと、ルイズ殿は急いでいるというのに……ところで前田殿、そなたはキュルケ殿と部屋に行かなかったのか?」
「ああ、キュルケ殿はタバサと一緒の部屋だ、お前はそれがしと同じ部屋だぞ」
そう言った後、利家は咀嚼していたケーキを飲み込む。
一通り食べ終わって満足したのか、利家はやっとイスから立ち上がった。

しかし、幸村はここで首を傾げた。
キュルケとタバサが一緒、おそらくギーシュは氏政と一緒だろう。ならば……
「前田殿、ルイズ殿は……」
「ん?ルイズならワルドと一緒の部屋だぞ?」


――ワルドと一緒の部屋だぞ――

   ――ワルドと一緒の部屋だぞ――

        ――……一緒の部屋だぞ……――


利家の言葉が頭で反響し、何度も繰り返される。
「……ワルド殿と……一緒……?」
「うむ、何やら大事な話があるらしいぞ、婚約しているから結婚の話じゃないのか?」

『結婚』……
その言葉から、幸村の頭の中にルイズとワルドの行動がシミュレーションされる。


「ルイズ!僕と結婚しよう!」

「ダ、ダメよ!私まだ16よ!!」

「ヨイデハナイカヨイデハナイカ!!」「イヤアァァァァァ~」

「ううう……私汚れちゃった……」「HAHAHAHAHA」


約10数秒、シミュレーションは終了。
その短い時間の間、幸村の脳内では破廉恥行為が繰り広げられていた。

「ぬああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーっっっ!!!」
そのような妄想をした幸村は、あらん限りの絶叫を上げた。
そして、そのまま階段を駆け上がっていった。
(止めねば!手遅れになる前に拙者が止めねばあぁぁぁーっ!!)



「任務が終わったら、僕と結婚しようルイズ」
「え……」
突然、予想しなかった言葉にルイズははっとした顔になった。
ワルドが結婚を申し込んできたのである。

「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。 いずれは、国を……、このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っている」
「で、でも……」
「でも、なんだい?」
「わ、私……。 まだ……」
「もう、子供じゃない。 君は16だ。 自分のことは自分で決められる年齢だし、父上だって許してくださっている。 確かに……」

ワルドは、そこで一度言葉を切った。 それから再び顔を上げると、ルイズに顔を近づける。

「確かに、ずっとほったらかしだったことは謝るよ。 婚約者だなんて、言えた義理じゃない事も分かっている。 でもルイズ、僕には君が必要なんだ」
「ワルド……」

ワルドと結婚……婚約しているのだからいずれはそうなるだろう。
だが、その事を考えると、幸村の事が頭に浮かぶのだ。
ワルドと結婚しても幸村は使い魔として忠実に従うであろう。しかし、それは何だか嫌だとルイズは感じた。
では幸村をほっぽり出したら?
彼の強さはあのフーケのゴーレムと渡り合い、さらに素手でも多数の男をねじ伏せる程だ。
外に出ても傭兵としてやっていけるだろう。
だが何故か……何故か分からないが、嫌なのだ。幸村が自分の元から離れて行くのが嫌なのである。

「でも、でも……」
「でも?」

ルイズはしばらく俯いた。しばらくして顔を上げると、さらに話を続けた。



その頃、階段を怒涛の勢いで駆け上がり、荒い息をつく1人の男が廊下にいた。
男は血走った目で、各部屋のドアを見る。

「ハァハァ……どれだ?どの部屋にルイズ殿は……!」

男の名は真田幸村である。
ルイズとワルドが破廉恥な事をしていると思い込み、ここまで来たのだ。
しかし、来たのはいいが、肝心のルイズの部屋が分からなかったのである。

「ええいまどろっこしい!!1つ1つ調べるまでよ!!!!」

幸村はそう叫ぶと、手近にあったドアを力任せに開いた。
武田信玄に鍛えられた彼の腕力の前では、鍵など問題ではなかった。
「な、何だね君は!?いきなり入ってくるとは無礼な!!」
中にいたのは太り気味の貴族の男だった。
幸村はすぐにドアを閉める。
「違う!ならばここか!?」
次に幸村は反対側のドアを開いた。

