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悪魔も泣き出す使い魔-mission09


~破壊の杖~
盗賊の操る巨像を破壊せよ




遡ること先日の夜



「チッ、やっぱ正面からは無理か」



"破壊の杖"奪取を目的とする土くれのフーケは、魔法学院本塔の宝物庫前で立ち往生していた。
扉に掛けられた固定化の魔法、この部屋の壁を打ち破るには、物理衝撃による破壊の他無いと、調べはついている。
しかし、その対策として塗り込められた分厚い壁は、フーケのゴーレムを持ってしても、簡単に打ち破れるものではなかった。



「イチかバチか、・・・やってみるしかないようね」



多少、騒ぎになるだろうが、オスマンは先日から外泊中、噂で聞いた得体の知れない使い魔も居ない。今このときがチャンスであった。
フーケが塔の外へ回り込もうとした瞬間、宝物庫の扉が突然開きはじめた。



「バカな・・!一体誰が!?」



暗闇の広がる宝物庫の奥から人影が見える。
全身が死人の様な土気色の裸婦が、赤毛の長髪をなびかせながらこちらに近づいてきた。
妖しい雰囲気を漂わせながら、獣の様な鋭い眼差しでこちらを見つめる女に対して、フーケは指1本動かす事ができなくなっていた。
心臓を鷲掴みにされている様な、今まで感じたことの無い恐怖と緊張感に包まれる。
そんなフーケに女の唇が耳元に近づき、この世の者では無い様な声を響かせた。
それを最後にフーケの意識は深い闇へと沈んでいったのだった。




それから今に至って、場所は学院から離れた人気の無い森の中。ダンテとコルベールは、森に囲まれる寂れた廃屋に辿り着いた。



「どうやら、あの小屋の中のようだな」
「わかるのか?」
「うむ、探知の魔法で微量な魔力を感じ取った。恐らく、フーケとミス・ロングビルはあそこに居る」
「便利なモンだな。それじゃ、ちょっと見てくるぜ」



コルベールが呼び止めるも、ダンテはそれを無視して目の前の小屋へ乗り出す。



「まっ、待て待て!不用意に近付いてはいかん!罠かも知れぬぞ!!」
「行って確かめない事には、って最初に言ったろうが。ビビんなよ先生」
「しかし、平静を疎かにして大事に至っては元も子もないぞ」
「そん時はそん時さ。それにしてもよ・・・」



ダンテは両手を腰に当てて、コルベールの後ろに向かって声を張り上げた。



「大人しくしてろって言ったろうが。何でついて来た?」



その声に反応して、コルベールの後ろからガサガサとルイズ達が、身体の所々に包帯を巻いた痛々しい姿で現れた。



「・・・ハぁい、ダーリン」
「ミス・ツェルプストー・・・それに君達まで!?」



ルイズは反抗する子供の様にムスっとした顔で、ダンテやコルベールに臆する事なく進言する。



「ミスタ・コルベール。それは私の使い魔です。使い魔を外出させるなら主人も同行するべきです!」
「やれやれ、貴女ときたら。それは分かったが、他の2人は一体どうして?」



それからキュルケはタバサの顔をチラチラ見ながら、しどろもどろに弁明を始めた。



「わ、私は止めたのですけどもね。この子、フーケに対して何か策があるみたいでして。それで私にもついて来るようにと・・・」



タバサがポツリと呟く。



「復讐」



フーケに対して宛がわれた一言なのだろうが、
その中には、昨夜モット伯の屋敷へ無理矢理連れて行かされた、キュルケへの怨みがひしひしと込められていた。



「元気なお姫様達だ。先生、泥棒と御婦人は俺が見に行くからよ、アンタはここで子守を頼むぜ」
「うむ・・・致し方無いな。気をつけるのだぞ」



コルベールは、ダンテに掴みかからんとするルイズを抑えながらそう言った。




ダンテが小屋に入ると、そこにはオスマンの秘書と思わしき女性が、左手に破壊の杖を握り締めて、床に伏せていた。



「ハンッ、破壊の杖とは言ったもんだ」



破壊の杖と呼ばれていたそれは、テメンニグルの塔に幽閉されていた魔女の身体から成る魔具、ネヴァンの事であった。
ダンテがネヴァンを手に取ろうとした瞬間、黒いモヤの様なものがロングビルとネヴァンを包み、霧の様に姿を消してしまった。



「クソ・・・相変わらず陰気臭え野郎だ」



ダンテが黒いモヤに何かを感じ取った最中、小屋の外から轟音とルイズ達の悲鳴が響いた。慌てて小屋を出るダンテ。
そこにはおびただしい数の蝙蝠と雷を纏った、巨大なゴーレムが佇んでおり、
その肩にはネヴァンを持つフーケらしき人影が蝙蝠の束から見え隠れしていた。



「ハハッ、らしくなってきたじゃねえか!」



小屋から飛び出してきたダンテに向かってコルベールが叫ぶ。



「ミス・ロングビルはそこにいたのかね!?」
「コッチは罠だ!離れてないと痛い目見るぜ!」
「君も早く逃げろ!」



心配するコルベールを他所に、ダンテは宝物庫から持ち出したショットガンの銃口を、ゴーレムの胴体に向けて狙いを定める。



「派手な出迎えしてくれたんだ!盛り上げないと損ってヤツだぜ!」



ダンテがショットガンのトリガーを絞る



落雷の様な轟音が響き、それが合図となって、電撃と銃弾の応酬が始まった。
ダンテはショットガンを乱射させ、大量に降ってくる電撃を帯びたコウモリの群を撃ち抜いていく。
時折、フーケから繰り出される電気の束が迫ってくるが、ダンテは左手でデルフリンガーを構え、それを吸収していった。
吸収された電気は魔力に還元され、ダンテが使っていた技の一つ、ドライヴの要領で一撃、二撃、三撃と刃から弾き出された。



「あれ?俺っちこんな事できたっけ?」
「喋ってると舌噛むぜ」



さばき切れない蝙蝠は、トリックスターのステップで次々と避けていく。
何とか蝙蝠の数を減らしてフーケに近付こうとするもの、時折繰り出されるゴーレムの鉄拳によって阻まれる。
重量と物量の連携がダンテを苦しめた。



「ちょっと!これじゃあいくらダーリンでも持たないわよ!」



観戦する者の中からキュルケの悲鳴が響く。それからタバサが「間に合った」と、呟いた。
遠方から駆けつけたシルフィードがきゅいきゅいと鳴きながら、その口からあるものをタバサの下へと投げ落とした。
投げ落とされたそれを見て、キュルケ達が叫んだ。



「タバサ!これってちょっと!」
「買ってきた」



それは、この前行った武器屋の看板に掛けられていた、アグニ&ルドラであった。



「風と炎が有効なのは、前回の戦闘で確証済み」



前からちょくちょく武器屋に行っては、アグニ&ルドラと話をしていたタバサは、彼等の持つ属性を聞いていた。
タバサがルドラの柄を右手に掴み、左手に持ったアグニをキュルケに渡そうとする。・・・しかしそれは叶わぬ希望であった。



「タバサ、・・・もう分かってると思うけど、私達じゃそんなゴッツイ剣なんて、振るうどころか持てっこ無いわよ?」
「これは想定外」



うなだれる4人。そこへダンテが撃ち漏らした蝙蝠が、電撃を放ちながら襲い掛かった。
既に避け切れない距離まで近付いている蝙蝠に為す術が無いキュルケ。
タバサの頭を抱えてその場で屈み込み、覚悟を決めて目をつむった。



いつまで経っても電撃が襲ってこない。キュルケは恐る恐る目を開けると、そこには唖然とした顔のルイズが。
そしてルイズの視線の先には、杖を持ったコルベールが、その身の丈を越す炎を蛇を従えていた。
いつも学院では変わり者、臆病者と、教師や生徒達からも馬鹿にされているようなコルベールはそこにはいない。
炎の蛇を操り、襲い掛かる蝙蝠を次々と焼き払うその勇姿は、炎蛇の二つ名に相応しい者であった。



「私はこれから彼の助けに入る。君達はもう帰りなさい」



自分達の身を案じ、目の前の脅威に悠然と立ちはだかる。ルイズが憧れる貴族の姿がそこにあった。
その思いは、ルイズとは少しズレているかもしれないが、キュルケも同じだった。