「いいかい!使い魔とは本来主人の命令には絶対なんだ!それを君はやれ食事が不味いだの暖かい毛布が欲しいだの……おまけに僕の近くじゃなく学園長室にいる時間の方が長いなんてあってはならない事だよ!!」
「やかましい!お主はまだわしの凄さが分かっておらんのじゃな!?お主わしの住んでいる城がどれだけ凄いか知らんじゃろ?かの甲斐の虎、武田信玄すら退けた難攻不落の小田原城じゃぞ!!」
だがここも違ったようで、ギーシュと氏政がお互い向かい合って口論をしていた。

「ええい!ならばここはどうだあぁぁーっ!!!」
そして、今度はギーシュ達のいた部屋の隣のドアを開いた。

「あら?ユキムラじゃない?トシイエと一緒じゃないの?」

部屋にいたのは、ベッドで本を読んでいるタバサと、バスタオルを体に巻いたキュルケだった。
タオルで隠しているものの、胸や臀部のラインが見えて、かなり色っぽい。

「……ふぐぁ!?」

それを見た幸村は、当然の事ながら鼻血を噴き出す。
その勢いで仰向けに倒れる……寸前で、幸村の頭にさっきのシミュレーションがフラッシュバックした。


『ううう……私汚れちゃった……』
(ルイズ殿……!!!!)


倒れるように見えた幸村だったが、頭が地面につくかという距離で止まった。

「……なんのこれしき……!!うおおおおおおぉぉぉぉぁぁぁぁーーっっ!!!!!」

ブリッジ状態になった幸村は大きな声で叫ぶと、徐々に体を起こす。
そして完全に体を起こすと、「失礼した!」と言ってドアを閉めた。


「……何だったのかしら、ねぇタバサ?」
「知らない」

その頃、ルイズの部屋では……


「あのねワルド……小さい頃、私思ったの……いつか、皆に認めてもらいたいって。立派な魔法使いになって、父上と母上に褒めてもらうんだって」
ルイズは顔を上げて、ワルドを真っ直ぐ見つめた。

「まだ、私、それが出来ていない」
「君の心の中には、誰かが住み始めたみたいだね」
「そ、そんな事ないの! そんな事ないのよ!」

まるで心を読み取られたかのようなワルドの言葉に、ルイズは慌てて否定した。
「いいさ、僕には分かる……分かった、取り消そう。今、返事をくれとは言わないよ。 でも、この旅が終わったら、きみの気持ちは、僕にかたむくはずさ」
ルイズは頷いた。
「それじゃあ、もう寝ようか。 疲れただろう」
それからワルドはルイズに近づいて、唇を合わせようとした。

が……

バアァァァン!!!!

「ルイズ殿っっっ!!!!」
ドアが勢いよく開かれ、幸村が入って来た。
何故か鼻から下を全て真っ赤にしながら。
「ユ、ユキムラ!?」
幸村を見たルイズは、慌ててワルドから離れる。
だが少し遅かった。幸村はワルドとキスしかけているルイズの姿を見てしまったのである。

「うわああぁぁ!!なりませぬルイズ殿!早まってはなりませぬぞっ!!!」
幸村はまだ鼻血が止まらないのも気にせず、ルイズの肩をガシッと掴む。
「おおお落ち着きなさいよユキムラ!わ、私は別にワルドといやらしい事しようとしてた訳じゃないのよ!?これはそう…あ、挨拶よ!寝る前の挨拶みたいなものなんだからね!」
ルイズも何を勘違いしたのか、声を震わせ、早口で捲し立てる。

それを見ていたワルドは苦笑いを浮かべて、首を振った。
「使い魔君、ルイズの言う通りだ、僕達は何も変な事をしていた訳じゃないよ」
「む、むぅ……ま、真でござるか?」
「ああ本当さ!さ、今日はもう休みたまえ。君だって疲れが溜まっている筈だろう?」
そういながら、ワルドは幸村を外に出した。

「ルイズ」

ドアを閉めた後、ワルドは振り返ってルイズを見つめた。
「急がないよ僕は」
それを聞いて、ルイズは頷く。
2つの重なりかけた月が、ラ・ロシェールを照らしていた



ところで、所変わってキュルケの部屋……

コンコン

「今度は誰……トシイエ?どうしたのよ?」
「キュ、キュルケ殿……部屋が分からん……」
「……あなた、それじゃユキムラを待っていても意味がなかったじゃない……」
「ダメダメ」


新着情報

取得中です。