「・・・ジャン!凄いじゃない!どうして今まで隠してたのよ!」



学院で見せている微熱の女王とは思えない、無邪気な少女の顔でコルベールを食い入る様に見つめるキュルケ。



「あんたって本当に見境無いわね!今はそんな事してる場合じゃないでしょうに!」



ルイズはキュルケを押し退け、アグニ&ルドラを引きずりながらゴーレムに向かう。
魔法は使えずとも、貴族の一人として自分も何かせずにはいられなかった。



「ミス・ヴァリエール!近付いてはいかん!」



ルイズは構わずアグニ&ルドラを引きずり、ダンテに向かって叫ぶ。



「これ!使って!」
「取り込み中だ!危ねえから引っ込んでろ!!」



状況を見れば成る程、ダンテは蝙蝠の追撃に手一杯であった。慌ててコルベールがルイズに駆け寄った。



「ミス、気持ちはわかる。しかしここは私達に任せて・・・」



その時、ルイズの左右の手元から2つの声が聞こえてきた。



「ルドラよ、主が我等を手に取らぬぞ」
「兄者よ、主は取り込み中だと言っておったぞ」
「"取り込み中"?"取り込み中"とは何だ?」
「"取り込み中"というのは・・・」



ルイズは話の内容に呆れて声の主に怒鳴った。



「もう沢山よ!!アンタ達ね、主人が困ってるならいつまでもお喋り続けてるんじゃないわよ!その前にする事があるでしょう!?」
「これは・・・インテリジェンスソードか?」



激昂するルイズに代わって、興味有り気にアグニ&ルドラを手に取るコルベール。
持ち手が代わってもアグニ&ルドラは構わず会話を続けた。



「何じゃこの娘は?」
「兄者、この前聞いた娘の話だと、この娘は我等の主の主と言う事だぞ」
「主の主の命とあらば、この身をもって果たさねばなるまい」
「我等、魔剣士の剣。この身体をもって主の助太刀に入ろうぞ」



コルベールの意識が右手のアグニ、左手のルドラへと引き込まれていく。



「こっ・・?これは!?」



それからコルベールの左右の目からそれぞれ赤と青、月目の光を放ちだした。



「ヌオオオオオオ!!」



先程までの知的な印象とはうって変わって、鬼神の如くゴーレムに斬りかかるコルベール。
迫り来るコウモリの群を叩き伏せ、アグニ、ルドラと交互に振り回し、ゴーレムの足を削っていった。
ゴーレムは堪らずコルベールに向かって拳を振り下ろすが、常人では有り得ない跳脚力でそれをかわされ、
なりふり構わず突進してくるコルベールに再び掘削されるのであった。



「キマってんじゃねえか先生!」



歓喜するダンテとは対称的に、コルベールの勇姿に気圧されるルイズとキュルケ。タバサはいつもと変わらぬ表情で現場を見ていた。



「凄いわね・・・」
「うん・・・」
「でも、アレはちょっと嫌・・・」
「う、うん・・・」



「ソイヤ!」、「ソイヤ!」とアグニ&ルドラに景気良く振り回されるコルベール。
しかし、実戦経験があるとはいえ彼はメイジ。それに年齢も加えて、肉体の疲労が限界に近づこうとしていた。



「兄者、そろそろもたぬぞ」
「うむ、精神に反して何と脆い体よ」



コルベールを操るアグニ&ルドラに、ダンテが激を飛ばす。



「おいお前ら!ソッチはいいんだよ!あいつ等を何とかしろ!あいつ等を!!」



ダンテの指差すそこは、ゴーレムの頭上を囲む蝙蝠の群であった。



「兄者よ」
「よかろう」



コルベールは、アグニ&ルドラの柄頭を合体させた。
アグニは火、ルドラは風の属性。それらにコルベールの魔力が合わさる事によって、かのヘクサゴン・スペルに相当する現象が起った。
コルベールが合体したアグニ&ルドラを頭上で風車の様に回転させると、炎を纏った竜巻がゴーレムの足元から広がり、
それがゴーレムの全身をみるみる包み込んでいった。



「ったく!、やればできるんじゃねえか」
「すっごいわ・・・」



目の前に広がる炎の竜巻に唖然とするキュルケ達。
火を得意とする者はその炎に魅入り、風を得意とする者は吹き荒れる嵐に息を呑んだ。
ルイズは、これ程の規模の竜巻を出せる者は、唯一人を除いて誰も居ないと思っていた。



「これって・・・こんなのって・・母様のより凄いじゃないの!」



「「ハッァアア!!」」



コルベールの魔力に呼応し、アグニ&ルドラが雄叫びを上げると、竜巻は更に勢いを増し、
ゴーレムの周りにいたコウモリは残らず焼き尽くされてしまった。



アグニ&ルドラを握り締め、その場に立ち尽くすコルベール。
風車が双剣に戻ると、コルベールの両手からスルリと抜け落ち、一帯は再び静けさを取り戻した。


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